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慶長通宝 小字
皇朝十二銭以来途絶えていた国産の鋳造貨幣として、慶長11(1606)年に発行されたとされています(発行主体、発行年については諸説あり)。当時の文献に乏しく詳しいことは今なお不明ですが、それまで庶民の銭貨として親しまれていた明銭・永楽通宝に代わる(あるいは流通量を補完する)貨幣と考えられています。しかし、いずれにせよ慶長通宝及び元和3(1617)年発行の元和通宝は全国的に幅広く通用するほどの流通量を確保することができず、本格的に統一貨幣が成立するのは、徳川家康没後の寛永3(1626)年より発行された寛永通宝の登場を待つことになります。 慶長通宝は、鋳型を製作して整った銭文にて鋳造された大字と、永楽通宝の銭文から永楽を削除し慶長を嵌め込んだ鐚銭様の小字とに大別されます。写真は小字です。 寛永通宝のような鋳造貨幣の全国統一を果たせなかったことからも分かるように、発行枚数が比較的少なく、後の銭貨より希少です。
銅 不明 慶長期Hokutosei
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寛永通宝 猿江銭(正字)
寛文8(1668)年以降に鋳造された いわゆる「新寛永」のうち、元禄期(1716年以降、詳細な年代は不明)に鋳造されたと考えられている銭です。銭径は小さいですが、文字が非常に安定したつくりとなっています。寛見画の第2画の末尾が下に突き出ることで、猿江銭と同定できます。この正字は、猿江銭の中でも字が大きいタイプだそうです。
銅 不明 元禄期(1716年)Hokutosei