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昭和コミカルムード歌謡「おさけ」。和製「テキーラ」ジョージ山下とドライ・ボーンズ
なんとかかんとか言いながら/みんな呑んでる酔っている/人間様の好きな水/素晴らしい水だよ/おーさーけ/キチガイ水だよ/オーサーケ と1966年のドライ・ボーンズは歌うわけです。古今東西に蔓延するウンザリするようなアルコール讃歌か、吐き気がするほど多いですね、その手の楽曲は。しかし面白い、実に人懐っこく、ポップかつキャッチー、ちょっと忘れがたいほどの大衆性といいましょうか、ヒットしても良かったんじゃないですかねーこれは。他のコーラスグループも唄っていますが。世界的スタンダード「テキーラ」をベースに、それを日本に置き換えただけの発想で作られたのは明白、一聴して大笑いですが、そこがまた愛おしい。とにかく人生において、スキさえあればアルコールにありつきたいと願う健気な酔漢たちを歓喜さすのに十分な非常に愉しい一曲です。
ディープ歌謡 7" Single コロムビア揖斐是方
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I'm the only one around/kan mikami
で、これがその傀儡イカサマ楽曲をアルバム・タイトルに据えた一枚で、しばらく前にアメリカでアナログ発売されたものです。オリジナルは日本国でのインディーズCDのみで1990年前後に出たのだったか、とにかく実売数は数百枚にも達しなかったはずです。オリジナル発売元のレーベルが崩壊し、権利をアメリカのアンダーグラウンド・レーベルが獲得した結果、これも「全米発売」笑されたという運びですが、アイダホやニューハンプシャーやユタや、その他どこでもいいですけれど、こういうものを買って持っている者など誰一人いやしませんて大笑い。せいぜい都市部のカルト・マイナー物好きな若者が、多く見積もっても数十人くらいでしょうかね、所有者は。だいたい日本語で歌っているレコードを、流行りのシティーポップでもないのに外人が購入するわけもありません。まあ、セールスなど別にどうでもいいのですけれども。若い頃自分が書いた楽曲が、アメリカでレコード化されたという事実に対しても20,30代であれば、欣喜雀躍の態だったかもしれません。しかし加齢とは、歓喜も感激も著しく摩滅させるものなのですな。感情の起伏は死者の心電図のように、いかなる変動もしませんでした。
アングラ・フォーク LP、アルバム 普通揖斐是方