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White Pain “Paroles Absurdes”
White Pain、知ってる方、いますか?私も名前位しか知らなかったのですが、これを見て、思わず、ポチッてしまいました。それで、取り敢えず、White Painについて調べてみました。元々は、仏Lyonで、1984年に、Patrick SaveauとPatrick Gravierのデュオとして始まり、地元の地下音楽シーンではそこそこ有名で、地方のラジオ局に出演したり、ライブをやったりしています。1985年に2曲入りのカセット・シングルを出しています。彼等の音楽は、所謂、1980年代初頭の独NDW、特にDAFやDin A Testbildに影響を受けており、シンセとドラム・マシンだけで演奏していました。それで、2人は、他のメンバーをかき集めてきて、彼等の唯一のアルバムである“Paroles Absurdes”を1986年に仏レーベルProductions Du Tigreから出しています。ただ、その後、White Painがどうなったのかは不明ですが、作品が出ていないところを見ると解散したのではないでしょうか。今回、再発にあたり、1985年リリースのカセット作品の2曲”Nowhere To Go”と”Vienna”も収録されています。情報はこれ位しか分かりませんでした(すまん!) それで、今回参加したメンバーは、Patrick G. (Lead Vo, Kbd, Organ), Patrick S. (Synth, Vo, E-Perc), Catherine G. (Vo, G), Eric V. (Synth, Piano, Sequencer), Pierre-Louis P. (G, Kbd, Drum Machine)で、Juan Carlos Las Cases (G, Kbd, Arrange)が客演しています。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “Tomorrow's Enough”は、ファンキーなリズムと凝った構成力の曲で、1980年代後半のシンセ・ポップ(メジャーを含む)であることは確かですね。ここでは男性ヴォーカルです。 A2 “Nowhere To Go”では、囁くような男女のヴォーカルと強力なマシンリズムとの対比が興味深いシンセ・ポップです。バネのある弾けるリズムと細かいシンセのリフが特徴かな? A3 “State Of Mind”は、途端に重々しいスローな曲で、シンセ・ブルースとも言えるようなしっとりした雰囲気で、男性ヴォーカルなんですが、途中で出てくる「語り」もグーです。 A4 “Différentes Attitudes”は、いきなりMinistryのようなカッコ良いギターのカッティングから始まりますが、優しく囁くヴォーカルと憂いのある木琴のようなシンセのアレンジで聴かせる名曲ですね。 B1 “Get Out”は、ファンキーなベースラインと煌びやかなシンセの対比が特徴的な曲です。ベースはサンプリングしたものなのかな?いずれにしろダンサブルです。 B2 “A Kick In Your Mind”は、重いキックから成るリズムと男女のヴォーカルの掛け合いが特徴的な曲で、これならメジャーでも通用するのでは?と思わせます。 B3 “Paroles Absurdes”はタイトル曲ですが、リリカルなピアノをバックに、仏語の語りのような女性ヴォーカルが力強く響きます。そう言う意味で、この曲は彼等の元々の姿ではないかとも思ってしまいます。後半に入ってくるギターやパーカッションなども良い味です。 B4 “Vienna [1985 Tape]”は、Ultravoxとはまた異なった”Vienna”を描き出しています。力強いリズムとウィスパー・ヴォーカルと淡々と続くシーケンスが心地良いです。 B5 “Nowhere To Go [1985 Tape]”は、本アルバムのA2の元になった原曲ですが、直線的なリズムに強めのリムショット、それに背景に流れるは シンセのカーテンと囁くような男性ヴォーカルと言う曲で、こうも印象が変わるのかと驚きました。 総じて、演奏能力や作曲能力はメジャー並だとは思うのですが、殆どのヴォーカルがウィスパーな感じで、それ故に説得力に欠けているのが惜しいと思います。しかし、ひょっとすると、敢えてそうしているのかも?とも思えて、また、全曲、仏語で歌っている訳では無さそうで、それもまたちょっと残念などころですね。個人的には仏語で堂々と歌って欲しかったです❗️バックの演奏のスキルが高いだけに。しかしながら、この曲の打ち込み(ドラムマシンとシーケンサー)は大変だったんじゃないかなぁと感心してしまう程、曲の構成力は凄いです❗️なので、皆さんにも聴いて頂きたいですね。 A1 “Tomorrow's Enough” A2 “Nowhere To Go” A3 “State Of Mind” A4 “Différentes Attitudes” B1 “Get Out” B2 “A Kick In Your Mind” B3 “Paroles Absurdes” B4 “Vienna [1985 Tape]” B5 “Nowhere To Go [1985 Tape]” [full album] https://youtu.be/Ipgj3TbZ5Rw?si=_Ug1k3Fuf9nkPP7Q [BandcampのURLも貼っておきます] https://camisolerecords.bandcamp.com/album/paroles-absurdes #WhitePain #ParolesAbsurdes #CamisoleRecords #ProductionsDuTigre #FirstAlbum #Reissue #Remastering #LimitedEditions #FrenchNewWave #NewWave #SynthWave #ElectroPop #Synthesizers #Guitar #Vocal #PatrickG. #PatrickS. #CatherineG. #EricV. #Pierre-LouisP. #JuanCarlosLasCases
New Wave / Synth Pop Camisole Records (Productions Du Tigre) 不明Dr K2
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My Dad Is Dead “….And He's Not Gonna Take It Anymore”
これは何で買ったのかな?聞いた事もない名前です。My Dad Is Deadとは、バンドとかではなく、ソロ・アーティストMark Edwardsのことです。今回、ご紹介するのは、彼の実質ファースト・アルバム”...And He's Not Gonna Take It Anymore”(その前にカセット・アルバムが出ています)。それで、Edwardsと言うかMy Dad Is Deadについて調べてみました。My Dad Is DeadはMark Edwardsの録音プロジェクトとして、1984年にOhio州Clevelandで始まりました。2011年までに、12枚のフル・レングス・アルバムを出しているベテランです。その後、彼は北カリフォルニアで、Chapel Hillと言うバンドを結成しています。もう少し詳しく言いますね。彼は元々、1980年代初頭まで、Thermos of HappinessやRiot Architectureでドラムを担当していましたが、1984年に両バンドは解散。同年8月から、彼はギターを練習し、My Dad Is Dead名義で活動を始めます。最初の頃は、ドラムマシンにギター&ヴォーカルと言うスタイルでライブをやっていました。因みに、彼が24歳の時に両親は他界しており、それにちなんでのネーミングだとのことです。My Dad Is Deadは、最初にカセット・アルバム”My Dad Is Dead”を1985年に出した後、1986年に、正式なファースト・アルバムとして、本作品でもある”...and He's Not Gonna Take It Anymore”をSt. Valentine Recordsからリリースしています。その後、セカンド・アルバム”Peace, Love and Murder”をBirth Recordsからリリースした後に、1988年初頭に、Homestead Recordsと契約し、”The Best Defense”, “Let's Skip The Details”, “The Taller You Are, the Shorter You Get”と3枚のアルバムを出しています。因みに、アルバム”Let's Skip The Details”では、初めて、Edwards以外のミュージシャン(Chris Burgess, Doug Gillard, Jeff Curtis, John McEntire, Matt Swanson, Scott Pickering, Shayne Ivy)と一緒に作製し、それで、フルのバンドとしてツアーを敢行しています。1990年に欧州や英国ツアーをやっており、それが縁で、英国ツアーの時に、BBC Radio 1のJohn Peel Sessionにも参加しています。同年末にはMy Dad Is Deadは、ダブル7㌅”Shine”をリリース。これは後に、Scat Recordsが再発しています。1991年には、アルバム”The Chopping Down the Family Tree”を、1993年にもアルバム”Out of Sight, Out of Mind”をリリース。1995年には、Emperor Jones/Trance Syndicateとのスプリット”For Richer, for Poorer”を出していますが、その後、Edwardsは、短いツアーを終えた1997年末に、Web上で、バンドの解散をアナウンスしています。2002年には、Vital Congからアルバム”The Engine of Commerce”を出しており、また、2005年には、Edwards自身のレーベルUnhingedから、アルバム”A Divided House”を、2009年にもアルバム”A New Clear Route”を出していますが、結局、2011年にMy Dad Is Deadは正式に解散しています。大体の流れはこのようになります。 それで、本作品なのですが、先ず、LP1は、My Dad Is Deadのファースト・アルバム”...And He's Not Gonna Take It Anymore”の再発で、1985年10月〜1986年1月に録音されたもので、LP2は、そのアルバムの前にカセットで出していたセルフ・タイトルの作品(1985年3〜6月にEdwardsとTim Gilibrideによって、Fostex 4 Track recorderで録音)をリマスタリングしての再発となっています。それでは内容を紹介していきましょう。先ずはLP1ですが、G, B, Drs, Voは全てEdwardsが一人で演っているとのことです。初っ端のA1 “Talk To The Weatherman”のギターのドライなリフからして米国独特の砂っぽい感じで良いです。この曲では生ドラムを使っているのでしようか? まあ、そんな技巧が上手いと言う訳では無く、シンプルな曲が多いのですが、米国臭さが沁みます。A2 “The Quiet Man”やA3 “Mary Jane”はドラムマシンを使っていますが、一人でやっているからか、垢抜けてないところが、また良いです。A4 “Black Cloud”は、生ドラムの使用もあって、コード進行やアレンジが凄くカッコ良いです。A5 “Say Goodbye”も生ドラムで、ヘビーなインスト曲で、少しだけSonic Youthっぽいかな? A6 “40 Hours”は一転、ガレージっぽくて、ザラついたギターの音色と切羽詰まったヴォーカルがグーです。B1 “Anti-Socialist”は、またドラムマシンを使っていますが、その為か結構印象が変わります。B2 “It's Easier...”は、またまた生ドラムで乗り切る曲で、米国っぽい部分とJoy Divisionっぽい部分のブレンドが良い塩梅です。B3 “My Head”やB4 “Death Of A Salesman”はドラムマシンのビートが心地良いです。B5 “In Your Mind”では枯れたギターの音色が沁みますね。B6 “Statistic”はドラムマシンで、どこと無くコード進行がJoy Divisionっぽいんですが、アレンジで明るくしているように感じます。B7 “Mother And Child”は、生ドラムと猪突猛進な曲ですが、サビのところはカッコ良いし、途中のブレイクでハッとさせられます。 次にLP2ですが、先述のように、ファースト・アルバムの前に録音したデモ音源集のような位置付けで、曲も、LP1と重複するものもあります。また、Edwards以外に、Tim Gilibrideも参加しているようです。C1 “Statistic”, D2 “The Quite Man”, D3 “Anti-Socialist”, D4 “Mary Jane”はそれぞれ、B6, A2, B2, A4のデモ・ヴァージョンです。C2 “Too Many”はドラムマシンと生スネアで色を付けたインスト曲で、心地良いです。C3 “The Entrepreneur”は結構、ゴリゴリにギターを弾いて、ロックしている曲。C4 “Innocent”は、ドラムマシンを使いながら、ギターとヴォーカルの掛け合いが面白い曲。C5 “Last Call”はギターから始まる曲で、生ドラムを使ったスロー・バラード調です。唯一、コーラスのある曲。C6 “Roughneck”もギターで始まる元気一杯なインスト曲で、最後フェイドアウトします。D1 “Indiana”はライブ録音なのか?残響がカッコ良いインスト曲です! D2, D3, D4はデモ・ヴァージョンなのですが、録音場所の残響からか、結構印象が変わりますね。D5 “Rut”もドラムマシン使用で、何やら中近東風な雰囲気があるようなインスト曲。D6 “Waste”はまるでポストパンクな曲で、ドラムマシンも生ドラムも無しです。D7 “Back Away”は隠しトラックかな?ドラムマシンの逆回転にギタードローンが乗っかる結構、実験的な曲で、ビックリです。 と言う訳で、一通り、聴いてみましたが、初め、ジャケ写やデータでソロで全部やっているとかを見てて(何となくカントリー&ウエスタンの弾き語りなんかを勝手に想像していました)、ん〜これはあんまり面白くないかもなぁと思っていたのですが、予想を裏切って、ドラムマシンや生ドラムとギターとベースそしてヴォーカルでここまで面白い音楽が出来るとは❗️とビックリしました。やはり米国地下音楽界は侮れませんね。My Dad Is Dead自体は何枚もアルバムを出していますが、この再発盤は絶対聴いた方が良いですよ‼️さあ、レッツらゴー! LP1 A2 “The Quiet Man” https://youtu.be/u-dCtEIvxWU?si=rIcAHMNtOhiPAroW [LP1 ”...And He's Not Gonna Take It Anymore” full album “] https://youtu.be/tDQYvfDuvFI [LP1 & LP2のBandcampのURLを貼っておきます] https://mydadisdead.bandcamp.com/album/and-hes-not-gonna-take-it-anymore-expanded-edition #MyDadIsDead #AndHesNotGonnaTakeItAnymore #ScatRecords #St.ValentineRecords #USUnderground #MarkEdwards #SoloProject #Reissue #CassetteAlbum #Remastering #PostPunk #IndieRock #TimGilibride #DrumMachine #Drums #Guitar #Bass #Vocal
Indie Rock / Post Punk Scat Records (St. Valentine Records) 2000円Dr K2
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Kleistwahr “Do Not”
皆さんはKleistwahr(「クライストヴァール」と読む)を知っていますでしようか? そうです、あとパワー・エレクトロニクスの総本山、英国Broken Flagを主催し、Ramlehとしても活躍するGary Mundyのソロユニットのことです。彼は、このKleistwahrを1982年から1987年まで続けていましたが、2009年に突如再開しており、今までにKleistwahrとして14作のアルバムをリリースしています。一方、Broken Flagも、1982年に、RamlehのMundyとDebbie Thomasによって自然発生的に生まれたパワ・エレのレーベルで、RamlehやKleistwahr, M.B.やMTTなど、当時の初期パワ・エレ/インダストリアル作品を主にカセットでリリース、約100作以上をリリースしていましたが、1988年にレーベル活動はストップ。しかしながら、1994年には復活しています。加えて、MundyはKing Krown & KountryやEven When It Makes No Senseと言ったファンジンも出版していました。(KleistwahrとGary Mundyのバイオグラフィーニについてはまた今度まとめます。)それで、本作品は、Kleistwahr名義の4作目”Do Not”の再発なのですが、実は、2014年より英国Fourth Dimensionsが開始したGary Mundy/ Ramlehサポート・シリーズの一貫なんです。そんな歴史あるGary Mundyのノイズ・ユニットの一つKleistwahrの”Do Not”なんですが、曲名は無く、片面に1曲ずつ長尺の曲が収録されています。内容はと言うと、パワ・エレではなく、どちらかと言うと「実験音楽」的ノイズ・ミュージックであると言えます。レコードの針飛び音とループ、オルガンやギター等の楽器音、またはナレーション等の音声の断片や非楽器による音等が無造作に放り込まれて、継ぎ接ぎされており、パワ・エレ独特のヴォイスや重厚な電子音なんかは皆無です。多分、MundyがRamlehとは異なったアプローチを試みたかったので、このKleistwahrを始めたと想像します。それで、音的にも全く異なっていたのは自明の理なのでしょう。Kleistwahrも作品は多数出ておりますので、段々と音の方も整理されていきますが、まあ、初期の頃は、このような「実験ノイズ(良く言って、ミュージック・コンクレート)」であったのを知るには良い作品ですので、興味のあるノイズ・リスナーさんは聴いてみても良いでしょう❗️ https://youtu.be/kW5QDh8rbvI #Kleistwahr #DoNot #FourthDimensions #BrokenFlag #Reissue #LimitedEditions #300部 #GaryMundy #SoloUnit #Ramleh #Experimental #Noise #NoiseMusic #MusiqueConcrete
Experimental Noise Fourth Dimensions (Broken Flag) 2500円Dr K2
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Conrad Schnitzler & Wolfgang Sequenza “Consequenz II”
Conrad Schnitzler先生、今度は、独逸人ドラマーWolfgang SequenzaことWolfgang Seidel氏とコラボ第二弾を出しています。その名も”Consequenz II”です(Con+Seqenzですね)。私の購入したのは再発盤ですが、オリジナルは、1986年に、あの(❗️)スペインのDiscos Esplendor Geometricoからのリリースとなっています。Schnitzlerのバイオグラフィーについては既に何度も書いています。一方のSequenz (Seidel)氏については、以前にも少し紹介していますが、元々はTon Steine Scherbenと言う政治的バンドのドラマーで、脱退後は、Schnitzler先生の代理でコンサートをやっており、その活動は、Schnitzler先生の死後も続いているらしく、恐らくSchnitzler先生はSequenz (Seidel)氏のことを最も信頼していたと思われます。それで、本作品なのですが、A面はリズミックな割と短めの曲が8曲収められていますが、B面はゆったりした長尺の曲1曲だけと言う、アシンメトリーな構成になっています。そして、Sequenz氏はドラマーであるのに、生ドラムは一切入っていません。A面は、割とシンセでリズミックなシーケンスを作り、それに絡めるように簡素なシンセ音が被さると言う、言わば「Conrad節」を堪能出来ます。特に、アナログシンセらしき音色が結構グッときます。またポップ・ミュージックですらありますね。シンセ以外にもギターらしき音も曲によっては聴取され、特に、A5 “Erotik”では、これまでのSchnitzler先生らしからぬギターのカッティングやベースを大々的にフィーチャーしたインスト曲になっています。また、A8 “España”ではB面はの伏線と思われるディレイを掛けたヴォイスの重なりから成るノンビートの曲です。B面”Kastilien”は、実は、このアルバムの作る最初のセッションで出来た即興曲らしく、延々と続く2人の電子音は心地よくもあり、時にダークな雰囲気でもあります。そんなConsequenz IIと言う電子音楽の迷宮に迷い込んでみませんか?そんなに構えなくても楽しめますから。 A3 “Fiesta” https://youtu.be/M-RVOUI2hvU [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ng0kSnJX5LfzuMAc6iaMm-_R3NyOKpml0 #ConradSchnitzler #WolfgangSequenz #ConsequenzII #BureauB #DiscosEsplendorGeometrico #Reissue #Collaboration #KrautRock #Electronic #ExperimentalPop #Kastilien #Improvisation
Krautrock / Experimental Pop Bureau B (Discos Esplendor Geometrico) 2600円Dr K2