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ピース(旧デザイン・10本入)
日中戦争の長期化、太平洋戦争への突入と、戦局が悪化する中、タバコ畑は食糧増産のため転用され原材料が不足することとなりました。結果、タバコ葉代用品として「イタドリ・タマアジサイ」などの葉を混入するに至り、タバコそのものも配給の対象となりました。終戦直前の1945年8月時点での配給量は「大人男子1人1日3本(女性はもとより非対象)」までに減少していました。 空襲によって、日本国内のタバコ工場は半数近くが操業停止に追い込まれていましたが、戦後、生産力の回復と財政収入の確保を期して生産基盤の復興が急がれました。その中で、配給によらない自由販売製品の販売計画が立てられ、「ピース」と「コロナ」が発売されました。いずれも公募懸賞によってそのデザインが採用されましたが、1945年10月という時期にも関わらず、数万点の応募があり、いかに関心の高い出来事であったかがうかがえます。「ピース」はその第2位に入賞したものです。 自由販売品であるゆえに、配給品に比較して非常に高価でしたが大いに歓迎され、発売当日には小売店の店頭には長蛇の列が出来ました。 1946年1月10日~ 7円で発売開始 ・大日本帝国専売局、初期のもの。文字の地色に水色を配する。【画像1】 ・文字の地色を白抜きに改正。【画像2】 1946年7月1日~ 10円へ価格改正 ・日本政府専売局、証票右書【画像3】 1946年12月25日~ 20円へ価格改正 1947年4月1日~ 30円へ価格改正 ・証票左書【画像4】 1947年11月1日~ 50円へ価格改正 1948年7月2日~ 60円へ価格改正 ・文字と意匠の一部を金付印刷に変更【画像5】 1949年6月1日~ ・日本専売公社発足【画像6】 1950年4月1日~ 50円へ価格改正 ☆在庫処理値下げ 1951年4月1日~ 40円へ価格改正 ☆減税措置値下げ 1952年3月31日 意匠改正 ※専売局証票の変更時期は「朝日」の発売時期による推定 ※1946年7月1日の価格改正時の比較では,「光」が売価1円50銭で、「ピース」はその約7倍に相当する [1961 日本専売公社]
シェルアンドスライド(小箱) 関口 重雄(懸賞入選作品) 1952年3月31日 1946年1月10日shirotanino
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コロナ(10本入)
戦後、配給割り当てによらない「自由販売品」の新製品として、「ピース」と同時に発売されました。「ピース」同様に公募によって図案を募集し、「コロナ」は3位に入賞したものを採用しました。戦後で、印刷物資の乏しい中ではありましたが、明るい色調は新時代の到来を思わせるに効果的でした。 「コロナ」は「ピース」と比較して、香料やタバコ葉代用品を用いない良質な銘柄でありましたが「ピース」の人気には及ばず短命に終わりました。その不人気の理由として、「「コロナ」のような強めのタバコに」に「栄養価、特に脂肪分の少ない窮乏した食生活が追いついていなかった」という考察がなされています。その不人気は闇市における交換相場にも表れていたということです 1946年1月10日~ 大日本帝国専売局より10円で発売開始【画像1】 1946年7月1日~ 15円へ価格改正 1946年12月25日~ 日本政府専売局へ証票変更、20円へ価格改正【画像2】 1947年4月1日~ 30円へ価格改正 1947年11月1日~ 50円へ価格改正 1948年3月31日 廃止 【画像3.4】印刷物資が乏しい中の製品であったので、応募原案の明るい色彩を再現することが難しく、仕上がりに赤色系・青色系の偏りが確認できる [1947 清川] [1972 日本専売公社]
シェルアンドスライド(小箱) 斎藤 進(懸賞入選作) 1948年3月31日 1946年1月10日shirotanino