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Kommissar Hjuler / Harappian Night Recordings “Karawane / 6 Reveries In Psychopathic Alchemy“
これも謎物件です。ガサゴソ探っていたら出てきました。どうも、独のKommissar Hjulerと英国のHarappian Night Recordings (以下、HNRと表記)のスプリット作品で、リリースはギリシャのレーベルShamanic Tranceと言う事みたいです。なので、ちょっと調べてみました。先ず、Kommissar Hjulerですが、本名Detlev Hjulerのことで、ソロ・アーティストです。彼は元々は、独Flensburgの録音家かつヴィジュアル・アーティストで、彼の妻Andrea Katharina Ingeburg HjulerもMama Bär名義で音楽活動をやっており、2人で活動する時は、Kommissar Hjuler Und Frauと名乗っていたそうです。1999年から音楽を作り始め、2006年から視覚的作品も作り始め、Discogsを見ると、音楽作品は370作品ちょいと言う多作家です。また、初期には、自身のレーベルDer Schöne Hjuler-Memorial-Fondからのリリースも多いのですが、そのディスコグラフィーにはThe New BlockadersやDissecting Tableなどの色々なアーティストとのスプリットや妻のMama Bärとのコラボ作品も含まれています。また、Hjulerは数多くのグループに関わっていたらしいですが、それはでっち上げなのか本当に活動していたのかは不明です。因みに、彼は1983年〜2013年には警察官をやっていたと言う異能振りです。彼は元々、ネオ・ダダのフィールドで活動を始めたこともあり、彼の作品にはFluxusやArt Brut (アール・ブルュ)の要素が含まれていると言われています。なので、メール・アートにも熱心で、昔からその界隈で活動している多くのアーティストやグループも含め、世界中のメール・アーティスト達とコラボを行なっています。 一方、HNRの方ですが、英国シェフィールドのアウトサイダーSayed Kamran Aliのソロ・ユニット名らしく、フランツ・カフカの短編小説から名前を取った英国のグループThe Hunter GracchusやカナダのKelly JonesとPascal Nicholsの即興グループPart Wild Horses Mane On Both Sidesの一員としても活動していたらしいです。多分、彼の名前からも想像されるように、ウードやミズマール或いは打楽器などを用いた怪し気な中近東音楽や歪んだジャンク・ドローンから成る「ヤバい」作品をリリースしています。ちょっと調べましたが、HNRについてはこれ位しか分からなかったです。 それで、本作品ですが、A面がHjulerで1曲のみ、B面がHNRで6曲と言う、何とも釣り合いの悪い構成となっています。先ずはA面のKommissar Hjulerから。“Karawane”と題された1曲なんですが、どうも短いパーツを組み合わせて、全体として1曲扱いにしているみたいです。そして、その内容は身の回りのモノを使ったノー・テクの演奏(主にガラス瓶などを適当に叩いたり)と適当なヴォイスとテープの遅回しによる変調ヴォイスを、どうもラジカセとかで録音した代物で、全く何を表現したいのか不明な無意味(勿論、褒め言葉!!)な音楽です。ここら辺の良い加減さは如何にもFluxus的と言うかArt Brut的ですね。こんなゴミみたいな音楽(!?)がレモン色のレコード盤面に刻まれることで流通するのが、興味深いです。初期のWhitehouseやCome Organizationも同様だったのではないでしょうか?或いは、音楽自体の「無意味さ」と言う点ではDie Tödliche Dorisのパフォーマンスにも近いかも? と言うことで納得しましたが、やはり出し方とかタイミングに失敗しているようにも思いました。 B面はHarappian Night Recordingsで、“6 Reveries In Psychopathic Alchemy”と題されており、タイトル通り6曲が収められています。 B1 “Swarm Intellect”は、A面とは一転して、轟音から始まり、謎な打楽器とギター(?)らしき弦楽器のアンサンブルで、それにどうもヴォーカルも乗っているようですが、明確なビートは無いようです。 B2 “Aag Ka Dariya”も歪み切った弦楽器とバックに打楽器らしき音も聴こえる短い曲です。 B3 “Neuter Compensations”は、街のフィールド録音を中心に形作られている曲です。 B4 “Asik Brew”は、またまた歪み切った轟音の合奏と打楽器の乱れ打ちやヴォイスなどが時々挿入されるLo-Fiノイズな曲です。 B5 “Glowing Body Mock Sick”は、リバーブの効いた虚空に金属音やヴォイス或いは木琴の音(?)が遠く聴こえる静か目の曲ですが、段々とうるさくなってきます。 B6 “Chaharbeiti Sonic”では、歪み切ったヴォーカルがうるさく、何らかの歌を歌っているようですが、バックの音も歪み潰されており、メロディもリズムも聴取不可能です。 総じて、A面Kommissar Hjulerの「無意味さ」とB面HNRの「破天荒な無軌道性」から成るスプリット作品で、この作品がもっと配給力のあるレーベルから出ていて、もう少し装丁とかも凝っていたら、化けていたかもと思いました。そう言う意味では惜しい作品ですが、B面はそれなりにLo-Fiノイズとしても聴くことはできますので、リスナーさんにも楽しめると思います。まあ万人にはお勧めしませんが、、、。因みに、A面/B面としましたが、ジャケはそれぞれのアートワークになっており、あくまで両A面扱いとなっています。 A Kommissar Hjuler / “Karawane” A1 “Karawane” B Harappian Night Recordings / “6 Reveries In Psychopathic Alchemy” B1 “Swarm Intellect” B2 “Aag Ka Dariya” B3 “Neuter Compensations” B4 “Asik Brew” B5 “Glowing Body Mock Sick” B6 “Chaharbeiti Sonic” [full album] https://youtu.be/WvykN2QUGx0?si=X3468JMImwc7QGba #KommissarHjuler #Karawane #HarappianNightRecordings #6ReveriesInPsychopathicAlchemy #ShamanicTrance #SplitAlbum #GermanArtist #EnglishArtist #NeoDada #Fluxus #ArtBrut #MusiqueConcret #Lo-Fi #Experimental #ArabicMusic #Pseudo-Arabic #FreeImprovisation #DetlevHjuler #SayedKamranAli
Musique Concrete / Lo-Fi / Noise Shamanic Trance 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler “Zug”
日本のオークションで、中々見つけられないのが、Conrad Schnitzler先生の作品です。で、やっと見つけました。結構、晩年の作品で、A面はオリジナル曲”Zug”、B面は、B1が、Stefan Betke氏のソロユニットPoleのよる再構成(reshape)、B2がChristian BorngräberとJens StrüverのコンビでもあるBorngräber & Strüverによるリミックスがそれぞれ収められています。本作品の内容を紹介する前に、B面の各アーティスト/グループについて、簡単にご紹介しておきます。先ず、Pole (Stefan Betke)ですが、彼はDüsseldorf育ちBerlin在住のミュージシャン兼プロデューサー兼マスタリング・エンジニアとして、25年間に渡って、アブストラクトな電子クラブミュージックと関わってきており、この期間にリリースしたPole名義の7枚のアルバムは、エレクトロニカへの転換を強く示唆するものです。そして、彼はダブトロニック/グリッヂを用いる音楽家であり、同時に~scape RecordsとレーベルPoleを運営し、Scape Mastering studioで働いています。一方、Borngräber & Strüverですが、1999年から一緒に作業するようになったBerlin在住のデュオです。彼等はサンプリングとリミックスで色々な音楽のリリースに関係しており、2010年には、M=Minimalレーベルを立ち上げ、色々なタイプのミニマル・ミュージックを支えてきています。今回のアルバムも、彼等のレーベルM=Minimalからですね。 それで、本作品の内容についてですが、A面のSchnitzler先生の曲は、いつものように、簡素なリズムボックスのシーケンス、それにややダウナーだが浮遊感のあるシンセによる即興的メロディと電子音と言う至ってシンプルな楽曲からなり、それだけでも、気持ち良い反復を体感できます。多分、Schnitzler先生の最初期(1978年)のアルバム”Con”に収められていた曲のフルレングス・ヴァージョンだと思われます。それで、B面に移ります。B1はPoleによる「再構成(Reshape)」ですが、Pole独特のディレイ処理をリズムボックスの音に掛け、更にリズムパターンを変え、電子ダブな曲にミックスし直して、アブストラクトな音楽に仕上げています。次に、B2はBorngräber & Strüverによるリミックス(リシェイブとは違う!)ですが、彼等は大胆にヘビーなキックのリズムを入れて、大幅にクラブ寄りの曲に仕上げていますが、その隙間から聞こえてくる電子音が如何にもSchnitzler先生的で、ちゃんとリスペクトしているんだなあと感心します。ここで証明されるのは、1978年に既に、その32年後でも充分に楽しめる音楽をSchnitzler先生は作っていたと言うか、また逆にPoleとBorngräber & Strüverは、32年前の曲を再認識でき、それを生まれ返らせたのかもと言えます。とすると、この作品では、ミニマルな電子音楽の普遍性と可塑性を同時に体験出来るものと考えます。なので、未聴の方、一度は、聴き比べてみても面白いですよ❗️ A面 “Zug” by Conrad Schnitzler https://youtu.be/pXkzMrQFckc B1 “Zug” Reshaped by Pole https://youtu.be/lHjLZ1__YE0 B2 “Zug” Remixed by Borngräber & Strüver https://youtu.be/Cz8PCS3k__g #ConradSchnitzler #Zug #M=Minimal #Pole #Borngräber&Strüver #ElectronicMusic #Minimal #Reshaped #Remixed #German #ClubScene
Electronic music M=Minimal 1800円Dr K2
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Mama Bär “Bildnerei Die Geisteskranken Vol. 1 (Es Ist So)”
Mama BärことAndrea Katharina Ingeburg Hjulerを知ってる人はいますかぁ?彼女は、ノイズ或いはポスト・インダストリアル・シーンにおいて録音家として活動していますが、一方で、Flenburgで映像作家或いは視覚芸術家としても活動しています。ソロやグループで世界中の展覧会でキャリアを積んでいます。彼女はしばしば、彼女の夫のKommissar Hjulerと一緒にKommissar Hjuler und Frauとしても活動しでおり彼女は、1999年から音楽を作り始め、2006年には視覚芸術も始めています。主にネオダダやアール・ブリュの領域で活動しています。Inspector Hjulerは、2011年までは、パンの生地を乾かして、彫刻を作ったりしており、彼はそれをパン猫と言ったりして、彼自身の抽象的な世界(時にコミック的でもあったらしいです)を作り上げていました。因みに、The Marketingclub KärntenとKleine Zeitung Österreichは、2010年のイノベーション・コングレスでの芸術部門のコンペで彼のパン猫の作品”Enter Konsum”を優勝者に投票しています。一方、Mama Bär の方は数多くの作品をリリースしたおり、それらはマイナーなレーベルUltra Eczema, Intransitive Recordings,Nihilist Records, Obskyr Recordsなどからリリースされています、また、彼女は、Bomis Prendin, Franz Kamin, Philip Krumm, Wolf Vostellなんかともコラボ作品も作っています。また、Brightonで行われたKommissar Colour out of Space Festivaでは、Hjuler und Frauはパフォーマンスをやっています。と言う訳で、元々が芸術家で、音楽をやっていた訳ではありませんが、本作の内容は、それを裏付けるだけでなく、とんでもない音楽をやっています。ハウリングとかフィードバック或いは打撃音や物音などをバックにMama Bärが呟くような叫ぶようなヴォーリゼーションを繰り広げます。例えて言うならば、劣化したNurse With WoundがSchimpfluchと合体したかのような音楽です。強烈なインパクトを感じることの出来るブツと言ったところでしょうか?Discogsで調べてみると、結構、作品出しているんですよね。それだけのパワーがあったと言う証左ですね。ジャケがいまいちなんですが、これはレーベル側の予算の問題でしょうか?勿体ないです、せっかくいい内容なのに!と言う訳で、アート臭のするアクショニズム的音楽はどうですか?ジャケに惑わされることなく、聴いてみて下さい。 YouTubeにはなかったので、Kommissar Hjuler und Frauの”23XX”を。 https://youtu.be/3NMB4E0FZAs #MamaBär #BildnereiDieGeisteskrankenVol.1(EsIstSo) #SoundArt #Experimental #NurseWithWound #Schimpfluch #Actionism #Dada #KommissarHjulerundFrau
Noise Experimental Shamanic Trance 不明Dr K2
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Borbetomagus “The Rape of Atlanta”
実は私はジャズと言うジャンルはそれ程好きでは無いし、また余り興味も無いんですが、このグループだけは別格。その名も、Borbetomagus❗️結成してからずっとこのトリオで演奏し続けているNYの怪物です。メンバーはJim Sauter (Sax), Don Dietrich (Sax)そしてDonald Miller (G)のトリオです。1970年代ではBrian Doherty (electronics)が時々加わっていたようです。1979年に、Jim SauterとDon Dietrichの2人のサックス・デュオにDonald Millerが加わって結成されました。今回、調べて分かったんですが、ごく初期にベース奏者としてAdam Nodelmanもメンバーだったことがあるようです。当時、Donaldはコロンビア大学のカレッジ放送局WKCRで番組を持っており、その熱心なリスナーがJimとDonであったようで、結成はすんなりいったみたいです。1980年に自分達のレーベルAgaric Recordsよりファースト・アルバムを出します。その後も、Agaric Recordsを始め、世界各国のレーベルからアルバムやCDをリリースしており、またライブも現在まで続けています。一時期、スイスのサーキット・ベンディング・デュオVoice Crackとのコラボ・アルバムも出しており、割と自由にコラボライブは演っているみたいです。それでBorbetomagusなんですが、途轍もない音量で、ジャズのジャの字も無い程、喧しいジャムセッションを繰り広げてきました。私は彼等の音楽を”Death Jazz”と呼んでいますが、強ち間違ってはいないと思っています。またサックス奏者の2人はマイクをベルに突っ込み、そのマイクにエフェクターやアンプを繋げたりしたり、お互いのサックスのベルを向き合わせて演奏する”Bell Together”と言う奏法も編み出しています。一方、Donaldもテーブル・トップ・ギターをE-Bowで鳴らしたりなど特殊奏法を使います。それらの結果が極めてノイズに近い音塊を成して、我々の鼓膜を徹底的に痛めつけます。元々はジャズ畑或いはフリーミュージック畑での活動だったのですが、この音量なので、全然評価されませんでした。しかし、1990年頃から、大音量での演奏が、当時広く評価されてきたノイズ・ミュージック(特に「ジャパノイズ」)とシンクロして、好評価されてきたのだと思われます。それで、本作品ですが、内容は、2004年10月30日にジョージア州アトランタでのDestroy All Music Festivalでの彼等のライブを録音したものです。A面”Archie Keens For A Moister Veronica”とB面”Jughead’s Prayer Renders Betty Senseless”と曲名は付いていますが、レコードのラベルには何も印字されておらず,まあどちらでもいいかと言うことでしようか? そう言うツンデレなところも良いですよね。内容も推して知るべし。もうノイズ生成機と化した2本のサックスとギターが焼けるマグマのように鳴り響き渡ります。正にDeath Jazz❗️もし,こんな「ジャズ」を聴いてみたいならば、体験することをお勧めします。因みに、最近、Don Dietrichは、チェロ奏者の娘さんとDietrichsと言うユニットでも活躍しています。 [このアルバムはYoutubeに無かったので、彼等のライブを] https://youtu.be/lcayTQKU4w4 #Borbetomagus #TheRapeOfAtlanta #SelfRelease #DeathJazz #NoiseMusic #JimSauter #DonDietrich #DonaldMiller
Noise, Jazz (自費出版?) 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler “Paragon Outtakes”
またまた出ました!Conrad Schnitzlerの7㌅3枚3色のカラー盤で復刻した謎物件です。因みにリリースレーベルは日本の「陽」サイケ専門のCaptain Trip Recordsです。まあ、クラウトロックと言う繋がりなんでしょうね。たまたま、入手したのですが,思いの外、面白いかったですねぇ。Conradについては既に何回もバイオグラフィーを書いているので、ここでは省略します。内容的には7㌅片面に1曲づつ収められていますが、33回転なので、これは敢えて7㌅に分けたのだなとニンマリしてしまいます。内容は1979-1982年に,彼のParagon Studioで録音された曲で、それぞれ未発表だったり、ミックス違いやロング・ヴァージョンであったりするみたいです。ただ、まとめて聴くのはしんどいです 苦笑)。こうして聴いてみると、Conradの立ち位置が,Neue Deutsche Welleと親和性が高いのだと気付きます。特にヴォーカルが入っていたりすると。例えば,この中の一曲を取り上げて「この曲はPyrolatorの新曲だよ」と言っても通用しそうなんですよね。それを70年代初頭からやっていたのは驚きです❗️このアウトテイク集は300部限定ですので、気になる方は是非とも探してみてください。 アウトテイクスは無かったので。 “Paracon 1” https://youtu.be/E2bnM3a5qR4 “Paracon 10” https://youtu.be/PBWDBZbYMJo #ConradSchnitzler #ParagonOuttakes #CaptainTripRecords #Electronic #ColoredSingle #3枚組
Electronic music CAPTAIN TRIP RECORDS 1500円Dr K2