-
Holger Hiller “Oben Im Eck”
とうとう来ました!Holger Hillerのセカンド・ソロアルバム”Oben Im Eck (オーベン・イム・エック; 「隅っこにある」)”を今回はご紹介します。Holger Hillerのバイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品についてですが、サンプラーをメインに使った、壮大で、ちょっとだけヘンテコな音楽が詰め込まれており、ここら辺からHillerの本領発揮と言うところでしようか。この頃、彼は既にロンドンに住んでいたと思います。それで、今回は、Holger Hiller (Vo, Sampler, Programming, Mandola)の他、後にHillerの妻になるIzumi Kobayashi (Sampler, Programming, Triangle), 前作に引き続きMoritz von Oswald (Drs, Drainpipes, Xylophone)も参加していますが、ゲストにThe AssociatesのBilly MacKenzie (Vo [A1, A3, A5, B5])とKaori Kano (Vo [A4])も参加しています。そして、Mimi Izumi Kobayashi (A2, A5, B1, B5)以外の作曲はHolger Hillerが行っており、作詞は、Die Tödliche DorisのWolfgang Müllerが全曲担当しています。ミックスダウンは、Gareth Jones, Holger Hiller, Mel Jeffersonによって行われ、プロデュースはHolger Hiller自身が行っています。それと、本作品の日本盤が”Hyperprism”と言うタイトルでWaveから出ているのですが、別テイクが収録されており、内容はかなり違う印象とのことです(私は未聴なので、良くは分かりません)。入手して聴き比べてみたいですね。それで、本作品の内容としては、両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “We Don't Write Anything On Paper Or So” (2:51)は、壮大なスケールで描いた映画音楽のような曲で、恐らく交響楽のようなオーケストラの音をサンプリングして同期させていると思いますが、所々でレジデンツ風のパートや女性Voが流れるように浮かぶ部分もあり、伊福部昭の曲を想起しました。 ★A2 “Tiny Little Cloud” (3:15)は、サンプリングされたダブルBの軽快なリズムと生楽器によるコロコロした室内楽的演奏から成る曲で、フェイクなのに本物っぽいところが凄いです! ★A3 “Whippets” (3:20)も、フェイクなオーケストラによる演奏で、そこに中近東風の女性らしきVo(これがMacKenzieの声?)が声を張り上げて歌っている曲です。 ★A4 “Waltz” (4:11)は、表題通りワルツのリズムで、少しだけオリエンタルな雰囲気のある曲で、透き通るような女性Vo(Kaori Kano)とホーン類の音及び中近東民族音楽の打楽器や笛の音をサンプリングして作られたと思いますが、最早、生楽器との差異が分からないです。 ★A5 “Oben Im Eck” (2:31)は、男女の囁くようなVoから成る、非常にゆったりした曲で、リズムはタンバリン風の簡素なもので、男性Vo(と女性コーラス)が、細々と呟くように歌っています。シャンソン風? ★B1 “Warm Glass” (3:57)は、細やかなチェンバロ風とメロディと強力でヘビーなキックに、逆回転する音やE. Neubautenの曲や低音Bやピアノ等のサンプリングの緻密な組合せから成る曲ですが、ビート感は余りありません。 ★B2 “Die Blätter, Die Blätter...” (3:19)は、ブクブ した水音のイントロから始まり、マーチングドラムに、Hillerの呟くような多重録音されたVoと重いキックから成る曲で、印象は1960-1970年代のTV番組、そう!例えば「ジャングル大帝」とかのイメージです。 ★B3 “Sirtaki” (3:10)は、現代音楽風のイントロから始まり、マリンバの旋律/メロディが主たる曲で、しかもその音も左右にパンされています。時にDrsやVlnも入ってきます。Drsはマーチングドラムのパターンです。 ★B4 “48 (Achtundvierzig) Kissen” (3:13)では、マリンバとホーンと民族音楽風の打楽器と弦楽器に声のようなサンプリング音の組合せの中に、レジデンツ風の男性Voが怪しく呟くように歌っています。 ★B5 “Oben Im Eck (Version)” (2:32)では、最初はドローンで始まり、ゆったりとしたリズムで、サンプリングされたタンバリンやアコギらしき音を伴奏に、男女のVoが呟くように歌っており、そのバックのドローンやチェロ等の伴奏を伴っています。 いゃ〜正直、唸ってしまいました。所謂、ポップミュージックではないのですが、本作品に収められているトラックの曲調は、ちょっと昔の映画音楽のようであり、その壮大さに圧倒されます。ちょっとHolger Hillerのことを舐めてました。彼が何故、このような曲調にしたのか?その真相はよく分かりませんが、それまでの実験テクノポップでも無ければ、骨折ファンクでもなく、非常に上手くサンプラーを使いこなしてします。恐らく、Izumi Kobayshiも影響も大きかったと想像します。サンプラーと言うとコラージュ感が強いかもしれませんが、このアルバムでは、サンプリングされた音は自然に澱みなく流れるように結合されており、そのテクは素晴らしいと一言です。また、映画音楽的な壮大さも特筆すべきですね。もし、映画音楽とかオーケストレーションな曲が好きであれば、是非聴いて観て下さい!マスト・アイテム! https://youtu.be/jYkDFdFNr3s?si=Lrc5kHVF-jOZtKCk #HolgerHiller #ObenImEck #MuteRecords #1986年 #SecondSoloAlbum #NeuDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #Sampler #Sampling #Guests #IzumiKobayashi #MoritzVonOswald #BillyMacKenzie #KaoriKano #Lyrics #WolfgangMüller #Wave #Hyperprism #JapanOnly #DifferentVersion
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Mute Records £16.49Dr K2
-
Holger Hiller “s/t”
後にPalais Schaumburgの最初のVo/Gとなり、その後、ソロでサンプラーをメインに使った実験電子音楽の天才と言われるようになったHolger Hillerの最初のリリースが、この7㌅EPなんです。多分、Palais Schaumburg結成前に、自分達の溜まり場でジャムっていたり、セッションしたりしていたものを録音しており、そこからセレクトしたテイクをこの時期に発表しているのではないかと想像します。本EPでは、芸大時代の同級生Walter Thielsch(後にPalais Schaumburgの2代目Voとなります)の他にChris Lunchがサポートで参加しています。Christian Lunch、本名Christian Gregory Ingleで、米国人シンセ・パンク・アーティストで、1979年には、既に米国Fish Ranch Recordsより、Christian Lunch名義で7㌅シングル”Product”を出しています。実は、この人物、Jello Biafraとも関係があって、Dead Kennedysの初の欧州ツアーの時に、Eric BoucherことBiafraとRay PepperellことEast Bay Rayと英国The SoundのAdrian Borland及びMorgan Fisherと一緒にThe Witch Trialsとして、12-㌅Maxi-Single(内容はダーク・ウェーブです)をロンドンで録音しており、それが、1981年にZick ZackとAlternative TentaclesとNew Roseからリリースされているという所で、何となく繋がっているのではないかと想像させられますね。多分その時のZick Zackを通して、本作品にも参加しているのではないでしょうか。まあ、それは置いておいて、本作品をリリースしたレーベルWarning Recordsは後のATA TAKです。と言うことを踏まえて、本作品の各曲を紹介していきましょう。7㌅で45回転なのですが、A面3曲/B面2曲が収録されています。 ★A1 “Ich Kann Nicht Mehr Warten”は、DrsにBらしき音と不穏なシンセのメロディ及びGから成るインストの小曲です。 ★A2 “Ein Ganz Normaler Kuss”は、不明瞭な電子音リズムにHillerの語るようなVoが乗る曲で、途中でヘンテコな電子リズムになったりします。 ★A3 “Dingdonggefühl”は、直線的DrsのビートにフリーキーなGとシンセに合わせて、Hillerが呪文のように歌っています。そのバックでは叫び声なんかも。Voとかにはリバーブ処理も後からしてあるようです。 ★B1 “Herzmuskel”では、単調なリズムマシンと金物Percに合わせて、ピアノやHillerのVoや幽霊のようなシンセ音が聴こえてきます。なお、この曲はPalais Schaumburgの持ち歌にもなっています。 ★B2 “R In S/W”は、レジデンツっぽいシンセのメロディを持ったチープなテクノポップ風インスト曲で、Hillerのルーツの一端が窺い知れます。 短い時間に、Holger Hillerの若かりし頃の音楽性を見事に現している内容になっていると思います。特に、B2はモロThe Residentsで、思わずニヤリとさせられました。それにも増して、他の曲もルーズでありながらもアイデアに溢れていて、興味深かったです。今となっては、本EPは、歴史的価値としての要素の方が大きいかもしれませんが、これを聴いて、また新たな発見がある可能性もありますので、気になる方は是非、聴いてみて下さい!因みに、ジャケは2種類あるみたいです。 https://youtu.be/9t3oD09-DVI?si=pGYaorpGn6VNEeR- #HolgerHiller #Self-Title #WarningRecords #FirstEP #7-InchEP #1980年 #Electronic #SynthPop #Experimental #ChristianLunch #WalterThielsch #Pre-PalaisSchaumburg #ChristianGregoryIngle #USSynthPunkArtist #TheWitchTrials #ZickZack #AlternativeTentacles #TheResidents
Experimental / Synth Pop Warning Records €20.00Dr K2
-
Blässe/EKG/Roter Stern Belgrad “Massa”
レコード棚を漁っていて、掘り出し物を見つけてしまいました。NDW初期にカセットレーベル兼店舗として活動していたKlar! 80/Tapes Klar!が出した、Blässe (ブレッセ), EKG (エー・ケー・ゲー), Roter Stern Belgrad (ローター・ステルン・ベルグラード)の12㌅ミニ・アルバム3枚組段ボール入りと言う、大変なブツ”Massa”です。と言ってもよく分からないかもしれませんが、Blässeは、NDW界のMalcom MacLarenとも言われるXao Seffcheque (クサオ・ゼフチェーク)が組んでいたバンドで、メンバーには、初期Die Kruppsにも加入するEva-Maria Gößling (エファ・マリア・ゲスリンク)もいた訳で、何気に重要なバンドなんです。それでは、それぞれのバンドについて、少し紹介しておきたいと思います。 先ず、Blässeは、Xao Seffcheque (Drs, Synth, Piano), Brigitte Bühler (G), Eva-Maria Gößling (Sax)から成るジャジーな雰囲気のトリオですが、ここでは、Die Kruppsに加入するBernward Malaka (B)も参加しています。 EKGは、Kastner, Medrich, Stoya, Syniugaから成るバンドらしいですが、実は、KastnerことBernd KastnerとSyniugaことSiegfried Michail Syniugaが在籍しており、後のStrafe Für Rebellion (シュトラーフェ・フュール・レベリオン)となり、Staalplaat等から数多くのアルバムを出していくことになります。1990年代半ばに一旦自然消滅しますが、Strafe FRとして、2014年半ばにシーンに復活しています。なお、本作品では、D1とD2にはF. Eltner (Sax)が、D2にはRalf (Vo)がゲスト参加しています。 そして、Roter Stern Belgradは、Rainer Rabowski (ライナー・ラボヴスキー)のソロユニットなんですが、実は、この人物がKlar! 80レーベルの主催者なんです。と言うことは、この3枚組を仕組んだ張本人はRabowskiかもしれませんね。なお、MutterfunkのAlexがE1でDrsで、E2とF1でミックスを、またE2にはChary Morrow(Vo)も参加しています。 と言う訳で、各バンドの各曲について紹介していきたいと思います。 ◼️LP1: Blässe ★A1 “Zitteraal” (2:45)は、狂ったようなNo Waveジャスですね。リズム隊はまだマシですが、Gが狂っており、Lounge Lizardsより酷い(褒め言葉です)! ★A2 “Bora” (4:41)は、複数のDrsとジャズ・スケールのBに、自在なSaxとMars調のGが暴れる痛快な曲です。 ★A3 “No Oberbilk” (2:13)も、シンコペーションの効いたジャジーなBとDrsに、これまた自在なSaxが、無調GとPianoとせめぎ合っている良曲です。 ★B1 “De-Montage” (3:28)では、ドコドコしたタム多用のDrsから始まり、そこにフリーなGと多重化Saxが雰囲気たっぷりに絡んできます。その様はスリリングです! ★B2 “Ready Made” (3:08)は、空間を切り刻むような刃物のようなGを中心に、ゴリゴリに刻むBが絡んでおり、その有り様だけで、イってしまいそうです。バックに薄っすらシンセも! ★B3 “Blaue Orange” (2:10)は、DrsとGとSaxから成る無調アンサンブルですが、どうもダブ処理してあるようです。シンセも挿入され、暴れまくっている所が何とも独逸的。 ◼️LP2: EKG C1 “Liebeslied” (3:56)は、重く引き摺るような単調なBとDrsに、地獄の底のようなVoとフリーキーなGから成る曲ですが、バックにシンセ持続音も聴取できますし、後半では囁くようなVoも! ★C2 “Niemand Ist Sieger” (2:41)は、いきなり張り上げた声で始まり、単調なビートを刻むリズム隊に、相変わらずフリーキーなGと呪文のような複数人によるVoが乗ってきます。 ★C3 “Muscheln/Schnecken” (2:23)は、シンセのLFO音に、呟くような念仏Voから成る曲で、ガラス瓶PercやDrs、それにテープ音も聴こえてきます。 ★D1 “Immer” (5:30)は、淡々と引き続けるBを中心に、テープ音や突発的Vo/ヴォイス、不明なPerc/メタパー、シンセ音/オルガン音などか混ぜられた、「何かいけない混合物」のような曲(ミサ)になっています。後半ではジャジーなSaxも挿入されます。 ★D2 “24 Bilder” (3:19)では、痙攣するGとテープ操作から、いきなり不恰好なビートを刻むDrsが始まり、更に意味不明の言語によるVoとジャジーなSaxな無調Gも加わります。 ◼️LP3: Roter Stern Belgrad ★E1 “Wegwerfliebling” (5:27)は、蠢くような電子音にDrsが加わりビートが生成され、そこに不明瞭な変調VoやシンセのSE音等の色んな音が随時追加されていく曲で、まるでタントラのようです。 ★E2 “Abend Stern Chant” (5:21)は、クリスマスの鈴のような音で始まり、地下に蠢くBと意味不明な合言葉的Vo及び様々なPerc音やそのループ等が重積していく曲で、何か「邪神への祈り」のようです。最後、音量が増すので、ビクッとなります。 ★F1 “Afars & Issas” (7:20)は、この3枚組の中で唯一のシーケンサーとドラムマシンを使った曲で、民族音楽調のトランス的ドラムパタンに、不明な持続音がゆっくりと挿入され、更にカラスの鳴き声やPercの打撃音や摩擦音等も加わり、ドラムマシンにはダブ処理もされたりしています。都市の民族音楽! 久しぶりに聴きましたが、個人的にはかなり良かったです。どのバンドも未成熟かつ未整理で、だからこそアイデア満載の音楽がそれぞれの盤にパックされている感じがしました。多分、今では、本作品の現物は入手困難かとは思いますが、実験的な音楽をやりたい方や興味のある方には、是非是非、聴いてもらいたい作品だと思います。それぞれのバンドの共通点とか相違点なんかを聴き比べるのも面白いですし、何より、彼等が「さぁ、これから新しい音楽を作るぞ」という気概が見えて、頼もしいとすら思ってしまいます。なので、中古を見つけたら、即ゲットです! https://youtu.be/DUMY5HOILo0?si=3Oi4ovIGXjfKNHM0Times #Blässe #EKG #RoterSternBelgrad #Massa #Klar!80 #3LPsSet #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #Pseudo-Jazz #NoWave #Minimal #Dub #XaoSeffcheque #Eva-MariaGößling #BrigitteBühler #BernwardMalaka #DieKrupps #Kastner #Medrich #Stoya #Syniuga #BerndKastner #SiegfriedMichailSyniuga #StrafeFürRebellion #RainerRabowski #LabelOwner
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Klar! 80 不明Dr K2
-
Robert Görl “Night Full Of Tension”
Robert Görl, 彼はDAF(Deutsch-Amerikanische Freundschaft)のドラマーです。しかしながら、解散・再結成を繰り返していたDAFの合間に、彼はソロ作品を作っています。本作品もその一つです。彼自身のバイオグラフィーは書いていませんでしたので、復習がてらちょっと紹介していきます。 Robert Görlは、12歳の時、ジャスドラマーFreddie Brocksieperにドラムのレッスンを受けており、1974年には、ハプスブルクのLeopold-Mozart音楽院で、クラシック音楽のトレーニングも受けており、1976年からグラーツ大学で音楽を専攻しています。その頃、大学の授業と並行して、ジャズにものめり込んでいます。1978年には、一端休学してロンドンに渡り、そこてパンクの洗礼を浴びています。同年、Düsseldorfで、Gabi Delgado-Lopezと出会い、DAFを結成します。1979年〜2003年に、合計7枚のDAFのスタジオ・アルバムを作製し、リリースしています。1982年に、DAFは、アルバム”Alles Ist Gut”で、独レコード賞を受賞しますが、1983年には2人は袂を分かちます。Görlは1981年には、英Eurythmicsのアルバム”In The Garden”でドラムを叩いており、1984年のGörlのソロアルバム”Night Full Of Tension”には、EurhythmicsのAnnie Lennoxが参加して、”Darling Don’t Leave Me”でデュエットしています。1986 年に再結成した DAF は、初の英語アルバム”1st Step to Heaven”をリリースします。しかし、1989年に、Görlは重大な自動車事故に見舞われ、その後、彼は仏教徒となり、3年間アジアを旅して修行していました。 帰国後、1990年代にPeter Wachaのミュンヘンのテクノ・レーベルDisko Bから様々なソロ・アルバムやシングルをリリースしています。2000年〜2002年に、Görlは、DAFの再復活のことで、Gabiと話し合い、2003年初頭にアルバム”15 Neue DAF Lieder”が作製され、同年、DAFは初来日しています。しかし、2005年11月に、再びDAFは解散します。しかし2008年には、復活し、アニヴァーサリー・ツアー”30 Years Of DAF”を開催、2010年9月に、限定販売でシングル”Du Bist DAF”をリリースしています。しかしながら、Gabiは、DAFの新録アルバムを計画中の2020年に61歳の若さで他界してしまいます。Görlは、プロデューサーのSylvie Marksの協力を得て、Grönland Recordsから1980年代の未発表DAFサウンドシーケンスを使用して、”Nur Noch Eine”というタイトルでDAFのラスト・アルバムを2021年にリリースしています。 以上が、Robert Görlの略歴となります。本作品も、先述のように、EurythmicsのAnnie Lennoxが参加している曲A1 “Playtime”やA3 “Charlie Cat”及びB3 ”Darling Don't Leave Me”も収録されており、両面4曲づつ入っています。それでは、各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Playtime” (3:54)では、DAF風のシーケンスと生Drsのビートに、GörlとLennoxが輪唱のように歌い上げており、特にGörlのVoは優男風のセクシーさを感じさせますね。音数はやはり少な目です。 ★A2 “I Love Me” (5:31)では、直線的なシーケンスと生Drsが生み出すビートに、投げつけるようなGörlのVoが意外に良く合っています。バックのマリンバが良い隠し味になっています。 ★A3 “Charlie Cat” (3:40)は、キラキラしたシンセのリフとDAF風のシーケンスをバックに、LennoxがメインVoを取る曲で、普段は余り使われないシンセのリフ(音数)が多めに聴かれます。 ★A4 “Gewinnen Wir Die Beste Der Frauen”(4:49)は、フェイドイン/フェイドアウトするスローでダークな曲ですが、DrsはやはりGörlのドラミングだなあと感心しました。また、GörlのVoはシリアスかつシアトリカルに歌っています。 ★B1 “Queen King”(4:54)は、陽性のシーケンスと強靭な生Drsに、Görlが切々と歌い上げている曲です。シンセのリフも多めになっていますので、余り「DAFっぽくない」印象を受けますね。寧ろ「1980年代UKのエレ・ポップ調」です。 ★B2 “Love In Mind”(4:45)でも、確かにシーケンスはDAF風なんですが、Görlが朗々と歌い上げており、寧ろDAFの呪縛から離れた「新境地」と言うところでしようか?にしてもGörlの声質は甘くてセクシーですね。 ★B3 “Darling Don't Leave Me”(3:39)は、シングルカットされた曲で、2人、特にLennoxの多層化したVoがメインの部分を聴いていると、「これはひょっとしてEurhytmics?」と勘違いしてしまいそうです。 ★B4 “Wind In Hair”(4:19)は、ある意味、DAF風の「可愛らしい」シーケンスと生Drsのビートに、またもやGörlが切々と歌っている曲なんですが、当たり前ですが、Gabiとは違う声質とか歌い方なんだなぁと感心してしまいます。 元DAFと言うだけで、どうしても、Virgin3部作の「汗、筋肉、ゲイ・カルチャー、機械」と言った音楽と比べてしまい勝ちですのが、そう言うと、本作品は、確かにソフィストケートされた印象を受けるかもしれません。特に、Annie Lennoxがフィーチャーされた曲なんかは、「Eurhythmicsの曲」のようにも聴こえるかもしれませんね。でも、逆を言えば、それだけのポピュラリティーを持った曲でもある訳で、それだけの理由で捨てるのは勿体無いと思います。なので、ゴリゴリのDAFのファンには余りお勧めしませんが、強めのエレ・ポップ好きな方は一度聴いてみてはどうでしょう?ハマるかもよー。 [YouTubeに上がっていたのは以下の曲のみでした] A1 “Playtime” (3:54) https://youtu.be/DzvXFK5UlK4?si=2bfvTJJLxCsKCRUR B2 “Love In Mind”(4:45) https://youtu.be/A6x5SNs7ucA?si=OQLt9Gom8mgkKB0P B3 “Darling Don't Leave Me” (3:39) https://youtu.be/M95Dws35cKQ?si=Yn9LeYAcmAAxAtZf #RobertGörl #NightFullOfTension #MuteRecords #FirstSoloAlbum #Electro #SynthPop #ElectroPop #Popularity #Sophisticated #DAF #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Guest #AnnieLennox #DarlingDon’tLeaveMe #Playtime #CharieCat
Electro / EBM (Neue Deutsche Welle / German New Wave) Mute Records €16.00Dr K2
-
Gudrun Gut “Moment”
独NDWの生き証人、Gudrun Gutについては、今更説明することもない程、有名なアーティストです。古くは、Einstürzende NeubautenやMania D.の創設メンバーでもあり、Malaria!でカッコ良い女傑であった彼女ですが、やがて、Matadorを結成、また並行して、ベルリンの女性ミュージシャンやプロデューサーのコラボ集団Monika Werkstattを組織し、運営しており、1997年からはMonika Enterpriseと言うレーベル運営も始め、ソロアルバムやコラボ作品、更には映像作品やTomas Fehlmannとのラジオ番組OceanclubのDJ等、八面六臂の活動を今でも続けています。そんな彼女の5枚目のソロアルバム”Moment”を今回は紹介します。楽器やVoは全て彼女が担っていますが、最近は、FaustのAntye Greie (AGF)とHans-Joachim Irmlerともコラボをやっていたり、Âmeとのコラボ・ライブをRoyal Albert Hallで行っているとのことで、その影響はあるかもしれません。また、A6 “Boys Keep Swinging”は、David Bowieのカバーであり、そこら辺にもこのアルバムを理解するヒントがあるのかもしれません。それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。 ★A1 “Startup Loch” (5:57)は、静かなイントロから、強力な電子リズム隊とハスキーなGutの呟くようなVoが乗る曲で、後半ではバックに女性コーラスが薄ら入ってきて、オープニングに相応しいです。 ★A2 “Musik” (3:38)は、多層化したマシンドラムに、Gutの声が耳元で”Musik”と何度も聴こえてきます。何だか催眠術を受けているような気分になりますね。 ★A3 “Shuttle Service” (1:12)は、一見ランダムなシーケンスとマシンドラムのビートから成る小曲です。 ★A4 “Seltene Erde” (0:44)は、唸る電子音が大蛇のようにのたうち回るかのような小曲です。 ★A5 “Baby, I Can Drive My Car” (3:27)では、四つ打ちキックに簡素な電子音とGutのVoが最小限の音量でミックスされており、呪文のように聴こえます。最後に可愛い女性Voで終わります。 ★A6 “Boys Keep Swinging” (3:16)は、力強い四つ打ちキックと複数の女性Voと共に、GutのVoと滑るようなSynth-Bから成る曲になっており、随分原曲と雰囲気が違います。 ★A7 “Seven FMP” (2:02)では、怪しげな電子音の反復から始まり、生に近いドラムが入ってきますが、曲自体は結構ランダムな構成です。 ★A8 “Schienenersatzverkehr” (1:23)は、反復する電子音に合わせて、SE的電子音が絡みついてくる小曲になっています。 ★B1 “Lover” (5:17)は、直線的ベースラインとビートを中心に時に挿入されるSE的電子音や呻くようなGutのVoが強迫的に発せられる曲です。英詞ですが、終わり方がカッコ良い! ★B2 “Glieder” (3:40)は、独詩の朗読から始まり、軽い感じのポップな曲調となります。この曲では、Gutの声の魅力とアレンジ力が爆発しています。最後のノイズも良い! ★B3 “Biste Schon Weg” (4:13)は、フランジャーを掛けたドラムと多層化したドラムの組合せに、Gutの呟くようなVoが乗り、ダブルBっぽい低音が映える渋い曲になっています。 ★B4 “Are You Hungry?” (2:21)は、単調なリズム隊に、簡素な電子音とGut独特の呟くようなVoから成る曲ですが、後半は多重録音されたVoで終わっていきます。 ★B5 “Sein” (3:45)は、ランダムな電子音と四つ打ちキックに、割とハッキリしたGutのVoが聴こえる曲ですが、Voのテンポなのか?洗脳されている感じがします。 ★B6 “Backup” (3:39)は、今までとは全く異なる電子音によるランダムなノイズ的楽曲で、何故か、この曲が本作品を象徴しているか?あるいは次作へのヒントを提示しているように感じます。 思っていたよりも、かなり渋い作品で、ある種のエレクトロニカのようにも思えました。特に、GutのVoは、歳相応なのかもしれませんが、やや掠れ気味で、良い味だなあと感心してしまい、また、曲も、それまでの外方への向きから内省的な方向も感じられて、新鮮でした。1980年代のNDWが電子音楽とパンク/ポストパンクとの邂逅から生まれた私生児だとすると、2020年代には、当然、このようなエレクトロニカになるのかな?とも思いました。破茶滅茶さはありませんが、じっくり聴くことも出来る良作だと思います! B1 “Lover” (5:17) https://youtu.be/6FE5NpO9kao?si=PVDAc1AIGiHl-JQE [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lkqK112XALxdSeE_VPf30rSfj5zRqVWCk&si=W8vRsrLquqQPUQ39 #GudrunGut #Moment #MonikaEnterprise #SoloAlbum #5thAlbum #SynthPop #Electro #Experimental #AllInstruments #Self-Produced #EinstürzendeNeubauten #ManiaD. #Malaria! #Matador #MonikaWerkstatt #MonikaEnterprise #Oceanclub #Berlin
Experimental / Synth Pop Monika Enterprise 1400円Dr K2
-
Gudrun Gut & Mabe Fratti “Let's Talk About The Weather“
今回は、独Mの系譜(Mania D., Malaria!, Matador, Monika Werkstatt)の1人Gudrun Gutとグアテマラ出身の前衛音楽家Mabe Frattiのコラボ作品”Let’s Talk About The Weather”をご紹介したいと思います。Gudrun Gutの方は、前回、ソロ作品”Moment”の時にも、その略歴は書いてありますので、そちらをご参照下さい。今回は、コラボレーターのMabe Frattiのバイオグラフィーを少し書いてみたいと思います。Frattiは、そのエーテル的な声と音楽から、グアテマラの代表的な前衛チェリストとして知られていますが、現在は、メキシコに住んでいます。その振り幅は、ノイズ〜クラシック〜エレクトロニクス〜現代音楽のインディペンデントな領域にまで及んでいます。彼女は、グアテマラのペンテコステ派の家庭で育っており、小さい頃から、クラシック音楽しか聴かず、チェロのクラシック教育を受けていました。 また、父親がランダムに持ってきたGyorgy Ligeti(ジョルジ・リゲティ)のレコードや、レコード店で見つけたチェリストのJacqueline du Pré (ジャクリーヌ・デュ・プレ)のDVD等を見聴きして、より前衛的な音楽も体験することとなります。 彼女は10代の頃から自分の音楽を作り始め、教会から外に出た時には、レゲエ、ブルース、ファンクなどさまざまな演奏スタイルを演奏していたようです。因みに、現在使用しているチェロは学校からのプレゼントだそうです。その後、自分のPCで、ファイル共有サイト LimeWireを使いこなすようになって、更に色々な音楽を聴くようになり、その結果、本格的な前衛演奏家/作曲家として、活動を始めています。そうして、2015 年に、Goethe Institutの研修の一環とした、彼女は音楽制作のためにメキシコに行っており、その時に、彼女は著名なアーティストであるGudrun GutやJulian Bonequiなどの多くの音楽家達と共演し、Mexico Cityの即興音楽シーンに参加するようになります。また、その時に、彼女のパートナーとなるHector Tosta(その時はLa Vida Bohèmeに在籍していた)とも知り合い、その後、Amore Muereというグループを結成することになります。2019年に、Frattiは、作家W.G.Sebaldの作品「土星の輪」にインスピレーションを受けて、彼女のファースト・アルバム” Pies Sobre La Tierra”を制作しており、その翌年には、彼女のセカンド・アルバム”Será Que Ahora Podremos Entendernos”を、作曲家Claire Rousayと彼の実験音楽グループTajakの協力の元、作製しています。そうして、2023年には、彼女のパートナーである画家のHector Toscaとのコラボ・ユニットTitanic名義で、アルバム”Vidrio”を作製、「ジャスとチャンバー・ポップの間にある音楽」と評されています。また、同年には、Amor Muereとして、アルバム”A Time To Love, A Time To Die”を作製、リリースしています。このグループは、FrattiとConcepción Huerta, Gibrana Cervantes, Camille Mandokiから成り、またこのアルバムには数年間掛けて作製されているそうです。 以上が、Mabe Frattiの略歴となります。それで、本作品ですが、恐らく、2015年に、FrattiがMexico Cityを訪れた時に、Gudrun Gutと出会い、コラボの約束をしたものだと思います。クレジットを見ると、ヴァーチャル・コラボであり、FrattiはMexico cityの自宅スタジオで作業し、GutはBerlinの自宅スタジオで作業し、2020/2021年に、GutがBerlinのStern Studioでミックスを行っています。なお、レーベルはメキシコのUmor Rexからのリリースです。内容的には、A面4曲/B面5曲が収録されていますが、B2-B5は連作のようです。A1の歌詞はGut, A2の歌詞はFratti, B1-5の歌詞はGut & Frattiの共作となっています。B2-B4は大きな曲を4章に分けていますが、実際の曲間の境界は不明瞭ですので、全体を1曲と捉えても良いかもしれません。それでは、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Aufregend” (4:25)は、軽いリズムマシンに太めのSynth-Bによるミニマルな曲で、Gutの呟くような歌が微音で入っており、バックには辛うじて/はっきり聴こえるチェロが入っているのが不気味です。 ★A2 “El Cielo Responde” (3:47)は、ダブ的な打楽器と子守唄を囁くようなFrattiのVo、それにピアノやドラムマシンのキック音等から成る曲で、声のループや刻むハイハット、太く蠢くSynth-Bの低音等が挿入されています。 ★A3 “Walk” (6:03)は、ジャジーなハイハットとそれに不釣り合いなSynth-B、歪んでいくチェロや不明瞭なVoice等が複雑に絡み合う曲で、単に「ジャズ的」とは片付けられない程、破壊的音響になっていきます。 ★A4 “In D” (5:25)では、蠢く低音シンセと四つ打ちキックで始まり、段々とビート感が増して、ダイナミックになり、チェロや電子音も入ってきますが、キーはDからは外れません。Terry Rileyの”In C”の別ヴァージョン⁈ ★B1 “Air Condition” (5:21)は、浮遊感のあるFrattiのVoとハスキーなGutのVoの絡みが、バックのピアノや電子音の上で繰り広げられているような曲で、全てが曖昧模糊で、虚空に溶けていきそうです。 ★B2 “Let's Talk About The Weather I” (2:30)は、不明瞭なチェロの音に、電磁波音やナレーションが絡む曲で、段々とチェロの音が埋もれていきます。 ★B3 “Let's Talk About The Weather II” (2:16)は、B2との曲の境界がハッキリしませんが、ナレーション等の音と曖昧な電子音の蠢きから成る曲で、混線した通信を傍受しているようです。 ★B4 “Let's Talk About The Weather III” (3:50)も、B3に連続して始まり、バックでドラムが鳴っていますが、完全に前面のナレーションや不明瞭な電子音?に隠されています。 ★B5 “Let's Talk About The Weather IV” (4:01)も、B4に連続して始まりますが、段々とモコモコと蠢く電子パルスに形を変えていき、すこーしだけビート感が感じられますが、やはり具体音等に隠れてしまい、収束していきます。 Gudrun Gutのポップネスは完全に封印され、Mabe Frattiが自由に出来るように配慮されたものと想像します。しかも、明瞭な音は少なく、何処か曖昧模糊として不明瞭な音が鳴っているキャンバスに、2人が水彩画で抽象画を描いているかのような音楽となっています。しかしながら、ぼーっと聴いていても、聴き込んでみても、大丈夫なだけの完成度と強靭さも兼ね備えていますので、片意地張らなくても、充分楽しめます。しかし、意外なところで、接点があり、かつ今の通信環境であれば、ヴァーチャルでコラボも出来ると言う、現代のテクノロジーはこの2人のように異文化間の接続を可能にしているのだなぁと感心しました。多分、Gutのミックスも相当、気をつけてやっているのが分かりますね。そんな2人のイカした音楽も体験してみて下さい! A3 “Walk” (6:03) https://youtu.be/IrGtWduunS4?si=GKcPO32Rsw2RL3Hv [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_klJCx56gloYSTVn9sp8QxYwreDM0GefHE&si=ECtpsf1AT2YGGSfu #GudrunGut #MabeFratti #Let’sTalkAboutTheWeather #UmorRex #CollaborationAlbum #VirtualCollaboration #Berlin-MexicoCity #FinalMixByGudrunGut #GermanComposer #GermanElectronicsPlayer #GuatemalanCellist #GuatemalanComposer #Experimental #Electronics #Abstract #Cello #SoundArt
Experimental / Ethno / Electro Umor Rex 2450円Dr K2
-
V. A. “Vidal Benjamin Presents: Uprooted #1 Vladimir Ivković“
これを見つけた時は震えた!何せ、CHBBの音源がオフィシャルで入っているからだ!しかも、ジャケの作り1980年代前半っぽいモノクロで、中々センスが良い。と言う訳で飛びついた訳ですが、一応、スプリット・シングルなので、それぞれのアーティストについて調べてみました。それから、これは、Vidal Benjamin Presents Uprootedと言うシリーズものらしいのですが、まだこの1作しか出ていません。 それで、A面のRex, Goran & Milanですが、 全員ルーツが東欧です。Rex Ilusiviiは、本名Mitar Subotić "Suba"で、セルビア生まれで、ベルグラード大学で電子音楽の研究を続けており、ユーゴスラビアでは、1980年代にはその国のニューウェーブ・バンドのミックスやプロデュースを沢山行っており、それ故に電子音楽の第一人者と称されています。彼は、Elik SatieやBrian Enoに興味を持っていたようです。1986年には、電子音楽とユーゴスラビアの民族音楽を融合したりして、UNESCOからの資金で、3カ月間、ブラジルのリズムの研究員としてブラジルに行きますが、そこでブラジルの音楽に惚れ込んで、サン・パウロに移住してしまいます。そこで、Milan MladenovićのプロジェクトAngel's Breathに参加、アルバム”São Paulo Confessions”の制作にも参加しています。それで、1999年11月2日に、彼の新しいパートナーBebel Gilbertoのアルバムのポストプロダクションを行っていたところ、煙草の火が原因で、スタジオから出火、彼はBebelと彼女の新作を何とか救い出そうとして、亡くなってしまいます。 一方、Milan Mladenovićは、1982年に結成された、ユーゴスラビアのアートロック・バンドEkatarina VelikaのVo/Gかつフロントマンで、最初はハードロックが好きだったようですが、その内、Elvis Costello, Paul Weller, Andy Partridge (XTC)に好みが移っていき、1981年末に、Mladenović (Vo, G)は Limunovo drvo Gagi Mihajlović (G)を誘い、更にMargita Stefanović (Kbd), Bojan Pečar (B), Ivan Vdović Vd (Drs)を加えてKatarina IIを結成し、セルフタイトルのアルバムを出しますが、その後、Gagi Mihajlovićが脱退します。それで、バンド名をEkatarina Velikaと改名し、1985年にまたもやセルフタイトルのアルバムを出します。その後もセカンドアルバムを出しており、ユーゴスラビアでは重要かつ人気のバンドになります。1992年に、Mladenovićは、戦争反対プロジェクトRimtutitukiを結成し、1枚のシングルを出していますが、1994年春に、古い友人のRex (Mitar Subotić)とブラジルで、アルバム”Angel’s Breath”を録音しています。しかしながら、1994年8月に、膵癌が見つかり、同年11月5日に亡くなっています。 Goran Vejvodaは、英国生まれのセルビア人作曲家/サウンド・ヴィジュアル・アーティスト/ パフォーマンス・アーティスト/ 写真家/作家/役者で、主に仏で活動しています。1980年代初頭に、Vejvoda (G)は、ガールフレンドのBebi Dol (Vo), Slobodan Trbojevic (B), Vd (Drs)でAnnika Rougeと言うバンドを組んでいましたが、何もリリースはしていませんでした。その後、彼は、Bebi Dolのソロ・シングル”Mustafa”や”Rudi”を出し、彼女のアルバム”Ruze i krv”も出しています。その後、Vejvodaは、ユーゴスラビアのニューウェーブ・バンドやシンセ・ポップバンドと一緒に仕事をしています。その途中で、Mladenovićが、電子音響音楽を学びに、1985年に、パリにやってきた時、Vejvodaは、彼とコラボ・アルバム”The Dreambird, in the Mooncage”を制作し、1986年〜1992年の間、ユーゴスラビア、イタリア、ブラジルの主要都市でラジオ放送されています。 そんな東欧にルーツを持つ3人が、1984年、ベルグラードで録音したトラックを一部が、本シングルに収録されています。その3人が組むことになった経緯は判然としませんが、多分、この時期に、ユーゴスラビアに3人共いて、偶々、録音されたものではではないでしょうか。 それから、B面のCHBBですが、このデュオは、元DAFのChrislo Haasと元Mania D.のBearte Bartelと言う男女で、名前の頭文字を取ってCHBBとしています。このデュオは、後に、あの超重要かつ超有名な独エレクトロ・バンドLiaisons Dangereusesの前身でもあり、50本限定の10分カセット作品4種類(赤、青、銀、黒)しか公式の音源は無く、過去にもブートレッグが出たりしており、マニア誕涎の貴重なアイテムです。内容の一部は、今はYouTubeでも聴くことができますが、Korg MS-20を中心に作ったハード・エレクトロニクスな作品です。恐らく、Haasのシンセ偏執狂的志向が反映されているものと考えられています。と言う訳で、今回の狙いは、B面のCHBBなのですが、調べてみると、A面も非常に興味深いですね。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 Rex, Vejvoda, Milan “Untitled”は、淡々と続くミドルテンポのDrsと単調なリフBに、恐らくシンセらしき音と過剰エコーを掛かった女性Voが被ってくる曲で、やがてGのカッティングが入ってきます。 ★B1 CHBB “NBKE”は、重く激しいキックとホワイトノイズのスネアのリズムを中心に、Bearteの呪文のようなVoや民族的歌うようなVoが被ってきて、そのバックには不明瞭な電子音が聴取できる曲で、次第に電子音は無くなって、リズムとVoだけになり、曲もフェイドアウトしていきます。 どちらかも抽象的な音楽なのですが、A面はロックの基本構成成分によって形成されているのに対して、B面のCHBBは、ほぼほぼ電子音と人声だけで形成されているところが違う点でしようか? 意外とどちらも面白かったです。それにしても、CHBBの音源が正規のルートで発表されたのは喜ばしいです。これを機に、4種類のカセット作品のリイシューとか未発表音源の蔵出しとかをやって欲しいですね。また、旧ユーゴスラビアの音源とかも珍しいので、また、規模を拡大して出して欲しいものです。このアイテムはある種コレクターズ・アイテムになるかもしれないので、買うなら今のうちですよ! A: Rex, Vejvoda, Milan “Untitled” https://youtu.be/8YkCSc5U9Ww?si=UmxGpdbYktgYmfGI CHBB “Go Go Go” [“NBKE”はYouTubeに無かったので代わりに] https://youtu.be/C4wC4LvA8T0?si=8N7prkrvZbLx6ca3 #RexIlusivii #MitarSubotićSuba #GoranVejvoda #MilanMladenović #Untitled #CHBB #ChrisloHaas #BeateBartel #NBKE #VersatileRecords #EastEurope #YugoslavianUnderground #1984年 #GermanUnderground #1981年 #VidalBenjaminPresentsUprooted #Experimental #PostPunk #JamSession #Electro #Synthesizers #KorgMS-20
Experimental / Post Punk Versatile Records 1144円Dr K2
-
Der Deutsche Adel “s/t”
私は、このDer Deutsche Adelって全然知らなかったのですが、ヤフオクを眺めていて、ジャケで「これだ!」と思って思わず、ポチりました。Discogsで見ても、その素性は良く分かりませんでしたが、少し、調べてみました。先ず、Der Deutsche Adelと言うのは「独逸の貴族」と言う意味らしいです。それで、バンドの方は、1980年代に結成されて、独Düsseldorfで録音し、ミックスして、1984年に仏レーベルDivineよりリリースされたらしいのですが、今までCD再発などは全くされていないとのこと。メンバーは、Douglas Taylor (Vo), Milan Pistek (G, Back-Vo), Bruno Kieven (Kbd), Leon Kieven (B, Back-Vo, Perc), Jiri Douda (Drs, Perc)で、全員独逸人と思われていましたが、Pistekは、チェコ人で、Doudaは、恐らくハンガリー人らしいです。彼等の音楽は、Cold WaveとかGothic New Waveとか言われていたようですが、まぁそれは感じ方が人それぞれなので、重要ではないです。それで、本作品についてですが、ジャケ写は、オーストリアの俳優Erich von Stroheim (エンリッヒ・フォン・ストロハイム)の写真で、Jean Renoir監督の映画”La Grande Illusion”(第一次世界大戦の時の物語りだとか)から取られています。バンドの歌詞も、Stroheimの役の人物のセリフからの影響があるようです。端的に言うと、戦争が起こると、男は戦場に行くため、恋人と別れることになると言う心象風景を歌っているようです。この位しかDer Deutsche Adelについては分かりませんでしたが、実は、本作品を出した翌年1985年に、彼等は、 Le Printemps de Bourgesと言う仏のフェスで演奏しています。その後、Leon Kieven (B)とJiri Douda(Drs)は、Montanablueと言うバンドに加入、Milan Pistek (G)は、Sanov 1と言うバンドに加入して、アルバム”Konec Sveta”も作製しているとのことです。 と言う訳で、本作品について紹介していきましょう。と言うか、Der Deutsche Adelの作品はこれしか無いんです。しかも、結成とかに関する情報もありません。まぁそれはそれとして、各曲についてご紹介していきますね。 ★A1 “Unfurled Flags” (3:10)は、シーケンサーとシンセの絡みがやや仰々しいですが、劇的な展開を見せるニューウェーブな曲で、それぞれのスキルの高さがよく分かります。 ★A2 “Build Those Fires” (4:15)は、ミドルテンポの曲で、割とGのリフとDrsのパタンで曲が進行する感じで、ちょこっとだけ中近東風のリフが聴けます。サビではBが唸りますね。 ★A3 “Dive” (2:35)は、鈴の音で始まり、唸りまくるBが曲を引っ張っていく感じで進行しますが、サビの静かな所でのシンセも良い塩梅です。Voにもう少し個性があったら、素晴らしいと思います。 ★B1 “Sometimes” (3:55)は、切羽詰まった感じのする緊張感溢れる曲で、Gのリフやコーラスも含めて、結構キャッチーだと思います。間奏で静まる構成はメジャーっぽいですね。 ★B2 “Sally Oh Sally” (4:35)では、柔らかいシンセにGのリフが被って始まりますが、Voは一曲全部コーラスワークで進行します。何となくメジャー臭がするアレンジですねぇ。 ★B3 “Guess Works” (3:35)は、硬い音色のDrsとリリカルなピアノを中心にVoが悲し気に歌う曲ですが、メロディには希望が含まれており、救われます。 このバンドは、時期的にはNDWなんでしょうが、どうもその本質は、メジャー予備軍のようなニューウェーブ・バンドではないかと思います。それが良いか悪いかは別として、この一作で消えたのが惜しいかなとも思います。個人的には、もっとシンセとかをバンバン使って欲しかったですね。あと、Voにももう少し個性が欲しかったですね。そうしたら、もう少し人気も出たかも? https://youtu.be/qBIuM_GHRAM?si=J-yZb7PMTD-eWZ-F #DerDeutscheAdel #Divine #Mini-Album #FirstAlbum #1984年 #NewWave #GermanNewWave #DouglasTaylor #MilanPistek #BrunoKieven #LeonKieven #JiriDouda
New Wave / NeueDeutscheWelle / German New Wave Divine 2090円Dr K2
-
Einstürzende Neubauten “Rampen (APM; Alien Pop Music)”
Einstürzende Neubautenの新譜が出た(2024年4月現在)! これは思わず買ってしまいますよね?って私だけ? と言う訳で、約40年以上も、独NDW(正確には”Festival Genialer Dilletanten)から独自の道を歩み、メタル・パーカッションなる「楽器」を定着させ、更に自作ノイズ装置を楽器として使いながらも、ポップソングのように歌う、しかも通常のドラムもドラムマシンも無しだ。こんなバンド、他に無いだろう。しかも、パトロン制やサポーター制で独自の配給も行っています。ノイズ・ミュージックが世間に馴染んできたからこそ、その特異性が際立つと言うものだと思うんですよ。そんな訳で、丁度今、NDWにハマっている私には朗報でした。まあ、彼等のバイオグラフィーは今まで散々書いてきましたので、ここでは、省略させて頂きますが、現在のメンバーだけ紹介しておきます。Blixa Bargeld (Vo, Piano, others), Alexander Hacke (B, others), N.U. Unruh (Meral, Noise), Jochen Arbeit (G, others), Rudolph Moser (Per, Metal, others), Felix Gebhard (Synth, others)となっています。更に、ライナーを読むと、2022年のツアーの頃から録り始めていた即興演奏の部分から23個のピースを集めて、そこから、ベルリンのスタジオ内で再度作り込んでみて、何度も編集やオーバーダブをして、15曲分のベストテイクを選んだらしいです。それについては、Blixaは、「The Beatlesと同じ作り方だろ?」とコメントしています。如何にもBlixaらしいですね。と言う訳で、各曲についてご紹介ししていきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Wie Lange Noch?” (5:17)は、プラ・パイプとメタパーでのリズムに、BとBlixaの抑圧的な歌が乗る曲で、サビに向かって盛り上がりますが、突如ブレイクが入ります。 ★A2 “Ist Ist” (3:49)では、ゴリゴリのBが曲を引っ張り、そこにメタパーやノイズが乗りますが、Blixaは自然体で色んな唱法を試しており、それらを多層化しています。 ★A3 “Pestalozzi” (5:10)は、微かなドローンにBlixaの歌で始まり、バックでメタパーやキックが聴こえます。また、コーラスワークともバッチリですが、この曲は英詞なんですね。 ★A4 “Es Könnte Sein” (3:20)は、微かな呟くようなVoとアコギのアルペジオで始まりますが、鐘の音やコーラスの後にいきなり盛り上がり、ちょっとぐちゃぐちゃになりますが、最後に向かって、反復し続けます。 ★B1 “Before I Go” (4:19)も、微かなリズム音と呟くようなVoで始まり、やがて様々な音が混じってきます。この曲も英詞ですね。途中で山場があり、その後は可愛らしいピアノや弦楽器のサンプリング音も聴取できます。 ★B2 “Isso Isso” (4:54)は、キック音で始まり、呪文のようなVoと共に、やがてBも入って来ると、独特のグルーヴが生まれます。表題は”That’s Right”と言う意味です。Blixaの引き攣るような唱法も聴けます。 ★B3 “Besser Isses” (4:48)の始めは、微かなシンセ音に殆どBlixaの独唱なのですが、Bが入ってくると、俄然曲っぽくなってきます。ここら辺の盛り上げ方は本当に上手いですね。 ★B4 “Everything Will Be Fine” (4:48)も、ガサゴソした音をバックに呟くように語るVoが暫し続きますが、オルガン?が入って来ると、そこでBlixaも盛り上がり、メタパーやコーラスも入ってきます。この曲は独英詞ですが、違和感は無いです。 ◼️LP2 ★C1 “The Pit Of Language” (4:31)では、静寂から始まり、Bのリフと共にVoも入ってきます。その後もシンセやマリンバも加わります。なお、これも英詞です。 ★C2 “Planet Umbra” (8:44)では、Bとオルガンの反復で始まり、やがてキックと共にVoが入ってきます。これも英詞なんですが、Blixaにしては珍しくちょっとSFチックな内容ですね。メタパーも遠くで聴こえますが、得体の知れない音が時々挿入されます。 ★C3 “Tar & Feathers” (5:15)は、ずっと続くコーラス?のバックに何かの楽器によるリフが微かに聴こえる曲で、やがてその空気を捻じ曲げるように、BlixaのVoが入ってきます。この曲も英詞ですが、短い歌詞で、曲も直ぐに終わります。 ★D1 “Aus Den Zeiten” (5:13)では、比較的直線的なBラインに、演劇的な語り口なVoとキックが入ってきて、更にホワイトノイズのスネアが入って来ると、曲は沸点を迎え、一度クールダウンしますが、再び盛り上がってきます。 ★D2 “Ick Wees Nich (Noch Nich)” (3:13)では、何とも怪しい音の中、Voや変調したメタパーのリズムやBのリフ等が折り重なり、高揚していきますが、最後は諦念でしょうか? ★D3 “Trilobiten” (6:16)では、アコギのアルペジオをバックにBlixaが1人語りのように歌いますが、ここでは珍しくハキハキと歌っています。やがて、キックとBも入ってきて、曲は盛り上がります。 ★D4 “Gesundbrunnen” (5:15)では、プラ・パイプのリズムとBのリフのバック遠くで、Blixaの声が聴こえますが、直ぐに前面に出てきます。それに混じって、色々な音が聴こえてきます。Blixa独特の唱法の後、一旦、曲は静まり返りますが、やがて立ち上がり、そのまま終わります。 もう、ここまで来ると、大御所としての「E. Neubauten節」と言うか、「Blixa節」を堪能させてもらった感がありますね。C2でのBlixaの新境地の歌詞もちょっとビックリしましたが、それよりも何よりも、あんなガラクタだらけの「楽器」で何故、こんなに繊細な音楽が演奏できるのか?そちらの方の「成熟度」に興味が移ってしまいました。これって、最早、彼等にしか出来ない伝統芸能なのかもしれませんね。完璧なアンサンブルです❗️まぁ大御所なので、曲の展開なんかは、初めから分かってしまうのですが、分かってしまっても、最早、そこが良いとも思ってしまいます。若い時の彼等も知っているので、その変遷具合にビックリしてしまいますが、彼等が奏でる静かな音楽も、私は良いと思いますよぉー! [live “Rampe” in Vienna, 2022] https://youtu.be/brQsak_8Cd8?si=7U1DTzzkHnpPkcix [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lbiOjP2TZSvaa5IK1JwwxwosRY5iMtcBo&si=qeOqGmrfZf_0_FKu #EinstürzendeNeubauten #Rampen #APM;AlienPopMusic #Potomak #2LPsAlbums #GermanRock #ExperimentalRock #Improvisation-Based #Rework #Edit #BlixaBargeld #AlexanderHacke #N.U.Unruh #JochenArbeit #RudolphMoser #FelixGebhard
Experimental Rock Potomak 5940円Dr K2
-
V.A. “Swiss Wave The Album”
Neue Deutsche Welleが独で流行り出した頃、当然、隣国のスイス(特に独逸語圏)でも、そのような音楽が注目されてきた訳ですが、それをいち早く察知して作られたのが、このコンピレーション・アルバム”Swiss Wave The Album”です。その頃には、既にGrauzone (グラウツォーネ)やLiliputはある程度人気がありましたが、他のバンドはまだ良く知られていませんでしたので、ここで、紹介していきたいと思います。先ずは簡単にバンドのメンバーとかを書いて、その後に各曲を紹介していくことにします。 ◉A1, A2; Grauzoneは、1980年にBernで結成されたスイスのNDW/ポストパンク・バンドで、1981年にリリースしたシングル"Eisbär(北極熊)”が独で12位、オーストリアで6位とヒットしています。メンバーは、Martin Eicher (Vo, G, Synth), G.T. (B), Marco Repetto (Drs), Claudine Chirac (Sax)で、1982年頃には解散しています。 ◉A3; The Sickは、Marcello Pinna (Vo), Röfe Hobi (G), Wäle Demuth (B), Markus Tränkle (Drs)で、略歴は不明ですが、Tränkle (Drs)は後にBayer名義でMother’s Ruinに加入しています。 ◉A4, B3; Jack & The Rippersは、1978年前頃から活動を始めたパンクバンドで、メンバーは、John Seilern (Vo), Francis Seilern (G, Vo), Babine (B), Philip Turrian (Drs)で、1本のカセット・アルバムと1枚のシングルを出していましたが、後にセルフ・コンピも出ています。 ◉A5, A6; Liliputは、1978年にZürichで結成されたパンクバンドで、元々Kleenexと名乗っていましたが、企業名と同じなのが問題になって改名しています。メンバーは全員女性で、ここではChrigle Freund (Vo), Marlene MarderことMarlene Marti (G), Klau SchiffことKlaudia Schifferle (B), Lislot Ha. (Drs), Angie BarrackことAngela Schleitzer (Sax)です。メンバーチェンジもしましたが、スイスのThe Raincoatsとも呼ばれており、2枚のアルバムをRough Tradeから1982年と1983年に出しており、2000年代にはボックスセットやセルフ・コンピレーションも出ています。 ◉B1, B2; Rudolph Dietrich & KDFは、Dietrich (Vo, G)で、KDFことKraft Durch Freudeには、Heinlich Heinricht (B, Back-Vo)とTomy Wylder (Drs, Back-Vo)から成るパワーポップ・バンドで、1979年にミニアルバム”Wir Bleiben Kameraden”と1980年に1枚のシングルを出しています。 ◉B4; Ladyshaveは、Enzo Esposito (Vo, G), Phil Esposito (B, Back-Vo), Adolph B. Schlatter (Drs)から成るパンク・バンドで、1984年にカセット・シングルを出しています。 ◉B5, B6; Mother’s Ruinは、1978年3月に結成されたニューウェーブ・バンドで、メンバーは、Sylvia Holenstein (Vo), Markus Engelberger (G), Reto Ressegatti (G), GulyことAndrej Gulewicz (B), BayerことMarkus Tränkle (Drs)で、3枚のシングル以外に、1979年にミニアルバム”Godzilla”と1981年にフルアルバム”Want More”を出しています。 それでは、各曲の紹介です。 ★A1 Grauzone “Eisbär” (4:45)は、当時のヒット曲でもあり、寒々したSEからポップソングが始まり、Voは元気一杯で、サビでのシンセとGとその後のSaxが効果的で、カッコ良いです! ★A2 Grauzone “Raum” (4:00)では、出だしも凝っており、その後には簡素なポップソングが続きます。間奏のSaxも優しい音色です。目覚まし時計がポイントかな? ★A3 The Sick “World War Three” (3:15)は、音質も曲調もかなり荒い性急なパンクロックで、元気一杯ですね。間奏のGもカッコ良いです。 ★A4 Jack & The Rippers “I Think It's Over” (2:45)は、やや雰囲気のあるポストパンクな曲で、ちょっとスカスカな所がまた魅力です。 ★A5 Liliput “Hitch-Hike” (2:35)も、ややスカスカしたいたポストパンクな曲で、Saxが隠し味になっています。普通なんですが、何か分からない魅力があります。 ★A6 Liliput “DC-10” (3:25)は、ロータムを使った土俗的リズムで始まりますが、UKのSax入りロックよりも独のそれに近い感覚の曲です。 ★B1 Rudolph Dietrich & KDF “Lies” (2:20)は、Gのリフを上手く使ったパンクロックで、コーラスワークが良いですね。歌詞はやっぱり英語なのかな? ★B2 Rudolph Dietrich & KDF “Do What You Want” (3:10)は、硬質な感触のパンクロックと言うかロックンロールで、やはりコーラスワークが効いています。 ★B3 Jack & The Rippers “Down” (1:55)は、元気一杯のポストパンクな曲で、こちらもコーラスワークが良く効いてます。 ★B4 Ladyshave “Tonight” (3:50)では、エフェクターを掛けたGと通常のGの2本立てで、ポップソングを演奏しています。ちょっと泣けるキャッチーな曲です。 ★B5 Mother's Ruin “Heartbreak” (2:55)は、やや焦燥感のある雰囲気の曲で、それを後押しするVoの歌唱力やバックの演奏も素晴らしいです。 ★B6 Mother's Ruin “With Us” (4:35)も、アコギとGを使ってのポップソングで、こちらは一種の爽やかさを感じますね。最後のGソロも派手すぎず良いですね。 全体として思ったのは、独のNDWが、割と独逸語に拘っていたのに対して、スイスのNDWは、初めから英語での表現になっているのが、興味深かったです。また、モロにパンクなバンドもいますが、多くはポストパンクで、かつスカスカのバンド・サウンドの曲が多く、それも特徴かな?って思いました。Grauzoneは、以前にボックスセットを紹介していましたので、何だかまた聴きたくなってきました!皆さんも、スイスを侮るなかれ! B4 Ladyshave “Tonight” (3:50) https://youtu.be/-RNqkiYEdEI?si=gVefw-MiBrXkcSpX [full album excerpt B4] https://youtube.com/playlist?list=PLYVDPCHD0uYPvUsO9HfgAxcbawUhl31gk&si=TzrINEc9GLOi_6tD #VariousArtists #SwissWaveTheAlbum #Babylon #OffCourseRecords #CompilationAlbum #1980年 #PunkRock #NewWave #SynthPop #Switzerland #Grauzone #TheSick #Jack&TheRippers #Liliput #RudolphDietrich&KDF #Ladyshave #Mother’sRuin
Punk, Synth Pop, New Wave Babylon / Off Course Records €10.00Dr K2
-
Neonbabies “1983”
また、Neonbabiesですが、今回は、サード・アルバムにして、最後のアルバムとなった”1983”を紹介します。前回、書きましたように、ギターがToni Kambizに代わっていますが、1曲だけ、前任のNikolaus Polakがシタールで参加しています。それで、メンバーは、Inga Humpe (Vo, Kbd), Reinhard Meermann (Vo, Sax), Kambiz (Vo, G), Conny Cool (Vo, B), Toni Nissl (Drs, Perc)で、ゲストとしてNikolaus Polak (Sitar [A3])も参加しています。また因みに、プロデュースはGareth Jonesが担当しています。内容的には、A面5曲/B面4曲が収録されています。それでは、各曲をご紹介していきましよう。 ★A1 “Blondinen” (4:17)では、ピアノとDrsの怪しい雰囲気で始まり、サビでは跳ねるようなリズムで盛り上がります。まるでサスペンス映画のサントラ風の曲です。 ★A2 “Junge Männer” (4:17)は、上下するBラインとIngaの堂々とした歌声がよく通る曲で、Gとかオルガンのかの細かいアレンジが良くイキています。最後の間奏でのフリーキーなSaxとかもいい感じです。 ★A3 “Horizont Ohne Ende” (5:15)は、ミドルテンポの曲ですが、所々にシタールが入ってきてオリエンタルな雰囲気ですが、サビではIngaのメインVoとコーラスワークの絡みも効果的です。 ★A4 “Matrosen” (4:37)は、ゆったりしたポップソングで、Voは男性、朗々と歌っています。コーラスも男性で、中々良い味を出しています。途中、Drsが少し暴れて盛り上げます。後半のストリングスは良いですね。 ★A5 “Regina” (4:41)も、男性Voのポップソングで、割とDrsが活躍していますが、バックにはKbdやSaxも聴取できます。 ★B1 “Hallo Fremder” (3:36)は、多重録音されたIngaのVoで始まるミドルテンポのポップソングで、Bサビでの男性コーラスも活かしています。エレピの音もグー! ★B2 “Engel” (3:58)は、Saxで始まる元気な曲で、Gのリフもカッコ良いです。VoはIngaですね。本アルバムでは珍しくSaxとストリングスがよく効いてますね。 ★B3 “Herzversagen” (4:54)は、またもや男性Voがメインのスパイ映画調の曲で、チョコっと入ってくるSaxが、また良い塩梅です。サビのKbdも雰囲気バッチリです。 ★B4 “Fata Morgana” (5:59)は、やや重めのスローなDrsをバックに、呟くようで力強く歌うIngaとGの音が良くマッチした曲で、サビでIngaが歌い上げるのは良いですね。盛り上がったまま、フェイドアウトしていきます。 Gareth Jonesのプロデュースのせいなのか、歌とDrsに音の焦点が当てられており、GやB、Saxは余り前面に出てきていません。個人的には、割と好きなミックスなので、セカンドの”Harmlos”よりポップで、気に入りました。でも、恐らく、バンド内部は何らかの問題を抱いていたと想像されるので、諸手を挙げて喜べませんが、本作品は彼等のポップネスを感じるのに良いアルバムだと思いますよ!もし入手できたら、聴いてみて下さい! *アルバム単位ではYouTubeに上がっていませんでしたので、アップされていた曲だけ貼っておきます。 A1 “Blondinen” (4:17) https://youtu.be/_eoLRQNQcTc?si=JoagGj4703cDerAZ A3 “Horizont Ohne Ende” (5:15) https://youtu.be/J7qsAlKLb0g?si=Bdte2MDG9WE8dw8P B1 “Hallo Fremder” (3:36) https://youtu.be/SD0lOzpTVp8?si=sutpm48dyUG1CBdj B2 “Engel” (3:58) https://youtu.be/yMX82sVsoh8?si=wTBGYPKGAlkK06K0 B3 “Herzversagen” (4:54) https://youtu.be/Ex3C8GZRRF8?si=jpyoSSw0imh6JT1S B4 “Fata Morgana” (5:59) https://youtu.be/8qxtELvBhc4?si=2aDQqz2416AAglcg #Neonbabies #1983 #Ariola #ThirdAlbum #FinalAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopRock #Sax #Keyboards #IngaHumpe #ReinhardMeermann #ToniKambiz #ConnyCool #ToniNissl #Guest #NikolausPolak #Produce #GarethJones
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Rock Ariola €12.00Dr K2
-
Neonbabies “Harmlos”
久々のNeonbabiesです。今回はセカンド・アルバム”Harmlos (ハールムロス)”を紹介します。その前に、久々なので、Neonbabiesの略歴を簡単に纏めておきます。Neonbabiesは、1979年にベルリンで結成されています。その時の結成メンバーには、Inga DiLemmaことInga HumpeとAnnette Spinettiこと実姉Annette Humpeがいました。1979年に、Neonbabiesは、Havelのゲストハウスでライブデビューしており、その後、Nikolaus Polak (G; ニコラウス・ポラック), Conny Homeyer (B; コニー・ハーメイヤー), Toni Nissl (Drs; トニ・ニシル)及びReinhard Meermann (Sax; ラインハルト・メアーマン)のメンツで、初めてビートスタジオで録音を行い、この時に制作されたEPが1980年初めにリリースされています。このEPには、AnnetteのバンドIdealのヒット曲”Blaue Augen(ブラウエ・アウゲン)”の元曲が含まれています。1980年秋には、彼等のセカンドEP”Die Krönung (ディ・クレヌンク)”がリリースされ、1000部リリースされましたが、僅か数日で完売しており、ベルリンを代表するバンドになっています。ちょっと話しが前後しますが、1980年初頭、Annetteは自身のバンドIdealを移り、代わりにMikoことPetra Mikolajczuk (ペトラ・ミコワイチュク)が加入しますが、ファースト・アルバムを制作後、脱退しています。このファースト・アルバムは、インディーズレーベルGood Noise Recordsからリリースされましたが、20000部が売れ、大ヒットしています。1982年に、Dave Hutchinsは、Conny Plankのスタジオで、本作品でもあるセカンド・アルバム”Harmlos”を録音し、Ariolaからリリースしています。その年の夏に、彼等は国内ツアーを行い、蘭でのベルリン・アムステルダム・フェスティバルでも演奏しており、初のTV生出演もしています。彼等は、同年8月に、ベルリンのWaldbühne(ヴァルドビューネ)でコンサートを行い、その模様は、ARD第3番組で放送されています。その後、Nikolaus Polak (G)が脱退し、Toni Kambiz (G; トニ・カムビツ)が加入し、1982年秋にDrafi Deutscher(ドラフィ・ドイッチァ)のプロデュースでシングル”Ich Bin Ein Mann”をリリースしましたが、商業的には売り上げは大きく下回りました。1983年には、Gareth Jonesのプロデュースで、ベルリンのHansa Studioにてサードアルバム”1983”を録音し、Ariolaからリリースしめしたが、バンドはまもなく解散しています。最後のシングル”Eiskalte Engel”が、同年10月にリリースされていますが、これはアルバム”1983”の中の曲”Engel”のリミックスであり、Inga Humpeのファンへの別れの贈り物と考えられています。この解散の時、Inga & Annette Humpe姉妹は、Prokopetz, Manfred O. “Fredi” Rauchenは、Deutsch-Österreichisches Feingefühl (DÖF; ドイッチュ・エステライハッシェ・ファインゲフューレ; German-Austrian Sensitivityの意)と言うNDW関連のプロジェクトに加入していますが、これはバンドと言うよりもキャバレー・プロジェクトみたいな存在です。 と言うのが、Neonbabiesの略歴となります。先述のように、メンバーは、Inga Humpe (Vo, Kbd), Reinhard Meermann (Sax, Kbd), Nikolaus Polak (G), Conny Cool (B), Toni Shanghai-Nissl (Drs)の5人で、プロデュースは、Dave HutchinsとNeonbabiesとの共同でやっています。割と、バンドもノリに乗っていた頃のアルバムですが、他のNDWのバンドと違って、バックの演奏も結構上手くて、改めて聴いてビックリしました。まぁ、それは置いておいて、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Alibi” (3:05)は、結構、BやGがブリブリ効いた曲で、Saxも効果的な曲で、IngaのVoも力強い。 ★A2 “Reise” (4:15)は、不穏と言うか落ち着いた曲で、Drsもドコドコしており、レゲエ調だったりで複雑なアレンジです。Saxのオリエンタルな響きも中々よい。 ★A3 “Angelogen” (1:28)は、アップテンポの勢いの良い曲ですが、間奏のSaxも吹きまくってますね。Ingaも緩急付けて歌ってます。 ★A4 “Ausser Sich” (2:44)は、ちょっと不思議なメロディ・ラインなのですが、IngaのVoとカシオも良い味です。とにかくSaxは吹きまくってますね。 ★A5 “Carosello” (3:54)は、変則4拍子のDrsにBが絡んできて、Ingaが切なく歌っています。サビでの疾走感は良い感じですし、Ingaも声を張り上げています。 ★B1 “Moderne Liebe” (3:34)は、スカっぽいリズムでダンサブルな曲で、Bが凄テクですが、中々のパーティーソングに仕上がっています。Saxも良い味付けです。 ★B2 “Triebtäter” (5:44)は、シグナル音で始まり、やがてカシオの可愛らしいメロディとIngaの囁くようなVoのダンサブルな曲になります。相変わらずSaxは吹きまくってます。 ★B3 “Roboter” (3:22)は、カシオの不協和音を上手く用いたポップソングで、IngaのVoも力強いです。途中からのカシオのコード弾きも良い味です。 ★B4 “Gemini” (3:16)は、細かいGのカッティングから始まるスパイ映画のような曲ですが、Ingaは囁くように歌いますが、サビでは声を張り上げます。また多層化したSaxも雰囲気抜群です。 ★B5 “Aiaiaiaiai” (2:11)は、ドコドコしたDrsにスライド奏法のGが加わり、更に伸びやかなSaxが乗る曲で、カシオ低音やIngaの掛け声が入ったと思ったら、急に終わります。 何か久しぶりにNeonbabiesを聴いたこともあってか、もっとKbdとかを多めに使って、如何にも「ニューウェーブ」な音を期待していたのですが、今回、聴いた感じは、Kbdは少な目で、代わりにSaxとかが大活躍しており、ちょっと戸惑ってしまいました。しかしながら、ポップソングとしては、凝ったアレンジが効いていて、中々聴き応えのある曲が並んでいますので、結構、楽しめました。そんなNeonbabiesのセカンド・アルバム、聴いてみますか? https://youtu.be/gnBiYJD82-M?si=fxeyAGXnfdgOIM8G #Neonbabies #Harmlos #Ariola #2ndAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopRock #Sax #Casio #IngaHumpe #ReinhardMeermann #NikolausPolak #ConnyCool #ToniShanghai-Nissl
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Rock Ariola €6.00Dr K2
-
Andreas Dorau und Holger Hiller “Guten Morgen Hose”
来ました!師弟の共作です!そうです。ギターの先生Holger Hillerとその生徒Andreas Dorauの共作マキシ・シングル”Guten Morgen Hose (グーテン・モルゲン・ホーゼ; 「お早う、ズボン」の意)”です。この作品は訳が分からないのですが、バックの曲は、確かにDorauとHillerのコラボ曲なのです。しかしながら、この作品のコンセプトは、実に難解と言うか可笑しな程バカバカしいものみたいです。「クラウトロック大全」の小柳カヲル氏によると、「現代表現主義大全」なる権威のある書籍を適当に開いたところで、目に付いた記述を元に、2人が即興で演じた不条理音楽劇らしいのです。筋書きとしては、人妻Lucyを巡って、父親Johnny (Dorau)、絨毯、ズボン(Hiller)とが争うと言うことらしいのですが、全く持って意味が分からないです。因みに、脚本は、Catherine Lienertとなっています。それで、歌手をスカウトしに大学に行って、偶々、そこにいた守衛と女性清掃員が抜擢されたとか。と言う訳で、次のような役が振られています。 ◼️歌; Johnny (Andreas Dorau) Hosenchor (ズボン合唱団; Catherine Lienert, Hagar Groeteke, Moritz Reichelt) Lucy (Erika Kochs) Die Hose (ズボン; Holger Hiller) Der Teppich (絨毯; Sol Rubio) ◼️喋り; Johnny (Andreas Dorau) Hosenchor (Jochen Liedisch) Lucy (Claudia Kaloff) Die Hose (Holger Hiller) と言うことを踏まえて、曲/音楽劇を紹介していきましよう。 ★A “Guten Morgen Hose”は、重厚なポリシンセで始まり、可愛らしい電子音や具体音のサンプリングに変わって行き、やがて男性Vo(Dorau)とバックの物音系音へ。そしてズボン合唱団を挟んで、はたまた男性Vo(Dorau)とバックの音へ。いつの間にか、女性Vo(Lucy)も出演して、シタール風のシンセやヴァイオリンの爪弾きをバックに男性Vo(Dorau)へ。そしてズボンVo(Hiller)も現れます。と言う風にコロコロと音とVoは変わっていきます。 ★B “Guten Morgen Hose”も、絨毯Vo(Rubio)が流れる中、バックの音はどんどん変わっていきますが、これはサンプラーによるのでしょう。ここら辺で男女のを挟んで、再びズボン合唱団のコーラスが。そしてまたもやサンプリング音と女性Vo(Lucy)をバックにズボンVo(Hiller)が。相変わらず、バックの音はシンセとサンプリング音で忙しないですが、男性Vo(Dorau)が絨毯を刺しで、自死します。最後にはズボン合唱団の独逸らしい歌が、バックのホーンのリズムに合わせて、ユニゾンで聴こえてきますが、雨音と爆発音とで終わります。 まあ、確かに音楽劇としたら、この2人ならこんな感じかなぁと納得はしますが、これを本当にレコードとして出すかぁ?と言われれば、ちょっと首を捻りますね。まあ、私は独逸語を聞き取れないので、この音楽劇の内容まではよく分かりませんが、音楽として聴くのであれば、かなりHiller色の強い音楽だとは思います。独逸語の分かる方は何を言っているのか?教えて下さい。でも音楽としても面白いので、特にHolger Hillerファンの方には受け入れられるのではないでしょうか!実は、蘭では、この音楽劇を映像化しているので、動画と一緒に聴いてみれば、何と無く言いたいことが分かるかも? https://youtu.be/auH4A9ZHzVw?si=r7ywa70KZ4eypIPl #AndreasDorau #HolgerHiller #GutenMorgenHose #ATATAK #12inchMaxi-Single #不条理劇 #音楽劇 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #CatherineLienert #HagarGroeteke #MoritzReichelt #ErikaKochs #SolRubio #JochenLiedisch #ClaudiaKaloff #DieHosen #DerTeppich #Hosenchor #Lucy #Johnny
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop ATA TAK 4800円Dr K2
-
Annette Humpe “Solo”
Annette Humpe (アネッテ・フムンペ)は、1950年生まれで、ハーゲン出身の独のポップシンガー兼プロデューサーであり、その経歴は、ケルン音楽大学で 6 学期にわたって作曲とピアノを学んだ後、1974 年にベルリンに移り、NDW自体のバンドのVoから始まって経験を詰んでいます。1979年に、妹のInga Humpeと共にNeonbabiesで最初の成功を収め、その後、Ernst Ulrich DeukerとEffJott ことFrank Jürgen Krügerと共に、バンドIdealで独逸国内で大きく成功し、そこでは、Vo兼Kbdを担当しています。また、Trioの曲でもBack-Voを務めたりもしています。1973年に、Idealは解散し、Humpeはプロデューサーとしても手腕を発揮し出して、Deutsch-Österreichisches Feingefühl (DÖF)の曲”Codo”を書いて、プロデュースしています。この曲は、オーストリア人アーティストのJoesi Prokopetz und Manfred Tauchenによって歌われ、また後には妹のIngaによっても歌われています。1984年には、Palais Schaumburgもプロデュースしており、その後、1985年には、妹とのデュオHumpe-Humpeを結成して、自らプロデュースもしています。このデュオは1987年までに2枚のアルバムをリリースしています。その後、姉のA. Humpeは、1990年に、本作品であるファースト・ソロ・アルバム”Solo”を発表します。その後1990年代は、Die Prinzenに同行して、彼等を成功に導きます。その後、A. Humpeは、2004年頃まで作曲家兼プロデューサーとして活動しています。話しがちょっと前後しますが、Annette Humpeは、1995年に、再びInga Humpeと共にBambus名義で”Wall Of Sugar”をリリースしていますが、1997年〜2002年は音楽業界から遠ざかっています。その後2004年に、A.Humpeは、シンガーのAdel TawilとIch +Ichを結成し、作曲及び共同プロデュースも行っていますが、アルバム”Ich + Ich”は、A. Humpeのこれまでの中で最も成功した作品になり、リリースしたアルバム”Ich + Ich”と”Vom Same Stern”は、アルバムチャートで1位を獲得しています。しかしながら、2010年8月にデュオは活動を休止、それぞれがソロプロジェクトとして活動していくことになります。 以上が、Annette Humpeのバイオグラフィーになります。それで、今回は、彼女のファースト・ソロ・アルバム”Solo”をご紹介したいと思います。今回の参加者は、Annette Humpe以外に、George Glueck, Horst Königstein, Misha Schöneberg, Peter Hantke, Peter Viehweger, Peter Weihe, Reinhold Heil, Rio Reiser, Udo Arndt, Uli Hieber, Volker Griepenstrohと言う豪華なメンツとなっていますが、誰が何を演奏したのかは明記されていません。年代的には、NDWとは言えないかもしれませんが、彼女の才能に触れるのには良い作品かと思います。内容的には、A面5曲/B面6曲となっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Macht Nichts” (4:56)は、雰囲気充分なバラード調の曲で、Annetteの落ち着いた呟くようなVoがばっちりフィットしています。泣きのGソロもグー! ★A2 “Ich Küsse Ihren Mann” (3:06)は、軽快なリズムに乗って、Annetteがコケティッシュに歌うポップソングで、こちらまでウキウキしますね。転調する所も結構良い感じです。 ★A3 “Warten Auf Ein Telegramm Von Gott” (3:35)は、簡素なエレアコとブラシでのDrsをバックに、Annetteが雰囲気一杯に歌っている曲で、サビも中々良いです。間奏のGソロも良き良き。 ★A4 “Nur Zu Gast” (4:08)は、またまたエレポップらしき簡潔な軽めのバックに、AnnetteのコケティッシュなVoが映えます。サビでの彼女のVoもカッコ良く、彼女にはこの手の曲が良く似合いますね。 ★A5 “Ayudame” (4:42)も、軽めのリズムマシンを使ったボサノバ調の曲で、優しく歌うAnnetteも感情たっぷりです。サビのGも良い隠し味です。歌詞は仏語? ★B1 “Ich Laß Mich Geh'n” (3:42)は、軽めのミドルテンポのポップソングで、だからこそ余計にAnnetteのVoが活きています。サビのコーラスもグー! ★B2 “Wenn Ich Tot Bin” (3:30)は、またしっとりとした落ち着いた曲で、バックも室内楽風で、Annetteも時に歌い上げたりしていますが、基本、落ち着いて歌っています。 ★B3 “Ticket For Love” (2:47)は、ノリの良い重めなリズムの曲ですが、Annetteが雰囲気一杯に歌っています。スパイ映画とかに出てきそうな曲で、表題は英語ですが、歌詞は独逸語です。 ★B4 “Zeit” (4:16)は、一転、明るく爽快なポップソングで、柔らかい雰囲気に包まれており、Annetteも柔らかく歌っています。コーラスもグー!バックは打ち込み+生演奏? ★B5 “Letzter Tag” (3:32)は、重めのリズムセクション (Drs&Synth-B)で始まり、シーケンスやシンセも加わった劇的な曲で、Annetteも朗々と歌ってます。 ★B6 “Nix” (0:46)は、シンセも加わったジャジーなインスト曲で、フェイドインしたら、直ぐにフェイドアウトしていきます。 正直、余り期待していなかったのですが、聴いてみてAnnette Humpeのポップネスを充分に感じることが出来て、非常に満足できました。IdealとかHumpe-Humpeとも違って、軽いポップソングなのですが、どの曲も捨て曲の無い程、完成度が高く、彼女の年齢に合わせた歌を思う存分、楽しむことができました。偶にはこう言う軽いもの良いですね。因みに、1曲を除いて、全て彼女の作曲となっており、そこでもまた彼女の凄さを思い知らされました。なので、軽いポップソングが聴きたい時には、最適なアルバムかと思います! A2 “Ich Küsse Ihren Mann” (3:06) https://youtu.be/M96Doyn03ko?si=qMa10qpAAs2SrJIZ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mls1EvDkUQToA8-3Nbe7xL86nthPMnExY&si=hhFZwnlL4jCYEbre #AnnetteHumpe #Solo #MercuryRecords #FirstSoloAlbum #PopSong #PopRock #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Composition #Lyrics #Vocals #GeorgeGlueck #HorstKönigstein #MishaSchöneberg #PeterHantke #PeterViehweger #PeterWeihe #ReinholdHeil #RioReiser #UdoArndt #UliHieber #VolkerGriepenstroh
Pop Rock (Neue Deutsche Welle : German New Wave) Mercury €8.00Dr K2
-
Propaganda “The Nine Lives Of Dr. Mabuse”
皆さんはPropagandaを知っていますか?元々は、私も余り良くは知らずに聴いていたのですが、結構、メンバーの出入りが激しく、また売れたバンドなんですね。今回、調べてみて良くわかりました。特に、最初のシングル”Dr. Mabuse(ドクトル・マブーゼ)”は有名ですね。 それでは、Propagandaのバイオグラフィーを初期の頃だけ書いておきます。Propagandaは、1982年に独Düsseldorfで結成されたシンセ・ポップ・バンドで、元々は、Die KruppsのKbd奏者Ralf Dörper (ラルフ・デルパー)とAndreas Thein (アンドレアス・サイン)が、1982年夏に独エッセンのZero Green Studio(ここにはPPG Synthがあったので)で録音した2曲"Disziplin (ディスツィプリン)"と"Sünde (ズュンデ)"を持って、Susanne Freytag (Vo; スザンヌ・フレイターク)と共に、Dörperのソロアルバムを英レーベルOperation Twilightから出す計画で渡英した際に、NMEのChris Bohnがこれを聴いて、ZTT RecordsのTrevor Hornを紹介。それが縁となって、1983年と言う早い時期にZTT Recordsと契約しています。翌年には最初のシングル”Dr. Mabuse (ドクトル・マブーゼ)”をリリースし、1985年にはデビュー・アルバム”A Secret Wish”をリリースしており、シングル2枚”Dr. Mabuse”と”Duel”(1985年作)は、英国トップ30/21となり、大ヒットを記録しています。因みに、”Dr. Mabuse”はオーストリア人監督Fritz Langの1922年作の映画のタイトルです。ただ、セカンド・アルバム”1234”では、大幅にメンバーが替わり、Virgin Recordsからリリースされましたが、前回程の商業的成功は得られなかったようです。その後も何回かメンバーのマイナーチェンジをしており、現在もオリジナルVoであるClaudia Brücken(クラウディア・ブリュッケン)とSusanne FreytagがxPropagandaとして活動しています。 かなり、端折りましたが、Propagandaは、元々は、Die KruppsのRalf Dörperのソロが目的だったのですが、ZTT RecordsのTrevor Hornと関わることで、シンセ・ポップへと軌道修正していったバンドなんです。このマキシ・シングル”Dr. Mabuse”の製作に当たっては、コンポーザーのMichael Mertensも関わり、また、Voとして、Claudia Brückenも加わることになったようです。なので、表面上は、Claudia Brücken, Ralf Dörper, Susanne Freytag, Andreas Theinがメンバーとなっています。先述のように、”Dr. Mabuse” は売れましたので、様々なTV番組にも出演しており、特にChannel 4のThe Tubeに出演した時には、何と!Throbbing Gristleの”Displine”のカバーも演奏したとのことです。まぁ、そこら辺は置いておいて、このマキシ・シングルの各曲をそれぞれご紹介していましょう。B1はVelvet Underground &Nicoのカバー曲です。 ★A “Das Testament Des Mabuse” (10:14)は、強力なダンサブルなエレクトロ・リズムに、女性Voが乗り、バックに弦楽器風シンセが味を付けている曲で、バックは如何にもエレクトロ時代のDie Kruppsの頭脳Dörperだなと感じますね。途中のドラムマシン・ソロとダブっぽい処理なんかは、Trevor Hornのアイデアなのでしょうか? それと後半は何だか別曲になっているように思えますが、、、? ★B1 “Femme Fatale (The Woman With The Orchid)” (3:19)は、原曲と違って、マーチングリズムと朗々とした女性Voから成る曲に編曲されており、Synth-Bやリズムマシンも大胆に使われています。 ★B2 “(The Ninth Life Of...) Dr. Mabuse” (4:06)は、B1の最後のフレーズの低速再生から速度を上げていき、メタルジャンク音を加えているところから始まり、逆回転ドラムマシンと女性Voのサンプリング音等でゴチャゴチャになった後、如何にもなディスコティックなリズムが出てきて終わります。 ん〜正直、Propagandaのこのマキシ・シングルは、何がやりたいのか?意図が掴めかねますね。もっと単純にダンス・ミュージックならダンス・ミュージックに専念した方が良かったのでは?と思ってしまいます。確かにDörperには、この作品に詰め込めるだけのアイデアとテクがあったとは思うのですが、全部詰め込んでしまうと、作品としてはちょっと散漫な印象を感じてしまいますね。なので、多分、私は昔買った時から、余り聴いていなかったのだと思います。まあ、聴き方を変えれば、凄くテクを使っていますので、それを堪能することも可能だと思いますし、なんたって、1984年には大ヒットした訳ですので、曲自体は名曲だと思います。もし、チャレンジしたい方はどうぞ! A “Das Testament Des Mabuse” (10:14) https://youtu.be/MxOaokdqRSA?si=oA_tivpdg08j_auU B1 “Femme Fatale (The Woman With The Orchid)” (3:19) https://youtu.be/ND22sjpXF3g?si=GXHlZ1xLaZig31AJ B2 “(The Ninth Life Of...) Dr. Mabuse” (4:06) https://youtu.be/7oh9mkHFe_Y?si=mcgTVU8nj595xBFk #Propaganda #Dr.Mabuse #FirstRecord #12inchMaxi-Single #ZTT #Polyster #IslandRecords #日本盤 #ElectroPop #DanceMusic #GermanNewWave #Synthesizers #DasTestamentDesMabuse #FemmeFatale(TheWomanWithTheOrchid) #(TheNinthLifeOf...)Dr.Mabuse #ClaudiaBrücken #RalfDörper #SusanneFreytag #AndreasThein #MichaelMertens
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro-Dance Music ZTT / Island Records / Polyster 不明Dr K2