レコード運送用ダンボール 中・小ケース

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■キングレコード
 30cmLP 25枚用?ダンボール・中ケース
 サイズ;W340×H340×D130/㎜
 印刷色:赤・青 2色印刷
 1970年頃流通

 ①長面表・③長面裏はキングレコード、キングレコードのロゴマーク、赤帯
 ②④両巾面は内容明細枠(記号、番号、 数量)「取扱注意」注意表記
 ⑤上フラップ 印刷なし
 ⑥上フラップ 印刷なし

 私は退職するまでダンボール用印版製造会社に勤めたので、ダンボール印刷について説明できます。このケースにケアマーク(取扱注意マーク)が付いて無いので60年代の古い印版で製函されたと思います。
 現在のダンボール印刷の印版はパソコンでデザインしデータ化し、樹脂版で作製しますので箱の裏・表の印刷は全く同じように出来るのですが、1960年代はまだ超アナログの時代でした。版画と同じ、ゴムの板に裏返しの図案・デザイン・文字を書き写し手で彫っていました。どんなに細かい漢字や英字もすべて手彫りでした。
 このケースの印刷文字を見ると太さも大きさもバラつきがあり、活字を組んだようには垢抜けていません。箱の裏表が同じ内容でも微妙に違っありします。また人間がやることですから彫師の腕前によっても大きな差がありました。中にはこれが手彫りか?というような見事な版もありました。それに樹脂版に比べて手彫りのゴム版は長持ちしたのです。昔の彫師さんの技術にはびっくりします。

■キャニオン・レコード
 17cmEP/LP用ダンボール・ケース
 サイズ;W310×H220×D210/㎜
 印刷色:青・赤 2色印刷
 1970年前半頃流通

 手彫版の時代も後期になると写植が出てきました。文字の書体も大きさもある程度自由にできるようになりましたが、印画紙の大きさまでという制約があります。原寸の台紙に三角定規、コンパスを使い、カラス口やロットリングで罫線を引き、レタリング・イラストを描き込み写植文字を手で切り貼りし版下を作成します。この版下を撮影し、ネガ・フィルムに焼き、樹脂に焼付けます。この樹脂を洗浄してできた凹凸版を透明フィルムに貼り込み樹脂印版が完成です。今は、パソコン上で文字・イラスト・画像をレイアウトしたデータを、ネガ・フィルムで出力、製版という手作業の少ないデジタルの時代になりました。
 このキャニオン・レコードのケースは写植文字の時代のケースだと思われます。

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