型吹きガラスのかんざし

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桃、タヌキ、鳩、朝顔の蕾を象った型吹きガラスの簪(かんざし)である。この種の品物は時代を判別する材料に欠け、コレクター泣かせであるが、一般的に明治期のものと言われている。江戸時代にはビードロ師に代表されるような個人の制作になるものが中心であり、明治期に入って大規模な工房、会社が興されガラス産業として発展していった。その中で、こうした大規模なガラス工房に所属した職人もいたが、旧来のビードロの技法を守り、細々と制作をつづけた職人もいたようで、この簪は、そうした職人たちが縁日の出店で売っていた物との事である。当時は安物であろうが、ゆらゆらとしたガラス質が美しく、髪によく映えて美しいものである。

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