田口行弘とは?

田口行弘(たぐち ゆきひろ・1980年生まれ)は大阪府出身の芸術家。
2004年に東京芸術大学美術学部油絵科を卒業後、2005年よりドイツ・ベルリンを拠点に、アジアやアフリカなど世界各地で活動している。
創作をする土地に赴き、その場に元々ある特有の素材(廃物の場合もある)を用いながら街中やギャラリーでその場に即した即興のドローイングやパフォーマンス、アニメーションなどのさまざまな表現によって作品を制作する「パフォーマティブ・インスタレーション」が話題。また、その様子を撮影し、つなぎ合わせた画像から動画をつくる「ストップモーション」を用いた映像作品も多数制作している。
作品は森美術館や高橋コレクション、香港のMill6 Foundationなどに所蔵されている。

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変則、逸脱、説明不可能。次の時代をアーティストと創るギャラリーANOMALY_image

変則、逸脱、説明不可能。次の時代をアーティストと創るギャラリーANOMALY

倉庫街だった東品川の天王洲エリアは再開発により、アートの発信地というイメージを定着させつつある。TERRADA Art Complexの4階に、2018年11月、現代アートのギャラリー「ANOMALY」が誕生した。共同代表は山本裕子、浦野むつみ、橋本かがりの3人だ。

興味深い点は、このギャラリーが山本現代、URANO、ハシモトアートオフィスの3ギャラリーの統合により生まれたこと。そしてグランドオープンの展覧会をおこなったのは、3つのギャラリーのいずれにも属していなかったChim↑Pomであったことだろう。

3つのギャラリーが集まって何をはじめるんだ?1992年の伝説の展覧会「ANOMALY」の再来か?

周囲の前のめりな関心をすりぬけ、「ANOMALY」はしなやかな形態で、新たなギャラリーの在り方を目指す。ANOMALYの山本裕子さんと浦野むつみさんに、夫婦で現代アートをコレクションする長谷川一英さんと惠美子さんが話を聞いた。

座談会「これだけは言わせて、日本の現代アート事情」_image

座談会「これだけは言わせて、日本の現代アート事情」

2008年春。活気あるビジネス街丸の内で、次世代を担う7つの若手ギャラリーによる展覧会が開催された。ニュートーキョーコンテンポラリーズと名付けられたそのイベントは好評を博し、同名のアソシエイションとして発足。東京のアートシーンの活性化を目指して活動した。

当時次世代として位置づけられたギャラリーもキャリアを積み重ね、現在はArt BaselやNADA Miamiなどの世界の名だたるアートフェアに出展し存在感を発揮している。1990年代に日本で現代アートの土壌を作ったギャラリストを第一世代とし、彼ら彼女らを第二世代とするならば、さらにその下の第三世代ともいえるギャラリストも出てきている。

今回、ニュートーキョーコンテンポラリーズで活動していた無人島プロダクションの藤城里香さん、青山|目黒の青山秀樹さん、MISAKO & ROSENのローゼン美沙子さん、ローゼン・ジェフリーさんによる座談会を企画。本連載「What is 現代アート!?」モデレーターの深野一朗とともに、日本の現代アート事情ついてざっくばらんにお話してもらった。

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ギャラリーはなくなる?Take Ninagawaが思索する、これからのギャラリストの仕事

名だたるアート・フェアで存在感を発揮する、Take Ninagawa。そのオーナーの蜷川敦子さんは、ギャラリー立ち上げの経緯を「社会的な問題意識や時代背景を共有できる作家と、アートのフレームの中で自分にできることをしたかった」と振り返る。

実際の蜷川さんは、同志ともいえる同世代の作家との横のラインだけでなく、歴史という「縦のライン」も意識し、ギャラリストとしての役割を模索する。

アートの歴史を読み解きながら、作品一つひとつの文脈をすくいとり、マーケットや社会の動きに反応しながら、作家一人ひとりのやり方に寄り添う。そんな蜷川さんに、現代アートコレクターの田口美和さんがお話を聞いた。

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ビデオアーティストCOBRAの原点回帰「言葉で説明できないもの」

ごく普通の世間的主題や美術史を軽妙に取り入れた映像作品を多く発表しているCOBRAさん。アーティスト・ラン・スペース「XYZ collective」のディレクターとしてその名を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか

シュールでユーモア溢れる作品は、鑑賞者をたちまちCOBRAワールドへと引きずりこむ。そのインパクトは日本を飛び越え海外にも伝播し、ニューヨークやチューリッヒのギャラリーでも展示をおこなっている。

直近ではMISAKO & ROSENで加賀美健さんとの二人展「Romantic Comedy」を開催。「アクション」「パフォーマンス」といった美術の形式を取り入れた作品を発表した。近年はアートフェアに囚われるコレクターを揶揄する作品を作るなど批評性にも磨きがかかる。そんなCOBRAさんに今後の展望を尋ねると「原点回帰」と語ってくれた。

COBRAさんの「原点」とはどこにあるのだろう。新たなスタートラインに立とうとしているCOBRAさんに、本企画モデレーターでアート コレクターの深野一朗さんが質問をぶつけた。

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アートが押した感覚のスイッチ。変わったのは「ビルの谷間から見える景色」。

現代アート・コレクターの棟田響さんは、引っ越しを機に「新居の、あの壁を埋めたい」という思いから、最初の一点となる現代アート作品を購入した。

しかし棟田さんが購入したのは青木野枝さんの立体作品。

モデレーターの深野が、思わず「壁、埋まらないですよね!?」と切り込むと、棟田さんは笑って「なんか気に入ってしまって」と答えた。

いい生活をしたい。その気持ちに素直に従い、コレクションという意識もなく集まった棟田さんの現代アート・コレクション。

現代アートが、棟田さんの日常に与えたものとは?アート作品に溢れるご自宅で、お話を伺った。

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Brand in-depth 第3回 MISAKO & ROSENが理想とする「利益=成功に囚われないギャラリー」

近年、誰それの作品がいくらで落札されたというニュースを耳にする機会が増えた。「予想落札価格を大幅に更新」、「史上最高の売上を達成」といった派手な見出しが躍り、今年5月にもアンディ・ウォーホルの代表作『ショット・セージブルー・マリリン』が約253億円で落札され、20世紀に制作されたアート作品では史上最高額となる落札価格だと話題を集めた。

アート市場が活況を呈しているのは事実だ。2021年の世界美術品市場の規模は約7兆9800億円とも言われ、新型コロナウイルス感染が拡大する以前の規模を上回っている。

そんななか、理想とするのは「利益=成功」という概念に囚われないギャラリーだ、と言うギャラリストがいる。夫婦で現代美術のギャラリー「MISAKO & ROSEN」を営むローゼン美沙子さんとジェフリー・ローゼンさんである。これまで「NADA Miami」や「Frieze Art Fair」、「Art Basel香港」などの海外アートフェアへ積極的に参加しながら国内外のアーティストを発信してきた。アーティストとマーケットの間に立つ彼らはどんな思いで活動しているのか? リチャード・オードリッチの作品に囲まれた空間で、ミューゼオ・スクエア編集長の成松が話を聞いた。