Cheirurus sp.

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マルヴァン産のケイルルスの一種 (Cheirurus sp.) です。
長年、クテノウラ・レトロスピノサ (Ktenoura retrospinosa) としてきたのですが、最近、ケイルルス・セントラリス (Cheirurus centralis) の可能性もあるんじゃないかと思い始め、差し当たり、何らかのケイルルスという事で保留としております。

頭鞍が顆粒等に覆われておらずツルッとしており、自由頬にも、やや細かい顆粒があるのみです。
頭鞍/頭鞍葉の形状などからは、また別のケイルルスであるプロロマ (Proromma sp.) とは、少なくとも本種は異なるのではないかなと考えております。種の判断材料になったであろう尾部は、残念ながら失われてしまっており、それが鑑別をより難しくしてしております。

いずれにせよ、英国産のケイルルスは市場に出回る機会が非常に稀で、希少な標本と言えるかと思います。

本標本のアピールポイントとしては、珍しくハイポストマ (hypostoma) が某出されており、その形状がしっかり観察できます (写真4枚目) 。ハイポストマには、これといった特徴はなく、角が丸い三角形をしており、表面には特に目立つ顆粒等はありません。

全体的な構図としては、母岩をよっこらせと登っている最中であるかのような動きを感じる標本で、コミカルな印象をうけ可愛らしいです。色々な意味でお気に入りの標本です。

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    Trilobites

    2023/03/01 - 編集済み

    Ktenoura、「化石の写真図鑑―完璧版 (地球自然ハンドブック)」とかに載っていて、個人的には収集初期から気になる存在なのですが、未だに良い標本に巡り会えてないです。特徴的な尾部が欠損しているのは残念ですが、入手するには妥協しないとならない産地なので、致し方ありませんね。

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    • マルバンやダドリーの標本の中でも、本種はあくまで比較的ですが、派手な種類で気になりますよね。このktenoura(疑い)は昔、fossileraで偶々放出されていた標本を同産地のダルマニテスなどと一緒に入手したものです。
      全て揃っている標本となると厳しいですね。そう言えば、年始に巣穴氏より完品に近い標本が出ていたようで、てっきりtrilobitesさんあたりが入手されたのかと思ってましたが、違ったのですね。

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      Trilobites

      2023/03/02

      年末年始からの巣穴氏のコレクション、該当も含め幾つか入札はしましたが、振り落とされました。今回の機会を逃すと次は何年先だろうというコレクションばかりでしたが、皆さんお金持ちだなと見てるしか無かったです。

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    ktr

    2023/03/03 - 編集済み

    ケネディ氏の本を見るかぎり、クテノウラよりはケイルルス寄りに感じます。
    クテノウラって、なんかもっと平べったい感じがするんです。
    ただ、あの本には、同じ種名なのに、明らかに形の違うのがあったりしますので、断定的なことはいえませんね。

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    • ktrさんもそう思われますか。
      何せクテノウラにせよ、ケイルルス・セントラリスにせよ、それまで参照できる写真が少なすぎましたね。その後、私も例のケネディ氏の本の写真をみて、この標本はクテノウラよりは、ケイルルスなんじゃないかなと心変わりしつつあります。おっしゃるように、AMNHを参照にしても、クテノウラは特に頭鞍などがもっと平べったいようにも見えますね。
      ただたとえば、その本のFig.661 (C. centralis) とFig. 664 (K. retrospinosa) なんて、どう見ても同じ種にしか見えず、一体何が違うんだとハテナでいっぱいになってしまいますよ(個人的にはFig.661の方が同定ミスで、これもクテノウラだと思います)‥。

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