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第四次発行5銭茶色:定常変種「左上隅飾り両方ヒゲ落ち」 4th Issue 5 Sen brown : var. left upper corner ornament both “beards” missing
第四次発行5銭茶色で、左上隅飾りの「ヒゲ」が二つとも欠落している忘彫エラー。 第五次発行10銭の縦3枚ストリップを目当てに先日入手した証書に貼られていたもので、思いがけない発見で驚いた次第。 カタログに記載されている同様の定常変種とは異なっているようで、判別に加えて、第三次発行5銭茶色での同一ポジションの捜索など、今後の詳細なスタディが必要な一枚である。
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第三次発行10銭青色:第二次発行10銭青色との同一ポジション(小エラーあり:版番号未同定)/ 3rd Issue 10 Sen Blue - identical position to 2nd Issue (with minor error - plate TBD)
第三次発行10銭青色のいくつかの版は、その前の第二次発行10銭青色と同一の原版を使って製造されたことがわかっていて、小生のコレクションにもいくつかのペアがある。 このペアは、第三次発行10銭青のプレーティング作業の過程で見つけたもので、画像2枚目のとおり、左上隅の隅飾りの下側にある小ループが欠落していること、右下桜花紋の下側の青海波紋様が不完全という細かいエラーがある。 加えて、上下額面の枠線が一部はみ出ているなど、エラーとまでは言えないものの、仕上げが少々雑という特徴がある。 実は、第二次発行10銭青のプレーティング作業中にこれらのエラーを持っている印紙(版番号未確定)を以前に見つけており(画像3枚目)、今回の第三次発行10銭青で同じエラーを発見したときはかなり感激した次第。 なお、この印紙は元のリーフ(いずれもEx 古屋)では第三次が「Plate 3」、第二次が「Plate 7」となっているのだが、いずれも同じリーフに貼られている印紙とは異なった特徴を持っており、元々のプレーティングは間違っている可能性が高い。「銭」「處」など、特徴的な筆跡が目立つが、現時点では版番号は未同定である。 細かいエラーや版欠陥がプレーティングに大いに役に立つ、いい例であろう。
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(11)第2例目: 上雲形紋2つ軽彫 / 1st Issue 1 Sen - variety (11) : Second example- top two cloud ornaments
「第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(11)」で報告した、上雲形紋2つ軽彫定常変種の第2例目。 前報の印紙は証書に貼られたものであるが、こちらの第2例目は画像1枚目のとおり使用済み単片である。画像2枚目はエラー(軽彫)の説明のために、軽彫になっている上の雲形紋2つを赤実線で囲い、対照とするために(きちんと彫られた)下の雲形紋2つを赤点線で囲ってある。軽彫により、上の雲形紋様がごくごく薄れてしまっているのがわかる。 画像3枚目は、今回の印紙と前報の印紙を並べて比較したもの。左警告文の「可」の左上、外枠の角近くから伸びている線や、「處」の第1画目が不完全で、第3画目と分離しているなど、すべての特徴が一致するので、同一ポジションの印紙であることがわかる。 このことにより、この「上雲形紋2つ軽彫」は印刷時の薄れや保存時の擦れではなく、定常的に出現する定常変種であることが証明された。 なお、この印紙の左側マージンを観察すると、マージン幅が十分に広く、かつ、左側の印紙の印面が重なっていないことからシート左端の列である可能性が高く、また、印面中央付近(左警告文の崩し字「も」の左横あたり)でルーレットの段差が存在することからシート第3列目と考えられるので、ポジションはPos. 21(シート左端、上から3つ目)の可能性が高い。 * ルーレットの段差についてはLabジャーナル「手彫証券印紙ノート」のLabノート、「【手彫証券印紙】第1次発行1銭:ルーレットについて」をご参照ください(下記URL参照) https://muuseo.com/unechan/diaries/34
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(9): 左側波落ち(忘彫)第2例目 / 1st Issue 1 Sen Black - variety (part 9) - second example : left side wave pattern largely missing
第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(9)で紹介した、左上桜の下側の青海波紋様が広範囲で欠落しているという、1銭黒色では最大のエラー(忘彫)の第二例目に出会えたので紹介。 このエラー印紙(画像1枚目:エラー部分をわかりやすくするために画像の色調などを調整している)は、明治11年付の証文に単独で貼られたもので、消印が印紙の右上に押されているので、エラー部分が綺麗に見えている最高のコンディションである。 この証書は先日入手した雑多な証書のロットに混じっていたもので、ロットの中から目ぼしい多数貼りなどを拾ってリーフに仕立てたあと、念の為にパッとしない単貼りやコンディションのよろしくない証書をルーペで眺めていてこのエラー印紙に気づいてびっくり。これだから手彫証券印紙は気が抜けない。 貴重なアイテムが入手できたので、早速リーフに仕立てたのが画像3枚目。
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第五次発行50銭橙色:使用例(2) 明治16年付 1枚貼り証書
第五次発行50銭橙色の使用例で、明治16年付けの1枚貼り証書。第一国立銀行大阪支店の預り金証書。このミュージアムでも何例か紹介している様式で、第五次発行50銭貼りとしては紹介済みの横ペア貼りに続いて2通目を入手できた。 第一国立銀行大阪支店の証書はどこかの時点でまとまって市場に放出されたようで、古屋厚一氏や長谷川純氏のコレクション集でも高額面印紙の使用例としてしばしば登場する。銀行の金庫で大切に保管されていたためか貼られている印紙のコンディションは極上で、この例でも発行当時の鮮やかな橙色が保持されているのが嬉しい。 画像3枚目はアルバムページに仕立てたもの。
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第五次発行1銭紅色 使用例:目打13x10 縦ペア他貼り証書
第五次発行1銭紅色の証書貼り使用例で、複合目打13x10の縦ペアが第五次発行50銭橙色1枚と同1銭黒色2枚と一緒に貼られた明治16年付け証書。 このミュージアムでもご紹介している、第一国立銀行の立派な洋紙の証書(借用書)が使われている。 第五次発行1銭紅色の証書貼り使用例は、高額面ということもあってあまり出逢うチャンスがないが、こちらは2枚貼り、しかも目打13x11という貴重な使用例である。
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(22): 上雲形紋2つ落ち / 1st Issue 1 Sen - variety (22) - upper two cloud ornaments missing
第一次発行1銭黒色印紙のヴァラエティーで、印面上部の雲形紋様が2つとも欠落している忘彫エラー。画像2枚目はヴァラエティーの説明。 印面上部の雲形紋様のエラーは、このミュージアムで展示している「第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(11): 上雲形紋2つ軽彫 & 「處」第1、2画軽彫 」とよく似ているが、この印紙では軽彫の形跡がなく、完全に欠落しているものと考えている。 かなり派手なエラーであるが、古屋、長谷川などの主要カタログには未収録。 ---------------------- 参考:「第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(11): 上雲形紋2つ軽彫 & 「處」第1、2画軽彫 」 https://muuseo.com/unechan/items/199?theme_id=40064
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第三次発行5銭茶褐色:定常変種「下左側雲型紋様不完全」/ 3rd Issue 5 Sen Brown: variety - lower right cloud form ornament incomplete ("missing eye")
第三次発行5銭茶褐色印紙の定常変種で、左下の雲型紋様の内部が彫られていない忘彫エラー。画像1枚目は印紙のクローズアップ、画像2枚目はエラーの解説。 手持ちの第三次発行5銭茶褐色印紙の版別作業の最中に、別途紹介した同一のエラーがある第四次発行5銭印紙と完全に一致することを発見したものである。 この個体は全体的に保存状態が悪く、当該エラーも擦れによるものと思ってこれまで見逃していたところ、第三次-第四次での同一ポジション印紙の発見とともに、このエラーが定常変種であることを証明する貴重なエビデンスである。 この「白目」エラー、第四次発行5銭とともにカタログ未記載。 【参考】第四次発行5銭褐色:定常変種「下左側雲型紋様不完全」 https://muuseo.com/unechan/items/356?theme_id=40089
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浅野コレクション:第三次発行5銭茶褐色(その11) / Asano Collection: 3rd Issue 5 Sen Brown (11)
第三次発行5銭茶褐色の版別リーフ、第6版の続き。 点トンボのついた耳紙付きの、シート右下コーナー位置(pos. 50)の単片と、上下右に耳紙がついた10枚ブロック(2x5)が収められている。 この10枚ブロックは、古屋厚一氏のコレクション集「手彫証券印紙」(2003、鳴美)の94頁に掲載されているもので、第6版としての最大ブロックである旨が添えられている、貴重なEx Furuyaマテリアルである。
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浅野コレクション:第三次発行5銭茶褐色(その10) / Asano Collection: 3rd Issue 5 Sen Brown (10)
第三次発行5銭茶褐色の版別リーフ、第6版の2リーフ目。 リメンダー消し、目打13の縦ペアと、同じく縦ペア貼りの証書が収められている。 リメンダー消しはなかなか出会えることがないので、星4つとしています。
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蚕種免許印紙:明治7年度使用・共通用(その2)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 7 -Common use (2)
蚕種免許印紙・明治7年度使用・共通用で、「その1」で示した個体と比べると、 ・「明治」が整っている(「その1」のものは、特に「明」がデフォルメされている)、 ・「七」の横棒が細くて長い(個体差?版の差?)、 ・「蚕」(旧字)の、「虫」の最終画がおとなしい(「その1」のものは強いハネ付きのセリフがある)、 という特徴があって、異なる版の可能性が高く、アルバムでは別タイプ/版として整理しています。 四隅の渦巻き紋様と、どこか愛嬌のあるカイコガの姿が味わい深い、明治の名作の一つです。
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蚕種免許印紙:明治7年度使用・共通用(その1)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 7 -Common use (1)
明治7年度の蚕種免許印紙は、それまでの青海波紋様からカイコガと繭を周辺にあしらったデザインに変更となりました。 当初は明治6年度と同様に淡黒色の国内用と緑色の海外用の二種類が発行される予定で、菊紋の下側に「国内」と「海外」がそれぞれ彫られた見本(朱色の丸消付き)が布告に貼付されて公告されたのですが、日本からの絹関連製品の大輸入国であったイタリアの公使より、 「印紙を国内用と国内用に分けて輸出を制限するのは日伊条約に反する」 というクレームがついて、急遽、国内向けの印面から「国内」を削りとったものが共通用として販売、使用されました。 印面の菊紋と「蚕種」「明治七年」との間がやたらと広いのはこの削り取りが原因です。 この印紙も入手には苦労させられ、明治5年度や明治6年度の海外用と比べると出会えるチャンスは少ないように感じています。 古屋カタログ(2011)によると原版数は「2以上」とあり、私のコレクションにある2枚も彫りのインプレッションが異なっています(→「その2」でご紹介いたします)。 この印紙、昆虫をモチーフとした切手/印紙としてはもしかしたら世界で最も古いものかも知れません。 切手では、ハワイの1891年のリリウオカラニ女王を描いた2¢ dull violet (Scott 52) で、女王の髪飾りに蝶のブローチ(?)が描かれているものが世界最古の昆虫切手とのことで、この印紙の明治7年=1874年はずば抜けて古いと思っています。昆虫を題材としたトピカルコレクションでは欠かせないマテリアルなのかも知れませんね。 ちなみに未発行に終わった明治7年度の国内用と海外用の二種類は、布告に貼られた丸消付きが剥がされたものがごくたまに市場に登場しますが、かなり珍しいもので、残念ながら小生のコレクションには含まれていません。いつか出会えることを心待ちにしてます。
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その5)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (5)
蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用で、明瞭なインプレッションの一枚です。刷色は緑色で、タイプAほど濃くはありません。 「六」の両足はタイプAと同じようにハネがあるので、タイプAの初期印刷(=原版が痛む前の状態)であるとも考えられる一方で、 「外」の編(タ)が長く伸びているという違いもあり、扱いに悩んでいる一枚です。 現時点では仮分類として「タイプE」としていますが、こちらも2枚目の発見が待ち遠しい謎の一枚です。
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その4)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (4)
蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用で、刷色や全体のインプレッションはタイプAに良く似ていますが、 ・桑の葉の外縁のギザギザが明瞭で、細い線で鋭く描かれている(画像2枚目参照)、 という大きな違いがあります。また、桜紋の芯も展示しているタイプAのそれに比べて長いという違いがあります。 同一版の中での個体差なのかも知れませんが、現時点では別の版と考え、「タイプD」として分けています。 2枚目の発見が待たれる、謎めいた一枚です。
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その3)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (3)
蚕種免許印紙:明治6年度使用の海外用で、刷色は濃緑色でタイプAと同じですが、 ・「六」の両足にハネなどがなく、すっきりしている、 ・青海波紋様の小波が安定していて正確に彫られている、 ・全体としてインプレッションが明瞭(タイプBほどではない)、 という特徴があり、別の版として「タイプC」としています。 画像2枚目は同じ特徴を持っていて、緑色が若干薄めの個体です。 こちらもあまり見かけないように感じています。
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