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Top Hat
ストーリーがつまらない とか、キャストや服装が同じでどの作品かわからなくなる とか、そんなごもっともなご批判など どうでもよくなる。 『コンチネンタル』での感触を、I・バーリンによる書き下ろしの音楽と共に磨き上げた名作。 個人的にC・ポーターよりも、G・ガーシュインよりもバーリンが好きだが、なかでも「No Strings」はベストの一つ。 この作品以降、アステア映画でのダンスナンバーには隙が無くなったと感じる。どれも納得がいくまで作りこみ、満足するまで撮影したのだろう。 冒頭の「紳士クラブ」や、終盤のスイートルームの上の階で、一見めちゃくちゃなステップを踏んでいるようなタップも、何度も何度もリハーサルしたに違いない、絶対。 「The Piccolino」のデュオは、踊りこなすのがかなり難しいと思う。
1935 マーク・サンドリッチ パンドロ・S・バーマン トップ・ハットNozomi Shirakawa
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Roberta
フレッド・アステアを知り、レンタルビデオ店をいくつもいくつもまわっては未見のものが一つでもあれば会員登録をし、借りてきてはダビングし……という活動をしていた高校生時代に幻の一本だった作品。 タイトル前に「ピピピのモールス信号」(RKO)と「ガオー! のライオン」(MGM)が両方流れるあたりに、なかなかソフト化できなかった理由がありそうだが、わざわざ調べる気にはならないので省略。 「Let's Begin」、「I'll Be Hard to Handle」など格段に楽しいナンバーが収められている。 特に後者はアステアとジンジャーが実際にシューズを履いてタップを踊る唯一のシーン。 確実に踏んでいる緊張感と、同時録音だと思われる息づかいや笑い声が嬉しい。 「I Won't Dance」でのソロはまさに“アステア one and only”! タップでもダンスでもない独自のジャンルだと思う。 作品ごとに確実にダンスの技術と勘を上達させてきたジンジャー・ロジャースが「Smoke Gets in Your Eyes」ではイマイチ。厚めのゴージャスさが合わなかったか?(普段はアステアしか見てないが、そんな理由でジンジャーに目がいってしまう) が、その直後の「I Won't Dance」の短いデュオではドレスをたくし上げやんちゃに踊る姿がすこぶるカワイイ。
1935 ウィリアム・A・サイター パンドロ・S・バーマン ロバータNozomi Shirakawa