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Cyclolobus oldhami
Species :Cyclolobus oldhami Age :後期ペルム紀チャンシンジアン location:マダガスカル/アンビロブ 引用図(4枚目):“東北大学総合学術博物館” アンモナイトと勘違いする程、複雑な縫合線を持つゴニアタイト。 バクトリテス目以外のアンモノイドは、どの目も本流とは別系統で縫合線を複雑化させたグループがいるけどコイツはやり過ぎ。 下手なアンモナイト目よりも複雑な縫合線を有しており、前期三畳紀にセラタイト目から分化したフィロセラス亜目ウスリテス科のアンモナイトがアンモナイト目の起源なので、時代も先取りしている。 オマケにアンモナイトの始祖タイプであるウスリテス科はこんなに複雑な縫合線を有していなかった。 いうなればオーバーテクノロジー。 しかし本属を頂点に逆行。 退行的進化により縫合線を少し単純化させる。 ビギナーの人からは、縫合線が複雑だからアンモナイトだからアンモナイトでしょ? って声が聞こえて来そう。 正規の博物館ですら、アンモノイドに関する知識を ゴニアタイト型 セラタイト型 アンモナイト型 とかで雑に広めてる悪影響。 正直、この分け方が自体が化石とも言える古臭い因習。 しかしゴニアタイトと他のアンモノイドには明確な違いがある。 セプタルネックという連室細管を構成する器官がゴニアタイトだけ隔壁の前側に付いており、他のは後側に付いてるらしい。 昔の資料ではゴニアタイトは傍流とされ、アゴニアタイト目から直でプロレカナイト目に至る系統樹が見られる。 恐らくこの器官のせい。 比較的新しい海外の系統樹でも色々見かけるから、この辺は色んな説が入り乱れて近年でも定まってないのかな。 個人的にも目レベルでみて、進化の間に挟まる種だけ別の特徴を持ってるのはかなり違和感を覚える。 各種アンモノイドの世代交代サイクルがざっくり5年だとして、数百万から数千万もの世代交代で変化を重ねて産まれる目レベルの形態差。 爺ちゃんがハゲで オヤジがフサフサ白髪で 自分がハゲ とかの親子三代の覚醒遺伝とはわけが違う。 脱線したので話を標本に戻す。 レア度で言えば、収集復帰前は方々探し回ったけど入手できなかった。 復帰後はコンスタントに流通に乗ってる様子。 現状たまたま流通の波が来てるだけという可能性もある。 一過性のもので、1年後には流通が途絶えて入手困難……。 なんて事例もざらにある界隈なので、欲しい方は今のうちに入手する事をオススメします。
化石 2023年11月 ペルム紀Arato510
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Valanginites nucleus
Species :Valanginites nucleus Age :前期白亜紀バランギニアン location:ドイツ/シュテムヴェーデ アンモナイト亜目、オルコステファヌス科のアンモナイト。 こう見えてペリスフィンクテス上科。 ゴニアタイトやセラタイトにも存在する球形フォルムの殻。 頭足類随一の形態的多様性を誇るアンモナイト目に居ないわけがない。 そんなインボリュート(若殻巻きを飲み込んだ巻き)した属種の中でも、この標本は特にキツ巻きでヘソが全くない。 しかし、ヘソがあったり細かく深いリブが刻まれていたりする別形態の個体が同種として流通している。 個体差と言うには差が激しい。 よくあるアマチュアの勘違い浸透現象で、複数の種が同種として扱われてるのだろうか。 それか、ペリスフィンクテス上科なので性的二形を形成する属種なのかもしれない。 ※性的二形=雌雄で別の形態をとる種 鉄球の様なこのフォルム。 私がフランス在住時にハマっていた、ペタンクという鉄球を投げるスポーツをやる度にこのアンモナイトを思い出していた。 ※ペタンク=ビリヤードっぽい感覚でプレイするスポーツとゲームの中間的なカルチャー。 それ程、質感・サイズ感共に鉄球っぽい握り込む手に馴染む形態アンモナイト。
化石 2014年頃 ジュラ紀Arato510
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Syringonautilus sp.
Species :Syringonautilus sp. Age :前期三畳紀オレネキアン location:東ティモール/ボボナロ ノーチラス目トリゴノーチラス上科の仲間。 現生オウムガイの属するノーチラス上科を生み出す重要な属。 小型標本しか見かけないので、属全が小型種小だと思われる。 進化の節目は大抵、代謝が高く世代交代の早い小型から起こる。 などと素人のくせに偉そうな知ったかぶりを吐いたけど、自分の集めた属種のバックグラウンドを調べる限りその傾向にあるのは事実。
化石 2014年頃 三畳紀Arato510
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Pseudorthoceras knoxense
Species :Pseudorthoceras knoxense Age :後期石炭紀ペンシルバニアン location:USA/ジョンストン シュードオルソセラス目の仲間。 石炭紀の頭足類は流通が少ない。 デボン紀末の大量絶滅からの立ち直りが遅いせいで個体群が少ないのか そもそも世界的に石炭紀の海成層が少ないのか 実は普通に産出するけど状態が悪い産地しかなくマーケットに乗って来ないのか etc......。 まぁ現場に疎い素人マーケットハンターには真実を知る由もない。 そんな中で流通する石炭紀の頭足類は、USA産のオルソ&シードオルソやゴニアタイトが主。 正直、こんなチマいのじゃなくて30cm以上ある様な見ごたえのある標本が欲しい。 でも流通してない(泣)
化石 2023年12月 石炭紀Arato510
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Metacoceras sp.
Species :Metacoceras sp. Age :前期ペルム紀アーティンスキアン location:カザフスタン/アクトべ ノーチラス目タイノセラス科。 中心がゆる巻きになっており、外殻に棘がある。 タイノセラス科は概ね中心が巻いておらず、外殻に装飾のある属種が多い印象。 この標本では観察できないが、更に成長すると緩く解ける。 巻きだけならオルドビス紀~シルル紀のタルフィセラスライクな巻き方をしてる。 巻き方が似ていても、ノーチラス目を生み出したオンコセラス目とタルフィセラス目はオルドビス紀初期に分化しているので系統的にはかなり遠い。 カザフスタンと言えばペルム紀頭足類の名産地! しかし、ゴニアタイトやプロレカナイトに対してノーチラスの産出は少なく、メタコセラスもレア。
化石 2014年頃 ペルム紀Arato510
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Pleuronoceras nodosum
Species :Pleuronoceras nodosum Age :中期デボン紀 location:ドイツ/アイフェル オンコセラス目のノーチロイド。 緩く巻いたヤギ角の様な外殻が保存された良質な標本。 ジュラ紀のアンモナイト、プレウロセラス属に名前が似ているけど全く別系統のノーチロイド、プレウロノセラス属。 とは言ったもののちゃんとした文献が見当たらず、本属の進化系統や分類(科)がよくわからなかった。 ノーチロイドの中ではやたらと流通が多い属だけど、セラーのみなさんは何をもって同定してるんだろうか。 取り合えず古軟体動物の教科書には載ってなかった。
化石 2014年頃 デボン紀Arato510