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Orygmaspis mckellari (2 specimens)
マッケイ (Mckay) のオリグマスピス (Orygmaspis) というグループには、形態的に地味な種から派手な種まで、多様な種がいる事が知られています。 マッケイの種小名を冠する、本種オリグマスピス・マッケラリ (Orygmaspis mckellari) は、その中ではやや派手なタイプだと感じます。ベースとなるフォルムこそ地味ですが、胸尾部の側葉からは、柔らかそうな棘が複数生えており、総合的には優美な印象です。 形態的によく似た種に、オリグマスピス・スピヌラ (Orygmaspis spinula)という種がいますが、今一つ違いがはっきりしません。スピヌラの可能性は否定できませんが、本産地の専門家である提供者氏より、マッケラリとのことで購入しましたので、差し当たり、マッケラリのままとしております。 2023/7/27 最初の標本の尾部が不完全だった為、尾部がよくわかる標本を買い足しました (写真6-8番目) 。特に頬部のgenal caecaの可能性のある構造も確認できて、細部がよくわかる標本です。
Upper Cambrian (Furongian, Jiangshanian) Mckay group site4, near Cranbrook, British Columbia, Canada Orygmaspis mckellaritrilobite.person (orm)
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Genevievella granulatus
ウィークス (Weeks) 累層産、ゲネヴィエヴェラ・グラニュラトゥス (Genevievella granulatus) です。細部まで保存状態が非常によく、アップの高画質画像でも耐えるレベルの質感が素晴らしいです。側葉の細かなぶつぶつまで確認できます。 産出度としては、ウィークスの中では、物凄く珍しいというわけではないものの、一般種というわけでもないという、中間的な感覚かと思います。 普通、軸葉の後部 (胸部第8節目) から大きな棘が一本出ている事が、ゲネヴィエヴェラに特徴的です。しかし、3番目の写真で確認できるように、この標本の興味深い点でありますが、本種では認められません。化石化した後に欠損したというよりは、元から棘があった形跡がまるでないようにみえます。 巷の標本をいくつかみると、本種は棘の長さにかなり個体差があるようなのですが、この標本のように形跡ゼロというのは、珍しいかと思います。ご意見でも頂いたように、新種、雌雄差、あるいは先天性欠損などの可能性もあるのかなと思います。 あと蛇足ですが、ウィークスの母岩は四つの角のうちの一つがカットしてあることが多く (本標本の場合は、標本に対して左下) 、これには一体何の意味があるのだろうと、前々から疑問に思っています。
Middle Cambrian (Series3, Guzhangian) Weeks Millard County, Utah, US Genevievella granulatustrilobite.person (orm)