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フローライト
空想の宝石結晶博物館より 螢石の色について 螢石には、オレンジ以外の多様な色がありますが、しかし、たとえば紫色は英国であれ、中国であれ、アメリカであれ全て同じ紫です。 同様に他の色も、産地による固有の色がなく、世界的にピンクはピンク、緑は緑と一様であるところに特徴があります。 これが例えばトルマリンなら産地毎に全く色が異なり、結晶やルースを見れば鉱山まで見当がつくほどです。 その理由は、螢石の着色が他の鉱物とは異なる特異なものだからです。 紫の発色原理 : 最も普通の螢石の色は紫です。 この紫はミー散乱理論(Mie Scattering Theory)という特殊な仕組みで起こります。 可視帯域の光の波長に等しい大きさの物質によって起こる光の散乱のことです。 この仕組みは宝石の場合には金属の包有物によって引き起こされる特殊な例で、とりわけ紫の螢石だけに見られるますが、螢石の成分であるカルシウムの微細な結晶がその原因です。 弗化カルシウムの螢石に放射線が当たると弗素原子が結晶から飛び出してカルシウム原子が残ります。長い時間が経つとカルシウムの原子が可視波長の大きさの小片に結晶します。 その結晶に光があたると一部は吸収され、一部は反射され・・・・を繰り返し(即ち散乱される)次第に赤から緑の波長の光が吸収されて、残った紫だけが見えるという仕組みです。 その他の色も、エメラルド緑はサマリウム、青はイットリウム、黄色がかった緑はイットリウムとセリウム、黄色は酸素のカラーセンター、ピンクはイットリウムと酸素のカラー・センター、また色変わりをする螢石は、イットリウムとサマリウムとセリウムとが関連したカラーセンター、という希土類元素が関与する特異な着色の仕組みを持っています。 蛍石のあの魅惑的な色彩は,微量に含まれるこれらの希土類元素の働きによるものです。 螢石にこんなにも多くの希土類元素が高い濃度で含まれる理由は、螢石の主成分である弗化物の水溶液に天然の希土類元素が難溶性の状態で存在していることと、もう一つの主成分であるカルシウムとランタノイド系希土類元素のイオン半径とが殆ど同じであることからです。
鉱物 ルース CaF2 2.55ctネルママ
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ウヴァイト
ウヴァイトは1929年、スリランカのウヴァ地方に産出したことに因む命名 他のトルマリンとは異なり、柱状ではなく平板状の1cm程度の小さな結晶の集合体としてペグマタイトやスカルン鉱床に産する。 不純物としてナトリウム、三価の鉄やクロム、ヴァナジウム、二価のマンガン、四価のチタンを含み、暗緑、茶色、褐色、赤、黒色を示す。 不透明および半透明で宝石用途にはならないが、稀に装飾用として用いられる。 スリランカでは石灰岩中に透輝石と共に産する。その他チェコ、ロシアのバイカル湖、ニューヨークのエセックス、カナダ、オンタリオ等に産する。現在もっとも良く見られるのはブラジルバイア州ブルマードのマグネサイトの晶洞中の結晶。
鉱物標本 CaMg3(Al5Mg)(BO3)3Si6O18(OH)3(OH) 2.55ctネルママ