クリストとは?

1935年ブルガリア生まれの美術家。
妻のフランス人美術家、ジャンヌ=クロード(2009年没)とともに「クリスト&ジャンヌ=クロード」の名で活動している。

1958年パリで物体を布で梱包した作品によってデビュー。以来,対象を包む,視界を遮るということを仕事の基本としてきた。60年代後半より,対象のスケールを巨大化し,公共建築の梱包,谷間に布を張りわたす《バレー・カーテン》(1972),野外で数kmにわたって幕をはる《ランニング・フェンス》(1976)など巨大空間の視界の遮断の計画を次々と実現した。

規模の大きさ、実現までの長い交渉にもかかわらず、ほとんどの作品は2-3週間で撤去される。観賞者はスケールの大きさと突如現われる見慣れぬ風景に驚愕し、瞬く間に消滅することに名残惜しさを感じ、その過程全体がアーティストによる作品だという事実に脱帽する。

日本では1991年10月、茨城県で「アンブレラ、日本−アメリカ合衆国、1984-91」(通称「アンブレラ・プロジェクト」)が行われた。これはアメリカのカリフォルニア州と合わせて3,100本の傘をいっせいに開くというプロジェクトで、太平洋をはさむ両国の谷間地域の生活様式や風土の相違点・類似点を浮き彫りにすることが狙いであった。2,600万ドルに及んだと言われる費用は、それまでのクリストのプロジェクトと同様、自身のドローイング、コラージュ、ペインテッド・フォトグラフ、スケール・モデルなどの売却によってまかなわれた。

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フェンス、あるいは過去と未来の境界線。リム・ソクチャンリナは隆盛著しいカンボジア経済への警鐘を鳴らす

自然の中に唐突に置かれた1枚のフェンスを捉えた写真。作者はカンボジア生まれプノンペン育ちのアーティスト、リム・ソクチャンリナ(Lim Sokchanlina)さん。シンガポール・ビエンナーレをはじめ様々な展覧会からオファーを受ける彼は現代アートシーンにおいて今最も注目を浴びる若手アーティストの1人と言えるだろう。

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