太陽と呼ばれた男 ――石原裕次郎と男たちの帆走

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戦後最大のスター石原裕次郎

「哲なら必ず裕次郎さんを殺る! 」悲鳴のような思いがコマサの身体を走った

史実の中に封印されていた石原プロと『西部警察』秘史!

これは、「太陽と呼ばれた男」石原裕次郎と共に、石原プロの最も輝かしい時代を創った男たちのビジネス戦争と、それぞれの人間ドラマである――。

本書は映画の失敗で8億円の負債を抱え、倒産危機に直面しながらも、『西部警察』のビジネス成功によって、70億円の貯えを手に入れ、優良企業として立ち直るまでの5年間を追った物語である。
1人はカリスマ性を発揮して、リーダーを務めた石原裕次郎、またもう1人は、石原裕次郎に生涯を賭して忠誠を誓い、尽くした渡哲也、そしてもう1人は自らを「銭ゲバ、コマサ」と称し、経営に長けた小林正彦専務。この3人の、一人もなくして、石原プロの繁栄とその名が多くの人の記憶に残ることは有り得なかった――。
石原裕次郎、渡哲也、小林専務ら石原軍団のトップたちは、何を求め、何を目的として突き進んでいったのか。命を賭し、苦楽を共にしながら激しく生きたトップスリーの生と死の壮絶なドラマがいま明かされる――。

「いよいよ映画を撮る気だ―とコマサは身震いした。コマサも映画を撮りたい。その思いは同じとしても、失敗を恐れた。恐れは金額的損失でも、経営危機に陥ることでもない。雌伏を経て勝負をかけた作品が万一コケでもしたら、「石原裕次郎」の名前に傷がつく。太陽は紺碧の空にあって輝き続けなければならない。だからコケさせては絶対にいけないのだ。
そう考えると、コマサは足がすくむ。〈昨夜、テツは、いつまでも映画を撮ろうとしないことをなじった〉撮ろうとしないのではない。コマサは撮るのが怖いのだった」
(本文より)

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