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The Belle of New York
フレッド・アステア主演ミュージカル映画31本の中で最後に入手した作品。 VHSは日本未発売で、書籍等に載せられている数少ない白黒写真を見ては悶々と想像を膨らませていたものだ。 自身にもインターネット環境が揃い検索、海外の個人通販で見つけて即クリック! ……いともアッサリと送られてきた時には、喜びよりも肩すかし感と脱力感の方が大きかったことを記憶している。 ロックンロールが台頭してきた50年代初頭に、いかにもミュージカルらしい楽曲を“これでもか”と詰め込んだ意欲作。一般的な評価はそれほどでもないのかもしれないが、マニアとしてはストーリーも併せて楽しい内容。燕尾服もきっちりとご着用、ありがとうございます。 お気に入りのヴェラ=エレンの為か、珍しく様々なカラーリングの衣裳を身につけるアステアが楽しい。
1952 チャールズ・ウォルターズ アーサー・フリード ニューヨーク美人Nozomi Shirakawa
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The Barkleys of Broadway
「アステア=ロジャース」ゴールデンコンビ 10年振りの復活! であり、前回は実在した夫婦(カッスル夫妻)だったのが、今回は架空の、しかも自分たちをパロディーにしたような夫婦ダンスコンビを演じることになったという、ファン、マニアにとっては結果として夢のような作品。 これだけのお膳立てなのに、元はジュディ・ガーランドで撮ろうとしていたというのだから、そっちの方が不自然で不思議。例によってその辺の事情は知らない(もしくはジンジャーになってから脚本をある程度書き変えたのだろうか)。 ダンスナンバーはどれも抜群の安定感。時間が経ってから見ている人間にとっては安心よりも微笑ましくもなる喜びだ。 初めて見た際の驚きで覚えているのは三つ。 ※タイトルが長い! ※ジンジャー・ロジャースがカラーだ! ※アステアとジンジャーのキスシーンだ! タップデュオ「Bouncin' The Blues」の振り付けとダンスが素晴らしいのは言わずもがな。 はじめの頃は、ナンバー途中で数回聞かれるアステアの後付けの笑い声に強い違和感があったが、何度も繰り返し見た今は慣れた。 そしてアステアの衣裳……リハーサル用の稽古着という設定なのだろうがカッコよすぎる。よくマネをする。 追: 個性的なピアニストのオスカー・レヴァントの病的な感じが好き。 アステア、ジンジャーと3人で歌いながら歩くナンバー「A Weekend in the Country」は1949年のミュージカル映画としても懐古趣味な一曲ということなのだと想像する。隠れた名曲だと思う。
1949 チャールズ・ウォルターズ アーサー・フリード ブロードウェイのバークレー夫妻Nozomi Shirakawa
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Easter Parade
一時引退からの復帰作。 その経緯については有名な話 ―― もともと主役を務める予定であったジーン・ケリーが休日中のフットボールで足を骨折。自ら直接電話をして代役を頼んだ、と。 結果的には良かった、と言えるのかもしれないが、やはりトホホな話だと思う。 それはともかく。 実際の撮影がケリー版でどこまで進んでいたかは知らないが、各ダンスシーンの振り付けに関しては早くから準備が行われていたのではないか。 その根拠はアステアっぽくない振り付けが散見されることだ。 完全にソロで踊るシーンは作り変えたのだろうが、相手がいるものに関してはそうもいかなかったのだろう。 「Snooky Ookums」のように歌のシーンを扱うのは他では見られないし、「When the Midnight Choo-Choo Leaves for Alabam」では、えもいわれぬ違和感がある……アステアの腕が長く見え、足が短く見える。 などと何か悪いところばかり記しているようだが、どのナンバーも安定感があり素晴らしい。単にマニアとして意地悪に見ると、というハナシで。(アステアにはバーリンの楽曲が一番合うと思う) 今回、わざわざDVDを焼き直した理由の一つが「自分の見たいシーンにチャプターを付ける」ということで、当然 アステアのダンスシーンを総て見られるように、な訳だが、この作品に関してはジュディ・ガーランドの「演技」にも幾つか付けた。 長くなるので箇所の説明は省くが、細かい芝居が本当に上手い。単に「自然だ」というだけではなく「キュートなおかしさ」を見事に入れ込んできていて、何度も繰り返して見たくなる。 実は少し苦手な女優だが、この映画での共演は素晴らしく見える。 追: アン・ミラーとの終盤でのデュオ「It Only Happens When I Dance With You」のダイナミックなエレガントさ、大人っぽさ、そしてアステアのズボンの丈が好きだ。
1948 チャールズ・ウォルターズ アーサー・フリード イースター・パレードNozomi Shirakawa