Contarex Distagon 25mm F2.8
Contarex用の広角レンズです。Contarex用レンズは主な焦点距離において明るい(F値が小さい)ラインと暗いラインの二本立てになっていました。明るいレンズとして35mm F2, Planar 55mm F1.4, Planar 85mm F1.4, Sonnar 135mm F2.8がラインナップされ,暗いレンズとしてDistagon 35mm F4, Planar 50mm F2, Sonnar 85mm F2, Sonnar 135mm F4というラインナップでした。しかし,これらのレンズよりも広角または望遠側のレンズについてはさすがに需要が少ないということもあってか1つの焦点距離に対して1つのF値というラインナップでした。
レンジファインダーのContax用のレンズ(Contax Cマウントレンズ)では広角は(おおよそ)対称型のBiogonでした。しかし,一眼レフでは長いバックフォーカスが必要となるため,Contarexではレトロフォーカス型のDistagonがラインナップされていました。現在では標準ズームの広角端にすぎない25mmもContarexが登場した1960年代は超広角レンズという扱いでした。また,Carl ZeissのレンズはBiogonの時代から超広角は24mmではなく25mmという焦点距離のレンズをラインナップしていて,それは現在まで続いています。NikonやCanonもレンジファインダーカメラの時代には25mmをラインナップしていましたが一眼レフの時代になると24mmになっています。
Contarex用の(当時としては)超広角レンズであるDistagon 25mmはかなり特殊な位置づけと認識されていたのか,明るさ(開放F値)は1種類だけで中庸を狙ったF2.8のものが1963年にリリースされています。前期のクローム鏡筒のものと,後期の黒鏡筒のものがあり,Wikipediaによると両者をあわせて6,630本生産されたということです。Alpaのレンズを見ていると十分に多い数字に見えてしまいますが,Zeissが自前のカメラ事業から撤退した1973年までの約10年間の生産数とすると,平均して1年に660本あまりしか生産されておらず,工業製品としてみるとその生産数は非常に少ないと言えます。実際,超レアというほどではないにしても,十分にレアな部類に入るレンズだと思います。
手元の個体は写真に見る通りクローム鏡筒の前期型で,最短撮影距離は17cmでほとんど広角マクロとして使えるレベルの近接能力をもっています。寄れる,ということは撮影の幅が広がるということで使い勝手がよいレンズです。しかし,古い時代の広角レンズにありがちな周辺光量落ちや逆光耐性の低さは普通にありますから,これらの要素をレンズの味として楽しめなければ使いにくいかもしれません。
このレンズによる作例は
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に置いています。
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