60回目の日記 すぎやまこういち氏逝去

初版 2021/10/27 15:57

改訂 2021/12/04 22:02

 前回の日記に引き続き、残念な訃報について触れることとなりました。もう皆様御存じのことでしょうが、作曲家のすぎやまこういち氏が先月(2021年9月)30日に他界されました。享年90。

 もっと早期に何か申し上げたいとは思っていたものの、ちょっとタイミングを逸した感もあり言及はしていなかったのですが、この前の土曜日(10月23日)、『題名のない音楽会』ですぎやまこういち氏を追悼する内容の番組が放映されたのを偶然見ることができ、何か背中を押されたような気もしたので認めることとしました。

 報道などで伝えられた代表作としては、オールドファン向けにはザ・ピーナッツ 『恋のフーガ』、『花の首飾り』『君だけに愛を』『モナリザの微笑』などタイガースの大半の曲、ヴィレッジ・シンガーズ『亜麻色の髪の乙女』、そしてガロ『学生街の喫茶店』などがありますが、まあテレビゲーム『ドラゴンクエスト』のテーマ曲の作曲家として、が一般的な認知のようです。それはそれで異論はないのですが、個人的には氏の晩年の、愛国心が高じて保守的な政論に与するようになり、その活動の側面援助を行っていたことが最も印象に残っています。ただ、このことに必要以上に触れるのは、このミューゼオという場にはそぐわないのでこのくらいにしておきますが、それこそ新聞・地上波テレビなどのオールドメディアが、このことを殆ど黙殺していたのも印象的ですかね。


 ということで、やはり触れるべきは『ドラゴンクエスト』の音楽ということになるのでしょうが、私自身、正直言ってあまり馴染みがありませんでした。というのも、いわゆるテレビゲームというのに全くと言っていいほど縁がなかったからで、例のあのテーマの触りが耳に残っているくらいですかね。ですので、音楽の中身について論ずる資格はない。でも、一般に浸透していく様子は実感していました。私は自己紹介欄にもあるとおり映画音楽・サントラのファンなのですが、そのCDを入手する際に最も多く利用したのは言うまでもなく、いわゆる中古レコード・CD店で、今日まで断続的ではありますが30年以上の付き合いに至っています。それらの店舗でジャンル別に分けられた陳列棚のサントラ盤のコーナーに行くと、たいがい同じ区域にアニメ、そしてゲーム音楽のコーナーも設置されており、それ自体を物色することは殆どなかったのですが、それでも年月を重ねるに伴って特にゲーム音楽のコーナーのCDの在庫量が次第に充実していくのは把握できました。中古盤の量は要するに一次需要、すなわち正価で世のゲームファンの方々がゲーム音楽のCDを購入した量の反映ですから、経年普及したことは間違いなく、その代表格が『ドラゴンクエスト』の音楽のCDだったのは、その陳列棚の在庫を傍観して実感させられました。言い換えれば、私の想像以上に『ドラゴンクエスト』のテーマは世の中に浸透していた、ということで、よく語られるのが今年の東京オリンピックの選手入場の際の冒頭にこのテーマ曲が使用されたことですが、要するに現代の日本を代表する音楽であった、ということになるのでしょう。

 『題名のない音楽会』の話に戻ります。すぎやま氏が生前に番組に出演した際の模様が放映されて上記の代表作などを自らオーケストラの指揮をして演奏された模様を観ることはでき、諸楽曲のメロディーの出来の非凡さを改めて実感できたのですが、最も印象的だったのは氏の「聴き減りしない音楽」という言葉でした。おそらく何度聴いても聴き飽きない音楽、という解釈でいいのでしょう。すぎやま氏はそれを「クラシック音楽」と規定していましたが、『ドラゴンクエスト』の音楽はそれを目指した作品であった、ということであり、私もいろいろ氏に対する認識を改める点がありそうな一言でした。


 最後に、私がすぎやまこういち氏の名前を初めて知った曲を収録しているCDのジャケットを掲げて、氏を偲ぼうと思います。

 ちなみにこのタイトルを掲げた既発のCDもありましたが、こちらには主題歌は収録されていませんでした。


https://www.youtube.com/watch?v=fB2FwfsAAR4


#すぎやまこういち #ドラゴンクエスト #ゲーム音楽 #帰ってきたウルトラマン  #主題歌 #思い出

 映画音楽とクラシック音楽をこよなく愛するwoodstein(ウッドスタイン)という者です。それ故、必然的にCD、レコードコレクターであり、他人にその保有数を告げると、殆どの場合、引かれてしまうという困り者です。自分でもコレクションを把握できていないという体たらくでして、この場を通じて、実情を解き明かしていこうと目論んでいます。

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    kyusha_fan

    2021/10/27 - 編集済み

    こんばんは。
    私もゲームはやらないのでドラゴンクエストの曲は知りません。もしかしたら聴いたらアッ!これがドラゴンクエストの曲だったのかってなるかもしれませんけどね。   

    そんなゲーム音楽をすぎやまこういちさんが作曲してたなんて最近知りました。

    私がすぎやまこういちさんと言って真っ先に思い浮かぶのはガロの「学生街の喫茶店」ですね。当時大ヒットしました。でもこの曲の作曲者がすぎやまこういちさんだと知ったのもずっと後の事でした。私が一番最初にすぎやまこういちさんを知ったのは1970年〜76年までテレビ放映されてた「全日本歌謡選手権」ですね。司会は長沢純さんでした。そこにすぎやまこういちさんが審査員として出演されてました。他の審査員では古関裕而さん、近江俊朗さん、笠置シズ子さん、立川清登さん、船村徹さん、平尾昌晃さん、山口洋子さんなどがおられました。40歳くらいの頃のすぎやまこういちさんでした。番組は毎回何人か歌手志望の方たちが1人1曲ずつ歌っていき合格するとまた来週違う曲で挑戦する事ができ、落選した人はそこで終わり。10週勝ち抜いた暁にはレコード会社と交渉のチャンスが与えられるものでした。その後に放送される山口百恵、桜田淳子、森昌子などを輩出したスター誕生の前身みたいな番組でした。因みにその全日本歌謡選手権で10周勝ち抜きスターになった歌手は八代亜紀さん、中条きよしさん、五木ひろしさんなどがいます。

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      woodstein

      2021/11/05

       kyusha_fanさん、コメント有難うございます。返事が遅くなり申し訳ありませんでした。『全日本歌謡選手権』は見た覚えはあるのですが、印象に残っているのはバックステージから挑戦者がコンベアに乗って登場していたことくらいですかね。同じテレビ局で『スター誕生!』という同様のスカウト番組が放映されていたのが子供ながらに奇異に思っていたのですが、今にして思えば関西と東京の違いはあったわけで、今では考えられないことです。

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      kyusha_fan

      2021/11/05

      1人の歌手に手をかけて育てていくやり方はもう古くなったんでしょうね。最近はグループ全体で存在し、ある時期が来ると誰かが離れていったり、または入ってきたりして母体はずっと残す事でリスクを回避してるように思えますね。

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      woodstein

      2021/11/09

       最近は邦楽を聴かないのでその事情については論じかねますが、何か団体戦が目立つような気がします。

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    ryu_5u4g.2a3.6z-dh3a

    2021/10/27 - 編集済み

    40数年前にビートルズの楽曲をオーケストラで演奏したアルバムを出された記憶があります。

    なかにし礼だったかが、その姿勢を「すぎさん、えらいなぁ」と褒めていました。

    アルバムの中の一曲「プリーズ・プリーズ・ミー」が車のCM(たしかチェイサーだったか?)に採用されてました。

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      woodstein

      2021/11/05

       ryu_5ug.2a3.6z.dh3aさん、コメント有難うございます。返事が遅くなり申し訳ありませんでした。「40数年前」ということは70年代ということですね。この頃はFMなどでは今よりも頻繁にビートルズの曲がオン・エアされていた印象があり、オーケストレーションした諸楽曲を収めたアルバムにも、それなりの需要があったのでしょうね。ただ、その場合は編曲の実力がモノを言うわけで、そういう意味では、すぎやま氏の手腕が存分に発揮されたのかもしれません。

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    • 2000年代になってもビートルズの弦楽四重奏によるすぎやまこういちの世界としてコンサート活動をされてたようで、CDも出していたようですね。

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      woodstein

      2021/11/09

       要するに、すぎやま氏にとっても、ビートルズは特別な存在だった、ということですね。

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  • Animals 16

    Jason1208

    2021/10/28 - 編集済み

    ご冥福をお祈りいたします。
    すぎやま先生の作品は、主に「イデオン」など聴いていました。
    経歴の凄さと、マルチタレントに驚かされます。
    https://youtu.be/PvpB0IlpK3A
    ピアノ弾いてるのは、故羽田健太郎先生です。

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      オマハルゲ

      2021/10/28

      イデオンはすぎやまさんの音楽があっての作品ですね。
      富野さんも音楽に引っ張られて作ったみたいな発言をしてました。

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      woodstein

      2021/11/05

       Jason1208さん、コメント有難うございます。返事が遅くなり申し訳ありませんでした。『伝説巨神イデオン』はそのタイトルを知っているだけで、本編は全く観たことはありません。ただ、劇場公開版の予告編は、別の映画の上映前に観たことがあったかな。スミマセン。添付して戴いた動画の音楽を聴きましたが、印象としては「刑事アクションもの」という風情に感じられ、ちょっと意外だったかな。でも、すぎやま氏の作風の間口の広さが感じられもしました。

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      オマハルゲ

      2021/11/06 - 編集済み

      イデオンに於けるすぎやま氏の真骨頂は映画版「発動編」のクライマックスで流れる「カンタータ・オルビス」です。
      全編ラテン語で歌われた荘厳な宗教音楽を思わせるこの曲は、イデオンの最後に相応しい名曲だと思います。
      録音中はあまりの荘厳さに「何を録音しているんだ?!」と人だかりが出来たという逸話もありますw
      「デウス」「メシア」という単語が入った歌詞も検索すれば出て来ます。

      https://youtu.be/pIr6BRZTVR4

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      woodstein

      2021/11/09

       omaharuge102さん、2度に亘りコメント有難うございます。アニメやゲームの音楽に関しては疎いので、いつもいろいろ教えて戴き助かっています。『カンタータ・オルビス』聴かせて戴きましたが、とてもアニメの曲とは思えず、目から鱗が落ちた思いでした。

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    • Animals 16

      Jason1208

      2021/11/09 - 編集済み

      遅ばせながら、“デス・ファイト”という曲は、「イデオン」世界の超光速航法である「亜空間航法=DSドライブ航法」中の遭遇戦闘である「DSファイト」と死闘のダブル・ミーニングとなっております。「イデオン」の楽曲はもともとクラシック要素が高いのですが、この曲は一般的なアニメ劇伴曲に近く、しかも緊迫感ある難易度の高い戦闘を描くことから、ハードなロックとなっており、「ロックの魅力が味わえる曲」(添付解説より)となっております。

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    kinggidoko

    2021/11/06 - 編集済み

    子供のころから人生で遭遇したインパクトのあるほとんどの楽曲はすぎやまこういちさん作品のような気がします。こんなに影響力のある作品を手掛ける音楽家は少ないですね。ご冥福をお祈りいたします。

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      woodstein

      2021/11/09

       kinggidokoさん、コメント有難うございます。確かにすぎやま氏の音楽の影響力は大きかったような気がします。

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    ace

    2021/12/02 - 編集済み

    私も、ドラクエよりイデオンの印象が強い派です。
    カンタータ・オルビスめ素晴らしいのですが、富野監督の詞と相まって飾らず物語の核心を詠んだこの曲が大好きです😌
    あらためて、ご冥福をお祈りいたします
    https://m.youtube.com/watch?v=70QqgY6tQaA

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      woodstein

      2021/12/04

       aceさん、コメント有難うございます。動画見させて戴きました。とにかく、このモノ日記のコメント欄を通じて『イデオン』の音楽がいかに評価が高いのかが、そこはかとなく感じられました。何か機会があれば本編はともかく音楽だけでも聴いてみなければならないのかなあ。

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      オマハルゲ

      2021/12/04

      せめて映画の「発動編」だけでも是非。
      損はさせません!

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