文久三年(1861年)作、手提重 「朝露」

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文久三年作の手提重です。檜葉、菜種、微塵貝を使った「朝露」と言われる変り塗です。重箱の木地の厚さは4㎜程、宝石のような輝きです。160年ほど経った作品ですが、漆が良い塩梅に透けて奥の金箔が伺えます。この頃は輸入漆もなかったので、間違いなく100パーセント国産漆です。変り塗の塗膜は0.2-0.3ミリ程度ですが、この模様にははっきりと「奥行き」というものが感じられ、まるで水中メガネで海の底を覗いているようです。
「御用所様頂戴」と書かれていることから、この手提重が身分の高い人物から贈られたものだということが分かります。しかし、残念ながら「御用所様」というのが幕府の関係者か、小浜藩の重鎮なのかはこの箱書だけでは分かりません。

余談ですが、質素倹約を美徳とする徳川時代では、華麗な若狭塗は一部の公家や武家、裕福な商家で使う調度品のみに扱われました。若狭塗に汁椀などの庶民的な生活道具がないのはそのためです。

文政2年(1819年)小浜藩主酒井忠進,徳川家慶へ若狭塗重箱3組を献上したという記録が「酒井家文書」にあり、家慶が若狭塗を好んでいたことが知られています。

文久2年(1862年)皇女和宮が徳川家に御降家の支度品の塗物はすべて若狭塗で整えられました。

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    YUKIUSAGI

    2022/07/26 - 編集済み

    こんばんはグリーン参るさんお久しぶりです。昔の家具は美しいものが大変おおいですが、値段もそれなりに。です

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      グリーン参る

      2022/07/27

      YUKIUSAGIさん
      こちらこそご無沙汰しております。
      昔の家具はそれなりの身分の方が注文しているので、お金に糸目は付けないかもしれませんね。初音調度のときのようなものが和宮降嫁の際も作られたのなら、とんでもない若狭塗だったことでしょう。
      見たかったなあ。

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      YUKIUSAGI

      2024/03/30

      こんばんはグリーン参るさんお久しぶりです。なるほど。やはりこういた。御用達みたいなものはさわる前からすこし気になりますね。引き出しあけられるかな?とかね。でもしっかりしたかたが作られてるから。長年もつかわれられてるんでしょうね。

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