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ORIENT SEM70002CG
コロコロと可愛らしい「オリエントスリースター」の70年代風レトロデザイン時計。ラドーのダイヤスターによく似た鉄仮面型のケースに、視認性を大幅に犠牲にした雰囲気重視のカットガラス風防を装備。身に着けるだけで数十年の過去を容易に遡らせる支配力の強さは、同時にこの時計の持つ魔性を現している。 特にシャンパンゴールドのダイアルは、近年あまりお目にかかれない種類の美しさ。古臭いオリエントのブランドロゴもこの時計の場合はとても雰囲気にマッチしている。アワーマーカーやハンドも高級感とは程遠いショボい作りなのだが、安っぽいというよりは陳腐化した過去を懐かしむような…そんな風に哀愁を帯びて見えるのだ。気のせいかも知れないが。 手巻きが無いムーブメントだったり、カレンダー送りはプッシャーを押し込むスタイルで面倒くさかったり、巻板ブレスの長さ調整が鬼のようにやり辛かったり…使ってみれば言いたいことは色々と出てくるのだが「可愛らしさ」の一点で全ての短所に勝る。「七難隠す」というヤツだ。
ミネラル・ガラス 幅40ミリ ORIENT ステンレス・スティール砂布巾
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FOSSIL GRANT FS5297
買ったはいいが数回しか使わず、もったいないので若い知り合いに差し上げた。なかなかお洒落なデザインで絵になる時計だったのだが…私のローテに割り込むほどではなかったのだ。 「あちこちでお洒落な時計してるね!って言われますよ」とは件の若い知人。体躯もデカイので44ミリの時計がよく似合っていた。
ミネラル・ガラス 44ミリ FOSSIL レザー砂布巾
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ORIENT ORIENTSTAR SDAAA003B0
滑らかな曲線のトノー型ケースが美しいオリエントスターでは数少ないタイプのモデル。初めて見た瞬間に妙な使命感が湧き上がり入手。 光沢のあるダイアルは品の良いギョーシェが特徴的。お得意のパワーリザーブメーターがデザイン的なアクセントとしてミッドセンチュリーな空気感をもたらす。 アプライドのアワーマーカーは繊細というよりは武断的な印象。ハンドが少し迫力に欠ける作りなのでアンバランスに思わなくもない。明確な縁取りで大きく開いたオープンハートがこれまた絶妙な位置にある。トノー型というオーバルに比べてバランスの自由度の低い形状の中で、この丸い穴の位置決めは難しかっただろうと推察する。デザイナーさんいい仕事してますよ(〃∇〃) スケルトンの裏蓋からはムーブメントが覗けるが、ローターに覆われたムーブメントを見ても感動は少ない。ただ巻き上げ効率の良い安定した精度はさすがに「機械式のオリエント」だと思う。 標準装備のレザーストラップは高級感はそこそこだが付け心地は素晴らしい。オリエントの上位ラインであるオリエントスターの面目躍如といったところか。 最近は少なくなったが各社が競ってトノー型を揃えていた時代もあった。その頃の懐かしい雰囲気が味わえる美しい一本だと思う。
サファイアクリスタル 幅37ミリ ORIENT レザー砂布巾
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HAMILTON Lloyd H19412733
偉大な建築家フランク・ロイド・ライトへのオマージュとして作られた「ロイド」は、現行のハミルトンのラインアップの中ではかなり異質な部類に入るだろう。 丸みを帯びたカレのケースに八角形のダイアル。同じく八角形のインダイアルが整然と並ぶさまはどこかしらユーモラスで生物的でもある。そしてこの印象こそ、ロイド・ライトの建築に感じるインプレッションそのものなのだ。 私はもともと建築出身なので「ロイド」の名前だけで「買わなくては!」と思ってしまった。まだそれほど自分に時計コレクターの自覚が備わっていなかった頃のことだ。 因みにこの時計には夜光が全く塗布されていない。なので夜の視認性はゼロに近い。ただ、なぜ夜光を塗っていないかについては完全に理解できる。つまり夜光を塗るとデザインが著しく壊れてしまうのだ。とはいえケースはもちろん、ハンドやインダイアルの縁取り、アワーマーカーに至るまでもがメタルポリッシュでピカピカなので昼間の視認性は十分に担保されている。 ダイアルのギョーシェは細かく上品な光沢変化が楽しめる。リューズも雰囲気を壊さないシックなデザインだ。 レザーストラップは立体的で厚みがあり高級感を感じるが何せ…硬い!未だに手首のアールに沿ってくれないほどに。ここまで硬い理由はなんだろう? 手持ちのマックス・ビルと並べて見ると、デザイナーとして背筋が伸びる心境になる。見ず知らずの私にまで伝わる偉大なクリエイターの知の遺産。やっぱりデザインって素晴らしい! 残念ながらすでにディスコンになってしまったらしい。10年後くらいに復刻しないかなぁ。
ミネラル・ガラス 37ミリ HAMILTON レザー(Dバックル)砂布巾
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Seiko Recraft SNKP27
20世紀の一番ギラついていた頃のデザインを再解釈して復刻させたシリーズ。近年、腕時計はやたらと復刻ブームだったりするのだが、セイコーのアーカイブなら復刻させる元ネタには事欠かないだろう。 中身は7S26だから手巻きなしの「5」と同様。幅は40ミリ近いがこれは時代に合わせて大型化したものかもしれない。個人的には幅36ミリであったならもっと可愛い時計になったと思っている。 外見的にはとにかくダイアルが美しい。1970年代風のグリーンとでもいうか、何ともエロティックな深みのある色をしている。アプライドのアワーマーカーやハンドのゴールドも美しさと視認性を両立している。TVスクリーン型のレクタンケースは無駄を廃したシンプルなラインで服装を選ばない。この落ち着きと佇まい…おじいちゃんが身に着けたほうが似合うのではないだろうか。そういう意味でもケースサイズがもう一回り小さかったらと思えてならない。 意外と質感の良いレザーのベルトが付いていてお得感が高い。ステンレスブレスの同型モデルもあるが、この雰囲気から言ってミラネーゼが合うのではなかろうかと考える。少し目の荒いミラネーゼブレスを探してみようかしら。
ハードレックス 39.6ミリ SEIKO レザー砂布巾
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EPOS EMOTION NIGHTSKY 3391BL
複雑時計も良心的な価格で提供してくれるエポス。「ナイトスカイ」もポインターデイトのフルカレンダーとムーンフェイズを搭載して20数万円というビックリ価格を実現している。標準装備のレザーストラップが安っぽいのはご愛嬌として、この複雑時計をこの仕上げ具合で作れるというのは大したもの。 ムーンフェイズ搭載の時計は総じてクラシカルな方向へ行くものだが、このナイトスカイは現代的な解釈をデザインに加えて、最新のプラネタリウムを見るような未来感溢れる一本となっている。 ダイアルは複雑な色変化を見せるブルーが鮮烈。現実の宇宙と言うよりは松本零士の描く宇宙のようなファンタジーを感じる。ポインターデイトの先端には三日月。大三角形を描くカレンダーの配置とともにオトナの遊び心を感じる。 エポスのラインアップはどれも他のブランドにはない遊び心が秘められていて、好きになるときは一瞬というような印象的な時計が多い。フルカレンダーとムーンフェイズをセットする手間は相当なものなのでかなりの時計好きにしかお薦めできないが、その神秘的な美しさは折り紙付き。所有する満足度の高い時計であることは間違いない。
サファイアクリスタル 幅41ミリ EPOS ブラックレザー砂布巾
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BULOVA MOON WATCH 96B258
手頃な価格で絶妙なセンスの時計を作り続ける「ブローバ」の中で個人的に一番カッコいいと評価しているのが、この「ルナ・パイロット・クロノグラフ(ムーン・ウォッチ)」だ。 ムーン・ウォッチといえば「オメガ」スピマスのムーン・ウォッチなのだが、このブローバのムーン・ウォッチだってちゃ~んと月まで行っている。アポロ15号の船長の私物としてだが(笑) というわけでこれも間違いなく「ムーン・ウォッチ」なのだが、持ち主のアポロ15号の船長が宇宙初の「闇営業(?)」をやらかしたこともあって、なんとなくトホホなミッションで使われた時計というありがたくないイメージが付いてしまった。 とはいえ、アメリカの宇宙計画で使われたアメリカの時計という事実は色褪せることなく、ブローバの中でもこの「復刻版ムーン・ウォッチ」、特にアメリカにおいては屈指の人気を誇る。確かにアメリカ人が好きそうなタイプの造形ではある。 何となくではあるが、オメガのムーン・ウォッチよりも宇宙っぽいというか…アポロ感があると思う。45ミリ径と大きなサイズで着ける人を選ぶのは確かだが、宇宙好きでアメリカンなモノが好きなら買って損はない時計だと思う。 来年の夏までにはNATO化する予定。少し重いので(゚д゚)
サファイアクリスタル 幅45ミリ BULOVA ステンレス・スティール砂布巾
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CATOREX C'Vintage 8162-1
創業から150年以上、延々と血脈経営を続けてきたカトレックス。そもそもは庶民向けの懐中時計専業のメーカーとして知られていたが、投機的な経営に委ねず地道を貫いたおかげで、スイスの時計産業を壊滅の淵に追い込んだ「セイコーショック」に揺るがされることもなく現在に至る。 私が所有するのは499個の世界限定生産で販売されたシー・ヴィンテージ。クラシカルなケース、絞り込まれた形状の奥ゆかしいハンド、シンプルだが深い味わいを湛えるブルーのダイアルなど何ともビューティーな一本。 8162最大の特徴は搭載されたムーブメントにある。アドルフシールド社「AS2063」のデッドストック。振動数は21600。嘗ては世界最高の精度と謳われた名機がひっそりと内蔵されているあたり、時計バカとしてはグッとくる要素。 「可愛い時計だな~」と思って買ったわけだが、実際何度か使ってみて心底気に入ってしまった。非常にシンプルなデザインだが細かいところに拘りが感じられて、使えば使うほどジワジワしてくるのだ。ブルーのサンレイダイアルの美しさは私のコレクションの中でも特別な存在。NATOストラップとの相性も抜群で、着せ替え人形のように雰囲気を変えて楽しめる。オトナの男がまるで「りかちゃん人形」のように遊べる楽しい時計だ。
サファイアクリスタル 幅42ミリ CATOREX カーフレザー砂布巾