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丸善 ストリームライン オノトモデル
その昔 夏目漱石が愛用していたオノト万年筆を、1996年に丸善が1000本限定で復刻したもの。 製造はパイロット。 ペン先は18金で、漱石の特注原稿用紙に見られる愛らしい龍が刻まれている。同じくクリップには丸善の方位磁石マークが刻まれており、随所にこだわりが感じられる。 インクは両用式だが、コンバーターが付属したのでそれを使っている。ニブはMで、ふわふわとした柔らかい書き心地が味わえる。 私はこれを手に入れてすぐに、原稿用紙100枚を超える卒業論文を書くのに酷使してしまったが、ペン先が開くこともなく良い仕事をしてくれた。 このペンの為した仕事はその後、教授の決裁を受けて私を卒業に導き、卒業論文は今、私の本棚に静かに眠っている。
万年筆 丸善 約25000円蒼樹たけ
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MontBlanc マイスターシュテュック No.146 プラチナ
149に先立つ1940年代に登場しながら、こんにちまで使われ続けるのは、やはり巨大なる149に対しこちらが実に取り回しよくつくられているからであろう。 精悍なボディの曲線は実に美しく、モンブラン社の秘伝と言われるプレシャスレジンは吸い付くような手触りで、使うほどにいつまでも「あ、いいな」と思わせる魅力がある。 149は金なので、146は銀と決めていたため、こちらはプラチナモデルを、ニブは細かい書き物を考えてやはりEFを選んだ。買ってしばらくは引っ掛かりが強いペン先だったが、この1本でノート10冊に及ぶ講義原稿を書いたことで抜群の書き味に仕上がった。
万年筆 モンブラン 2020年蒼樹たけ
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MontBlanc マイスターシュテュック No.149
キング・オヴ・ファウンテンペンといえばモンブランのマイスターシュテュックNo.149のほかにない。 1952年の登場以来、数多の文豪がこれを愛してきた。 天冠のホワイトスターの他は徹底して装飾を廃した無骨なフォルムとは裏腹に、計算され尽くしたバランスは矢張り驚くべきことである。持つ人の数だけ、ペンの数だけ物語がある故か、149への賛否もバラバラになる辺りはもう149そのものが哲学なのかもしれない。 手元の1本はEFのニブを選んだが、頭の中を駆け回る思考を手元に落とし込むのに本当に良い仕事をしてくれている。太過ぎず細過ぎず、滑り過ぎず引っ掛かり過ぎない最高の1本で、やはり書き物をするにはこれでなくてはならない気がする。
万年筆 モンブラン 2017年蒼樹たけ