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Phew “Our Likeness”
日本を代表する音楽家の一人であるPhewさんの1992年にイギリスのMuteから出た作品です。Phewさんのバイオグラフィーは前回、書きましたので、省略しますが、このアルバムは初の海外レーベルからのリリースであって、これをもって、彼女の世界的評価に繋がったのだと思います。近年では、彼女は、自身のヴォーカルとアナログ・シンセ及びリズムボックスでのソロ活動で有名ですが,本作品では、Phewさんに加えて、元CanのJaki Liebezeit, Einstrutzende Neubautenにも在籍していたAlexander Hacke, D.A.F.やBBCHでも有名なChrislo Haas及びThomas Steinの言う布陣で臨んでいます。普通、楽曲が出来てから、歌を考えて入れると思うのですが、本作品では歌が先にあって、それに合わせて、楽曲を後から使ったのでは?と勘繰ってしまうぐらい、彼女の唄は、高らかに、しなやかに歌われています。まあ、歌詞は日本語なんですが(英訳は付いています)、他のメンバーにはどう理解されていたのか?或いは歌詞の内容の理解無しに楽曲が作られたのか?そこら辺の謎解きも面白いですね。A-3 “Being”ではパンク調のデス・ヴォが特徴的ですが、個人的には、B-1 “Smell” ~ B-2 ”Depth of the Forehead”の「昔話の語り」のように囁くようなヴォーカルと断続するバックの音との対比からヘビーなビートに対抗する力強いヴォーカルへの流れが、一番面白かったですね。しがしながら、彼女の表現力は凄いですね。決して歌が上手い(譜面通りに歌うと言うこと)訳ではありませんが、その不安定な音程や言葉の選び方、字余りな歌詞などは一聴してPhewさんだ!と分かる程、個性的ですね。それこそがヴォーカリスト冥利に尽きると思います。これからも、我々をビックリさせる音楽を聴かせて下さい。 https://youtu.be/jr5xCnlm5Gk #Phew #OurLikeness #Mute #JakiLiebezeit #AlexanderHacke #ChrisloHaas #ThomasStein
Alternative, Avant-Pop Mute Records 2500円?Dr K2
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Pseudo Code “Europa”
私がPseudocodeの名前を知ったのは、Fool’s Mateのサイキック・ミュージックの特集記事でしたが、当時は全くの謎でした。それで調べてみると、1980年代にメール・ミュージックを介して、世界のインダストリアル・シーンへと活動の場を拡げたベルギーの最初(ヨーロッパ最初とも言われている)の地下音楽レーベルInsane Musicの首謀者にして、中心的人物であったAllan Neffeがメインに活動していたバンドが、このPseudocodeであったと言う訳です。Pseudocodeは1979年から1983年まで活発に活動をしていました。コア・メンバーはXavier Sこと Xavier Stenmans (ブリュッセル初のパンクバンドThrillsでも活動で、後にベルギー国営ラジオのDJとなる), Guy-Marc Hinant (ベルギーの実験音楽レーベルSub Rosaの共同設立者となる)及びAlain Neffe (Insane Musicの首謀者)で、特にAllan Neffeは数多くのユニット(Bene Gesserit, Human Flesh, Cortex, M.A.L., I Screamなど)でも活躍しています。今回は、Xavier SがVo, Indian Flute, Rhythm Boxを、Allan NeffeがSynth, String, Sax, Flute, Vocoder, Rhythm Boxを、Guy Marc Hinantがe-Piano, G, Vo, Xylophone, Percを担当しており、ゲストとしてStephan BarberyがGで、Antonin ArtaudがVoで参加しています。Pseudocodeとしては、本作品の前に”Potlach Music vol.1とvol.2をカセット(最近、CDとしてリイシューされてます)で出していましたが、LPとしては ファーストアルバムになります。先程、「インダストリアル・シーン」と言いましたが、本作はThrobbing GristleやCabsなどのインダストリアル・グループのポップな成分を抽出したかのようなアヴァン・ポップな曲から成り、適度に実験的要素を含んだ意欲作となっています。Allan Neffeがレーベルでやっていた/やっている(最近、vol.26がCDでもリリースされた)国際コンピレーションシリーズ”Insane Music for Insane People”ではヨーロッパを中心に数多くの参加者がいましたが、彼自身はノイズ・ミュージックよりも前述のように捻くれたアヴァン・ポップなものを好んでいたようです。本作品でも、スロー〜ミドルテンポのRoland TR-606と思われるリズムマシンとミニマルなベースラインに加えて、ポリシンセのコード演奏やフリーキーなサックスが上物として絡み、そこにXavier Sの粘っこいヴォーカルが被ると言った構造から成る曲が多く、エレクトロニクスによる”アーバン・ブルース”としても聴くことも可能です。それはテクノ・ポップとは別次元の音楽です。なので、万人にお勧めはしませんが、ベルギーの電子音楽/アヴァン・ポップに興味のある方は是非とも聴いてみて下さい。個人的には、このアルバム本体よりも、コンピなどに収められてる曲の方が好みです。 “Simulation (To the Blue Eyed Boy” https://youtu.be/LJO1PS62ov8 “The Brightness of Love and Illusion” https://youtu.be/uJnT4xWY2BI #Pseudocode #Europa #InsaneMusic #AllanNeffe #Belgium #Avant-Pop #Alternative #ElectronicMusic
Alternative, Avant-Pop Pseudo Records / Insane Music 不明Dr K2