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Encrinurus punctatus (Form C)
スウェーデンのゴトランド島 (Gotland) で出土した、エンクリヌルス・プンクタトゥス (Encrinurus punctatus) です。産出層は諸文献から推定するに、ゴトランドのスライト床 (Slite Beds) で、故に時代はシルル紀中期のウェンロッキアン (Wenlockian) と思われます。 方々のコレクターのコレクションを転々とした標本で、10年ほど前から憧れていた個体だったのですが、先日譲っていただき、ひとまず私の所に落ち着くこととなりました。 ゴトランドのエンクリヌルスとしては非常に巨大で、飴色〜黄土色の色味が極めて美しいです。 実際の標本は白色光下では、もう少し明るい色をしています。母岩も実際は青味がかった泥灰質のマトリックスであります。標本本体と母岩とのコンストラストがこれまた美しく、惚れ惚れする標本です。 ゴトランドのエンクリヌルスといえば、通常は、小型のマクロウルス (E. macrourus) を指し、本種とは産出層、サイズ、色合いから形状まで全てが異なります。他方、本種のような特徴を持つゴトランド産のエンクリヌルスは、この標本以外で見かけた事が一切なく、プンクタトゥスという種名を含め、昔から疑問でありました。 その後の調査で、産地や特に頭鞍周りの特徴から、本種は確かにエンクリヌルス・プンクタトゥスであり、中でもFormCと呼ばれる一群であろうと考えております。 そのあたりの話は長くなる為、拙ブログで報告しております。
Middle Silurian (Wenlockian) Slite Beds (?) (by speculation) Slite marl, Gotland, Sweden Encrinurus punctatus (FormC)trilobite.person (orm)
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Meteoraspis dis
尾部がコンセントのような形状の三葉虫、メテオラスピス・ディス (Meteoraspis dis) です。 一見、尾部以外はそれほど派手でもなく、地味な三葉虫に見えるかもしれませんが、閉鎖有名産地ウィークス (Weeks) 累層の希少種の中でも、一際産出量が少ない種であります。オレノイデス・スカベルンディ (Olenoides skabelundi) やデイラケファルス・アステル (Deiracephalus aster) のような博物館級の幻種を除けば、メニスコプシア・ビーベイ (Meniscopsia beebei) などに並んで、ウィークス最希少種と言えるのではないかと思います。 メテオラスピス・ディスという学名も、どこか格好よいです (2分岐した-dis 流星の盾-Meteoraspisという意味?) 。希少種という情報にも引っ張られているのかもですが、特徴的な尾部や洒落た名前も手伝い、私には特別な種に見えます。 この標本は、色々な人の手に渡った形跡があるのですが、とりあえずは、私のところに落ち着いております。
Middle Cambrian (Series3, Guzhangian) Weeks House Range, Millard County, Utah, USA Meteoraspis distrilobite.person (orm)