-
Bernward Büker Bände / Herzlichen Glückwunsche zur Psychose
この一つ前の投稿には、Soider Murphy Gangへの思い(出)が大きすぎて、書ききれなかったことがある。 一言でいうなら、東芝EMIは意地がわるい、かな。当時、日本盤コンピレーション『Neue Deutsche Welle』を購入した最大のきっかけはそのジャケットのインパクトなのは間違いない。仮面をかぶったサイボーグっぽい男たち、ポーズ、モノクロをベースにしたデザイン、ドイツのニューウェイブ、と印象づけるには最高のジャケットだと、今も思っている。 では、何が意地悪なのか。それは、このジャケットにはオリジナルがあり、それがここに掲げるバンドのものなのだが、日本盤コンピにはこのバンドの曲は1曲も収録されていないのだ。なんとタイトルのフォント、意匠まで借りておいて曲を入れない‥ 残酷。 ドイツの中古盤屋でこのレコードを見つけ、ちょっとした衝撃を受けたことも忘れられない。 では、このBernward Büker Bändeの音楽となると、評価が難しい。確かにジャケットらしいニューウェイブっぽい曲もあるのだが、どう聴いてもハードロックという曲もあり、統一性がない。リーダーのBernward Bükerはこの後、ソロに転ずるが、この名前で画像検索すると、80年代アメリカの典型的ハードロッカーの髪型とスタイルの彼を見ることができる。
アナログレコード Welt Rekord EMI Electrola 3,4ユーロ ドイツのレコード店ヴォン人
-
ドイツ 新しき波 Neue Deutsche Welle
「ノイエ・ドイチェ・ヴェレ」というジャンルというかムーブメントがロック/ポップの世界にはあるのだが‥ 英訳すればGerman New Wave、パンク・ロックへの西ドイツからの返答といったところ。この動きを日本でまとめたコンピレーションがこの盤。 収められたバンド、曲は玉石混交といったところで、「パンク/ニューウェイブ返答?」と首をかしげるものも収録されている。実際、収録されたバンドのいくつかはアンダーグラウンドの世界でなく、ポップミュージックとしてヒットとなっている。2曲収録されたスパイダー・マーフィー・ギャングSpider Murphy Gangというバンドがその筆頭、懐かしい思い出を2つほど書き残しておきたい。 2000年代初頭、生活していたドイツの小さな町で、友人とその家族を自宅に呼びパーティをしたことがあった。なぜ内向的な自分がパーティなどしたのか、いまとなっては全く思い出せないが、そうせざるを得ない状況に追い込まれたのだと思う。自分以外はドイツ人とアメリカ人だったが、自分ひとりで料理を作ったりと、それなりの振る舞いはしたつもりだ。食事をしながらの談笑のなかで、ミュンヘンが話題になったのだと思うが、自分が酔っていたせいもあると思う、このアルバムで最も耳に残る「立入禁止区域のスキャンダルSkandal in Sperrbezirk」の一節「ミュンヘンにはホーフブロイハウスがあるが‥」を口ずさんだところ、その場にいた同じ世代のドイツ人だけが「おぁ」となり唱和が始まってしまった。アンダーグラウンドの一部の人間しか知らないと思っていたこの曲はドイツではよく知られていると思わされた一瞬だった。調べたら、この曲は1981年ドイツのチャートのトップに立っていた。 2004から2005年の大晦日にはこんな思い出もある。このとき自分はフランスのストラスブールに旅行で来ていた。ドイツとの国境近くにあるストラスブールの街の大晦日を友人と楽しみ、夜遅くホテルに戻った。テレビをつけ、ヨーロッパの年替わりをテレビはどんなふうに伝えるのか眺めてみることにした。ホテルのテレビはフランス、ドイツいずれの放送も見ることができたが、日本と大きく変わりないと感じスイッチを切ろうとした瞬間、聞き覚えののある曲が耳に飛び込んできた。「Skandal in Sperrbezirk」。ドイツの紅白歌合戦らしきライブの音楽祭からは相応に歳をとったバンドが手慣れたこの曲を披露していた。ドイツからのパンクへの返答は懐メロにもなるのか‥とテレビのスイッチを落とした。数分後からは花火の爆音でなかなか眠れなかったことも忘れられない。 Spider Murphy Gangは今も現役だ。YouTubeで検索するれば、件の曲には簡単にアクセスすることができる。コメントは当然ほとんどがドイツ語で、要約すると「80年代フォーエバー」というコメントで覆い尽くされている。 ドイツ語版のウィキペディアにはNeue Deutsche Welleに属するバンド一覧がある。誰が決めたのか知らないが‥ Spider Murphy Gangもこの一覧にはリストアップされている。
アナログレコード 東芝EMI 1000円位 高田馬場タイムヴォン人
-
武満徹 水の風景
武満徹の名前はどこで知ったか、記憶がまるでない。 10代の終わりにブーレーズやヴァレーズのレコードは持っており、現代音楽に関心を持つのは早かったが、鑑賞のポイントが全くわからず、遊びに来た友達に聞かせて嫌がられたことぐらいしか思い出せない。 武満のレコードを買い始めたのはもっとあとで、20代半ば過ぎてから。書かれたものが面白かったことがきっかけだったかと思う。 ジャケの写真はインパクトがあって見惚れるも、デザイン全体がやや雑で残念なところ。 収録された曲の中では、「雨の樹」が耳に残る。ミニマリズムにも聞こえ、環境音楽にも聞こえたりする。
アナログレコード RCA 1000円以下 高田馬場のタイムだったかヴォン人
-
高橋悠治 ドビュッシーを弾く
高橋悠治さんの作品はレコードならできるだけ買うようにしている。 最初に買ったのはこのシリーズのサティの作品で、かなり気に入ったことから関心が深まっていった。 このドビュッシー『イマージュ』はかなり早い時期に買ったと思う。これも随分寝かせてしまったが、数々の『イマージュ』を耳にした後で聞くと、自分にはかなりしっくりくるものだった。ジャケットも素晴らしい。 いつまでも元気でいてください。
アナログレコード DENON 500円以下 数寄屋橋 ハンターかヴォン人
-
Richard Wagner Sämtliche Klavierwerke / Martin Galling
ロマン派全般に強い魅力を感じてこなかったので、ワーグナー主義者になることもなかった。ウィーンに暮らした時期、何度かワーグナーのオペラも見せて頂いたが、目を醒まされることもなかった。それが何故かは考えることもあって、ときどきレコードは買って聴いてみたりもした。 このレコードはドイツに暮らした頃、中古レコードの棚から見つけて購入。ワーグナーのピアノ曲をまとめたもので2枚組、63年の録音らしいが、ドイツ国内でリリース年が調べても出てこない。60年代のものにしてはコンディションがよい。 さて、このピアノ曲集も購入当時はピンとこず、そのまま放置されていた。そして、今久しぶりに聴いたら、とても良い。うちのオーディオでも綺麗に鳴って聞き惚れててしまった。 気に入った理由ははっきりしていて、これらのピアノ曲にはベートーヴェンの香りがするからだ。ここ数年ベートーヴェンのピアノソナタを好み、多く聴いてきた自分にフィットするところがあるのだと思う。演奏するピアニストがバッハとベートーヴェンを得意とするところもあるかもしれない。結構な年月を経て、このレコードが自分に特別なものになった。 というわけで、今日はよい再発見ができた。様々な演奏家の録音も聴いてみようと思う。
アナログレコード FSM Vox 4ユーロ ドイツのレコード店ヴォン人
-
Charlie Byrd / Aquarius
私も『Jazz Samba』でチャーリー・バードの名前を覚えて、よく見かけ、安い、という理由で吟味もしないで買い求め、自宅に持ち帰るのだが、聴き込むこともなく、棚の奥にしまわれてしまう。いつの間にか彼のレコードはほとんど家にないけれど、このレコードだけは残った。ときどき聴きたくなって、棚の捜索をすることになる。 マイルスのプロデューサーでお馴染みのテオ・マセロの制作で、アレンジも担当している。小規模の編成がしっくりくるが、鍵盤がハービー・ハンコック、ドラムがバーナード・パーディーと超豪華。鍵盤は目立たないが、バーナード・パーディーのドラムは完全なパーディー節でギターより目立つ瞬間も多い。 「ふたりのシーズン」、「アクエリアス」と選曲も私好み。「マイ・ウェイ」ですら新鮮に聞こえ、ビートルズの「ジュリア」は別曲に聞こえる。
アナログレコード Columbia 500円以下 不明 東京の中古レコード店だと思うヴォン人
-
サティ 交響的ドラマ「ソクラテス』 ユーグ・キュノエ/ジェフリー・パーソンズ
サティは高校生の頃からピアノ曲ばかり聴いてきたし、聴いている。 ソクラテスの生涯というテーマに惹かれ、このレコードを手に入れたが、あまり聞かれることもなかった。 このレコードは中古で手に入れたが、背面には懐かしい「アール・ヴィヴァン」の値札シールが貼ってある。 いま聴き直してみると、サティらしい端正な曲で好ましい。ピアノ曲とともにこれから聴き続けたい。
アナログレコード Nimbus 1000円位 東京 江古田の今はなき中古盤屋ヴォン人
-
John Cage / Live
ジョン・ケージのことは高校生の時分から「4分33秒」で知っていたが、実際にレコードを買うようになったのは20代後半を過ぎた頃か。 前衛ロックの延長で買い始めたか、ライヒ、ライリー、グラスのミニマリズムから広げていったか、今となっては思い出せない。90年代の半ば過ぎてからの話。ただ、このレコードはほとんど聞かれることもなく棚の隅に放置してあった。セロテープで貼り付けたタグの残りが残っていたので、高田馬場のDiskFunで購入したことはわかった。 久しぶりに針を落としてみたこのレコードには、プリペアドピアノで演奏された2曲と、ケージの語りとイフェクト、歌曲?で構成された大作が含まれている。 この歌曲が、今になって好ましく聞こえる。不気味なケージの語りの中で歌われる歌曲はどこか可愛らしい。 そして、このレコード、妙に音がよい。
現代音楽 Wergo 1000円位 高田馬場 Disk Funヴォン人
-
ストラアヴィンスキー 火の鳥 ロリン・マゼール ベルリン放送交響楽団
ハンガリー、ブタペスト旅行の際に立ち寄った書店の中古レコードコーナーで購入。 東ドイツの盤がオリジナルのようだが、これはルーマニア盤でジャケも異なる。66年頃のリリース。 ウィーンの生演奏の「火の鳥」にいたく感銘を受け、コンサート直後の旅行で立ち寄った古書店に見つけた盤。 マゼールの名前と、ジャケのイラストの美しさで手にとったこのレコードはそれほど悪い音ではなかったが、コンサート会場最前列近くで耳にした終盤に現れるあの爆音にまさるものではなく、棚の隅にそっと置かれることになった。
レコード クラシック Electrecord 400フォリント ブダペストの書店ヴォン人
-
Beethoven: Piano Sonata no.32, Ivo Pogorelich
十数年前、ドイツの田舎町の新婦も売る中古レコード店にて購入。 古楽のレコードを探していて見つからず、なにか買いたくて棚を漁っていて見つけた盤。 ジャケットのインパクトで購入の決め手。演者が男前とはいえ、写真のピントがあってない‥ ロックやジャズの世界ではありえないセンス、自主制作でなく、最大手ドイチェ・グラモフォンのリリース。なにがしかの事件性を感じた訳です。 事件というべきはわからないが、 このレコードが演者ポゴレリチの初スタジオ録音、ショパンコンクールの「衝撃」、あるいは「スキャンダル」後、ドイチェ・グラモフォンと契約での初リリースという経緯があったのは最近知った。リリースを急ぎ、世界にアピールか。で、ピンぼけ。それにしてもコンクールからリリースまで2年もある。80年代初頭の話だが‥ もう一つ。 演奏するベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタは、老境に達した名手が多く録音を残しているようで、当時20代前半の新進気鋭のピアニストが選ぶ曲としては奇をてらうところがあったのかも。この点、グールドも『ゴルトベルク』の次の録音に選び大分叩かれたようだ。これも最近気づいたこと。 こうした話題作りが、ポゴレリチのスター性を高めたのかもしれない。今やポゴレリチは毎年来日するような重鎮となった。 中途半端の聞き方しかしてこなかった西洋古典音楽だが、歳をとって好みも変わってきた。諸々調べながら、かつて買ったレコードを引っ張り出すのは面白い。 最近はこのベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタが心に染みる。そんなわけで久しぶりにこのピンぼけジャケットを久しぶりに眺めてみた。
レコード ピアノ曲 Deutsche Grammophon 4.5ユーロ ドイツのレコード店ヴォン人
-
Maurice Ravel Klavierwerk 3 / Jeanine Dacosta
20年前、ウィーンで暮らしていたとき中古番屋で購入。 暮らしはじめて、ウィーンにはレコードも中古レコード店もあまりないことにすぐ気がついた。 僅かなレコード店で、なにか買いたいのだが、欲しい物がない。 店舗で買えるものの多くは、独、墺の歌謡曲かクラシックだった。 クラシック音楽は嫌いではないが、ロマン派があまり好きでなかった私にとってはオーストリアという音楽の都に居ることは、残念ながら至福と呼べるようなものではなかった。申し訳ない。 だから、ウィーンで買ったレコードはまるでウィーンらしくない。 このラヴェルのピアノ曲集には「パヴァーヌ」や「ガスパール」が収録されている。 演奏者はJeanine Dacostaとあるが、大成した方ではないと思う。Janineでオランダ語とドイツ語の記事がある程度。 オーストリアのレーベルから出されているが、このアルバムはDiscogでもヒットしない。 ジャケットは絵画の一部分だろうか?
アナログレコード Amadeo 5.50ユーロ ウィーンの中古レコード店ヴォン人
-
V.A. Piano One
Joachim Kuhn, Eddie Jobson, Eric Watson, 坂本龍一によるピアノ曲が収録されたアルバム。 リリースされたレーベルがかつてニュー・エイジというやや懐かしく聞こえるジャンルを代表しており、その文脈に位置づけられてきたのだろうが、 純粋にピアノ作品集として鑑賞できる。印象派からキース・ジャレットへの流れを聞いているような心持ちになれる。 長らく愛聴してきたが、Eddie Jobsonの3曲が今は心に響く。10代のうちに作曲したという3曲はどれも変拍子。 (のちにUKなどに参加する彼の)プログレへの志向はこの時期すでに芽生えていたのだろうか。
レコード ピアノ曲 Private Music 日本版 1000円以下 東京 江古田の今はなき中古盤屋ヴォン人
-
Bar-Kays Soul Finger
手前のヒッピー風の青年のTシャツにVoltのロゴを落とし込んでいる。 このまま商品化してほしい。
レコード R&B Volt 1500円くらい ディスクユニオンヴォン人
-
The Last Words
Loring Eutemeyローリング・ユートメイ/ローリン・ユートミーがこの手のイラストのデザインを担当している。 うちにあるレコードからこのテイストのイラストがあしらわれたレコードをひまをみて上げてみる。
レコード ソフト・ロック Atco 1000円以下 ディスクユニオンヴォン人
-
写真集 Gered Mankowitz 50 Years of Rock and Roll Photography
自身がカッコいい、と思っていた写真の相当数が同じ人物によって撮り続けられたことに改めて驚愕。 第一線であり続けたMankowitz氏のキャリアを俯瞰できる写真集。 独特の存在感を備えたアーティストに写真を通じてオーラを付したのは実は彼なのではないかと思ってしまう。 大判の紙面に1,2枚の写真は魅力的だが、他のものものも見てみたいところ、また写真家本人のコメントも付されているが、 2,3行と、物足りなく思ってしまうのは正直なところ。 本書以外に出版された様子もないので、物足りなさは月毎に連載された『レコード・コレクターズ』のバックナンバーを引っ張り出すしかないようだ。
写真集 The Carlton Publishing, London, 2013 1500円くらい ディスクユニオンヴォン人
![Loading](https://d3caz7hhiepl95.cloudfront.net/loading/loading.gif)