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鉱物標本 アンモライト(Ammolite) 赤系
別名:Korite、Calcentine、Aapoak 学名:Placenticeras sp. 産地:Alberta, Canada オパールのような遊色効果を示すアンモライト。その発色メカニズムは積層した微小な霞石の板に当たる光の干渉によって起こっている。板の厚みが厚いほど赤色のスペクトルに、薄いほど青色のスペクトルになるため、割れてしまいやすい青色のものは赤や緑に比べて少ない。 1908年、カナダ国立地理考査団によりネイティブの持っていた輝くアンモナイト化石を調査した結果、アルバータ州のセント・メリー河で再発見された。その後コーライト社が宝石品質を有し、かつ十分な数のアンモライトが眠る鉱山を発見。1981年に国際有色宝石協会(CIBJO)によって正式に宝石として登録された。セント・メリー河沿いの極一部でしか産出せず、殆どが採掘され尽くしてしまったため、現在ではアルバータ州によって採掘が厳しく管理されている。 その起源は中世代のジュラ紀から白亜紀にかけて、まだ北アメリカ大陸を西部内陸海路が縦にぶった切っていた頃まで遡る。現在のロッキー山脈東部のカナダ~アメリカ国境付近にあったベアパウ海にも螺旋形のPlacenticeras meeki、P. intercalareや直錐形のBaculites compressusといったアンモナイトが生息していた。彼らが死んだ後に残った蛋白質と霰石から成る貝殻は当時まだ若かったロッキー山脈から流れ込んできた火山灰に埋もれる。火山灰は海中でベントナイトへと変成し、ベアパウ頁岩層を形成する。この頁岩層の中でアンモナイト殻を構成する霰石はその微細構造を変化させていき、7000万年かけて七色に輝くアンモライトとなる。 その後、アルバータのネイティブによってこの輝く石が発見されることになる。彼らの伝承では冬の飢餓に苦しんでいたが、ある娘がお告げに従って輝く石を見つけた結果、バッファローの大群が現れて救われたことから以来バッファローストーン"Iniskim"と呼ばれるようになった。 余談ではあるがバッファローの画像検索で調べれば分かる通り、その角は曲がっているとはいえ、断じて羊角のような螺旋形ではない。個人的にこのネイティブ達が最初に見つけたバッファローストーンはBaculitesのものだったのではないかと思ってる。 因みに本品は2020年にコーライト社と契約しているアンモライトミュージアムより購入したもの。 #宝石 #化石 #鉱物
宝石、化石、鉱物 3.5~4 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 ラズライト(Lazulite)
別名:天藍石、Berkeyit 産地:Rapid Creek, Dawson Mining District, Yukon Territory, Canada その綺麗な青色から1795年にMartin H. Klaprothによってアラビア語で蒼穹を意味する"lazward"が転じた"lazuli"より命名された。因みにラピスラズリのラズリも同じ語源。 変成岩や花崗岩質ペグマタイト、沖積堆積物等に産出する。 ユーコンのジェムショーから流れてきたのを2020年のミネラルマルシェで購入。光を当てると藍色の空に浮かぶ星のような緑色の煌めきが見れてとても綺麗。
鉱物標本 5.5~6 ガラス光沢、亜ガラス光沢、樹脂光沢、脂肪光沢たじ
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鉱物標本 キノアイト(Kinoite)
別名:キノ石 産地:Christmas Mine, Dripping Prings Mountains, Gila County, Arizona, USA サンタリタ山脈やクリスマス鉱山他、わずかな銅鉱山で産出される鉱物。1970年にピマ郡サンタリタ山脈にあるヘルベティア廃鉱山で発見された。名前の由来は1700年頃にアリゾナ含むアメリカ南西部で活動したイエズス会探検家のEusebio Francisco Kino神父に因んでいる(*1)。 このキノアイトが見つかる一帯は大規模な斑岩銅鉱床が存在し、例えばロゼモンド鉱山では採掘計画が上がっているものの、先史時代の遺跡等の関係で住民の反対があり採掘は開始されていない等ゴタゴタもあるそうな。 この標本にも見られる透明な結晶はスカルン鉱物のアポフィライト(KCa4SiO20(F,OH)・8H2O)でキノアイトとよく一緒に産する。なのでこのキノアイト、班岩銅鉱床が生成する過程で石灰岩とマグマから放出された含銅熱水が反応してできたのかなと個人的に思ってる。 因みに日本でも2001年に岡山県で発見されている。 この標本は2020年にミネラル1000円マルシェで購入。 *1:Kino神父とサンタクルス郡 →鉱物標本 セルサイト(Cerussite) #鉱物
鉱物標本 2.5 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 エメラルド(Emerald)
別名:翠玉 産地:Fiza Ghati, Swat, Khyber Pakhtunkhwa, Pakistan エメラルドの語源はサンスクリット語で緑の石を意味するスマラカタが古代ギリシャ語"smaragdos"に転じ、そこからラテン語の"smaragdus"、"esmaraldus"と経て現在の"emerald"となった。因みに緑柱石のベリルの語源は海水の青緑色を示す古代ギリシャ語の"beryllos"から。 エメラルドの緑色はドーパントとして存在する微量のクロムやバナジウムに由来。3価の鉄イオンでも緑に発色するが、こちらはヘリオドールやグリーンベリルに分類される。 2020年、ミネラル1000円マルシェで購入。
7.5~8 ガラス光沢~樹脂光沢 1000円たじ
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人工結晶 プルスカイト赤(Pruskite)
別名:フェリシアン化カリウム、赤血塩、プルシアンレッド 産地:日本(自作) フェロシアン化カリウム(黄血塩)に塩素ガスを通じると合成できる。動物の血を原料に錬金術の実験中に偶然出来てしまった紺青顔料プルシアンブルー。その合成過程中から作り出せることや何よりもその赤血色から賢者の石と言えなくもないかも。 水溶液は紫外線で黄緑色の蛍光を示す。高校化学の教科書だと2価の鉄イオンの水溶液に加えるとターンブルブルーの沈殿が、3価の鉄イオン溶液に加えると褐色溶液になる。因みにターンブルブルーとプルシアンブルーは組成や構造が若干異なるらしいが実際には同じ物質らしい。光に反応することから青写真等の写真技術にも使われた。 プルスカイトの結晶として有名なのはポーランドで合成されたものだけれど、これは東急ハンズで売ってた結晶作成キットで作ったやつ。 #結晶 #鉱物標本
人工結晶 鉱物標本 東急ハンズ渋谷店たじ
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鉱物標本 シナバー(Cinnabar)
別名:辰砂、丹 産出地:湖南省, 中国(購入した店の人いわく) 西洋錬金術では三要素である水銀、硫黄、塩のうち水銀と硫黄からなることから賢者の石の別名を持ち、中国錬丹術では不老不死の薬と考えられた鉱物。シナバーの語源も失伝してしまっているが、その血のような色からペルシャ語で竜血を意味する"zinjifrah"に由来するのではとされている。 2020年、ミネラルマルシェで購入。 #鉱物
2~2.5 金属光沢 ミネラルマルシェたじ
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鉱物標本 スタルマナイト(Sturmanite)
産地:N'Chwaning mine, Kuruman, Kalahari manganese field, Northern Cape, South Africa 別名:スツルマン石 1983年に鉱物学者のBozidar Darko Sturmanに因んで命名。ほとんどが南アフリカのカラハリ砂漠のマンガン鉱床中二次鉱物として産出。 2020年、ミネラルマルシェで購入。 #鉱物
鉱物標本 2.5 ガラス光沢~樹脂光沢たじ