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Asmus Tietchens “Litia” we
今回も、Asmus Tietchens氏の「色違い」シリーズ第四弾にして最終章”Litia”を紹介します。Tietchens氏のこのシリーズは、これにて一旦終わりますが、彼のバイオグラフィーについては、以前のをご参照下さい。なお、参加メンバーは、Asmus Tietchens (Synth, 作曲)の他、Das Zeitzeichenorchester として、Hans Tim Cessteu (Rhythm Programs), Tussi Schemante (Effects), Sam 'The Cute' Sins (Peripheral Equipments), Achim Stutessen (Digital Synth)となっていますが、これらは全てTietchens氏の名前のアナグラムで、1人でやっている訳です。なお、プロデュースもいつものRokko EkbekことOkko Bellerです。また、これまで統一感のある独特のカバーを作ってきたTina TuschemessもTietchens氏自身ですね。それでは各曲をそれぞれ紹介していきます。 A1 “Zeebrügge”はテクノを先取りしたかのような四つ打ちのキックで始まりますが、単純にして変態的なメロディがそれを否定します。寧ろThe Residentsっぽい。A2 “Abhuster Nebulizer”では、ややアップテンポなリズムに、シンセによるクリック音やポリフォニック・シンセのメロディが乗っかっています。A3 “Unterhaltsmusik”のリズムは、馬が馳けるように軽快なのですが、分厚いシンセのメロディも聴取できます。A4 “Vorsaison”には、ちょっとだけ中近東風のシンセのメロディを感じますが、軽快なリズムセクションがポップネスを体現しています。A5 “Pollys Square Dance”は、かなりビート感の強い複雑なリズムパタンと分厚いシンセ音から成る曲で、このような曲は、私も初期の頃、作ったことがあります。 では、B面に行きます。B1 “Torpedo Ahoi”も、疾走感のあるリズムボックスのパタンとポリフォニック・シンセに特徴のある曲で、このテンポでのポップネスは素晴らしい。B2 “Energie-Dossier”。これまた、不思議な雰囲気の曲で、メロディもアレンジもThe Residentsのような変態性のあるポップさを感じます。B3 “Ritual Der Kranken Freude”は、ホワイトノイズから成るインダストリアルなリズムが中心になっており、「明確な」メロディに欠けると言う、このシリーズでは一風変わった曲です。しかも、段々と盛り上がっていきます。途中で、シーケンスが出てくるのですが、そこはカッコ良いです。B4 “Litia”も変なアレンジの曲で、一聴するとVoの無い初期のThe Residentsのようです。B5 “Auf Elf”は最早、明瞭なリズムもメロディも無い実験色の強い小曲で、これで本作品/本シリーズを締めています。 全体を通して聴くと、前作”Spät-Europa”から始まったThe Residents風味はまだそこここに残っていますが、それこそが本作品を数多のシンセ・ウェーブとの差別化に成功してします。また、今回は、KorgのシンセPolysixを使用していることもあって、分厚いシンセの音が特徴的かな?と思いました。それにしても、何故、彼がこの「色違い」シリーズを始めたのかが気になりますね。謎、、、そう言う意味で「謎」です。その後、Tietchens氏は インダストリアルな電子音楽や実験音楽へと急変していきます。と言う訳で、似非シンセウェーブな4連作はここで終了しますので、前回までの作品に興味を持った方は、本作品も是非体験して下さい‼️ B1 “Torpedo Ahoi” https://youtu.be/CpoJfClx7YQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kSlCmwmdFt3iMpe5OyxqAL5G0ed-PRfHQ #AsmusTietchens #Litia #SkyRecirds #BureauB #Reissue #Remastering #KrautRock #Electronics #Pseudo-Pop #Experimental #SoloAlbum #Synthesizers #Rhythmbox #Anagrams #AudiplexStudios #KorgPolysix
Electronic Music / Experimental Bureau B (Sky Records) 2584円Dr K2
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Asmus Tietchens “Spät-Europa”
次に行きますよー。Asmus Tiechens「色違い」シリーズ第三弾は、”Spät-Europa (「末期の欧州」の意?)”です。纏めて買ってしまいましたからね。やっぱり纏めて紹介していきたいと思います。バイオグラフィーは以前のをご参照下さい。今回は、何と!両面10曲ずつと言う無茶振りです。まあいつも通りのメンバーなのですが、Asmus Tietchens (Synth, 作曲)の他に、Sam „The Cute" Sins (Electronics), Tussi Schemante (Rhythmbox, Programming), Hans Tim Cessteu (Synth), Achim Stutessen (Vocoder)となっており、Tietchens以外全員がオケの指揮とのことですが、全部Asmus Tietchensのアナグラムです、つまりソロです。なお、今回もまたプロデュースはRokko EkbekことOkko Bekkerで、録音・ミックスも独Humbug のAudiplex Studiosで行われています。では、内容を紹介していきます。と言う前に、この作品を聴いて、直ぐに思い浮かんだのは、The Residentsの”The Commercial Album”です。The Residentsの方は1分の曲を40曲収録していますが、こちらは2分の曲を20曲収録しています。The Residentsのが、1980年作なので、こちらの方はその後と言うことになりますが、盗用と言うよりもオマージュと言うか、The Residentsに対する独逸からの返答と捉えたい作品になっています。だって、普通に考えて、2分の曲を20曲も作れますか? それだけの技量を持っているのが、Tietchens氏の実力だと思います。あと付け加えるなら、Morgan Fisher氏編集のコンピ”Miniatures”ですね。こちらも、The Residentsと同じく1分以内の曲を集めた作品ですし、The Residents自身も参加しています。1980年代初頭はこう言った「挑戦的」な作品が流行ってましたね。あとちょっと違うかも知れませんが、”Three Minutes Symphony”とかも3分以内の曲を集めた国際的コンピでしたね。収録時間を短く切って、一枚のLPに収めることで、片面全体を1曲とみなすこともそれぞれを1曲ずつとみなすことも出来ると言う二重の意味を持たせようとたんじゃないかな? なので、今回は各曲の紹介はしませんが、これをTietchens氏が似非ポップとして一人で作られたと言うのが凄いところだと思います。皆さんも興味があれば、是非是非聴いてみて下さい‼️そしてできれば、The Residentsの”The Commercial Album”と聴き比べてみて下さい! A1 “Spät-Europa” A2 “Frautod Grafitto” A3 “Mythos Und Gummibärchen” A4 “Lourdes Extra” A5 “Poanpo” A6 “Nervenfalle” A7 “Grössenwarnung” A8 “Bescheidenes Vergnügen” A9 “Schöne Dritte Welt” A10 “Herrmannstrohm” B1 “Erloschene Herzen” B2 “Endspannung” B3 “Betablocker” B4 “Tretboot Zum Schafott” B5 “Ausverkauf” B6 “Bockwurst À La Maîtresse” B7 “Passaukontrolle” B8 “Wein Aus Wien” B9 “Stille Häfen” B10 “Epitaph” B8 “Wein Aus Wien”” https://youtu.be/aICYH_aP2Rw” [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mCwN4Nxgm6Kc9WhT2FsH4HemWd7fl5N_s #AsmusTietchens #Spät-Europa #SkyRecirds #BureauB #Reissue #Remastering #KrautRock #Electronics #Pseudo-Pop #Experimental #SoloAlbum #Synthesizers #Rhythmbox #Anagrams #AudiplexStudios #2分全20曲#TheCommercialAlbum #Miniatures
Electronic Music / Experimental Bureau B (Sky Records) 2584円Dr K2
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Asmus Tietchens “In Die Nacht”
やっと手に入れました。Asmus Tietchens氏の「色違い」シリーズの残りをどどっと紹介していきます。これはTietchens氏の初期の連作みたいなもので、既に第一弾”Biotop”は紹介してありますので、興味のある方はそちらを観て/聴いてもらっても良いですよ。今回は第二弾”In Die Nacht”です。オリジナルは1982年に名門Sky Recordsから出ていますが、私は後追いなので、リマスタリングしてあるBureau Bからの再発盤です。Tietchens氏のバイオグラフィーは既に書いてありますので、前回のをご参照下さい。因みに、参加メンバーは、Asmus Tietchens (Synth, 作曲)で、後はオーケストレーションの指揮も兼ねて、Tussi Schemante (Effects, Vo), Mischa Suttense (Rhythmbox), Stu 'Snatch' Seemi (Digital Synth), Hans Tim Cessteu (Synth)が参加したとなっていますが、これらの「ヘンテコ」な名前は、全てAsmus Tietchensのアナグラムですので、ソロアルバムと言う訳です。あと、彼が使っているシンセはPolymoogとMinimoogらしいです。なお、プロデュースはRokko EkbekことOkko Bekkerですね。それで、内容なのですが、両面とも4曲ずつ収められています。各曲を紹介していきます。 A1 “Mit Zebras Rennen”はいきなり、ノリの良いビートの効いたマシンリズムで始まり、度肝を抜かれました。Tietchens氏、こんなことも出来るのか!と。A2 “In Die Nacht (In the Nightと意)”はタイトル曲で、金属質なマシンリズムと柔らかいシンセのメロディの対比が興味深いです。またメロディも良いんだなあ。A3 “Höhepunkt Kleiner Mann”もややユーモラスな跳ねるリズムにシンセのメロディが乗って、なんだか、遊園地のコーヒーカップで遊んでいるか、サーカスでも観ているような感じですが、後半は何故かダウナーに。A4 “Kopfüber In Den Gulli”はやや怪しい雰囲気の曲で、またまた金属質なシンセの不穏なメロディが耳に残ります。 ではB面にいきます。B1 “Spanische Fliege”は直進するリズムボックスに、切羽詰まったようなメロディが乗っかり、中々の緊張感を生み出しています。しかも、多重的なメロディで、表情が複雑ですが、ポップネスは健在です。B2 “Unter Fliegenden Tassen”も忙しそうなテンポのリズムに、強い意志を持ったシンセのメロディから成る曲で、ベースラインはミニマルです。B3 “Regenwald”は可愛らしいリズム(エレクトーンに付いているようなリズムボックス)と背景の電子音に、ほんのちょっとしたシンセのリフと言うかメロディが入ってきます。B4 “Park Und Guter Morgen”気持ち良い朝のような静かな曲ですが、時々、テープのスクラッチ音みたいな音が入ったり、メロディも不安定であったりと、やはり一筋縄では行かない小曲で、この作品は締められています。もう「夜」は終わって朝が来たと言うことでしょうか? それで、解説を書いているKai U. Jürgensの言葉を借りると、この頃のTietchens氏の「色違い」シリーズは”Pseudo Pop (似非ポップ)”であるとのこと。でも、私はこう言うポップネスを持ったTietchens氏の音楽も好きですよ。因みに、私が一番最初に買ったTietchens氏の作品は、全曲、テープ・スクラッチから成る実験色の強いもので、その後も、PGRとMerzbowとのトリプル・コラボ作品”Grav”で、その時は知らずに「嗚呼、実験音楽のグループ(初めは人の名前とも思ってなかったw)か」と思っていました。しかしながら、Tietchens氏のこの頃の音楽が、似非ポップであろうとも、宅録ポップ(厳密にはHumburgのAudiplex Studioで録音・ミックスされている)との親和性も含めて、潜在的ポップさを持っていると思いますので、全力で支持しますよ‼️私は❗️皆さんもそう言う視点で聴いてみてはどうでしようか? B2 “Unter Fliegenden Tassen” https://youtu.be/Yx0jRTGjnjs [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kUlpC9iSvLVM4QQsF4nayjeyz876eCEAo #AsmusTietchens #InDieNacht #SkyRecirds #BureauB #Reissue #Remastering #KrautRock #Electronics #Pseudo-Pop #Experimental #SoloAlbum #Synthesizers #Rhythmbox #Anagrams #AudiplexStudios #MoogSynthesizers
Electronic Music / Experimental Bureau B (Sky Records) 2584円Dr K2