世界の航空機コレクション ドルニエ DoX

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ドイツのドルニエ社が製造した旅客用飛行艇。
飛行船による大西洋航路の旅客輸送に代わる「空の豪華客船」として開発された。
設計者はツェッペリン飛行船も担当したクラウディウス・ドルニエ。
当時としては世界最大の重航空機で、機内にはダイニングルーム、寝室、喫煙ラウンジ、バー、高級カーペットを敷きつめた中央サロン等を備えていた。
デモフライトは評判を呼び、当時は難しかった大西洋横断飛行も行なっている。
しかし、故障や不調続出だった。大西洋横断飛行時、到着先のニューヨークでは修理に7ヶ月を要するなど問題点が多く整備士は皆泣いたという"整備士泣かせ"の機体だった。
それ以降、イタリア以外の航空会社から製造注文を受けることは無かったという。
イタリアの発注した2機はSANA社が民間航路への投入を目指したものである。
1機目が「ウンベルト・マダレーナ」、2機目が「アレッサンドロ・ギドーニ」と命名され、投入予定の航路も決まっていた。
しかし、実際には運行されずに、イタリア空軍にて実験的な任務に就いていた。実用性が低くかったのか軍での任務も短期間であった。これが終了すると2機とも解体されている。
ちなみに、ベルリンの航空輸送博物館にも収蔵されていたが、1945年の空襲により破壊され、現存しない。
保存機が存在しない機体だが、北海道の新千歳空港ターミナルビル一階に復元模型が展示されている。

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