Alpa Retrofocus 24mm F3.5
AngenieuxはAlpaカメラ用レンズの主要な供給元でした。この24mm F3.5はAlpaの純正レンズとしてはもっとも広角でした。エグザクタマウント用のType R51やR61と同等の光学系を持つと思われます。また,エグザクタマウント用と同様に絞りはダイアル式で,クローム鏡筒の前期型,黒鏡筒の後期型があります。
Angenieuxはレトロフォーカス型のレンズを最初に製品化したメーカーとしてたいへん有名です。最初に35mm,その後,28mm, 24mmの一眼レフ用レンズをレトロフォーカス型でリリースしています。一眼レフカメラのミラーを避けるためにレンズは長いバックフォーカスが求められますが,広角レンズにおいて長いバックフォーカスを確保するために逆望遠型の光学系としたものがレトロフォーカス型です。レトロフォーカスという語は本来はAngenieuxのレンズの固有名でしたが,逆望遠型光学系を表す一般名詞として使われるほどレトロフォーカスという名は広く知られています。言ってみれば,ホッチキスやゼロックスみたいなものでしょうか。Angenieuxはレトロフォーカスという商品名を商標登録しなかったことを悔やんでいたとどこかで読んだことがありますが,真偽の程はよくわかりません。
Alpa用にAngenieuxが供給した広角レンズは24mmのほかに28mmがあり,ほとんど同じ外観です。しかし,24mmのほうがより生産数が少なく,クローム鏡筒,黒鏡筒あわせて1200本足らずだったようです。この個体は距離指標がフィート表示ですが,メーター表示の個体も存在し,それはよりレアだということです。
Alpa用レンズの多くはフィルターが専用の嵌め込み式で,専用の純正フィルタの中古品を見つけるのは難しいいうえにやたら高価です。そのため,普通のステップアップリングの雄ネジ部分を少しヤスリで削ってレンズのフィルタ枠に嵌め込んで,ねじ込み式のフィルタが使えるようにしています。最後の写真に62mm径の保護フィルタを取り付けた例を挙げています。実用的にはこれで問題はないのですが,このようにすると,今度は純正のキャップやフードが取り付けられないためそれはそれで不便です。
Alpaはどこまでいっても不便さを楽しむ気持ちがないと使えないシステムなのかもしれません。しかし,たとえどんなに使いにくくてもどうしても使ってみたいレンズがたくさんラインナップされていることも事実でなんとも罪深いカメラ・レンズたちです。
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