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Pseudophillipsia sp.
イタリア北東部、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州は、東アルプス山脈を隔て北にオーストリア、東にスロベニアに国境を接します。この辺りのアルプス山脈は、石炭紀からぺルム紀の石灰岩が広がり、少数ながら三葉虫も産出する事が知られます。メキシコPest Museumの図鑑が数少ない情報ですが、P.elegans(GEMMELLARO)やP.gemmellaroi(GRECO)などが産出する事にはなっています。購入時は石炭紀となっていて事実、後期石炭紀の地層もあるのですが、Pest Museumの図鑑に合わせペルム紀で登録しています。私の所有する全三葉虫コレクションの中でも、最も入手困難な標本の一つでないかと思っています。
Lower Permian Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-757 Val DolceTrilobites
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Comptonaspis swallowi
本種は、ミズーリ州産が有名なのですが、こちらは直線で600㎞以上離れたニューメキシコ州産です。顆粒の無いツルっとした体表面が特徴で、元々特徴が少ない石炭紀の三葉虫ですが。ミズーリ産との区別はつきません。ニューメキシコ産の本標本は、100年以上前に採取された古い標本です。
Lower Carboniferous(Mississippan) Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-280-2 Lake ValleyTrilobites
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Pseudophillipsia artiensis
ペルム紀ロシア産の本種は、昔から知られていて、年代別にコレクションするコレクターにとって、ペルム紀を代表する三葉虫として本種の完全体を探しているコレクターも多いと思います。珍しいとはいえ遊離頬が外れている個体は、長年収集していれば入手の機会はあったと思いますが、完全体は相当の難易度である事は三葉虫コレクターなら理解する所です。この標本も国内の有力なコレクターを経由して私の所に辿り着いています。Ditomopyge artinskiensisという別名も同一種と見ています。
Lower Permian Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-551-2 ArtiTrilobites
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Archegonus(Philibole) aprathensis
2019年位に市場に出てきた石炭紀ポーランド産。産地のヴァウブジフは、チェコの国境に近いドルヌィ・シロンスク県なので、同一種として産出するドイツAprath産とは、エリア的には近くはありません。特徴が乏しい種類なので、同一種でも違和感は無いですが、仮名なのかは分かりません。貴重な石炭紀の完全体の出る産地が増えたのは、カザフスタン産以来かもしれません。
Lower Carboniferous Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-737 SzczawnoTrilobites
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Pseudophillipsia(Nodiphillipsia) ozawai
かつて日本を代表する産地であり、国産化石を採取や収集している人で知らない物が無い金生山。現在も工業的に石灰岩の採掘が続いており、立入りは禁止されています。金生山で三葉虫が採掘されたのは、1973年(昭和48年)と意外と遅く、ただ以降の僅かな期間だけしか採取できず、現在では三葉虫が採掘できたとされるエリアも消滅していると聞いています。古生代の有孔虫であるフズリナの種類から年代が分かるとされる赤坂石灰岩、三葉虫の尾部の右側に存在する、木の切り株の様な化石がYabeina globosa (Yabe,1906)であり、この層をYabeina globosa Zoneと呼ばれるペルム紀中期の地層から、種類も同定されています。世界的に貴重な最期の三葉虫の一つです。
Permian Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-561 -Trilobites
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Cummingella carringtonensis
イングランド中央部の内陸にある、ダービシャー州に在る石炭紀の地層から産出した種類です。英国は、石炭紀の三葉虫も多く産出しているのですが、この産地に関する情報が乏しく、提供元が示した学名も正しいのか分かりません。記名者Henry Woodwardが1884年に出した書籍(#1)には、Derbyshire産Griffithides? carringtonensisとされる本種と思われる図版があり、尾部の描かれているのですが、この標本の尾部と図版は特徴が合致しています。本種の標本は2018~2019年位の短期間に極僅かに市場に登場し、その後は見かける事がありません。白系の母岩に10㎜に満たない小型の種類であり、複数の個体が見られるように群れで暮らしていたようです。 #1: 「A Monograph of the British Carboniferous Trilobites」
Carboniferous Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-664 -Trilobites