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HD-3D (後期型)
ホッチキスの3号針 といって、すぐお分かりになられる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。 すぐお分かりになられる方は、3号針を実際に使ったことがある方でしょう。しかし、最近は高性能なホッチキスが登場しているので、3号針を使うような大きなホッチキスを所有することも、実際に使うことも少なくなってしまったかもしれません。 普段使っている10号針より2㎜ほど幅広く、針の太さは0.2㎜太い0.7㎜。 10号針よりちょっぴり大きく太い針。数字上では大した差ではないように見えますが、実物ではやたらと太く丈夫に見える3号針を使用する『HD-3D』という卓上ホッチキスのご紹介です。 新聞紙程度厚みの用紙を最大80枚(№3-10㎜針使用時)まで綴じることができます。 外 寸 / H53×W71×D261(㎜) 質 量 / 725g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 60㎜(最大) 使 用 針 / №3 または №3-10㎜ 職員室の片隅にあった印刷室で、輪転機、断裁機そして大き目の卓上ホッチキスとしておかれていたのが『HD-3D』。私と同年代くらいの方であれば、学校行事で出かける旅行や工場見学の際に作った「しおり」を綴じる際に、この『HD-3D』を使っていたのではないでしょうか。 ホッチキスを操作するのは先生の役目だったので、当時は実際に動かすことはできなかったのですが、ホッチキスの置き場所を知っていた私は、取りに行ったり返却する役目を任されていました。ホッチキスを運ぶたび、自分では綴じ作業をすることが叶わないこのホッチキスを自分で所有するんだと誓ったものです(笑)。 1971年に登場した『HD-3D』は、2002年ごろまで製造されました。 その後は後継機となる『HD-3DE』が2019年ごろまで作り続けられ、現在は、『HD-3DEL』とモデルにバトンが受け継がれています。 1965年10月1日に制定された日本工業規格(JIS規格)で定められた JIS S 6035 ステープラ JIS S 6036 ステープラ用つづり針 これらの規格に基づいて作られた3号針および3号U針を使用して使えるホッチキスとして作られたホッチキスが『HD-3D』です。 ここでは、規格の詳細などは省かせていただきますが、 『HD-3D』は3号Uの規格に沿って作られており 足の長さが6㎜の 「№3」針 を用いて 2~30枚 までの綴じ能力 足の長さが10㎜の 「№3-10㎜」針 を用いて 30~80枚 までの綴じ能力 があります。 ちなみに、この「3号U」という規格の「U」とは、Universalの略で、足の短い針(3号)および足の長い針(3号U)を兼用して綴ることができることを表しています。 『HD-3D』には、3号Uの規格に沿って作られたことを示すように、本体側面部分に商品名とともに3号Uの文字も刻まれています。 また、マックスさんで取り扱われている『№3-10㎜』の針ですが、JIS規格の3号Uの規格に沿って開発・認定をとられている商品です。商品名に関しては企業側で自由に付けられるそうで、マックスさんでは、針の長さが長いことをより分かりやすく示すように3号U規格の針の商品名を『№3-10㎜』とされているそうです。 針装てんの際には、本体後部にあるスライダのツマミ引っ張ります。ツマミを引っ張ることでプッシャを引き出すと、最大2連(100本)の針を装てんすることができます。 ここで、ネックとなるのが針の使い分けでしょうか。6mm足の針と10㎜足の針を綴じるものの枚数によって使い分けなければなりません。 使い分ける目安は30枚ですが、これはかっちり30枚で使い分けなければならないというわけでもありません。用紙の厚みなどにより25枚~30枚の範囲内で使い分けると良いでしょう。例えば、少し厚めのコピー用紙27枚を綴じるのであれば10㎜針を使っても問題ありません。ただ、紙の裏側にあまり針を見せたくないというのであれば、6㎜針を使う選択肢もあります。 ただ、注意していただきたいのは、コピー用紙程度の厚さの用紙を20枚以下の状態で綴じようとするとき、決して10㎜針を使わないでください。 用紙の裏側で折り返された針が再び用紙を貫通し、金属の芽が生えたかのように用紙の表側に針が貫通してしまうからです。こうなってしまうと、けがの要因となってしまうばかりか、再び貫通した針がホッチキスの本体に損傷を与えてしまう可能性も出てくるからです。 3号針のホッチキスは、本体が通常のホッチキスよりも大きく、また、価格も高く、使い分ける針の種類もあることから、多くの人から見ると中々扱いづらいホッチキスなのかもしれません。加えて、先にも述べたように高性能のホッチキスが登場している昨今では、ますます3号針を使うホッチキスも存在感が薄くなってしまってきているかもしれません。 1999年に購入したこの『HD-3D』ですが、昨年ネットオークションで購入した古い『HD-3D』と比べてみたところ、ハンドルの形状や台座のデザインなどが異なっていました。『HD-3D』の改良のあゆみがどのようなものか確認は取れていませんが、製造されていたおよそ31年の間に、少なくとも1度は改良が加えられていることがわかりました。古いモデルの方もいずれ紹介させていただきますので、HD-3Dに関してご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントを下さい。もちろん、これで旅行のしおりを作ったなどの想い出なども大歓迎です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-3D マックス株式会社栗下 智
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★ Vaimo11 FLAT
出張移動中のマックス社員が遭遇したことがきっかけでした。 新幹線の中でスーツ姿の女性が卓上ホッチキスを使い、肩で息をしながら何冊も冊子を作成する場面。 これまでの標準的な小型ホッチキスが綴じられる枚数は20枚まで。それ以上の枚数を綴じるときには大きなホッチキスが必要となります。30枚程度までであれば手でも握れるタイプのホッチキスもあるのですが、それ以上ということになれば大きな卓上ホッチキスしかありませんでした。 コンパクトでありながら、今まで以上に厚い書類を綴じられるホッチキスを実現するために、既存の針と既存のホッチキスの改良……ではなく、ホッチキス本体のみならず針から作り変えることで、40枚までの書類を片手で綴じられるホッチキスが誕生しました。それがマックスの『Vaimo11 FLAT(バイモ イレブン フラット)』です。 外 寸 / H68×W30×D107(㎜) 質 量 / 165g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 28㎜(最大) 使 用 針 / №11 通常のコピー用紙程度であれば最大40枚まで綴じることができます。 今までのホッチキスでは20枚まで。それ以上では、3号針を使うホッチキスを使って30枚まで。さらにそれ以上では、3号Uという針を使えるホッチキスを使います。 因みに、3号Uに対応しているホッチキスでは、3号針も使うことができますが、25枚未満の書類を綴じるときは3号U針ではなく3号針を使う必要があります。綴じる枚数に応じて3号針と3号U針を使い分ける必要があります。 ■ 全てを1から作り直したホッチキス 2枚でも40枚でも。コピー用紙40枚までの厚みであれば、枚数を気にせず使えるように新たに作られた11号針という新規格の針。ハンディタイプのホッチキスで40枚まで綴じられるように『Vaimo11 FLAT』は、本体のみならず針から作り変えました。 11号針は、今まで使っていた10号針と針の太さは変わらないものの、幅は2㎜広く、針足の長さは1㎜長くなりました。 10号針より一回り大きくなった11号針を収めるために大きくなったホッチキスマガジン。そして、この針を紙の厚みに負けないように確実に打ち出すためにマガジン周りにも工夫が凝らされています。 ・針を確実に送り出すプッシャ 針を送り出すプッシャには金属のプレートで補強 針の残量にかかわらず正確に押し出すための2重のばねを備えたプッシャ 強く押し出すプッシャに負けないように針をそろえるガイドレール ・正確に針を押し出す 40枚の紙に打ち負けない倍力機構 針をしっかり押し出すために、針の両肩をしっかり保持するオニバドライバ 最後まで紙にしっかり打ち込む針を垂直に保持するステープルホルダ ・正確に折り曲げる2段クリンチャ機構 打ち込まれる針は書類の厚みによって変わります。 2枚の書類はほぼ真上から、40枚の書類では斜め方向から針が打ち込まれます。そんな違う角度から打ち込まれた針を正確に折り曲げるため、針を受け止めるクリンチャの溝は2段階の受け面で確実に折り曲げます 3号針のように太い針の方が紙の抵抗に負けずに打ち込めるように思えますが、10号針と同じ太さを採用した11号針は、打ち込む際に紙から受ける抵抗を軽減させる効果もあります。 2枚も40枚でも迷うことなく、軽い力で倍も(バイモ)綴じられる。 2008年、全てを1から作り直した『Vaimo11 FLAT』はVaimo11シリーズの第1弾として誕生いたしました。 一般的な10号ホッチキスと比べるとやや大きくなり、そのぶん重さもあるホッチキスですが40枚もの厚さの書類を場所を選ばずに片手でも綴じることができるのは、大きなメリットです。 加えて、コピー用紙40枚までの厚みであれば2枚でも40枚でも針を変える手間が必要ありません。 机の引き出しに入れて置けば、どこでも、厚さのある書類でも手軽に綴じることができます。作業性がとても高く非常にありがたい1台です。 #マックス #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス バイモ11フラット マックス株式会社栗下 智
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★ パワーラッチキス(SL-MF55-02)
今ではよく見かけるようになってきた「フラットクリンチ」タイプのホッチキスですが、10号針と呼ばれる普段一番よく使われる針を用いて最大何枚の紙を綴じられることができるかご存知でしょうか? 日本で一般的なホッチキス針である10号針を用いて、一般的なコピー用紙(64g/㎡)を綴じようとするとき、最大で綴じられることができる枚数は32枚です。 一昔前は10号針のホッチキスといえば最大20枚の用紙を綴じられるもの。でしたが、フラットクリンチができるようになってから10号針を用いたホッチキスが綴じられる枚数の限度が徐々に増えてきました。現在の10号針ホッチキスの最大とじ枚数である32枚綴じを初めて実現したのが、今回紹介のコクヨのフラットクリンチホッチキス『パワーラッチキス(SL-MF55-02)』です。 外 寸 / H64×W29×D80(㎜) 質 量 / 93g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 25㎜(最大) 使 用 針 / №10 通常のコピー用紙程度であれば最大32枚まで綴じることができます。 本体を上から眺めると、直線的なデザインが多く幅広で大きく見えるホッチキスですが、同種とのホッチキスと比べると、実は大きさにはそれほど違いはありません。 直線的なデザインは、作業中に立てて置くことができ、作業を邪魔せずコンパクトに置いておくことができる特徴もあります。 ■ ともかく「軽い」 業界で初めて32枚綴じを実現した『パワーラッチキス』ですが、初めは28枚綴じとして登場し、改良を短期間で加えた後、業界初の32枚綴じとして再登場しました。 2013年2月 最大28枚綴じ パワーラッチキス(フラットタイプ)が発売。 2013年11月 最大32枚綴じ パワーラッチキス(SL-MF55-02)が発売。 『パワーラッチキス』は業界初の最大32枚綴じホッチキスであるということ以外にも、とても「軽い」ホッチキスであるという特徴があります。 『パワーラッチキス』でも採用されている「フラットクリンチ機構」と、32枚もの用紙を綴じるために採用されている「軽とじ機構」は、それぞれの機構を実現するために部品点数が多くなり、総じて質量が重くなってしまいます。同様の機構を持つ他社のモデルは100g以上となってしまいましたが、『パワーラッチキス』は100gを下回り、針を装てんしていない本体のみの重量は90gしかありません。加えて重心バランスも低くなっており、持ちくらべてみると実際の数字以上に軽く感じられることでしょう。 また、紙を綴じた際の感覚も非常に軽やかです。今までのフラットクリンチホッチキスが「うるさい」とか、「固い・重い」とか感じられている方がいらしたら、ぜひ一度このパワーラッチキスで綴じ比べてみていただきたい。 とても「静か」に「すっ」と針が入っていく様に驚かれることかと思います。 持っても「軽い」綴じても「軽い」 今までの「重い」ホッチキスは何だったのだろうかと思うことでしょう。 ……と、書き並べてみましたが、人の感覚は難しいもので、これまでホッチキスに深く慣れ親しんでおられた方からは「軽く」針が入る様は一概に喜びにはならないよう。「静かすぎて綴じた感覚に乏しい」という使い慣れた人には物足りない感覚というものも生み出してしまうことも。 さらに加えて申せば、このホッチキス「軽さ」との代償に「強い衝撃には弱い」という弱点もあります。 作業中に度々机の上からホッチキスを落とす小生にとっては、強い衝撃を与えることはよくあること。このホッチキスを4、5度落としてしまったときでしょうか、書類を突き抜けた左右の針が均等に入っていないという状況に気付きました。 他社のホッチキスでは上部のカバーの内側に金属製のハンドルという大き目な部品が入っているのですが、このパワーラッチキスにはそれがありません。 厚目のプラスチック製ハンドルカバーと、金属製の大きい稼働アームとそれをつなぐ補強材がハンドルの役目を果たしています。 この稼働アーム、補強材が入っているため縦方向の力には強いものの、横方向の力には脆弱な構造となっています。 落下という強い衝撃が与えられた際、ハンドルが開き、横方向の力がより加わりやすくなってしまったのでしょう。 1度目の落下では気付かぬほどの歪みだったものが、2度3度の衝撃が加わり、歪みに気づかぬまま使い続けることでフレーム自体が捻じれてしまった。フレームが捻じれたのものを使った結果、針を押し出す力に偏りが生じ、綴じたときの足の状態に変化が生じてしまったものと思われます。 他のホッチキスと比べて強い衝撃に弱いのは、他のホッチキスとは異なる構造に一因があるのではないかと思います。しかし、これによって得られた「軽さ」という武器。他にはない「軽さ」と「堅牢性」を天秤にかけるとき、より重視するべきはどちらか。これは使い手であるユーザーさんに委ねたいと思います。 ・今まで使っているフラットクリンチの「音」と「固い打ち心地」、そして「本体の重さ」にご不満のある方 ・30枚以上の用紙を綴じたい方 そんな方にオススメの一台です。 ちなみにツートンカラーモデルも追加されておりますので、可愛らしいカラーに興味のある方は是非ツートンカラーモデルもお探ししてみてください。 ただし、強い衝撃には要注意。机の上から落とさないようにくれぐれもご注意を。 (1度机の上から落とした程度で直ぐに壊れることは無いと思いますが) #コクヨ #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス パワーラッチキス コクヨ栗下 智