「からっ風野郎//三島由紀夫」見本盤7インチ+台本、その他。

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最後の一日だけは犯罪者、それ以前は作家、映画監督、ボディビルダー、評論家、タレント、武道家、モデル、私設軍隊の総裁、歌手、似非自衛官、俳優、LGBTQにおけるG、様々な横顔を持っていた三島由紀夫。30代前半にして初めて発売したレコード、主演映画の主題歌「からっ風野郎」のシングルは以前にも紹介しましたが、これはそのジャケット無しの見本盤。B面はレギュラー盤同様に春日八郎の「東京モナリザ」です。その他、当時のロビーカード、縮小ポスター版チラシ、未使用のの台本など。あの映画もこの曲も、ノーベル文学賞候補にまでなった世界的文豪の遺した表現としては、散々な酷評をされる傾向で定着しています。ある面では実に不器用、見ていて気の毒なほど不格好でセンスのない人物だったが、愚直に一所懸命とりくむ姿が余計見ていられなかった、などという関係者の回想を読みますと、たしかに説得力を感じさせます。しかし、トリックスターでもあった三島という仮面をかぶった不器用な人間・平岡公威さんの、キッチュで通俗的で、どこか自己客観視しながら楽しんでいるような風情は、これなりに極めて興味深い。「太陽と鉄」や「文化防衛論」から自決のポジティブな意味を論うのも勿論アリですが、今では、本当にこの人は昭和という時代に通り過ぎていった一陣のからっ風だったのではと思います。それにしても、深沢七郎のギターが大きく明瞭に聴こえるようなリミックス作業をどちらさんか・・などと思いついて大笑いしてしまう、そんな時代になりました。

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