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Neonbabies “1983”
また、Neonbabiesですが、今回は、サード・アルバムにして、最後のアルバムとなった”1983”を紹介します。前回、書きましたように、ギターがToni Kambizに代わっていますが、1曲だけ、前任のNikolaus Polakがシタールで参加しています。それで、メンバーは、Inga Humpe (Vo, Kbd), Reinhard Meermann (Vo, Sax), Kambiz (Vo, G), Conny Cool (Vo, B), Toni Nissl (Drs, Perc)で、ゲストとしてNikolaus Polak (Sitar [A3])も参加しています。また因みに、プロデュースはGareth Jonesが担当しています。内容的には、A面5曲/B面4曲が収録されています。それでは、各曲をご紹介していきましよう。 ★A1 “Blondinen” (4:17)では、ピアノとDrsの怪しい雰囲気で始まり、サビでは跳ねるようなリズムで盛り上がります。まるでサスペンス映画のサントラ風の曲です。 ★A2 “Junge Männer” (4:17)は、上下するBラインとIngaの堂々とした歌声がよく通る曲で、Gとかオルガンのかの細かいアレンジが良くイキています。最後の間奏でのフリーキーなSaxとかもいい感じです。 ★A3 “Horizont Ohne Ende” (5:15)は、ミドルテンポの曲ですが、所々にシタールが入ってきてオリエンタルな雰囲気ですが、サビではIngaのメインVoとコーラスワークの絡みも効果的です。 ★A4 “Matrosen” (4:37)は、ゆったりしたポップソングで、Voは男性、朗々と歌っています。コーラスも男性で、中々良い味を出しています。途中、Drsが少し暴れて盛り上げます。後半のストリングスは良いですね。 ★A5 “Regina” (4:41)も、男性Voのポップソングで、割とDrsが活躍していますが、バックにはKbdやSaxも聴取できます。 ★B1 “Hallo Fremder” (3:36)は、多重録音されたIngaのVoで始まるミドルテンポのポップソングで、Bサビでの男性コーラスも活かしています。エレピの音もグー! ★B2 “Engel” (3:58)は、Saxで始まる元気な曲で、Gのリフもカッコ良いです。VoはIngaですね。本アルバムでは珍しくSaxとストリングスがよく効いてますね。 ★B3 “Herzversagen” (4:54)は、またもや男性Voがメインのスパイ映画調の曲で、チョコっと入ってくるSaxが、また良い塩梅です。サビのKbdも雰囲気バッチリです。 ★B4 “Fata Morgana” (5:59)は、やや重めのスローなDrsをバックに、呟くようで力強く歌うIngaとGの音が良くマッチした曲で、サビでIngaが歌い上げるのは良いですね。盛り上がったまま、フェイドアウトしていきます。 Gareth Jonesのプロデュースのせいなのか、歌とDrsに音の焦点が当てられており、GやB、Saxは余り前面に出てきていません。個人的には、割と好きなミックスなので、セカンドの”Harmlos”よりポップで、気に入りました。でも、恐らく、バンド内部は何らかの問題を抱いていたと想像されるので、諸手を挙げて喜べませんが、本作品は彼等のポップネスを感じるのに良いアルバムだと思いますよ!もし入手できたら、聴いてみて下さい! *アルバム単位ではYouTubeに上がっていませんでしたので、アップされていた曲だけ貼っておきます。 A1 “Blondinen” (4:17) https://youtu.be/_eoLRQNQcTc?si=JoagGj4703cDerAZ A3 “Horizont Ohne Ende” (5:15) https://youtu.be/J7qsAlKLb0g?si=Bdte2MDG9WE8dw8P B1 “Hallo Fremder” (3:36) https://youtu.be/SD0lOzpTVp8?si=sutpm48dyUG1CBdj B2 “Engel” (3:58) https://youtu.be/yMX82sVsoh8?si=wTBGYPKGAlkK06K0 B3 “Herzversagen” (4:54) https://youtu.be/Ex3C8GZRRF8?si=jpyoSSw0imh6JT1S B4 “Fata Morgana” (5:59) https://youtu.be/8qxtELvBhc4?si=2aDQqz2416AAglcg #Neonbabies #1983 #Ariola #ThirdAlbum #FinalAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopRock #Sax #Keyboards #IngaHumpe #ReinhardMeermann #ToniKambiz #ConnyCool #ToniNissl #Guest #NikolausPolak #Produce #GarethJones
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Rock Ariola €12.00Dr K2
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Hajime Tachibana (立花ハジメ) “Hm”
Plasticsで、有名になった立花ハジメのセカンド・ソロアルバムが、この”Hm (エイチ・マイナー)”ですね。Plastics時代はギタリストとして活動していましたが、ソロでは、専らSaxを中心に自作楽器Alpsや自動打楽器なんかを演奏するようになっています。彼のバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品では、Hajime Tachibana (Sax)を始め、他にHiroyasu Yaguchi (Sax), Robin Thompson (Sax, Clarinet), Mitsuru Sawamura (Reeds, Sax), Tatsuo Kondo (Piano, Kbd), Donbay Nagata (B), Saeko Suzuki (Drs, Piano)がゲスト参加しています。本作品では、曲にコンセプトらしき文言が付随している場合があり、それをちょっと記載しておきます。「A2では、細分化されたPIANO PILLOWSのイメージが元に戻る一瞬前 とA4-A5では、自分の一生の映っているビデオテーブを手に入れた主人公。誕生、少年時代に見入る興奮とスリル。ふと60才の自分が見たくなり、早送りしたものの画面に何も映っていないショック! 50才、40才と戻す。まだ何も映らない。次の瞬間にも自分もしくは世の中全体がなくなってしまうのではないかという不安にかられながらタイマーを現在に戻し恐る恐る再生スイッチに手をのばす⋯。こ、こ、これは⋯⋯!!!」と付加されています。更に、B3では、副題に「月を背にして自分の影を見ながらサバクを歩く突起物 」と付いており、B4では、再創造される幼年期と加最度のついた日常生活とか、B5では、A documentary program showcasing facets of Japanese life as-is that ran from 1957 to 1964と付記されています。単なるお遊びなのかもしれませんが、当時の立花ハジメにとっては、彼の音楽を理解する為のヒントだったのかもしれませんね。と言う訳で、本作品(両面5曲ずつ収録)の各曲をご紹介していきたいと思います。 ★A1 “Theme From ‘Hm’ /「Hm」のテーマ” (3:09)は、仰々しいティンパニのマーチングリズムで始まり、前作の点描的音ではなく、それぞれの楽器が重々しいメロディを奏で、かなり「音楽的」になっています。 ★A2 “Piano Pillows Going Abstract / 細分化されたPIANO PILLOWS” (3:05)は、6拍子を刻む管楽器が上下するミニマルな曲で、ドラムレスで心地良いです。この曲の終わりは! ★A3 “Liquid / リキッド(清楚な熱帯夜)” (6:28)では、ドタドタしたDrsと柔らかいKbdのミニマルな演奏を基礎に、劇的な管楽器が多層化してメロディを奏でています。特に一定のメロディは無いようですが、非常に心地良いです。 ★A4 “This Is ...... !!! (Death Video)” (4:07)は、柔らかい管楽器のアンサンブルなのですが、中盤からやや不穏な雰囲気になってきますが、クラリネットがメインだからでしようか?悲しげな室内楽です。 ★A5 “Theme From ‘Sex Symbol Strikes Back’ / セックスシンボルの逆襲のテーマ“ (1:30)では、飛び跳ねるような管楽器のリズミックな演奏とそれに乗るSaxがメロディを奏で、フェイドアウトしていきます。 ★B1 “Sex Symbol Strikes Back / セックスシンボルの逆襲” (3:57)では、機械のように正確なティンパニとピアノのリズムとホーンによるミニマルなリフの反復に、Sax類がメロディを奏でていますが、肉感的なイメージは全く無いです。 ★B2 “Arrangement” (4:22)は、本作品では珍しく、DrsとBのロックリズムに、Sax類がメロディを奏でており、途中にピアノのコロコロしたソロ演奏を挟んで、再びロック・アンサンブルへ。 ★B3 “Yoru No Tokkibutsu / 夜の突起物” (3:35)では、足踏みオルガンの朴訥な演奏とSaxのほんわかした合奏ですが、音数が少ないので、落ち着きますね。 ★B4 “Ab1013” (4:57)は、Drsとピアノのダイナミックな演奏とSax類のせめぎ合うような曲ですが、シンプルなコード進行ですね。しかし、収録されている音自体はダイナミックです!転調してからがカッコ良いです。 ★B5 “Theme From ‘Nihon No Sugao’” / 「日本の素顔」のテーマ(2:34)も、Saxとピアノの素朴な合奏で、子供向けTV番組のエンディングみたいです。 今回は、極めて音楽的な作品になっており、言い換えれば、Saxとかを「普通」に演奏していますが、どうもPlasticsのイメージがあるからか、真っ白な無菌室のような音楽と感じてしまいます。もっと人間臭い音楽になるのかな?とも思っていたのですが、前述のような無機的で衛生的な音楽になっているところが面白い、と言うか凄いですね。B面には、立花ハジメ以外の方が書き下ろした曲やカバー曲も含まれていますが、聴いた感じには全く違和感はないですね。これも、彼の才能なのでしょう。あと、ミニマルな曲が多いのも、時代的には特徴かもしれません。Sax等によるインスト曲に興味がある方にはお勧めします!いい意味で、ファースト・アルバムの内容を裏切ってくれました❗️なお、プロデュースは高橋幸宏です。 A1 “Theme From ‘Hm’” (3:09) https://youtu.be/KH_dMTL3LV0?si=VdoQwAUnOFlK20rP A2 “Piano Pillows Going Abstract” (3:05) https://youtu.be/trMeUn5xcco?si=dv0eE_ocy5c53Jr8 A3 “Liquid” (6:28) https://youtu.be/L5YXSolGC2Y?si=we3MuUUmdNgKNTGH B1 “Sex Symbol Strikes Back” (3:57) [Garage Band version] https://youtu.be/YpyxO4Oz2Eo?si=wKiCrYwXhZb4yB4E B2 “Arrangement” (4:22) https://youtu.be/AymYA8kJBa0?si=sFjdJJvlqnv9Hqto B2 “Arrangement (Cover)” (4:22) https://youtu.be/KH8VB4o58ws?si=KwKUUB7NFBHT-qFL B5 “Theme From ‘Nihon No Sugao’” (2:34) https://youtu.be/k3kkNFriP6E?si=IVf5LlAs11PWhOoQ #HajimeTachibana #Hm #YenRecords #SecondAlbum #SoloAlbum #ExperimentalPop #Contemporary #Sax #HiroyasuYaguchi #RobinThompson #MitsuruSawamura #TatsuoKondo #DonbayNagata #SaekoSuzuki
Experimental Pop / Contemporary Yen Records (Alpha Records) 不明Dr K2
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Merzbow “Material Action 2: N.A.M”
新年早々、やっぱりこれが原点です、Merzbowのファースト・アルバム”Material Action 2: N.A.M”❗️リリース前の情報では、本作の前に録音した作品がFred Frithのライナー付きで、ファースト・アルバムとしてリリースとのことでしたが、それは叶わず、本作品がMerzbowのファーストになりました。元々、Merzbowは多作で、本作以前から多数のカセット・アルバムをリリースしてはいますが、レコードとしては本作がファーストに相当します。この時期のMerzbowは秋田昌美さんと水谷聖さんのデュオでしたが、基本的には秋田さんのソロに近い形で録音などの行っていたみたいです。前回もバイオグラフィーは少し書きましたので、そちらをご参照ください。結成は1979年、1980年に自身のレーベル”Lowest Music & Artsより、”Fuckexercise”カセットをリリースしたのが、一番最初で、翌年より”Collection”シリーズや多数のカセット音源をリリース。この音源の一部を池袋のアール・アイヴァンで購入し、聴いた時に、私は震えました。何となく、それまでのノイズ・ミュージックに関係した海外のアーティストやグループで(T.G.やWhitehorse またはM.B.など)はシンセなどの電子楽器を使っていることが多かったのですが、Merzbowの提示した「ノイズ・ミュージック」は、ヴァイオリンなどの生楽器や既存の音のテープ操作/加工とを組み合わせたもので,しかも曲名の代わりに使用楽器名を付記しただけと言う潔さがありましたから。その後は、自身のレーベル名をZSF Produktと変え、湧き出る泉の如く、カセット作品をリリースし、またMerzbow Null名義でのコラボ・ライブ(ライブでは秋田さんはドラムを担当、水谷さんはオルガンを担当しています)を積極的に行い、またそれもカセット・アルバムとしてリリースしていきます。そして、後々、ノイズミュージックの老舗となるRRRよりダブルアルバムの体裁で1986年にリリースされた”Batztoutai with Memorial Gadgets”で、世界的にブレイクします。それからは皆さんが知っているJapanoise(私自身はこの言葉は余り好きではありません)の始祖的存在となりますので、詳しくは書きませんが、機材の変遷に伴い、cheap electronicsを用いたアナログだったり、Laptopを用いたり、デシ・アナ混合だったりして、膨大な作品を出し続けています。それに伴い、Merzbowは秋田さんのソロプロジェクトとなってきました。 それで,本作品は,今から考えると、ヘルマン・ニッチェ達、ウイーン・アクショニズム派の作品に関係して作られたのかなと想像します。内容は片面づつ各1曲づつ長尺の曲が収められており、それぞれの曲の頭文字を取ると、本作の副題”N.A.M”となります。最初聴いた時に、A面のキリキリしたアコースティックな音とビートを刻まないパーカッシブな音にオルガン・ドローンやヴァイオリンの音が絡む曲にビックリしましたが、今回、聴き直してみると、寧ろB面の方が既にcheap electronicsを用いたハーシュなノイズの萌芽が聴き取れて、新たな発見となりました。やっぱり時間が経って、聴き直すことも重要だなと感じました。ノイズ好きの皆さんも、「轟音ノイズ王」と称される以前のMerzbowに触れてみては如何でしょうか? なお、秋田さんは、現在では、Merzbowをvigan streight edge noise projectと呼んでいます。 https://youtu.be/Emp09lZTUjw #Merzbow #MaterialAction2” #NoiseMusic #FirstAlbum #Chaos #ElectroAcoustic
Noise Chaos 2500円相当Dr K2