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Second Chorus
なかなか見ることのできなかった作品の一つだったが、事前の情報として、あのチャップリンの奥方(だった)ポーレット・ゴダートと共演しているというのが驚きだった。 最後を飾るナンバー「Poor Mr.Chisholm(Hoe Down the Bayou)」だけで見る価値のある作品だが、それよりも長年マニアが思いを馳せていたのが、アウトテイクナンバーの「Me and the Ghost Upstairs」だ。 アステアとの共同振り付けとしてクレジットされるハーミズ・パンとの共演ナンバーとされ、その内容について大いに想像力をかきたてられてきた。 これが最近 YouTubeで遂に見ることができたのだが。。。 こりゃアウトテイク(つまりは「ボツ」)にするよな、と うなづきました。ハイ。 (いつも“誰かを想定して”構成を練り、振り付けをしている二人が、いざ自分たちで踊るとなった時に何をどの程度していいかわからなくなった、という感じなのではないだろうか)
1940 ヘンリー・C・ポッター ボリス・モロス セカンド・コーラスNozomi Shirakawa
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Broadway Melody of 1940
どのダンスナンバーも素晴らしいが、やはり「Begin the Beguine」ということになろう。 わざと一度 話を逸らす。 もう一人の主役スター、エレノア・パウエルはダンサーである ―― 体の柔軟性も活かしさまざまなスタイルを取り入れることもできるが、彼女は「タップダンサーである」と言いきっていいと思う。 だから演技は稚拙だ(或るシーンで “驚いて物陰に身を隠す”という芝居など、大袈裟すぎて微笑ましくなってしまうほど)。それはそれでいい。それを補って余りあるほどのダンスシーンの美しさがあるのだから。 で、 その彼女が、この共演から41年後、アステアの「AFI生涯功労賞」受賞パーティーでの祝辞で、 「あの作品(『踊るニュウ・ヨーク』)は、二人のHOOFER(=タップダンサー)がせめぎ合って作り上げたものだった」 というようなことを語っていた。しかも、あの演技力からは想像できないような説得力ある語気で。 話を戻す。 好みの問題はあるにせよ、「Begin the Beguine」はタップダンスとして(ダンサー同士の意地とプライドを懸け)振り付けられた作品として最高峰の一つだと思う。MGMのミュージカルアンソロジー『ザッツ・エンタテインメント!』の冒頭で紹介されているのもその証拠。 他のシーン、例えば「Jukebox Dance」を踊り終えたアステアとパウエルの二人が顔を見合わせ笑いながらフレームアウトしていく様子などは、作品の役柄ではなく素のダンサー同士にしか見えなくて嬉しくなってしまう。 また「Don't Monkey with Broadway」では、アステアには非常に珍しい男性ダンサーとのデュオが見られる。
1940 ノーマン・タウログ ジャック・カミングス 踊るニュウ・ヨークNozomi Shirakawa