第三集「世の人の見付けぬ花や軒の栗」① 奥の細道シリーズ切手限定コレクション

0

 四月二十日(陽暦六月七日)に白河の古関跡にあった旅館(福島県白河市旗宿)を超えてみちのくに入った芭蕉は、二十二日に須賀川(福島県須賀川市)の等躬宅に泊まり、二十九日に発足するまでに滞在する。二十四日には、可伸という人物のところで、

 かくれ家や目だたぬ花を軒の栗
を発句も歌仙(連句)の会を催した。
『奥の細道』に

 この宿の傍に、

 大きなる栗の木陰をたのみて世をいとふ僧あり。

 橡ひろふ太山もかくやと閬に覚えられて、

 ものに書き付け侍る。

 その詞

  栗といふ文字は西の木と書きて

  西方浄土に便りありと、

  行基菩薩の一生、

  杖にも柱にもこの木を用ひ給ふとかや。

 世の人の見付けぬ花や軒の栗

とあるが、その「世をいとふ僧」が可伸で「かくれ家や」の句を改めて、ここに用いた。改めたのは、「かくれ家」にあたる語を、前文に「世をいとふ」と用いたからであろう。「世をいとふ僧」(可伸)の人柄を賞でた句である。

[句意]
栗は西方浄土に縁のある尊い木であるが、その花は、入の賞するところではない。この草庵の傍に、人に知られずひそやかに咲いている栗の花があるが、それは、あたかも草庵の主に人柄と照応するかのようだ。

季語・「栗の花」(夏)

 市立博物館と可伸庵跡(NTT須賀川)に句碑がある。須賀川局は、可伸庵跡からJR須賀川駅へ行く途中。

#切手
#初日カバー
#FDC
#奥の細道シリーズ

Default