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Bomis Prendin “Clear Memory”
またまた、謎物件です。Bomis Prendinとは?グループ名であり、個人名でもあります。まぁ、どちらにしても、米国Washington D.C.で活動しているのには変わりませんが、、、。良く分からないので、ちょっと調べてみました。結成は1978年11月で、Washington D.C.に住んでいた実験音楽好きのノイジシャン、またはDIY、インダストリアル、カセット・カルチャー或いは実験的電子音楽シーンのパイオニアの集合体が、Bomis Prendinなのです(メンバーには、同名のメンバーがおり、ソロでも活動しています)。その時に集まったメンバーと言うのが、CandeeeことBill Altice, Bomis Prendin, Miles Anderson, Norbert Heubusch, Corvus Crorson或いはSteve WallことStephen E. Wall, William Burke で、後に、William Burkeは、レーベルARTIFACTS/ycleptを立ち上げ、運営しており、また、Candeeeは、2019年に他界しています。それで、彼等は、先ず最初に、1979年と1980年にソノシートをそれぞれ1枚ずつリリースし、1980年には、仏Bain Total / Scopaによる国際 コンピ・アルバム”International CompilationI Part 2”にも参加しており、その後も、1984年と1986年にも2枚以上のコンピに参加しています。2001年になると、活動15年で初のCDRをリリースし、その後もCDR作品をリリースし、更に1980年代に録音していた音源をデジタル配信も始めています。そうして、2020年になって、漸く、1984年作のカセット作品”Clear Memory”をCDとLPで再発しており、これが今回ご紹介する作品となります。彼等は、1970年代後半から、サーキットベンディングしたおもちゃの楽器やG, B, アナログ・エフェクター、安物のKbdそれに、接続し直した回路などでの演奏を、カセット・レコーダーで録音しており、特に、最初のミニ・アルバム的な9㌅ソノシート”Test”と ”Phantom Limb”2枚は、あのNurse With WoundのNurseリストにも加えられています。まぁ、当時としては、それだけ実験的な「ロック」らしき音楽をやっていたのでしよう。そして、彼等が当時、興味を持っていたグループは、The Residents, Chrome, Cabaret Voltaire, Throbbing Gristle, Faust, Cluster, Olivia Tremor Control等だそうです。しかしながら、近年は、活動をしているかどうかは不明でしたが、2011年までは、リリースは確認できました。 以上が、Bomis Prendinの略歴となります。それで、彼等は最初に再発をした音源になりますが、1984年と時点では、カセットとして50部だけしか販売されておらず、その宣伝効果は余り無かったのではないでしょうか?そして、彼等に言わせると、この作品には、DIYで作られた異形のサイケ・ポップや手作り電子音楽が当時のまま封印されている」とのことです。 それで、本作品ちょっとややこしいのですが、Bomis Prendinのメンバーは、Bomis Prendin (Kbd, Perc, Vo, 落書き, 録音), Corvus Crorson (Noises), Miles Anderson (G, Vo, 反作曲), Hungry "Isaac" Hidden (B, Vo), Candeee (空電/雰囲気)で、以前はBill Alticも在籍していました。なお、B7は、ヴァージニア州のBenny’s Richmondでのライブ音源です。内容は、A面8曲/b面7曲が収録されています。それでは、本作品の各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “First Light” (2:54)は、簡素なリズムボックスとカシオとSynth-B及び鳥の囀りから成る朴訥としたポップソングで、インスト曲です。 ★A2 “French Passport” (1:56)は、何ともぐにゃぐにゃなKbdとペケペケのGとSynth-Bからなるインストの小曲です。 ★A3 “Respect The Road” (3:05)では、ややマシなリズムボックスにカシオの伴奏とシンセやGが絡み、やっとVoが出てきます。Gのアーム奏法も時代を感じさせます。 ★A4 “Street Without Lunch” (2:51)では、またチープなリズムボックスとジャジーなオルガンに、歪んだGを弾きまくってます。宅録ジャズ? ★A5 “Why Blondes Eat” (0:16)は、オルガンとかの楽器音の断片のみで、そのままA6に移行します。 ★A6 “I Don't Want” (3:45)では 逆回転したリズムボックスに合わせてのオルガンやGの伴奏に、ちゃんとした歌詞のVoが加わります。 ★A7 “Hell's Little Ransom” (4:51)は、ビックリするような重いSynth-Bとカシオの壁に、SE的シンセなんかが踊っているインスト曲で、重厚な出来です。 ★A8 “Forced Delight / Debris Factory” (2:04)は、最初、簡素なリズムボックスとのんびりしたカシオとGの合奏ですが、突然、激しく歪んだGとBと快活なシンセ音から成る2部構成のインスト曲です。 ★B1 “Jumpstart” (1:20)では、轟音な音塊の中から、リズムボックスやウニョウニョの電子パルス音やGが立ち現れます。 ★B2 “Robop” (3:26)は、単調なリズムボックスに、ジャジーなBと如何にもなGによる「即興ジャズもどき」な曲で、LFOを掛けたカシオも入っています。 ★B3 “Keep The Letters” (4:22)は、チープなリズムボックスに合ったBとGとカシオの伴奏に、途中から入るGやカシオがメロディを取るような構成のインスト曲で、何とも明るいLo-Fiポップですね。 ★B4 “Busy” (0:46)は、シグナル音とリズムボックス音と電子音の混合物から成る小曲です。 ★B5 “I Walk The Lawn” (2:26)では、カリプソ風のノリの良いリズムボックスに、カッコ良いGを弾きまくっていますが、時にKbdにメインが代わったりもするインスト曲です。 ★B6 “The Big Horizon” (3:04)は、キュートな電子音とそれに同期するオルガンらしきKbdから成るシーケンスに、更に重厚なオルガン音が被ってくる曲です。 ★B7 “Integers” (2:53)は、ライブ音源で、ドラムボックスとGのファンキーなカッティングを背景に、自在にカシオを弾きまくったり、また逆にカシオを背景にファズGを弾きまくったりして、メンバー紹介しています。 Bomis Prendinと言うバンドは、結構、古いバンドであり、その為か、録音もチープで、一聴するとLo-Fiバンドのようにも思えますが、これは単に録音機材に制約があったからだと思います。そして、殆どの曲はインストである点とカシオトーンを多用している点も面白いです。個人的には、DD. Recordsの吉松さんとか鎌田さんの作品を思い出しました。多分、彼等はライブをガンガンやるタイプではなく、地下室やガレージ等の閉鎖空間で、音を出して、ジャムったりして、それをそのまま録音した後に、ベストテイクを選んで、カセット作品を作っていたのではないでしようか。曲の完成度は別として、曲自体はアイデア満載で面白いので、そう言った米国アングラ・シーンの最底辺に興味がある方は是非とも一聴してみて下さい!また、今回の再発盤にはインタビューもついていますので、読んでみたい方は購入することをお勧めします。 B1 “Jumpstart” (1:20) https://youtu.be/SkKQNZhnNqo?si=nsQwisdS7C8vt7NT [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l2CQmBX-uqXktN_Mh38Cd6TBmJ-G9Ocgo&si=NYJc5W5mP_sLtYUd [BandcampのURLも貼っておきます] https://bomisprendintheband.bandcamp.com/album/clear-memory #BomisPrendin #ClearMemory #MentalExperience #2020年 #Reissue #Remastering #ARTIFACTS/yclept #1984年 #USUnderground #NurseList #WashingtonD.C. #Lo-Fi #ExperimentalPop #JazzyTaste #CircuitVending #CheapInstruments #ToyInstruments #BomisPrendin #CorvusCrorson #MilesAnderson #Hungry’Isaac’Hidden #Candeee #BillAltice
Lo-Fi / Experimental Pop Mental Experience (ARTIFACTS/yclept) 3250円Dr K2
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Gen Ken “Beyond My Ken”
Gen KenことKen Montgomeryを紹介しましよう。元々、1980年初頭に、米国NYCのEast VillageにGeneratorという小さなレコード・ショップを運営しながら、電子音楽を始めています。その後、1989年にNYCで初めてのサウンド・アート・ギャラリーとして、Generatorを再度やり始め、1992年まで続いています。その間にも彼は、多くのアーティスト達とコラボをやっており、その後も、多数、リリースされています。因みに、彼はGen Ken以外にもGen Ken Montgomery やEgnekn Montgomeryと言った名義で作品をリリースしています(Gen Kenの”Gen”は最初のレコード・ショップのGeneratorの頭3文字から取られています)。そんな彼は、特に、Conrad Schnitzler等とのコラボ・ワークも数作出しており、電子音楽界(そんなものがあるかどうかはさておき)の一部では有名なアーティストです。また、1987年に、彼は、David PrescottとConrad Schnitzlerと共にGenerations Unlimitedと言う電子音楽レーベルも立ち上げています。それで、内容なんですが、A面は片面一杯使った1曲のみ、それに対してB面は短い曲が、9曲も入っていると言うアンバランスさ。どちらも明瞭なリズムは殆ど無く、アブストラクトな電子音が空中を舞っているような音楽で、中々、掴み辛い音楽なのですが、その反面、色んな解釈ができるようにも思えます。特にA面は彼のアブストラクトさが現れた良い曲だと思います。またB面もそんな長尺な曲の一部のサンプルように聴くことが出来るのでは?とも思え、そう言う聴き方もできるのだなあとも思えます。因みに、本作は独逸ベルリンのCon Studioで録音され、スペインとEsplendor Geometricoのレーベルからリリースされており、彼の立ち位置を理解する上で興味深いものと考えられます。電子音楽とインダストリアルの狭間を覗いてみたい方には良いアルバムだと思いますので、是非聴いてみて下さい。 “New Age Machines” https://youtu.be/q8vQ4-ETQKc #GenKen #BeyondMyKen #DiscosEsplendorGeometrico #AmericanArtist #GenKenMontgomery #Experimental #ElectronicMusic #Abstract #NoiseMusic
Electronic Experimental Music Discos Esplendor Geometrico 不明Dr K2