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Hydrocephalus carens (?) (juvenile specimen)
チェコのJince累層産のパラドキシデスの仲間です。 27mmと小さく、第3胸節の棘が長く伸びることから、幼体〜若い個体であると思われます。自由頬が失われがちなチェコのパラドキシデスですが、若年個体の場合はそう珍しいことではないものの、両頬ともしっかりと残存しております。標本周りは削ってあり、採取が比較的古い本産地標本に特徴的なプレップである気がします。 問題の種名ですが、ヒドロケファルス・カレンス (Hydrocephalus carens) として、裏面にラベルされております。カレンスは近縁種のP. gracilis (パラドキシデス・グラキリス) やH. minor (ヒドロケファルス・ミノル) などと比較しても、産出量が非常に少ない種であります。稀に、オレンジがかった個体が市場に登場しますが、両頬なしかつdisarticulated状態の標本が大半で、全貌が把握しづらい種であります。 ただ、ラベルがなければP. gracilisの若い個体と判断してしまいそうな見た目です。カレンスの幼体を見る機会はそうなく、種同定については疑問符がつき 、差し当たり (?) としておきます。
Middle Cambrian (Wuliuan? ) Jince Jince, N Pribam, Czech republik Hydrocephalus carens (?)trilobite.person (orm)
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Ectillaenus perovalis
英国のシュロップシャーで産出のエクティラエヌス・ペロヴァリス (Ectillaenus perovalis) です。 エクティラエヌスはモロッコ含め各国で産出しますが、おとなしい見た目の為、あまりクローズアップされることがないように思います。この標本も、地味な英国産の中でも、輪をかけて地味な部類ではあります。 この標本では、泥質の頁岩系の母岩に、うまく黒系の鉱物が集積したのか、更に黒々とした本体が存在感を放っています。表面には艶もあり、地味ながらも、なかなかに美しい標本だなと思っています。 蒐集のだいぶ初期に入手した標本ですが、割とお気に入りでして、今後も放出の予定はなさそうな標本でもあります。
Middle Ordovician (Llanvirn (Darriwilian) series) Hope shales Minsterley, Shropshire, England Ectillaenus perovalistrilobite.person (orm)