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Pterygometopus angulatus
ロシア産では数少ないファコプスの仲間であり、小さくて特徴も産出も少ない地味な存在です。近縁というか混在に近い形でEstoniopsという属名も見かけますが、Estoniopsの方が写真等で比較すると幅広なのかと感じていましたが、必ずしもという訳でもなく、比較は難しいです。本種は、頭鞍部のブツブツが無い種類の様です。
Lower Ordovician Pterygometopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-547 Kunda levelTrilobites
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Gerastos tuberculatus marocensis
デボン紀モロッコ産の入門種としてコレクターの多くが収集初期に購入する種類です。それほど高価でもなく、小型で派手さも無いので軽視しがちの種類であります。大きく膨らみツブツブに覆われた頭鞍、迫出した複眼もぷっくりと大きく、見た目が可愛い三葉虫で、個人的には大好きな種類です。ドイツなど欧州のデボン紀の地層から見つかるGerastos granulatusと見た目は同じの為、同種として扱われる事がありますが、近年、やっと記載が開始される様になりました。頭鞍の顆粒の状態など見分けるポイントは論文にあるのですが、実際にはこの種以外は見かけないと言って良いレベルです。また、細かい種の同定は、レベルの高い剖出がされていないと不可能です。
Middle Devonian Proetidae,Proetoidea,Proetida TRI-42 TimhanrhartTrilobites
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Bathyuriscus rotundatus
Burgess shale(バージェス頁岩)といえば、この地より産出するアノマロカリスやオパビニアなどカンブリア紀の奇怪な生物を産出する地として、一般にも広い知名度があります。その歴史は、20世紀初頭にC.D.Walcott(1850-1927)らにより確認されて以来、軟体部を含む数々の化石の発見により、カンブリア紀の生物相の解明に欠かせない重要な場所です。現在ではユネスコの世界自然遺産地域「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」に置かれ、化石の商業的流出はありません。Marrella以外のバージェスの化石自体が入手困難ですが、三葉虫類はバージェスの中では少数派だったこともあり、状態の良い標本の入手は極めて困難な産地です。バージェス頁岩は、黒色系ばかりでなく黄色系のタイプもあります。本種は、Proetida(目)の中でもBathyuridae(科)というマイナーな所属であったりします。
Middle Cambrian Bathyuridae,Bathyuridea,Proetida TRI-252 StephenTrilobites
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Wujiajiania sp.
Mckay Groupより産出する三葉虫で最も多く産出するのがこの種類で、全体の半分以上を占めるとも言われています。Wujiajianiaは、近年の研究によれば3種類に分ける事が出来ます。一番区別しやすいのが頬棘の長さで、W.lyndasmithaeは、第6~7節まで達する一番長い頬棘。 W.sutherlandiは最も短く第3節。 W.ricksmithiは第4節。その他、顔線の微妙な差もあります。この標本に照らし合わせるとW.sutherlandiが一番近いのですが、境界が甘いので同定できないと判断しました。
Upper Cambrian Olenidae,Olenoidea,Ptychopariida TRI-144 Mckay GroupTrilobites
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Piltonia kuehnei
石炭紀ベルギー産の三葉虫です。ツルッとした体表のCummingellaと違い、無数の顆粒が全身に規則正しく並んでいて、特徴の少ない石炭紀三葉虫にあっては見分けがしやすい種類です。状態の良い完全体が望める産地ではありましたが、近年は余り出回る事が無くなりましたので、もう供給されていないのだと思われます。この地で産出する産状も大部分が尾部や頭鞍のみのようで、自在頬まで揃う標本は極僅かなのです。
Lower Carboniferous(Mississippan) Phillipsiidae,Proetoidea,Proetida TRI-274 TournaiTrilobites
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Sinosaukia distincta
2015年位から見かけるようになってきたカンブリア紀、Sandu累層の三葉虫群。広西チワン族自治区のベトナムとの国境に近いエリアから産出します。初期のアスフス目の仲間が多いですが、同時代のカナダのMacky Groupとはまた雰囲気が異なります。頭だけでなく全身にある顆粒が特徴的なこの種類、分類上はDikelokephaloidea(超科)らしいのですが、後のオルドビス紀のモロッコ産Dikelokephalinaの先祖なのかというと似てませんね。Eosaukia tangcunensisと呼ばれている種類も同種でないかと思っています。
Upper Cambrian Saukiidae,Saukiidae,Asaphida TRI-525 SanduTrilobites
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Calymene gamachei
カナダ東部のセントローレンス湾に浮かぶアンティコスティ島からは、シルル紀の非常に美しい三葉虫が産出します。圧縮も無く細部も細かく、世界のシルル紀三葉虫産地の中では最も保存状態が良いと思います。本種も右頬部が産出時と思われる欠損がありますが、立体的で割れや褶曲の影響のない美しいカリメネの姿を留めています。 【標本リンク】FFストア http://www.ffstore.net/detail/cly_012.html
Lower Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-520 JupiterTrilobites