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Edgar Froese “Ages”
今回は、独電子音楽界の巨匠でもあるEdgar Froeseの4枚目のアルバム”Ages”のRecord Store Day用の特別盤を紹介しようと思います。内容が大きく変わっている訳ではないですが、まあ特別盤と言うことで、装丁はえらく豪華になっています。今回のリリースは、仏のレーベルCulture Factoryからとなっています。Edgar Froeseのバイオグラフィーについては、以前にも書きましたので、ここでは省略させて頂きます。 本作品は、元々は、1978年にVirgin Recordsより2枚組LPとしてリリースされていた作品で、彼にとって、ソロアルバムとしたは4枚目に当たります。皆さん、ご存知の通り、彼は、Tangerine Dreamを率いていた訳ですが、ソロでも音楽制作を行っていました。本作品では、Klaus Krügerがパーカッションでゲスト参加していますが、それ以外は全てFroeseが演奏しています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Metropolis (Inspired By Fritz Lang's Movie)” (5:41)は、淡々としたシーケンスに様々な音色の上物シンセが波状に被さっていくドラマチックな展開の曲で、シンセの音作りが素晴らしい。そしてDrs(又はPerc)が加わり、躍動する音が曲を生き生きさせています。 ★A2 “Era Of The Slaves” (8:11)は、怪しい雰囲気のミニマルなシーケンスと、それに攻めぎ合うフルートっぽい/横笛っぽいシンセのメロとサブ・メロのシンセが秀逸な曲です。やがて、僅かながらリズムマシンや生Percも入ってきて盛り上がります。 ★B1 “Tropic Of Capricorn” (20:47)は、いきなりドラマチックなシンセとベース・シンセのコンビに、オペラのようなサブ・ シンセから成るイントロから一気に流れ込んでくる一大電子絵巻物です。 ◼️LP2 ★C1 “Nights Of Automatic Women” (10:06)は、交響楽のような分厚い電子音の壁で、やがて、リズミックなシーケンスと生Drsが曲を引き締めます。それらが複合して、遠くまで飛んで行きそうな躍動感を感じますね。 ★C2 “Ikarus” (9:14)では、ダークなシーケンスから始まり、天女の歌声のようなシンセ音が絡み、その反復によるトランスが心地良く、叩きまくる生Drsと弾きまくるGが、Froeseはロック側の人間であることを如実に証明しています。 ★D1 “Ode To Granny A” (4:43)は、やや牧歌っぽいハーモニーを奏でるシンセとシーケンスから成る曲で、タンバリンの鈴の音が心に響きます。 ★D2 “Pizarro And Atahuallpa” (8:15)では、土俗的Percで始まり、伸びやかなシンセの電子音が重層化して響き渡ります。そうして、シンカッションも加わり、次第にノリも良くなってきます。 ★D3 “Golgatha And The Circle Closes” (9:36)になると、ポツポツとしたシーケンスの上に、すっかり落ち着いた雰囲気のシンセの音色とフレージングが乗ってきて、少しのばかりの高揚感と共に、弾きまくるGも印象的で、最後のDrsも含めて! 今まで、Edgar Froeseのことを、確かにKrautrockだが、そんなに「ロック・ミュージシャン」とは思ってはいなくて、アンビエント作家の印象で見ていましたが、本作品を聴いてみて、Froeseの根っこにはロックの血が流れていることに気づかされました。そう言う意味で、彼の本性を理解していなかったと考え直すキッカケになったアルバムでした。そこら辺も含めて、目から鱗の作品ですので、Edgar Froeseの本質を知りたい方は、このアルバムは必聴でしょう❗️ [original full album] https://youtu.be/ro0QMknW7Ak?si=mG-cbOhsRHgslfbE #EdgarFroese #Ages #CultureFactory #VirginRecords #Reissue #Remastering #RecordStoreDayDexuleVersion #4ThAlbum #ColorVinyls #Krautrock #Electronic #Synthesizers #Sequencer #Guitar #SoloAlbum #Percussions #KlausKrüger #Founder #TangerineDream
Krautrock / Electronic Culture Factory (Virgin Records) 3608円Dr K2
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Edgar Froese “Aqua”
“Aqua”は、Tangerine DreamのメンバーのEdgar Froeseのファースト・ソロ・アルバムですが、今回、購入したのは、それのRecord Store Day用の最新ヴァージョンで、2005年にViennaで録音し直した曲をリマスタリングしての「再発」盤となります。また、今回のリリースの際には、ボートラとして、B2”Upland”に対するアンサーソングらしきB3 “Upland Down”が追加されています。Edgar Froeseに関しては、以前にも紹介していますので、彼のバイオグラフィーについては、そちらをご参照下さい。 それで、本作品ですが、先述のように、A面2曲/B面3曲となっています(勿論、B3はボートラです)。それだは各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Aqua”は、タイトル通り、実際の水音から始まり、ゆったりとしたテンポで、シンセによる「水音」も含めて、ミニマルな電子音が続いていきます。リズムマシンの打ち込みパターンにはプレイクビーツと思われるものも混在しており、アップデートされていますね。そうしていると、いつの間にか、シーケンスも聞こえてきて、ゆったりとしたシンセ音に包まれます。 ★A2 “Panorphelia”でも、シーケンサーは使われていますが、リズミックと言うよりも音の背景のような使い方で、柔らかいシンセのメロディと通奏低音的ベースラインが曲の主軸となっています。ここら辺のセンスが、如何にもFroeseらしいですね。 ★B1 “NGC 891”は、「飛行機」の音から始まり、緩やかなれど、多彩な電子音の輪舞を思わせるような曲で、ここでもミニマルなシーケンスが使用されています。個人的には、この位のシーケンサーの使い方が気持ち良いです。また、ミックスが絶妙で、その為か、全然飽きませんね。 ★B2 “Upland”も、泡を思わせる電子効果音とオルガンらしきポリシンセの荘厳な導入から始まり、やがて、LFOを効かせた電子効果音に取って替わられるかと思いきや、冴えたミックス操作で乗り切っています。最後には逆回転が!それから、この曲では、バイノーラル録音の為に、dummy head (別名artificial headとかKunstkopfまたはHead & Torso Simulator)を使っての録音が行われています。 ★B3 “Upland Down (bonus track)”でも、オルガンらしき音と泡のようなSEに加えて、何と!ドラム(生Drsか?ドラムマシンかは不明)によるディスコ調のリズムとオルガンのリフがミニマルに鳴り響きますが、ボーナストラックなので、短い曲になっています。 私は、原曲と聴き比べてはいませんので、はっきりとは言えませんが、多分、初盤リリース当時の機材よりも、格段に、テクノロジーは進歩していますので、その分、表現も豊かになっているのでは?と想像します(妄想します)。しかしながら、過去に作曲した曲を再録できると言うことは、譜面があると言うことで、そっちの方にビックリしました❗️(当たり前と言えば、当たり前か?) また、彼の表現力にはいつも驚かされますね。このヴァージョンを聴くのは稀かもしれませんが、両方持っている方は、その違いについて教えて下さい! [full album] https://youtu.be/DZ2oCrCxotU?si=siJkJzsZylXv2ty2 #EdgarFroese #Aqua #CultureFactory #VirginRecords #Re-recording #Vienna #2005年 #Reissue #RecordStoreDay2022 #Krautrock #Electronic #Synthesizers #DummyHeadRecording #BonusTrack
Krautrock / Electronic Culture Factory (Virgin Records) 不明Dr K2
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Tesendalo “Natur Naht”
これまた、謎物件です。外装はグリーンの「薄い畳/護蓙のような」生地で包装されており、表向きには、この作品についての情報は一切記載が無いですが、内側を見て、初めて、独逸のTesendaloと言うアーティストの”Natur Naht”と言う作品であることが分かります。また、この作品には同じ独逸のTelepheriqueがヘルプで参加しています。それで、Tesendaloについて調べてみましたが、Nurnberg在住の独逸人アーティストPeter Schusterのソロユニットらしいことは分かりました。Discogs上では、彼は1980年代後半から2013年頃まで活動していたようです。Schusterは、Die Raphe名義でよりインダストリアルな音楽をやっていたり、P.C.R. (Partidul Comunist Român)として、Adrian GormleyとConstantin Gormleyと一緒にトリオでも活躍したり、はたまた、Doc Wör Mirranにも参加したりしており、地元Nurbergでは結構、活躍していたようです。しかしながら、それ以上の情報は良く分かりませんでした(すまん!)。また、Tesendalo としては、本作品は3枚目のLPにあたり、それ以外では主にカセットなどの媒体をリリースしています。 それで、作品の内容ですが、A面1曲とB面2曲から成る長尺の曲で、全体的にはドローン・アンビエントな感じを受けます。A面には “Natur Naht I”が収められており、その、ゆったりと流れる通奏低音のような音に、鈴のようなパルス音が簡素なシンセのリフが重ねられて、時間の流れが全く変わってしまいそうです。B1 “Natur Naht II”では分厚い鉛のようなドローン音に微かなシンセのリフと微弱な電子音が入ってくる、これまたドローン・アンビエントな曲ですが、B2 “Natur Naht III”ではミニマルなシーケンスとドローン音をベースに時々、風の様なディレイの掛かったシンセ音が入ってくる、ちょっと動的な曲になっています。全体に渡り、独逸ミニマル電子ノイズ・ユニットであったTelepheriqueの音が良い意味で化学反応を起こしているようです。そう言う意味では、クラウトロックの発展形と言うか、その正統な後継者とも言えるのではないでしょう(と言うのは言い過ぎか?)。しかしながら、余り目立たない存在ですが、独逸のアンビエント・シーンを語る上では、Tesendaloの名前は覚えておくべきでしょう!Let’s Ambient❗️ B1 “Natur Naht II” https://youtu.be/-HyzlM_QjSk B2 “Natur Naht III” https://youtu.be/s9BpP6c12j8 #Tesendalo #NaturNaht #WhiteNoiseRecords #Drone #Electronic #Synthesizers #Telepherique #PeterSchuster #Experimental #Ambient
Ambient White Noise Records 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler “Con 84”
もう聴く方が追いつかないです。Conrad Schnitzler先生の1984年作”Con 84”の再発盤です。今回は、PCでシンセをコントロールしてのアルバムらしいです。曲名は最早、記号のような数字とアルファベッドからなり、それぞれの曲に意味付けとか思いはなく、単に抽象的な楽曲があるだけということなんでしょう。また、彼の音楽を「カメレオンのようなカモフラージュだ」と言う意見はありますが、それに対して、ライナーを毎回書いているAsmus Tietchensは「寧ろ逆で、彼の音楽はどこに隠れていても、彼の音楽だと直ぐに分かるし、カムフラージュの意味はない」と断言しています。これで納得しました❗️確かに❗️そうなんですよ、強烈な個性が音楽に封じ込まれています。またTietchensは「彼はカモフラージュの天才でもある。それは彼はいつも予測不可能なことを予測しようとしているからだ」とも述べています。う〜む、何となく分かったような?かな。しかしながら、時期によって最新の機材を取り入れて音楽を作ってきました。この俊敏なところはそうかも知れませんね。今回も、電子音楽なのは変わりませんが、PCによって制御されているのに、何故かSchnitzlerの手癖みたいなものを感じます。曲調は、それ程多くない電子音がチェンバロのように流暢に流れていくようなものなのですが(B面は音の絡みはもう少し複雑です)、その無機質な(或いは潔癖症な)抽象性は明らかに彼のものだと確信できます。しかもドラムマシンなどは使っておらず、シークエンスのキレでリズミカルな要素を補っています。しかも、PCによるシーケンスだからなのか、レイテンシーが無く、各音がジャストのタイミングで鳴らされているのも特徴ですね。そう言う意味での「無機質さ」です。何回となく聴き直してみると、これはちゃんと譜面にしたクラシック音楽みたいなものでは?と思えます。音の絡み方や音色なんかがもうクラシックなんですよ(現代音楽ではない!)。そんなお茶目なSchnitzler先生の音楽を聴いてみませんか?面白いですよー! “X18 # (1+2)” https://youtu.be/yrRVDGlk0GE [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lJfVYVALEAZZipXogBYb0_Dklj_1XpzwU #ConradSchnitzler #Con84 #BureauB #Reissue #ElectronicMusic #Experimental #Synthesizers #ComputerMusic #1984 #Reissue #Remastering
Electronic Experimental Music Bureau B 2400円Dr K2
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P16.D4 “Distruct”
アナログで欲しい!欲しい!と探っていたら、いきなり、再発が!これはもう前後も見ずにポチりました。だって、DiscogsやeBayでもオリジナルは全然出てこないし、どうしようかぁ?と思っていたところなので、この再発は待ちに待ったと言うジャストなタイミングでした。そうです、私のアイドル、独逸のP16.D4のセカンド・アルバム”Distruct (Distant Structure)”です。ジャケが赤になったのは仕方ないですが、ホントこれはアナログで聴きたかった!もうご承知かも知れませんが、これは、P16.D4が、遠く離れた所にいる他のグループやアーティストから音源を集め、その音源と自分達の音源とを組合せ、更に加工・変調し、コラージュした「距離のある」コラボレーション・アルバムと言うコンセプトからできた作品なのです。それは元々、この前にリリースされたコンピ”Masse Mensch”に参加したSmegmaのHarry C. Pooleが「何千マイル離れていてもテープは完成する」と言っだことに着想を得たと言うものです。因みに、そう言ったPoole本人は音源は送ってきませんでした。この時のP16.D4のメンバーはRalf Wehowsky, Ewand Weber, Roger Schönauerの3人で、更に協力者として、Peter Lanbert, Thomas Kenkler, Gerd Neumann, Stefan Schmidtも参加しています。更に音源提供者として、Bladder Flask (英), Déficit Des Années Antérieures (仏), De Fabriek (蘭), The Haters (加), Philip Johnson (英?), Hiroki Kocha (日), Merzbow (日), Fredrik Nilsen (米), Nocturnal Emissions (英), Nurse With Wound (英), Onnyk (日), Harold Schellinx (蘭), Die Tödliche Doris (独), Vortex Campaign (英)が参加しています。それで、P16.D4のいつものやり方なんですが、先ず、誰か(2人の場合もある)がコンセプトを決めて、作業をし、最終的に仕上げると言う、如何にも独逸人らしい理路整然とした方法をとっています。彼等は1982年12月から1984年10月まで、この作業に取り掛かってました。彼等は基本的に計算し尽くした上で、何度もトライしながら音の配置や変調具合を実践するので、何とも途方もない作業だったと思います。ファースト・アルバム”Kühe In 1/2 Trauer”はグループ内での共同作業とすると、セカンド・アルバムである本作品は距離のあるコラボとも言え、S.B.O.T.H.I.とのコラボを含むサード・アルバム”Nichts Niemand Nirgends Nie!”は距離の無いコラボとも言えるのではないでしょうか? ここら辺の作品は本当、ノイズ・ミュージックの一つの潮流なので、押さえておかなければならないと思います。今回の再発盤ではリマスターしてあるからか、音の「キレ」が一層冴えていますね。各曲の紹介や細かいことは全部省きましたが、敢えてであって、もう聴くしかないです❗️しかし、仏のSonoris、今回は良い仕事してくれました。皆さんも是非とも入手して、自分の耳で確かめて下さい。マストです! https://youtu.be/FLhCRoepOFo #P16.D4 #Distruct #Sonoris #Selektion #Reissue #Remastering #Noise #Experimental #Collage #Collaboration #DistantStructure #RalfWehowsky #EwandWeber #RogerSchönauer #ExchangedMusic
Noise, Experimental, Collage Sonoris (Selektion) 3377円Dr K2
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Moebius-Plank-Neumeier “Zero Set”
これはマスト・アイテムですね。Cluster/HarmoniaのDieter Moebiusとジャーマン・ロックを広く支えた名プロデューサーConny Plank、そして元々フリー・ジャズ・コンボSchlippenbachに入っていたが、ジャーマン・ロック・バンドGuru Guruを結成したMani Neumeierが、ガッツリ組んで、1982年に作製した作品が、この”Zero Set”です。元々、MoebiusとPlankは1980年作”Rastakraut Pasta”や1981年作”Material”でコラボをやっていましたが、1970年代中期の彼等の活動やスタジオでのHarmoniaとのセッションを見てきたNeumeierは当然(或いは必然的)との様に彼等2人とコラボすることになりました。そして、Moebiusは電子音に、Neumeierはドラムに、Plankはスタジオに最大限の注意を払い、可能な限りワイドレンジの録音作業を行なって、最終的な編集作業へと辿り着きます。 Neumeierは機械の様な正確さとスタミナでドラムを叩いてますが、それはMoebiusの電子音のシーケンスに同期させる為です(1970年からアナログのシーケンサーは使われている)。それだけでも大変なのに、Neumeierはリズムをキープしながら、複雑なパターンのドラミングを見せています。これは正に独逸電子音楽の救世主レベルですね。また、時にギターやパーカッションの音も聴取出来ますが、これは誰がやっているのでしょう?全部で6曲が収録されてますが、曲順や曲のヴァリエーションの取捨選択を同一のラインで行う為らしいです。それにしても、Neumeierのドラミングは凄いです。また一見、ミニマルなシーケンスや電子音も催眠的で、気持ち良く聴取できますし、全体の音の広がりが録音方法でこんなにも変わるのか?と思わせるPlankの技は特筆すべき点ですね。あとB-2”Recall”ではアフリカン・ヴォーカルとしてSudanのDeukaが入っていますが、これに目が行くと、アルバム全体が分からなくなりそうです(決してそれが悪いとかじゃなくて)。しかしながら、全体に渡る音のダイナミズムと躍動感は、電子音楽でありながら凄いです、こんな名盤をリマスターしてリイシューしてくれた仏レーベルBureau Bには感謝です。皆さんの機会がありましたら、是非聴いてみてください。マストですよ❗️ https://youtu.be/IR-gKanpvpA #DieterMoebius #ConnyPlank #ManiNeumeier #ZeroSet #SkyRecords #BureauB #GermanRock #Electronics #Drums #StudioWork
German Rock Bureau B (Sky Records) 4500円Dr K2
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Conrad Schnitzler “Con”
Conは”Con”rad Schnitzlerの代名詞❗️と言う訳で、またまた、Conrad Schnitzlerのアルバムで、その名も”Con”です。セルフ・リリースを除くと2枚目のアルバムであり、しかも、レーベルは仏の名門EGGです。バイオグラフィーは以前に書きましたので、ここでは省略しますが、彼の名前が知られたのは、Tangerine Dreamの創設者にして、Klusterの創設者と言う、電子音楽系ジャーマン・ロックの始祖とも言える存在だからだと思います。 それで本作品についてですが、日本語ライナーには「インプロビゼーションを多用した現代音楽的」と評されていますが、私は、寧ろ、現代音楽(何を持ってそう言うかは別として)よりも、寧ろある種のポップネスを持った(ロック)ミュージックと思えます。この差異は時代によるのかもしれませんね。本作は5曲入りですが、B面2曲目の”Metal 1”と3曲目”Black Nails”はメドレーになっています。またライナーでは「ポピュラー・ミュージックではあるが、ロックではない」と言う文言が記載されていますが、今や、これらのシンセサウンドや電子音楽はロックかどうかは別として、既に市民権を得ており、今では、これもまたロック(ロックの定義によりますが)とも言えるのではないでしょうか? そうは言っても、全編に流れるシンセによる電子音の煌めきは、如何にもConrad節とも言える曲調で、独特のユーモアもあり、私には一種のポップ・ミュージックのように聴取することも可能では?と思います。リズムボックスやシーケンスの使い方も単にベーシック・トラックと言う訳ではなく、ディレイ処理により不思議な浮遊感も待って提示されています。複雑に交差する電子が織りなす音空間が彼らしくて、興味深いです。何とも抽象的な音像で、それこそが、電子音楽のキモだと思い、彼は早くからそのことに気付いていたのではないでしょうか。まあ、堅苦しく考えずに、気楽に聴いてみても楽しめると思いますよ。 https://youtu.be/EWVCgpzstLk #ConradSchnitzler #Con #EGG #ElectronicMusic #Synthesizer #Experimental #GermanRock
Electronic music EGG 1900円Dr K2
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Conrad Schnitzler “Brau”
続けて参りますよぉ〜。また、また、またのConrad Schnitzler翁のセカンド(?)ソロアルバム”Blau (青の意)”です。今回もバイオグラフィーは無しで。セカンド(?)としたのは、本作がリリースされた年に、本作を入れて4枚のアルバムが出ており,それを一つ一つ時系列で並べるのが面倒だからです。それで、本作も”Rot”と同様にA面1曲、B面1曲の構成からなります。A面 ”Die Rebellen haben sich in den Bergen verstekt” はややダークな電子音から始まり、ギターとEMSシンセが不安を掻き立てるように進行し、下降音階がややダウナーに続く長尺の曲になっています。B面 ”Jupiter” は,一転して、コロコロした可愛い電子音が転がっていくような電子音楽になっており、シンセのパルスに併せて音が踊っているようです。なので、こちらは、A面の「陰」に対して「陽」のように思えます。ひょっとすると、A面とB面で対の曲なのかもしれませんね。ここまでのConradの作品を聴いてきて思ったのですが、1980年代に日本に存在したDD. Recordsの首謀者 鎌田忠さんの音楽が近いなあ。勿論、Conradの方が早いですが、ここら辺に、プログレ(?)とインダストリアル/ノイズの接点があるのでは?と思った訳です。そう言う意味で、鎌田さんはConradの正統な継承者ではないかとも言えるでしょう(それはちょっと言い過ぎかもしれませんが)。でも、まあ、そんなことを想像させるConradの音楽は素晴らしいと思いますね。皆さんもどうですか? https://youtu.be/9Is0wvJbBPA #ConradSchnitzler #Brau #BureauB #Reissue #ElectronicMusic #DieTebellenHabenSichInDenBergenVerstekt #Jupiter
Experimental Bureau B (自費出版) 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler “Rot”
未聴のレコ棚を探っていたら、また出てきました、Conrad Schnitzler先生のソロになってからのレコードとしてはファーストアルバム”Rot” (赤と言う意味)です。もう何度もバイオグラフィーは書いていますので、省略しておきます。時期的には、彼がメンバーであったTangerine Dreamのファーストアルバム”Electronic Meditation”を作製してから、このバンドから去りました。A面1曲”Meditation”とB面1曲“Krautrock”と言う長尺の曲がそれぞれ収められています。まあ、何と言うか、毎回、ポップ寄りだったり,実験的だったりと変幻自在な電子音楽を我々に聴かせてくれる訳ですが、この「色」シリーズも長尺ながら、EMS Synthi Aを存分に活かした曲になっております。A面はオルガンと思われる通奏低音の上で、ポッピングする電子音が深めのディレイ処理されている宇宙のようなです。B面では、何だかリズムらしき律動もあるんですが、基本的にノれるものではないです。また,その曲では、ギターも弾いているんですが、それで曲名が”Krautrock”なんて、如何にも彼らしい国内的にも国外的にも辛辣なブラック・ユーモアだと思いますよ。このアルバムが作られた時期は、世の中はサイケデリックが席巻してた訳ですが、そんなムーブメントとは別の立ち位置で、彼は彼なりの電子音楽を作製していきます。「音楽」の境界を押し広げ、アートの定義を拡張し続けることが彼の第一義だったのでしょうね。因みに、この盤はフランスのリイシュー・レーベルBureau Bが2012年にリリースしたものですが、ライナーノーツは,あのAsmus Tietchensが書いています。しかしながら、Conrad翁の制作意欲は凄いですねぇ。見習いたいものです。電子音楽に興味のある人であれば、そんな自由な音楽に触れてみては如何でしようか? https://youtu.be/xoiMF8avzFc #ConradSchnitzler #Rot #Meditation #Krautrock #Reissue #BureauB #ElectronicMusic
Experimental Bureau B (自費出版) 不明Dr K2