フリフリ/田辺昭知とザ・スパイダース

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1965年5月10日発売。GSの始祖ザ・スパイダースの1stシングル。いわゆるサーフ・エレキ・テケテケのインストバンドブームの次の展開としてのオリジナル、ボーカル入り楽曲志向という芸能の要請の側面と、
和製ブリティッシュ・インベイション、ロックンロール・リバイバルの側面がGSにはあると思う。

あまりにグルーヴィーで一発でもってかれる。あの印象的な「チャッ・チャッ・チャッ」という3拍子のクラップに耳が行きがちだが、冒頭にはさり気なく『ド・ドン・ドン・ド・ドン・ガドン』と音頭的な太鼓のビートを匂わせてあって、この曲が持つ和製ダンスミュージックとしての志向性がはっきり示されている。

3拍が目立つ曲だが、実はギターのストロークはブギの亡霊が朧げに見えるちゃっかり4発だ。オブリは完全にロックンロールだし中々多層的な建て付けになっていてオモチャみたいで面白い。
そして新しいリズムに明るくない大衆にも広く親和性のある2拍子のビート感が強調されている。音頭や宴会のアレだ。

映画「青春ア・ゴーゴー」の演奏シーンで高速で完璧にロックンロールをやるストレートなスパイダースを観てると、このシングル版フリフリがどのように肉付けされてこの形に辿り着いたのか何となく感じられるようにも思う。
シングル版フリフリ冒頭のドラムパターンの変化系(というよりこっちが変化系だったのだろうが)、高速で一瞬だけ演奏されるフリフリ、ステージに引きずり出されて「ルイルイ」でモンキーを踊る浜田光夫と和田浩治。リズムに明るくない青年(役だ)とモンキーも2拍子に簡略化される(できる)。
新型のダンスビートが拡散・流行するか否かは、そのビートの簡略化が容易であるかが重要なんだろうと思う。最近ならトラップがまさにそれ。
スパイダースがすでにどれだけヒップでクールだったかはB面を聴けば一発で分かる。

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