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The Fall “I Am Kurious Oranj”
今回は、The Fallの11枚目のスタジオ・アルバム”I Am Kurious Oranj”を紹介します。因みに、Discogsとか見ると、シングルやアルバムなんかを全部合わせると250枚位出しており、この作品は、中期から後期に掛けての作品と思います。メンバーは、Mark E. Smith (Lead-Vo), Craig Scanlon (A-G, Rhythm-G), Steve Hanley (B), Simon Wolstencroft (Drs), Marcia Schofield (Kbd), Brix Smith (Lead-G, Vo)で、ほぼほぼ鉄壁の布陣ですね。Steve Hanleyが居ることは、音楽的にかなり大きいですね! ここら辺に来ると、The Fallらしい「タイトなリズム」と「反復」のスタイルが確立しています。一方で、A2 “Overture From 'I Am Curious Orange'”でのアコギの使用なんかは新鮮ですね。A3 “Dog Is Life / Jerusalem”の前半の”Dog Is Life”はMark E. Smithのスポークン・ワードをラジカセ録りしたもので、ちょっとだけ実験的です。B1 “Win Fall C.D. 2080”のコーラスの使い方も面白いです。B4 “Bad News Girl”は前半のバラード調のスローな部分からのアップテンポへの変換がカッコ良いです。そらで、どうもこのアルバムは、英国の有名バレエ団Michael Clark & Companyの作品”I Am Curious Orange”の劇伴として作製されたらしく、ジャケの内側にそのバレエ団の写真が掲載されています。実際には、2000年に開催されたエジンバラのバレエ・パフォーマンス・フェスで、”I Am as Pure as Oranj”と言う演目で、ライブ形態でコラボ上演されています。殆どの曲は、Steve HanleyとBrix Smithによって書かれています。因みに、本作品のタイトルは、スウェーデンの映画監督Vilgot Sjömanの作品”I Am Curious Orange”を文字ったとのこと。The Fall (或いはMark E. Smith)のカリスマ性を感じさせる作品であり、英国での不動の立ち位置を思い知らされる逸話だと思います。ただ、この頃、Mark E. Smithは酒とドラッグに溺れており、妻でもあるBrix Smithとの破局へと向かって行った時期でもあったそうです。本作品からは、"Jerusalem/Big New Prinz"と"Cab It Up"がシングル・カットされています。Mark E. Smithの破滅的生き様とバレエ音楽と言う特異な要素が絡み合ったアルバムですが、個人的には、傑作の一つだと確信していますので、是非とも聴いてみて下さい‼️スタジオ・アルバムで、ちゃんとしたエンジニアも付いての録音ですので、初期のようなペナペナな音ではないので、ご安心を❗️ A1 “New Big Prinz” A2 “Overture From 'I Am Curious Orange'” A3 “Dog Is Life / Jerusalem” A4 “Kurious Oranj” A5 “Wrong Place, Wright Time” B1 “Win Fall C.D. 2080” B2 “Yes, O Yes” B3 “Van Plague?” B4 “Bad News Girl” B5 “Cab It Up!” A3 “Dog Is Life / Jerusalem” https://youtu.be/56op4fd7ezY [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mOOwpnawcgmkwtqXLlsS6SfngTg_BgY4Q&si=DCD8rzMEBgiRduf1 #TheFall #IAmKuriousOranj #BeggarsBanquet #StudioAlbum #PostPunk #IndieRock #MusicForBallet #MichaelClark&Company #MarkESmith #CraigScanlon #SteveHanley #SimonWolstencroft #MarciaSchofield #BrixSmith
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Moritz R “Nach Herzenslust (思う存分)”
今回は、Neue Deutsche Welle (German New Wave)の代表バンドでもあるDer Planのリード・ヴォーカルにして、全てのアート・ディレクションもこなしているMoritz RことMoritz Reicheltの唯一のソロアルバム“Nach Herzenslust (思う存分)”を紹介します。Moritz Rは、1955年に東独逸のHalle (Saale)で生まれましたが、育ったのは西独のCelleでした。1970年代末より新進気鋭の画家として活動を始めるかたわら、Frank FenstermacherとギャラリーArt Attackの運営を始め、1979年に、Düsseldorfで、Frank Fenstermacher, Robert GörlとChrislo Haasと共にDer Planを始めています。その後、Robert GörlとChrislo Haasは脱退し、PyrolatorことKurt Dahlkeが加入し、鉄壁のトリオDer Planとなります。なお、Der Planは、活動当初、「天使」と「悪魔」と「ロボット」の三位一体からなり、Moritz Rは「悪魔」役で、メイン・ヴォーカルも担当していました。その一方で、Art Attackの方は、Ata Takと改名して、NDWを代表するレーベルとして展開していきます。Moritz RはDer Planのみならず、レーベルのアート・ディレクションも手掛けており、他と一線を画したレーベルカラーを確立させています。Der Planは1992年に解散していますが、2003年に、Moritz Rは、他に2名の若手ミュージシャンと共に、Der Plan 4.0として短期活動していましたが、2014年に、Moritz Rは、FenstermacherとPyrolatorと共に、本家Der Planを再結成し、活動を始めています。なお、2006年-2008年には、Mo EriksenとかMoni Duettmannという名義で、3Dコンピュータ・グラフィックも手掛けています。また、Moritzはグラフィック・デザイナーとして、アルバムのジャケや書籍、企業ロゴ、商品パッケージに至るまで手掛けています。2020年には、Moritz RはBerlinに移り、自身のギャラリーChak Chak Art Shopを運営しています。それで、今回、2021年に、初のソロアルバム“Nach Herzenslust (思う存分)”を日本のSuezan Studioからリリースした訳ですが、その後も、「ポップカタログVol.1 : ポスト・サイケデリック絵画: 独逸の新しい波におけるDer Planの栄光と不幸」という記録集を書いたり、アルバム”JaPlan”の映像作家として活動したりで、多忙な日々を送っています。 と言うことで、本作品の紹介をしていきましょう両面とも8曲ずつ収録されています。先ず、ザックリ言って、Der Planよりも「まとも」なポップ・ミュージックから成るアルバムと言えるでしょう。とは言うものの、崩してある所は崩してある、と言うか、Moritz R (Der Plan)らしい、天然に「変な」ポップ・ミュージックで、全く安心はできないですけど。エキゾチカ、フォーク、アシッド・サイケ、実験音楽からFrank ZappaまでがMoritz Rの手にかかり、軽妙洒脱で破天荒な前代未聞のポップ・ソングへと再生されています(DUの宣伝文より引用)。ほぼほぼ、1人で作られていますが、2曲程、Pyrolatorも参加しています。いやー、Moritz Rがギターとかシンセとか弾けるのにビックリしましたね。そんな訳で、モンド・ミュージック〜シンセ・ウェーブ〜フォークロアなど幅広い音楽が詰め込まれていますので、多分、欧州(或いは独逸)のポップ・ミュージックに興味のある方にはお勧めします❗️発売元が日本のSuezan Studioなので、曲名に邦題が付いています(それもまた楽し!)。 A1 “Herzlich Willkommen! (ようこそ)” A2 “1-2-Test (1-2-テスト)” A3 “In Meinen Träumen (夢の中で)” A4 “Haus In Düsseldorf (デュッセルドルフの店)” A5 “Polywaiian Village (ポリワイアン村)” A6 “Controllfreak Mama (コントロールフリークのママ)” A7 “Rosetta (ロゼッタ)” A8 “Silberner Manta (シルバーのマンタ)” B1 “St-sp-shk” B2 “Ich Steh Auf Drogen (ドラッグ)” B3 “Wochenend Und Sonnenschein (週末と晴天) B4 “Susanne Daubner (ズザンネ・ダウブナー)” B5 “Ich Heiz Mein Haus Mit Holz (うちを薪であたためる)” B6 “Fuselschnaps (安酒)” B7 “Dunkel Wars (暗かった)” B8 “Bernd‘s Tune (ベルントの曲)” A3 “In Meinen Träumen (夢の中で)“ https://youtu.be/KMCjy7nZXVs A4 “Haus In Düsseldorf (デュッセルドルフの店)” https://youtu.be/wz04tkSji3Y A5 “Polywaiian Village (ポリワイアン村)” https://youtu.be/hU9vk8qzK2k B1 “St-sp-shk” https://youtu.be/r8VZOH-qRL B2 “Ich Steh Auf Drogen (ドラッグ)” https://youtu.be/XHRdz1ZTk5c #MoritzR #NachHerzenslust #思う存分 #SuezanStudio #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ElectronicPop #SynthPop #SpecialEdition #YellowSplatterVinyl #300部限定#DerPlan #LeadVocalist #ArtDirection #AtaTak #Pyrolator
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Pere Ubu “Ray Gun Suitcase”
やっぱり買っちいますね。そうです。Pere Ubuの1995年作のアルバム“Ray Gun Suitcase”です。スタジオ盤としては13枚目となります。とにかくコンスタントに出しているPere Ubuは凄いです。バイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらを参考にしてください。今回のメンバーは、David Thomas (Vo), Jim Jones (G), Michele Temple (G, Synth), Robert Wheeler (EML Electrocomp 101 Modular Synth), Scott Benedict (Drs, Perc)に加えて、Paul Hamann (B [B5], Bells [A5]), Garo Yellin (Cello [A3, A6, B4, B6]), Scott Krauss (Drs [A3, A6, B4, B6])もゲスト参加しています。David ThomasとPaul Hamannとが、2016年6月にSumaでリミックスしています。元々は、1995年にCDでのみでリリースされていましたが、Records Store Dayに合わせて、白盤かつLPフォーマットでリリースされています。リミックスはその時に、ThomasとHamannによって行われており、両面とも6曲ずつ収録されています。 それでは各曲について紹介していきます。 ★A1 “Folly Of Youth”は低音の聴いたノリの良い曲で、歌詞はタイトルと関係がありそう。フリーキーな部分もあり、初期のPere Ubuっぽい部分もあります。 ★A2 “Electricity”では、土俗的ドラムと謎なシンセ/テルミンと共に、Thomasの語りのようなヴォーカルが聴けます。最後には、カッコ良いビートと謎の電子音が交差します。 ★A3 “Beach Boys”では、アコギとリズムに合わせて、「Thomas節」とも言うべきヴォーカルを披露してます。ギターソロもあり、ちょっとした悲しさと力強さが入り混じった曲です。 ★A4 “Turquoise Fins”はやや陽キャな曲で、ちょいアヴァンでもある。如何にもPere Ubuっぽい。 ★A5 “Vacuum In My Head”はブルージーな曲で、ギターとベースが効いています。またもや「Thomas節」炸裂です。初期の名曲”Over My Head”を思い出します。 ★A6 “Memphis”ではチェロとギターのメロとThomasのヴォーカルで泣かされます。名曲❗️ ★B1 “Three Things”は、ちょいスパニッシュな曲で、ThomasのVoが冴えています。途中で出てくるファズギターがカッコ良いです! ★ B2 “Don't Worry”は独特のベースラインとチェロとギターのインタープレイが良いです。Thomasのヴォーカルもヘナヘナですが、それがまた良い。最後はプルージーに決めます。 ★B3 “Red Sky”も、ちょいアッパーなカッコ良い曲で、Thomasのヴォーカルの重ね録りが効果的です。★B4 “Montana”はアコーディオンが哀愁たっぷりで、Thomasのヴォーカルと良く合ってます。ちょっと悲しい曲で、如何にもPere Ubu的です。チェロも良いです。 ★B5 “My Friend Is A Stooge”はアッパーで陽キャな曲ですが、Thomasのヴォーカルは何となく悲しさを醸し出しますね。フリーキーに鳴っているのはクラリネット? ★B6 “Down By The River II”ではいきなりギターのミュート奏法とThomasのヴォーカルから始まりますが、次第に盛り上がっていく様子は、このアルバムの最後の曲に相応しいです。チェロも良い感じです。 以上が、このアルバムの説明(?)ですが、やっぱりPere Ubuは、悲しくて可笑しい曲とDavid Thomasのヴォーカルとがマッチしている音楽であり、また謎のテルミンらしき電子音はお家芸なんだなと痛感しました。しかしながら、バンドであることで、カッコ良い曲も生み出せるし、今回はヴァイオリンが入って、更に良くなってました。何だろ?悲劇と喜劇を一緒にやっているような音楽と言えば良いのかな? とにかく、このアルバムも完成度高いので、聴いてみてください‼️ A3 “Beach Boys” https://youtu.be/GLaW3jON9Zs [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lIqtd8w_R2nk00fKQMeenRPGfUZdCt52M #PereUbu #RayGanSuitcase #FireRecords #PostPunk #AvantRock #StudioAlbum #RecordsStoreDay #DavidThomas #JimJones #MicheleTemple #RobertWheeler #ScottBenedict #Guests #PaulHamann #GaroYellin #ScottKrauss
Post Punk / Avant-Rock Fire Records (Tim/Kerr Records) 2650円Dr K2