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ORIENT SEM70002CG
コロコロと可愛らしい「オリエントスリースター」の70年代風レトロデザイン時計。ラドーのダイヤスターによく似た鉄仮面型のケースに、視認性を大幅に犠牲にした雰囲気重視のカットガラス風防を装備。身に着けるだけで数十年の過去を容易に遡らせる支配力の強さは、同時にこの時計の持つ魔性を現している。 特にシャンパンゴールドのダイアルは、近年あまりお目にかかれない種類の美しさ。古臭いオリエントのブランドロゴもこの時計の場合はとても雰囲気にマッチしている。アワーマーカーやハンドも高級感とは程遠いショボい作りなのだが、安っぽいというよりは陳腐化した過去を懐かしむような…そんな風に哀愁を帯びて見えるのだ。気のせいかも知れないが。 手巻きが無いムーブメントだったり、カレンダー送りはプッシャーを押し込むスタイルで面倒くさかったり、巻板ブレスの長さ調整が鬼のようにやり辛かったり…使ってみれば言いたいことは色々と出てくるのだが「可愛らしさ」の一点で全ての短所に勝る。「七難隠す」というヤツだ。
ミネラル・ガラス 幅40ミリ ORIENT ステンレス・スティール砂布巾
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ORIENT ORIENTSTAR SDAAA003B0
滑らかな曲線のトノー型ケースが美しいオリエントスターでは数少ないタイプのモデル。初めて見た瞬間に妙な使命感が湧き上がり入手。 光沢のあるダイアルは品の良いギョーシェが特徴的。お得意のパワーリザーブメーターがデザイン的なアクセントとしてミッドセンチュリーな空気感をもたらす。 アプライドのアワーマーカーは繊細というよりは武断的な印象。ハンドが少し迫力に欠ける作りなのでアンバランスに思わなくもない。明確な縁取りで大きく開いたオープンハートがこれまた絶妙な位置にある。トノー型というオーバルに比べてバランスの自由度の低い形状の中で、この丸い穴の位置決めは難しかっただろうと推察する。デザイナーさんいい仕事してますよ(〃∇〃) スケルトンの裏蓋からはムーブメントが覗けるが、ローターに覆われたムーブメントを見ても感動は少ない。ただ巻き上げ効率の良い安定した精度はさすがに「機械式のオリエント」だと思う。 標準装備のレザーストラップは高級感はそこそこだが付け心地は素晴らしい。オリエントの上位ラインであるオリエントスターの面目躍如といったところか。 最近は少なくなったが各社が競ってトノー型を揃えていた時代もあった。その頃の懐かしい雰囲気が味わえる美しい一本だと思う。
サファイアクリスタル 幅37ミリ ORIENT レザー砂布巾
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KENTEX MARINEMAN SEAHORSEⅡ S706M-12
防衛省と契約して作られた自衛隊時計で知られる「ケンテックス」は国産にこだわり抜いたメーカーでもある。私が所有しているのは「マリンマンシーホースⅡ」マイナーチェンジ前のモデルだが基本的な性能に変更はないようだ。 ISO6425をクリアした潜水性能を持つ本格ダイバーズだが、MOP使用のダイアルやセラミックのベゼルが美しく、ラグジュアリー・スポーツといった趣がある。ケースデザインなどはクラシカルなのでシティーユースでも違和感なく使えている。 完全日本製ということで手放しに応援したいのだが、だからこそ苦言を呈したい。 まずはサイズ。次は絶対に40ミリ前後で出して欲しいと思う。必ず化けるから!そして発光の鈍い夜光も何とかすべし。ブレスのバックルも価格からすると何ともお粗末。ここをケチると腕時計は途端に安っぽくなってしまうのだから。 色々文句を書いたがそれは応援すればこその気持ち。記念モデルのシーアングラーもサイズが変わらず購入を断念せざるを得ない。搭載ムーブメントと防水性の都合でサイズをシュリンクするのが難しいのは解るが、40ミリ径になればどれだけカッコ良くなることか…日本の時計の未来のために、戦え!ケンテックス!
サファイアクリスタル 幅44.8ミリ KENTEX ステンレス・スティール砂布巾