-
ムゾー産エメラルド "Gota de Aceite"(無処理) 0.698ct
GIAの「GEMS & GEMOLOGY」によると、"The finest and rarest emeralds"は、時に"gota de aceite"と呼ばれる光彩が見られるようです。 これは、結晶内部に見られる成長線であり、結晶が育つ過程でエメラルドに含まれるCrが多い場合、成長を阻害するためにできるようです。 さて、"gota de aceite"はスペイン語で、"オイルの雫"の意です。特別に濃いエメラルドに見られる現象のようですが、チボールの濃いエメラルドには中々見られず、ムゾー、またはザンビアの濃いものにごく稀に見られるようです。 光彩は"gota de aceite"または"Mariposa"、蝶の羽根と言われることもあります。 エメラルドはほぼ100%、オイルによる含浸処理がされます。しかしこの石は、含浸処理されていない、成長線による光彩をはっきりみることができる、Gota de Aceiteと呼んで差し支えないものだと思います。 鉱物名:ベリル 宝石名:エメラルド"Gota de Aseite"(無処理) 組成:Be3Al2Si6O18 重量:0.698ct 産地:Muzo Mine, Western Boyacá, Boyacá, Colombia 鑑別:GIA、日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2021年shm
-
チボール産エメラルド(0.266ct、GIA:NONE & Inconclusive)
国内ではAGL所属団体等が記載するエメラルドの処理の記載方法は、大まかには以下の3種類です。 ①透明剤の含浸の痕跡は認められない ②通常、透明剤の含浸が行われている ③透明剤の含浸が行われている ここで①を出す場合、FTIR検査といって、より高度な分析機器を用いる検査が必要です。なので、通常、エメラルドを鑑別に出した場合、鑑別書には②または③のコメントが入ります。 ②、③の違いは、通常の検査過程で含浸の痕跡が分からなかった場合は②、含浸が明らかな場合は③です。ノンオイル以外、ほとんどの場合、③で出すのではないでしょうか。 国内に対し、GIAではエメラルドの分析レポートで、以下の分類のとおり記載を分けています。 ①NONE ②NO INDICATIONS OF CLARITY ENHANCEMENT ③F1 "MINOR CLARITY ENHANCEMENT" ④F2 "MODERATE CLARITY ENHANCEMENT" ⑤F3 "SIGNIFICANT CLARITY ENHANCEMENT" この内、無処理であるノンオイルは①または②で、含浸されている場合、含浸の程度によって③〜⑤のいずれかが記載されます。 私が高価なエメラルドを取り扱う店にて見てきた中で、一番よく見かけたのは③です。とても良い、濃い発色をしたコロンビア(恐らくムゾー産)のもので、マイナーオイルと謳われ販売されていた複数のピースのGIAレポートには③の表記がされていました。 では、①、②の差は何か。この表記は誤解を招きやすいですが、エメラルドは、どのようは場合であってもそのカッティングの際に研磨剤にオイルが用いられます。そのオイルが、石の表面のフラクチャー(キズのようなもの)から中に染み込んでしまったものを検査した場合、これは③〜と出ます。 ②は補足説明に"No or insignificant clarity enhancement"と記載されています。直訳すると、"無処理または僅かな処理"、この"僅かな処理"が引っかかるところです。しかし、前述の通り、エメラルドはカッティングにおいて必ずオイルが用いられますので、「検出されてない僅かなオイルがあるかもね〜」程度の意味で捉えておくことがポイントと考えます。検出されていない僅かなオイル、これは表面に僅かでもフラクチャーが存在し、そこからオイルが検出されなかった、と理解しています。 では①は何か。これは表面にフラクチャーが存在しないエメラルドになります。「キズのないエメラルドは存在しない」と言われますが、本当にキズのないエメラルドについて、GIAではその証明が可能ということになります。表面にフラクチャーがないので、含浸しようがない。研磨剤にオイルが含まれようとも、内部に染み込みようがない、そんな「存在しない」はずのキズのない完全無欠のエメラルドです。意識して探さなければ見つけることは不可能です。 さらに、GIAを含む、産地同定サービスを実施する鑑別機関は、その手掛かりとして、成分、内包物等様々な要因を、自機関で所有する複数のサンプルストーンと比較して「この産地のものと一致するね〜」と意見を出します。産地同定は難しく、先駆けであるGübelinの検査が最も信頼されています。GIAも信頼性は高まりつつあるようですが、Sotheby's等の伝統的なオークションではGübelinやSSEF等の鑑別でないとダメと言われます(ダイヤモンド鑑定は除きます。)。 GIAでは産地が分からなかった場合、Geographic Origin欄の記載は"Inconclusive"、不明、となります。なぜ不明なのか、それは手掛かりとなる内包物が無い場合に、そういった記載になる事があるようです。 この石は、GIAで産地不明と出た、ノーインクルージョン、ノーフラクチャー(無傷)の、チボール産の石です。日独宝石研究所に提出したところ、鑑別書の拡大検査の項目欄に、内包物の記載が無く「成長線を認む」のみが記載されています。さらに日独宝石研究所では、サンプルストーンと成分で一致するものがあったのか、鑑別書にはコロンビア産と記載されました。その点、日独宝石研究所はGIAより優れていると感じます。 エメラルド自体珍しい石ではありませんが、「キズのないエメラルドは存在しない」と言われる中、このように鑑別されるエメラルドは、国内にどの程度あるでしょうか。 鉱物名:ベリル 宝石名:エメラルド(GIA "NONE" & "Inconclusive") 組成:Be3Al2Si6O18 重量:0.266ct 産地:Chivor Mine, Chivor Municipality, Boyacá Department, Colombia 鑑別:GIA、日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2020年shm
-
トラピッチェエメラルド(含浸処理)1.053ct
割と透明感があり、色の濃い綺麗なトラピッチェエメラルドです。 "トラピッチェ"はスペイン語で、"サトウキビ絞り機"という意味です。六角形の形状が似ているためそのように呼ばれるようになりました。 私はこのエメラルドはコロンビアのムゾー鉱山のものしか見たことがなく、他産のものがあるか不明です。 他のエメラルド同様、トラピッチェエメラルドも例外なく含浸処理されます。当該石も含浸されています。しかし、当該石は若干のクラックが見受けられますがトラピッチェエメラルドとしては色が濃く、綺麗な六角形が見られるため割と上級品と思います。 ➡︎ラベルの組成式が誤っていましたので修正しました。 鉱物名:ベリル 宝石名:トラピッチェエメラルド(含浸) 組成:Be3Al2Si6O18 重量:1.053ct 産地:Muzo Mine, Western Boyacá, Boyacá, Colombia 鑑別:日独宝石研究所
宝石 ネットオークション 2019年shm
-
コンクパール0.389ct
カリブ海の三大宝石のひとつ(他はラリマーとブルーアンバー)。 表面に炎の揺らめきのような模様(フレーム)が肉眼で確認することができ、色むらがほとんどありません。 また、コンクパールは殆どが歪なオーバル状で売買されています。それはそれで、コンクパールの味があって良いのですが、コレクター的には完璧な形状のものを要求したいものです。 当該標本は大きさはないですが、形状は完璧なオーバル状です。このようなコンクパールはかなり稀少です。 近い将来天然物は絶滅の危機に晒されているコンクシェルですが、GIAでは養殖の試みがなされているようです。 宝石名:コンクパール 重量:0.389ct 産地:Caribbean Sea, Colombia 鑑別:日独宝石研究所
宝石 ネットショップ 2019年shm
-
ユークレース(チボール鉱山産)1.091ct
レアストーンコレクターの間ではもはや常識になりつつありますが、ユークレースは劈開が強く非常に衝撃に弱いため、ギリシャ語で"容易に割れる"を意味する"eu"、"klasis"から鉱物学者のルネ=ジュスト.アユイによって命名されました。 「〜石」といった和名はなく、そのままユークレースといわれます。 ユークレースの硬度は7半、ベリルと同じで十分な硬さがありますが、その劈開性がカットを大変困難にしています。カットされた裸石はとても珍しく、また、インクルージョンが大変入りやすい石です。並の宝飾店ではお目にかかることは叶わず、仮にあったとしてもインクルージョンだらけの汚い裸石が大半です。 ユークレースの産地はブラジル、コロンビア、ロシア、ジンバブエ等で、発見はインペリアルトパーズを産するブラジルミナスジェライス州オーロプレートと言われるようです。エメラルド鉱山で産出することが多く、組成もベリルと似ています。 ベリル:Be3Al2Si6O18 ユークレース:BeAlSiO4(OH) 産地別でも特徴があり、例えばブラジル産のものはカラーレスのものやイエローのものが多い、他にジンバブエ産のものは濃いブルーでヘビーインクルージョンのものが多い印象です。 ユークレースの色で多いのは、淡いブルー、カラーレス、イエロー。イエローやカラーレスはよく見かけるところですが、ブルーでクリアーな裸石はあまりありません。 当該石のような、アイクリーンのユークレースで、1ctアップのファセットカットが施されたものはとても貴重だと思われます。産地はエメラルドの一大産地でもあるコロンビアはチボール鉱山です。 鉱物名:ユークレース 宝石名:ユークレース 組成:BeAlSiO4(OH) 重量:1.091ct 産地:Chivor Mine, Eastern Boyaca, Boyaca, Colombia 鑑別:日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2018年shm
-
トラピッチェエメラルド(含浸処理)0.763ct
コロンビア産のエメラルドのみに見られる特徴のトラピッチェ模様。模様にも色々なパターンがあるらしく、よくカボションカットにされています。 当該石はアクセサリーにするにはクオリティは低いです。また、エメラルドなのでやはり含浸処理されています。 鉱物名:ベリル 宝石名:トラピッチェエメラルド(含浸) 組成:Be3Al2Si6O18 重量:0.763ct 産地:Colombia 鑑別:日本宝石科学協会
宝石 ネットオークション 2017年shm