Spinamacropyge daliens
こちらは、スピナマクロピゲ・ダリエンス (Spinamacropyge daliens) 。
中国でも南に位置し、ベトナムとも接している、広西チワン自治区のサンドゥ累層 (Sandu formation) 産の種であります。サンドゥ累層はカンブリア紀でも、オルドビス紀にほど近い時代の産地であり、カンブリア〜オルドビスの生物の変遷がよく分かります。最近研究もホットになりつつある時代であります。
本種はそんなサンドゥの、それなりの希少種。半円状の頭部、長い頬棘、美しく流れるような胸棘と、なんとも美麗な種であります。サンドゥ産は妙な形状の種が多いのですが、そんな三葉虫群の中にあって、この種は正統派な見た目です。ぼんやりとした、境界不明瞭な保存状態の標本が多いのですが、この標本は細部に至るまで奇跡的な保存状態で残っています。
スピナマクロピゲ (Spinamacropyge) の名が示すように、棘を持つ (spina) 大きな (macro) 尾部 (pyge)が特徴的で、特に尾部の形は団扇のようで、面白い見た目だと感じます。
正直、パッと見はレドリキア類に見えます。しかしどうやら、他のサンドゥの多くの種同様、アサフス目 (Asaphida) のようなのです。超科で言えばAsaphoidea。アサフス目は、そもそもが、かなり範囲の広い分類群であります。サンドゥと同時代のフーロンギアン (Furongian) の産地である、カナダのマクケイ産 (Mckay) の種々の三葉虫も、殆どがアサフス目ですが、見た目は凡そアサフスらしくありません。アサフス目とはそういうものなんだろうなぐらいの気持ちで考えております。
Upper Cambrian
Sandu (Guole biota)
Jingxi county, Guangxi Province, China
Spinamacropyge daliens
trilobite.person (orm)