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マルタ 5ユーロ銀貨「マルタミツバチ」
2024年にマルタで発行された複合銀貨です。同国で1972年に発行された3ミル貨幣をモデルとし、伝統を活かしつつモダン化して発行されました。元になった3ミル貨幣はマルタミツバチを讃え、花形にマルタミツバチの姿を採用したデザインです。 マルタではフェニキア人の時代より養蜂が始まったとされており、二千年以上前のものと考えられている養蜂場跡も残っています。同国にはマルタミツバチというミツバチの固有亜種がおり、養蜂を支えてきました。現在マルタミツバチは希少な存在となってしまいましたが、養蜂がマルタの産業において重要な位置を占めている事実に変わりはありません。この銀貨は、マルタミツバチが果たしてきた役割を示すだけでなく、希少生物を保護すること及び生物多様性の重要性をも強調しています。 マルタミツバチ銀貨は1オンスと2オンスの2種類が発行されました。写真は1オンスの方です。いずれもルテニウムと金でメッキが施されています。ルテニウムメッキは黒色を呈し、金メッキと合わせてミツバチの体色を表現しています。マルタ中央銀行とゲルマニア・ミント社(ポーランド)とのコラボレーションにより発行され、メルマガからの予約販売により販売されました。発行枚数が少なく、通常販売はされませんでした。銀貨は木箱にカプセル入りで収められ、その木箱にはシリアル入り特製スリーブが付いています。
プルーフ 銀・金・ルテニウム マルタHokutosei
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アメリカ 1ドル銀貨(1885年O)
1878年より中断期間を挟み1921年まで製造された、アメリカの1ドル銀貨です。デザインを担当した George Thomas Morgan にちなんで、モルガンダラーと呼ばれています。デザインにアメリカを象徴するリバティ像、矢とオリーブを掴む鷲が大きく取り上げられ、アメリカ史上最も優れたデザインの貨幣の1つとして、今なお人気を博しています。1921年の製造終了から100周年を迎えた2021年には、このモルガンダラーの復刻が発行されました。 品位は銀900、銅100となっています。 モルガンダラーに刻印されるミントマークと造幣所の関係 なし: フィラデルフィア CC: カーソンシティ D: デンバー O: ニューオリンズ S: サンフランシスコ
銀・銅 アメリカ 不明Hokutosei
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英国 1ソブリン銀貨 2025年銘
英国で2024年に発行されたこのソブリン貨は、英国王立造幣局1100年の歴史で初めてのソブリン銀貨として発行されました。 ソブリン貨は、1489年に国王ヘンリー7世のもとで初めて金貨として発行されました。当時としては珍しく君主正面座像が描かれており、それがソブリンの名称の由来になったといわれています。17世紀まで発行された後に中断を挟み、1816年に金本位制の貨幣として復活することになりました。復活以降はベネデット・ピストゥルッチによる傑作「セントジョージの竜退治」デザインを採用し、それが今日まで続いています。復活以降のソブリン金貨は、1ソブリンが直径22mm、重量7.98805g、金品位91.67%の仕様となっています。額面の表示はなく、その諸元をもって1ソブリンとして通用します。 ソブリン銀貨の主要諸元は、ソブリン金貨と同一仕様とされました。発行枚数上限50,010枚(ケース入上限50,000枚)の通常プルーフ仕様のほか、年銘の左にプリヴィマーク( Jean Baptiste Merlen によるロイヤルアームズ200周年を記念したもの)が入ったプレミアムプルーフ仕様(発行枚数上限15,010枚)もあります。写真は通常プルーフ仕様です。
プルーフ 銀 英国Hokutosei
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ドイツ 5ユーロ「昆虫の不思議な世界・ヨーロッパミヤマクワガタ」
ドイツで発行された収集家向けの5ユーロ貨幣で、2021年発行分で完結した「地球の気候帯シリーズ」に代わる新シリーズ「昆虫の不思議な世界シリーズ」の第八貨です。2022年から2024年にかけて9種の貨幣が発行され、カラーコインとして発行されます。我々の自然環境を構成する昆虫の世界がテーマで、2023年の第二貨から特定の昆虫にスポットを当てています。第八貨のテーマには、「ヨーロッパミヤマクワガタ」が選ばれました。 ヨーロッパミヤマクワガタはその和名通り欧州全域に生息するクワガタの仲間で、幼虫はコナラの木の朽木を、成虫はコナラの樹液を摂食します。横幅が広く、域内外で人気の甲虫です。森林でみられることから、近年では環境や生物多様性の指標としても注目されています。コインのデザインにも、幼虫からの生息環境であるコナラの木が採り入れられました。 この貨幣は1箇所の造幣局(ミュンヘン造幣局)でのみ発行されたため、ミントマークは D しか存在しません。
銅・ニッケル ドイツ 非公表Hokutosei
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旭日竜大型50銭銀貨 明治4年銘 後期
明治初期の新貨条例のもと、本位貨幣の金貨に対する補助通貨として発行された銀貨の一派です。旭日竜の通用名を印象づける竜と日章の図柄は日本貨幣の中でも屈指の出来で、今なお根強い人気を誇っています。 この50銭銀貨は当初より国内通用を狙って製造された銀貨で、(貿易1圓銀貨を除き)最高額面だけあり31mm超の大径となっています。 旭日竜大型50銭は明治3(1870)年銘と明治4(1871)年銘とがあり、明治4年銘には更に「大日本」の本字縦画末尾が跳ねる前期(跳本)と止め画になる後期(止本)とがあります。写真は明治4年銘後期です。下記発行枚数は旭日竜大型50銭全年銘が含まれます。
銀800/銅200 1,806,293枚 31.51mmHokutosei
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ネパール 500ルピー銀貨「仏陀」第一シリーズ
ネパールでビクラム暦2052(西暦1995)年に発行されました。同国に仏陀生誕の地があるとされることから、仏陀をモチーフにした貨幣が数次にわたって発行されました。この貨幣はその記念すべき第一シリーズ(全5次中)にあたり、2,500ルピー銀貨とともに発行されました。2,500ルピー銀貨は量目5オンス、500ルピー銀貨は1オンスで、共通デザインで発行されています。いずれも素材はスターリングシルバー(銀品位 925 / 1,000)製ですが、詳しい組成は不明です。 デザインは、仏像の背景に、ネパール最古の仏教寺院とされるスワヤンブナートにあるマハ・チャイテャ(ドーム形の建物)を配したものとなっています。スワヤンブナートは世界遺産にもなっており、マハ・チャイテャからそびえ立つ黄金の仏塔とブッダ・アイ(知恵の目)が特徴です。仏陀によりスポットライトを当てたアサルフィ金貨とは対照的に、銀貨は仏陀と仏教の歴史・文化をも反映させたデザインが特徴です。
プルーフ 不明 ネパールHokutosei
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ドイツ 10ユーロ「社会奉仕シリーズ・警察」(G)
2022年より #ドイツ で始まった収集家向け #10ユーロ ポリマーリング付き白銅貨シリーズの第三貨です。2024年のポリマーリングの色はコバルトブルーとなっています。 このコインは、社会生活の維持に不可欠な人々のグループに焦点を当てた「社会奉仕シリーズ」の1つです。ポリマーリングの中心にテーマとなる人々の役割を配置することで、社会生活を支える人々に焦点を当てることを表現しています。2024年の第三貨のテーマは、警察官に焦点を当てた「警察」となりました。単なる職業人としての警察官だけでなく、農村や都市部の表現を通じて、警察官の果たす役割の広範を表現しています。ポリマーリングの内側(中心)には、様々な場面において行われる警察活動中の警察官が刻まれています。 ドイツの貨幣に刻印されるミントマークと造幣所の関係 A: ベルリン D: ミュンヘン F: シュトゥットガルト G: カールスルーエ J: ハンブルク
銅・ニッケル・液晶ポリマー ドイツ 不明Hokutosei
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新1円銀貨(小型)明治28年銘 丸銀打
明治初期の新貨条例のもとで対外決済用の貨幣(貿易銀)として製造された銀貨で、円銀と呼ばれています。国際的な信用を得ていたメキシコ銀よりやや銀量目が劣り、主に現在の中国や台湾で盛んに流通しました。加納夏雄の案による優れた出来の竜図などから収集家に人気の貨幣です。 金本位制が後退する明治11年から暫くは国内でも通用しましたが、金本位制の復活とともに明治30年に国内での通用が停止しました。その後、政府は盛んに流通していた台湾や朝鮮など外地でのみ1円銀貨の通用を認めることにしました。この内地での通用停止後に打たれた極印が、円形の中に「銀」を配した、いわゆる丸銀(丸銀打)です。しかし、この丸銀の有無で流通の可否について市場の混乱を招いたため、丸銀打は発効翌年には終了してしまいます。すぐに終了してしまったため、丸銀打は数が少ないとされています。その中でもさらに、貨幣の右側に丸銀が打たれたものは少ないです。 下記の発行枚数は丸銀打でない分も含みます。
丸銀打 銀900/銅100 21,098,754枚Hokutosei
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未発行1銭陶貨
昭和20(1945)年の終戦前に製造された、1銭硬貨です。日中戦争の開戦以後、臨時通貨法に基づき軍需資材となる金属の貨幣は回収され、代用の貨幣としてアルミ貨や錫貨が製造されていました。しかし、戦局の悪化に伴いアルミが、次第に錫すらも不足してきたため、昭和19(1944)年10月に「陶貨製造準備会」が設立され、陶貨の製造が計画されました。 第一次世界大戦後にドイツで発行されたノートゲルト(地方貨)の陶貨をモデルとし、造幣局で製造できなかったために有田、京都、瀬戸の各民間事業者にて7億枚(1銭陶貨)製造することが計画されました。昭和20年7月には量産に成功するものの、実際には10銭陶貨、5銭陶貨とともに1,500万枚しか製造できず、発行するには充分な量とはいえませんでした。そのまま終戦を迎えたため、ついに陶貨は発行されず破砕処分されることとなります。廃棄のため管理されていたにもかかわらず一部が流出し、その流出した陶貨が現在でも残っています。1銭陶貨は、現存する日本の試鋳貨・未発行貨のなかでは最も枚数が多いです。 素材としては、三間坂粘土60%、泉山石15%、赤目粘土15%、その他10%で製造されています。1銭陶貨は小さすぎる等の理由で年銘を刻むことができず、日本の貨幣では珍しく年銘のない貨幣となっています。製造上、また材質上の理由から、デザインや色にばらつきがあるようです。
粘土・和山石 不明 15mmHokutosei
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サンマリノ 5ユーロ白銅貨「サンマリノ社会保障研究所」
コロナ禍に直面したサンマリノで、2020年9月17日に発行されました。 サンマリノ社会保障研究所は、1876年発足のサンマリノ共和国相互扶助組合協会に端を発し、1955年12月22日に協会が改組されて発足しました。サンマリノの保険制度を担い、市民に向けて医療情報を提供する任務も担っています。コロナ禍においては、ワクチンに関する情報も発信し続け、サンマリノの市民にとってますます重要な機関となっています。 コインのデザインは、高齢患者のケアをする看護師を通じて、新型コロナウイルス感染症の流行による健康上の緊急事態に対抗するサンマリノ共和国の各機関の取り組みを表現しています。このコインは特にサンマリノ社会保障研究所を讃えており、貨幣の販売益はサンマリノ社会保障研究所に寄付されます。背景には、グアイータの塔が採用されました。
銅・ニッケル サンマリノ 20,000枚Hokutosei
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サンマリノ 10ユーロ銀貨「東京五輪射撃でのメダル獲得」
東京オリンピックでの初のメダル獲得という快挙が達成されたことを受け、2021年12月3日にサンマリノで発行されました。クレー射撃女子トラップのアレッサンドラ・ペリリ選手、クレー射撃混合でペリリ選手と組んで銀メダルを獲得したジャンマルコ・ベルティ選手の偉業を讃えるものです。 サンマリノの選手は、1960年のローマ大会よりオリンピックに出場しています。ペリリ選手も、2012年のロンドン大会、2016年のリオデジャネイロ大会に出場しましたが、いずれもメダルを逃しています。三度目の出場となった東京大会では、優勝、準優勝の選手とは引き離されてしまいましたが見事銅メダルを獲得し、サンマリノ史上初のオリンピックメダルをもたらしました。続くクレー射撃混合では、ペリリ選手とベルティ選手とが組み、あと1点のところで金メダルを逃してしまったものの、銀メダルを獲得しました。 銀貨のデザインは、クレー射撃で活躍した両選手の姿をモデルとしています。女子選手の方には、ペリリ選手の銅メダルの偉業を讃え、散弾銃に銅色の着色(メッキではない)が施されています。スターリングシルバー(.925)製で、詳しい組成は不明です。
不明 サンマリノ 4,000枚Hokutosei
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クロアチア 2ユーロ「ユーロ圏」プルーフ
クロアチアのユーロ圏入りを記念して、2023年9月15日に同国で発行されました。ユーロ貨幣を発行する国は年に2回まで、一定の枠内で片面のデザインを変更した2ユーロ貨幣を発行することができますが、この貨幣はクロアチアが発行した記念すべき最初の特別デザイン版2ユーロとなりました。 2023年1月1日にクロアチアでユーロの一般通用が開始され、同国はEU加盟国で20番目のユーロ導入国となりました。これら20か国はユーロ圏と呼ばれています。 デザインは、ユーロのマーク(€)にシャホヴニツァ(国章の市松模様)を組み合わせたものとなっています。その中には、ČLANICA EUROPODRUČJA(英: Member of the euro area)と記念事由が刻まれています。エッジには、クロアチアの通常2ユーロ貨と同様に同国出身の作家イワン・グンドゥリッチが1628年に発表した牧歌「Dubravka」の一節「O LIJEPA O DRAGA O SLATKA SLOBODO」が刻まれています。 この貨幣はプルーフ版にあたり、鏡面仕上げとツヤ消し仕上げを組み合わせた美麗な外観が特徴です。発行枚数は5,000枚と少なく、造幣局HPではすぐに完売しました。
プルーフ 銅・亜鉛・ニッケル クロアチアHokutosei
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アンドラ 2ユーロ「夏至の火祭り」
アンドラの伝統的な夏至の火祭りを取り上げた2ユーロ貨幣です。2023年12月に発行されました。 夏至の火祭りは、ピレネー山脈で、太陽が天頂にある日の夜、つまり夏至の日の夜に行われます。そこでは、松明(ファラ)に火を点け、伝統的なマントを羽織った火振者(ファレール)が松明を振り回すことで、火の輪を形づくります。2015年には、「ピレネー山脈の夏至の火祭り」としてユネスコ世界遺産(無形文化遺産)に登録されました。 コインのデザインは、夏至の太陽を背景に、ファラを振り回すファレールの姿となっています。
銅・亜鉛・ニッケル アンドラ 70,000枚Hokutosei
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アンドラ 2ユーロ「アンドラの国連加盟30周年」
アンドラが国連に加盟してから30周年を迎えるにあたり、2023年に同国で発行されました。 デザインは、30の数字中0を地球に見立てたものとなっており、その周りをオリーブのリースが囲んでいます。また、2023年を表す ANYS 2023 も、中央を境に凹凸が入れ替わるようになっています。 このコインはコインカード形態で発行され、70,000枚発行されました。
銅・亜鉛・ニッケル アンドラ 70,000枚Hokutosei
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セントヘレナ 1ポンド銀貨「不朽の名作コレクション2022・ゴシック クラウン」
セントヘレナが発行した、貨幣史で名高いコインを称えるコレクションのうちの1枚です。2022年に発行された写真のコインは、英国で1847年に発行されたいわゆる「ゴシック・クラウン」銀貨をモチーフとしています。 オリジナルのゴシック・クラウンのデザインは、英国王立造幣局長ウィリアム・ワイオンによるものです。時の女王ヴィクトリア即位10年を記念して発行されました。このクラウン銀貨にゴシック体(ブラック・レター)が用いられていたため、後に「ゴシック・クラウン」と呼ばれるようになります。十字形に配されたイングランド、スコットランド、アイルランドの各象徴と、それを囲むブラック・レターが印象的な銀貨です。ゴシック・クラウンは、彼が手がけた「スリーグレイセス」「ウナとライオン」に並び、世界で最も美しいデザインの銀貨の1つに数えられています。ゴシック・クラウンはその人気から、本場の英国でも復刻版が発行されました。 写真の銀貨は、セントヘレナでマスター・ピース(不朽の名作)コレクションとして発行されたものです。片面はオリジナルのデザインを再現していますが、年銘のブラック・レターを anno dom mmxxii(2022年銘)として発行年に合わせています。肖像面はオリジナルのゴシック・クラウンのヴィクトリア女王ではなく、時の女王エリザベス二世となっています。
プルーフ 銀 セントヘレナHokutosei