「機械式時計」という名のラグジュアリー戦略とは?

クオーツショックによって一時は大打撃を受けたスイス業界が、どのような歩みを経て復活を遂げたのかに迫った一冊。日本製のクオーツ時計が世の中に出てきた時に、スイス勢はどのように考えていたのか。なぜスウォッチグループという一大グループが多様なブランドを吸収してきたのか。スイスだけでなく時計史のことがよくわかる内容になっている。

スイスの時計をどうラグジュアリー分野に押し上げたのかという「ブランディング」の話に加え、それに向かうための生産体制の再編について触れていることもこの本のポイントになるだろう。もともと、時計は家内製手工業で作られるものだった。ただ、急速にグローバル化していく(=クオーツ時計が世界中に普及していく)時代に産業として保っていくためには、それなりの生産体制と流通網を構築しなければならなかった。表面的なブランディングに終わらない、泥臭い話が盛り込まれている。

一度衰退仕掛けた地場産業を復活に導いたという点で、時計愛好家はもちろん、マーケティング担当者や地域産品に携わっている人にも手に取ってみてほしい。

RECOMMEND

見るべきはケースコンディション?ケアーズで初めてのアンティーク時計を選ぶ_image

見るべきはケースコンディション?ケアーズで初めてのアンティーク時計を選ぶ

初めてのアンティーク時計選び。デザインだけで選んでいいの?コンディションはどう判断すればいい?実用品として末長く使えるアンティーク時計を選ぶコツを「CARESE」の石川さんに聞きました!

ファンの力を結集して作った時計が話題に。実直にモノ作りの道をゆく若き時計製作師。_image

ファンの力を結集して作った時計が話題に。実直にモノ作りの道をゆく若き時計製作師。

時計を裏から見て幸福な気持ちになるのは僕だけだろうか。いや、機械好きの多く(特に男性)は魅了されているに違いない。
シースルーバックと呼ばれる裏が透ける構造になった時計を見ると、複雑に入り組んだパーツがどのように動くのか? 探求したい気持ちで心躍ってしまう。あるいは一つ一つ磨きによって手間が掛けられた微細なパーツを見て惚れ惚れしてしまうという方もいるだろう。
今日お話を伺うのは、そんな時計を自らの手で作り、自らの手で磨き挙げる時計製作師の牧原大造氏。日本でも稀な“時計製作”と“時計彫金”の2足のわらじを履く職人さんだ。

そもそも時計師という職業は2つの職人が存在する。一つは主に修理を行う人、そしてもう一つは時計を製作する人(一般に独立時計師という)。今回ご紹介する牧原氏は後者に近い。

仕組みで選ぶ機械式時計。自動巻き時計と手巻き時計のメリット・デメリットとは?_image

仕組みで選ぶ機械式時計。自動巻き時計と手巻き時計のメリット・デメリットとは?

精度や取り扱いのしやすさならば機械式時計よりもクオーツ時計の方が優っている。それにもかかわらず機械式時計が人々に愛され続けているのは、チクタクという時計の音に耳をすませたり、自分の手で毎日ゼンマイを回すという持ち主と機械の関わり合いが存在するからではないだろうか。

この記事では機械式時計の機構にスポットライトを当て、自動巻きと手巻きそれぞれの仕組みやメリット・デメリットを見ていきたい。

スーツ・ジャケットの知識が深まる書籍まとめ_image

スーツ・ジャケットの知識が深まる書籍まとめ

ジャケットにまつわる知識を深めることで、自分に合ったジャケット探しやオーダーをする際の糧となってくれることもある!知るほどに面白い、ジャケットへの好奇心を刺激してくれるオススメの書籍と雑誌をご紹介。