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Felix Kubin “Teenage Tapes”
独実験ポップ界の天才Felix Kubin (フェリクス・クビン)の10代で宅録していた曲を集めたセルフ・コンピ・アルバム、その名も”Teenage Tapes”を紹介します。Felix Kubinのバイオグラフィーは、以前に書いたかもしれませんが、再度、生い立ちから紹介していきたいと思います。本名Felix Knothで、独Hamburg生まれの電子音楽家/作曲家/キュレーター/サウンド-ラジオ・アーティストで、自身のレーベルGagarin Recordsも運営しています。8歳の時からピアノと電子オルガンを習っており、1992-1996年にハンブルク応用科学大学にて、ドローイング/サウンド・インスタレーション/ヴィデオ/アニメーション映像について研究し、1995年にはDAAD研究資金を獲得し、蘭EnschedeのHogeschool voor de KunstenのArtEZメディア・アート学部に1年間留学しています。話しが前後しますが、彼は1981年、12歳の時に、シンセとオルガンとヴォイスとドラムマシンで、最初の曲を作っています。その後2年間で、4トラックMTRで色々試して、1983年には、Stefan Mohrと共に、Die Egozentrischen 2 (ディー・エゴツェントリッシェン・ツヴァイ)と言うバンドを始めている早熟な音楽少年でした。そんな天才少年を、Zick ZackのオーナーでオーガナイザーでもあるAlfred Hilsbergが見逃す訳もなく、Kubinを色んなライブイベントに招聘したりして、更に、彼のカセット作品と若干の新録も加えて、アルバム”The Tetchy Teenage Tapes of Felix Kubin 1981–1985" (この作品も素晴らしい!)をリリースします。そうして、1990年代になると、Kubinは、Klangkriekと言った自分のバンドで、ノイズを使った実験音楽を始めます。1992-1994年には、ダダ共産主義者グループLiedertafel Margot Honeckerのメンバーになり、1988年には、自身のレーベルGagarin Recordsを始めて、再びアヴァン・ポップ路線に回帰、その翌年には、パフォーマンスや新たなラジオ番組の形態及び室内楽と電子音楽の為の作曲を通して、自身の音楽の方向性を広めていきます。加えて、独や海外での多くの出版物やワークショップ及びレクチャーを行い、更に映像や演劇の為の音楽も作っています。Kubinは、Sónar, Wien Modern, Présences électronique, Ars Electronica等のフェスで100回以上のライブを行っており、更には、MoMA PS1, New Museum of Contemporary Art, Galerie nationale du Jeu de Paume等の美術館でもパフォーマンスをやっています。それで、2005年以降は、彼は現代実験音楽と関わる機会が多くなり、特に現代音楽のアンサンブルやコンサートホールでの演奏用音楽の作曲に招聘されるようになります。2010年には、Ensemble Intégralesとのコラボで、”Echohaus"と言う6つの別々の部屋で行われたヘッドフォンで聴くライブコンサートを指揮し、この作品はBerlinのMaerzMusik Festivalで初演されています。2013年と2015年には、Chromdioxidgedächtnis"とNDR das neue werkと言うラジオ番組シリーズの"Takt der Arbeit" の2曲の作曲を依頼され、2016年にも、Internationales Musikfest Hamburgで、自身の作品”Falling Still”も初演されています。また同年には、20台のKorg MS-20シンセの為のオケの曲”A Choir Of Wires”も作曲し、GentのLUCA School of Artsの学生に演奏させています。2019年には、ポーランド系ドラマーHubert ZemlerとのデュオCELを結成、またHamburgのEnsemble Resonanzとのコラボで、2曲作曲しています。2019年には、仏人映画監督Marie Losier が、Felix Kubinの日常を撮った映画"Felix in Wonderland"で、Locarno Film Festivalにおいて受賞しています。 と言う風に、Felix Kubinは早熟にして多作、しかもポップミュージックと現代音楽との行き来して、八面六臂の活動をしてきた訳ですが、実は、1990年代に来日もしていて、素晴らしいソロ・パフォーマンスを披露してくれています。そんな天才Felix Kubinの10代でつくつた曲のセルフ・コンピ・アルバムが、この”Teenage Tapes”で、Korg MS-20シンセを駆使した曲が選ばれており、12曲中6曲が未発表曲と言うレア・アイテムになっております。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Japan Japan” (2:10)は、強烈なマシンビートにシンセと変調Voで応酬する曲で、シーケンスも複雑で、彼の代表曲にして良曲です。 ★A2 “Agitabo“ (2:50)は、マシンリズムと気が狂ったようなシーケンスを組んでおり、手弾きも含めて、これが10代の作る曲とは思えませんね。因みにインスト曲。 ★A3 “The Germans” (3:32)は、ホワイトノイズとキックでの四つ打ちリズムに、重低音からのベースラインとおどけたようなシンセのメロディが不釣り合いながらもマッチしています。これもインスト曲。 ★A4 “Melancholia” (3:52)は、ストリングス・シンセによるリズムとシンセの物悲しいメロディから成るインスト曲ですが、途中の曲調の転換も含めて構成が秀逸! ★A5 “Krematorien” (3:18)も、ホワイトノイズを使ったリズムと複雑なリズムマシンのリズムに、若かりしKubinのVoが乗る曲で、やはり、曲構成やシンセのユーモラスな使い方が超人レベルです。 ★A6 “Sonntagsspaziergang” (2:41)は、戯けたようなシーケンスとシンセのメロディとリズムマシンで、展開が早いインスト曲ですが、曲構成は素晴らしいです。 ★B1 “Calling My Brain” (1:40)は、怪しげなシーケンスとVoから成る曲で、展開も絶妙で、とにかくシンセの使い方が素晴らしい! ★B2 “Sie Träumen Alle” (5:20)も、忙しないシーケンスとリズムマシンに、キッチュなシンセとVoが乗る曲で、途中のブレイク等、よくアレンジ出来るなぁと感心!また、ユーモアも忘れていません。 ★B3 “Gelegenheitsexperiment 1” (2:01)は、シンセ音による音とエレクトーンのリズムボックスみたいなリズムでスイングするようなインスト曲なんですが、ジャジーさは皆無です。 ★B4 “Hans, Der Ist Nicht Artig” (3:14)は、多分TR-606のリズムと性急なシーケンスに、ツボを押さえたシンセが絡むインスト曲。やはり天才か! ★B5 “Qualität Des Staates” (3:18)も、性急なマシンリズムとシーケンスとVoに、ユーモラスなシンセから成る曲ですが、完全にピコってて、しかも録音技術も卓越しています。 ★B6 “Kunststoff Version” (2:26)も、また忙し過ぎるマシンリズムに、SE的シンセ音やヴォイス等が乗っかるインスト曲で、細かい所まで凝っていますね。 10代の頃のFelix Kubinは、サヴァン症候群ではないかと思わせる程、曲作りや構成、シンセの音作りや録音技術が、多動の中で渦巻いており、そこから出来た音楽は、多分他のNDWバンドよりも数十倍凄い完成度です❗️シンセとリズムマシンがあれば出来ると言うレベルを遥かに超えています。正しく、エレクトロ・ポップ界の天才児であると確信しました。なので、エレ・ポップ好きなリスナーさんで、未聴の方は、是非とも一聴されることをお勧めします❗️ハマるかもよー。それから、個人的には、Felix Kubinと平沢進がコラボしたら面白いと妄想しましたね。 A6 “Sonntagsspaziergang” https://youtu.be/J5jg9wLKVfg?si=47zftl0M7IC7StyG [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lwDMvjLYcRGnyGslNQliiyKzvO7Xs42_U&si=oZdn2huN9_gbDX7K #FelixKubin #TeenageTapes #MinimalWave #SynthPop #Experimental #Electro #Synthesizers #DrumMachine #Vocal #KorgMS-20 #Organ #SelfCompilationAlbum #PreviouslyUnreleasedTracks
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Minimal Wave 3800円Dr K2
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Onyon “Last Days On Earth”
これは何で購入したのか?良く分からないですが、多分、ちょっと視聴して気に入ったから購入したのでしょう。ただリリースされたばかりで、Discogsにも載っていないと言う有り様で、調べるのにちょっと苦労しました。と言う訳で、独LeipzigのポストパンクバンドOnyonのファースト・フル・アルバム”Last Day On Earth”をご紹介します。と言っても、良く分からないと思いますので、ちょっと調べてみました。この作品の前に、1本のカセットEP作品”Onyon”を、独のレーベルU-Bac & Flennenより2022年1月に出しているのですが、これが大当たりして、米国Trouble In Mind Recordsからの米国版を同年6月に、このカセットをリイシューし、そうして、今回のファースト・アルバムのリリースに至ったらしいです。結成の経緯とは不明ですが、メンバーは、Florian Schmidt (B, Harmonica, Vo), Mario Pongratz (Drs, Vo), Maria Untheim (Kbd, Vo, Tambourine), Ilka Kellner (G, Vo)で、4ピース・バンドです。前作では、1980年代のミニマル・シンセ・サウンドと1960年代のガレージ・サウンドとが融合したようなサウンドで、Devo, Kleenex/Liliput, X-Ray Spexからの流れとThe IndexやThe Seedsからの影響も感じられ、また同時に、現行のバンドThe StachesやThe Cosmetics等ともリンクしているようです(ここら辺については知識なしです)。Voは、元々はKellnerとUntheimとかシェアーしており、独逸語と英語半々の歌詞だったそうです。この位しか調べられませんでした(すまん!)。 それでは、Onyonのファースト・アルバム”Last Day On Earth”を紹介していきますね。両面とも6曲づつ収録されています。 A1 “Alien Alien”は、しっかりしたビートを刻むリズム隊とオルガンっぽいKbdが効いていて、かつGも変な音色/フレーズですが、ツボを押さえています。UntheimのVoもキッチュで良い! A2 “Talking Worms”も、皆、ちゃんと演奏しているのですが、突然テンポが変わったり、またGがヘナヘナなフレーズを弾いたりします。Voの多重録音も良い! A3 “Egg Machine”は、決して上手くは無い演奏ですが、ちょいドスの効いた女性Voもカッコ良い。コーラス(男)やハーモニカもグー! A4 “Goldie”は、レトロな雰囲気の曲で、大々的にKbdがフィーチャーされており、独逸語の歌詞です。 A5 “Two Faces”は、パンキッシュな曲ですが、躓くようなブレイクが入り、Bの変なフレーズで繋いでいきます。 A6 “Dogman”もファズGで、パンキッシュと言うかガレージですね。サビから入るKbdがグッと来ます!この曲も独逸語の歌詞ですね。 B1 “Blue Lagoon”は、やや重めのリズムで、Voの多重録音が効いてますが、サビでのGの崩しが面白いです。 B2 “Yahtzee”は、チューニングの狂ったようなGのカッティングで始まり、途中で出てくるシンセが効果的です。 B3 “Invisible Spook”は、KbdとGで始まるガレージな曲ですが、Voとコーラスの組合せがやはり良いです。 B4 “I Would Like To Eat The Newspaper”は、Drsで引っ張っていくような展開で、それにKbdが入るのが怪しげでグーです。しかし、Gのフレーズは相変わらず変! B5 “O.U.T.”は、またまたガレージ色の強い曲で、Percも入っていますが、何だかやっぱりG、どころかBも変なアレンジになっています。 B6 “Mower”でも、ヘンテコなGに合わせるように、KbdやBやDrsが頑張っています。まあ、上手くはないんですが、そこがまた痺れます! これは、とんでもないバンドだと思いました❗️まあDevoと言うよりもKleenex辺りに、パンクやガレージの粉末を振り掛けたような音楽なんですが、とにかく、Gのアレンジと言うか音色もフレーズもヘンテコです!確かに、バンド・サウンドとしては、各人、そんなに上手くはないですが、それでもリズム隊やKbdはちゃんと曲の土台を演奏しています。が、しかし、ギターはやっぱりヘンテコです。なので、中毒性のある音楽ですよ、これは❗️これは、是非ともライブを観てみたいですね!でも、思ってた以上に、メインVoはUntheimなんですね。それに殆どの曲が英詞でした。そこら辺はちょい残念。 B5 “O.U.T.” [session take] https://youtu.be/S18bFXBuVS0?si=iGDgPjarrFkHFyHk [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lFCZ6OM_u3eskNHmPDITbiP7rsY97nlZ0&si=1S79dJVJdNT-fEjv [BandcampのURLも貼っておきます] https://onyon.bandcamp.com/album/last-days-on-earth-2 #Onyon #LastDayOnEarth #TroubleInMindRecords #FirstAlbum #Germany #PostPunk #Garage #Organ #Herky-JerkySound #FemaleVocals #FlorianSchmidt #MarioPongratz #MariaUntheim #IlkaKellner
Post Punk / Electronic Trouble In Mind Records 3520円Dr K2
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Karlheinz Stockhausen “Mikrophonie I / Mikrophonie II”
いよいよ、御大登場ですか!今回は、現代音楽界きっての超有名にして超アヴァンな作曲家Karlheinz Stockhausen(カールハインツ・シュトックハウゼン)先生をご紹介します。作品は、彼の初期の曲で、ライブ・エレクトロニクスの代表作でもある”Mikrophonie I / Mikrophonie II”です。まあ、ここで、私が長々とまたStockhausen先生のバイオグラフィーを書くまでもないのですが、取り敢えず、彼の生い立ちと初期の作品位までは書いておきます。Stockhausen先生は、第二次世界大戦後、戦争孤児となりましたが、1947年4月に、ケルン音楽大学の入学試験を受け、音楽教育コースでは不合格でしたが、ピアノ・コースで合格しています。ただし、翌年には音楽教育コースにも合格し、新古典主義的な曲や十二音技法を用いた曲等を作曲しています。1951年に、彼は、Darmstadt夏季現代音楽講習会に参加し、Olivier Messiaenの”Mode de valeurs et d'intensités (音価と強度のエチュード)”に強い衝撃を受け、逆に、Arnold Schönbergの曲には失望しています。それで、彼は仏に移り、パリ国立高等音楽院の入学試験を受けます。しかしながら、Darius Milhaud(ダリウス・ミヨー)のクラスには、不合格となってしまいましたが、Messiaenの楽曲分析クラスへの聴講は認められ、1年ほどそのクラスで学んています。そこで、彼は、Group Composition (群の音楽)やPunctualism等の新しい概念を次々と考案し、また、世界で初めての電子音楽を作曲しています。更に、ベルギーの作曲家Karel Goeyvaerts (カレル・フイヴァールツ)の”Sonata for Two Pianos”を彼と共に初演して影響を受け、1951年には、Oboe, Bass Clarinet, Piano, Percussionsのための“Kreuzspiel (クロイツシュピール)”を作曲し、Total Serialismを採用しています。この時期に、仏作曲家Pierre Boulez (ピエール・ブーレーズ)や伊作曲家Luigi Nono (ルイジ・ノーノ)と議論を深め、20歳代で音楽院の講師を務めています。その後、1952年12月に、彼は、”Konkrete Etüde”を作曲し、Pierre SchaefferのParis musique concrète studioで構築しています。翌年3月に、彼は独ケルンに戻り、NWDRスタジオで、”Electronic Studies (習作IとII)”を2曲作曲しており、1955-1956年には、ミュージック・コンクレートと電子音楽とを合わせた”Gesang der Jünglinge (少年の歌)”を作曲しています。他にもこの時期に”Gruppen”, “Kontakte”, “Momente”等の代表作も発表しています。その一方で、彼は図形楽譜も用いるようになり、1959年作”Zyklus”で初めて使用されています。そして、1960年代後半以降は確定的な記譜法を離れ、電子音楽の経験を発展させて、リング・モデユレーター、フィルター、ディレイなどを生演奏に施して音響を変調させるライヴ・エレクトロニクスの手法も積極的に試みるようになります。この時期に書かれた作品に、1964年作の6人の奏者のための”Mikrophonie I (ミクロフォニー I)”、1965年作の合唱・ハモンドオルガン及び4台のリング・モデュレーターの為の”Mikrophonie II (ミクロフォニーII)”、更には、 や1964年作のオーケストラと4つの正弦波ジェネレーター及び4つのリング・モデュレーターのための”Mixtur (ミクストゥール)”等を作曲し、ライブ・エレクトロニクスの第一人者となります。その後、1960年代後半は、彼は、ライブ・パフォーマンスの為にProcess Compositionとして、自身の過去作品を出発点として、それを次々と変容してゆく1967年作”Prozession (プロツェッシオーン)”や短波ラジオが受信した音形を変容してゆく1968年作”Kurzwellen (クルツヴェレン)”等を作曲し、演奏の方向性がテキストの形で提示され、その不安定性を追求する「直観音楽」として、1968年作”Aus den sieben Tagen (7つの日)”や1968-1970年作の”Für kommende Zeiten (来るべき将来のために)”も作曲しています。この時期(1966年)に、Stockhausen先生は、来日し、NHK電子音楽スタジオにて、旋律楽器とフィードバックの為の1965-1966年作”Solo (ソロ)”と1966年作の電子音楽”Telemusik”を作曲してます。これらの作品は「相互変調」と呼ばれる手法で変形され、電子音楽の網の目の中に組み込まれると言った曲となっています。”Telemusik”は2時間近くに及ぶ大曲で、1966-1967年作”Hymnen (ヒュムネン)”にも使われています。これらの曲には即興性があり、また、後者2曲ではテープ音楽の手法も用いられています。ここら辺までが、Stockhausen先生の第2期(第3期は1970年以降となります)に相当しますので、一旦、バイオグラフィーの止めておきます。 そこで、本作品について紹介していきたいと思います。先述のように、この2曲は、Stockhausen先生のライブ・エレクトロニクスとしては代表的な作品で、しかも、この盤に納められているのは、2曲とも初演の記録となっていますので、貴重な演奏だと思います。それでは、各曲を紹介していきます。 A面”(タムタム、2本のマイクロフォンと2台のフィルターとポテンシオメーターの為の)Mikrophonie I”の演奏者と担当は、FiltersとPotentiometers (Hugh Davies, Jaap Spek, Karlheinz Stockhausen), Microphones (Harald Bojé & Johannes Fritsch), Tamtam (Fred Alings & Aloys Kontarsky)となっています。この曲では、何かが軋むしような音と鉄板を演奏する音(打撃音や摩擦音など)がマイクの位置によって位相が変化し、更にフィルターを通すことである音域の音が強調されたりして、不思議な音像が提示されています。今なら、Korg MS-20やMS-10或いはモデュラーシンセでも出来る加工だとは思いますが、なんたって、これは、1964年作の1965年7月11日、独逸での演奏と言うから、先進性の塊ですよ。それにしても、タムタムらしき音は聞こえて来ないですねー。多分、変調・加工されているのでしょう。こう言うアイデアが、その後のP16.D4なんかの実験ロック/独逸音響ノイズに受け継がれたのでは?と思いますよ。そう言う意味では、ルーツを見つけて、類似性に確信できて興味深いです。 B面”(合唱、ハモンド・オルガンとリング・モデュレーターの為の)Mikrophonie II”の演奏者と担当は、指揮 (Herbert Schernus), Choir (ケルンのStudio Choir For New Music & The West German Radio Chorusのメンバー), Hammond Organ (Alfons Kontarsky), Timer (Johannes Fritsch)となっています。この曲では、2つずつに分けられたソプラノとバリトンのグループの声自体が音源となっており、如何にも現代音楽と言った歌い方です。一方、ハモンド・オルガンの音はよく分からないですが、恐らくリング・モデュレーターをかなり掛けられていると思われるます。それに対して、合唱の方が、リング・モデュレーターの効果はよく分かります。特に起承転結がある訳でもなく、フラットな状態で曲は進んでいきますが、この曲は、合唱(人数が多い)と言うこともあって、指揮者やタイマーの方がいるのだと思います。しかしながら、こんなことを大真面目に演ると言う行為やその過程の方が、実は面白かったりする訳で、そこら辺がまた現代音楽の肝だとも思えます。 久しぶりに聴いてみましたが、Stockhausen先生のぶっ飛び具合と、ライブ・エレクトロニクスの黎明期の演奏を堪能できました。今でこそ、ノイズ・ミュージックは、一種のライブ・エレクトロニクスな手法を使っている訳ですが、機材の進歩(使い易さと低価格と多機能)はアカデミックな音楽手法を、我々の元に還元してくれていることは有り難いなあと感じました。しかし、こう言う音楽は、やはり肩を張らずに聴き流す位の気持ちかつ爆音で聴くのが正解だと思います❗️皆さんもこんな音楽、聴いてみて、楽しんで下さいね‼️ 因みに、ジャケ写はNASAからの提供です。 A1 “Mikrophonie I” B1 “Mikrophonie II” [full album] https://youtu.be/TAtTv8tXwKM?si=e0sIMvntG2AQvYhR #KarlheinzStockhausen #MikrophonieI/MikrophonieII #CBS #US盤 #1967年 #初演 #ModernClassic #Avant-Garde #LiveElectronics #Composer #FirstRecording #Tamtam #Microphones #Filters&Potentiometers #Choir #HammondOrgan #RingModulator #KarlheinzStockhausenGroup
Modern Classical / Electronic / Experimental CBS 不明Dr K2
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Tangerine Dream “Phaedra”
またですかぁー。んで、今回もTangerine Dreamの登場です。今回は5作目のアルバム”Phaedra”を紹介します。一時期、私は独逸ロック(クラウトロック)もつまみ食いしていましたが、シーケンサーを使ったグループが割と好みでした。でも、当時はあんまり聴き込んだことが無かったので、今回は聴き込んでみようと思います。バンドの詳細なバイオグラフィーは以前に書いてものを参照して下さい。メンツは、Edger Froese (Mellotron, B, G, Organ, Synth [VCS3 Synth] ), Peter Baumann (Organ, Synth [VCS3 Synth], Flute, E-Piano [e-piano] ), Chris Franke (Synth [Moog, VCS3, SA], Kbd)と言う電子音楽界の鉄壁の3人です。プロデュースはFroeseがやっています。この担当楽器を見れば分かりますが、あのじゃじゃ馬シンセVCS3を3人とも使っています。バンドは、独逸Ohrを離れて、英国のVirgin Recordsと契約しており、1973年〜1978年までは、このトリオでガッツリやっています。内容はA面1曲でタイトル曲になっており、B面は3曲から構成されています。A面”Phaedra”では電子音の揺らめく中で、シーケンサー駆動の電子音の反復(本作で初めてシーケンサーが使われている)が心地良いんですが、全体としては、電子音によるオーケストレーションがやはり主体を占めているように思います。最後の「余韻」が良いですね。B1 “Mysterious Semblance At The Strand Of Nightmares”は、Froeseの作曲で、電子音の霞が幾重にも重なって、非常にゆったりと流れていく重厚アンビエント曲ですね。クチュクチュしたシンセ音やホワイトノイズの使い方が新鮮です。B2 “Movements Of A Visionary”では、やはり、電子音の海の彼方から立ち上がってくるシーケンサーの反復が心地よいです。まるで、口の中で球がコロコロ転がるようなシンセの音から成ります。B3 “Sequent C'”はBaumannによる小曲で、ふわふわした電子音がそこはかとなく流れて締めていきます。因みに、A面とB2は3人の共作となっています。と考えると、Tangerine Dreamとしては、シーケンサーをもっと加えて行こうと言う現れなのかも知れませんね。そう言う「反復音」が夢のような電子音と重なっており、そこがツボのように思います。これが「ロック」か?と言う疑問もありますが、そこは当時の状況によるのかも知れませんね。そこら辺に興味のある方は一度、聴いてみることをお勧めします。 https://youtu.be/HIQ0dd7B_FU #TangerineDream #Phaedra #VirginInternational #VirginRecords #Krautrock #Electronic #Synthesizers #VCS3 #EdgerFroese #PeterBaumann #ChrisFranke #Orchestration #Sequencer
Krautrock, Electronic Virgin International 不明Dr K2
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Kraftwerk “Autobahn”
また、出ました、Kraftwerkの4枚目のアルバムにして、プログレ史上最大の問題作”Autobahn”です❗️(因みに私が持っているのは米国盤で、リマスターされたものです) 何が問題なのかと言うと、それまでのプログレはどちらかと言うと、凄いテクニカルな演奏を長々と演っていて、熱狂的なファンにしか受けないと言うジャンルであったのですが、ここにきて、Kraftwerkは、電子音で構成された, 長いながらもポップな路線に舵を切った、と言うよりテクノ・ポップの元祖のような作品を世に出しだからです。ここから、全ては始まった的な作品です。後進に与えた影響は半端でないと思います。それでこのアルバム作製について書きたいと思います。 この作品から、それまでのFlorian SchneiderとRalf Hütterのデュオに加えてKlaus Röder (G, Flute)とWolfgang Flür (e-Perc)が後から加わります。このアルバムは初期の実験的なクラウトロックからシンセやドラムマシーンを加えたエレ・ポップへの過渡期的作品になります。と言うのも、1974年初頭に、彼等はMinimoogやthe EMS Synthi AKSを購入、また、Wolfgangは、Vox Percussion Kingと言うドラムマシーンのFarfisa Rhythm Unit 10を抜き出して、カスタマイズして、自作の電子パーカッションとして使ってます。また、この作品の歌詞や見た目に関しては、彼等の協力者Emil Schltのアイデアに従っており、アウトバーンを車で走る時の快適さみたいなものをコンセプトにしています。このアルバムは米国でもリリースされ、ビルボードで5位にランクインします。それで、Phonogramのサポートを受けて、米国ツアーを行うことになりますが、その時に、Karl Bartosが電子パーカッションとして加入し、以後、4人(Florian Schneider, Ralf Hütter, Wolfgang Flür及びKarl Bartos の4人で、Klaus Röderはアルバム作製には参加していましたが、その時に音楽性の違いから脱退しています)が鉄壁のメンバーとなります。それで本作品はConny Plankが録音に関係した最後のアルバムとなり、以降はKraftwerkは彼等所有のKling Klang Studioで、全ての作業が行われることになります。 それで内容なんですが、A面片面を使ったタイトル曲”Autobahn”は長尺ながら、ポップネスがあり、反復するメロディと変化に富んだアレンジで、飽きさせません。確かにアウトバーンを走ったら、この位気持ち良いだろうなとは思わせてくれます。B面も、初っ端こそ重めのイントロから始まりますが、やがて躍動感のある曲へと移行していきます。ここら辺の繋ぎは彼等の十八番ですね。最後の曲は軽やかで爽やかなフルートとシンセの音色が心地よいです。そんなファニーなドライブに最適なアルバムを皆さんも聴いてみませんか? A “Autobahn” (22:42) B1 ”Kometenmelodie 1” (6:20) B2 “Kometenmelodie 2” (5:45) B3 “Mitternacht” (3:40) B4 “Morgenspaziergang” (4:00) https://youtu.be/36mwJgGlfdY?si=8ERsqqwRqh94jbvw [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL803B2522308D3DA9&si=WK-KSxatUHeICd5l #Kraftwerk #Autobahn #WarnerBrothersRecords #Phillips #1974年 #Reissue #Remastering #1985年 #4ThAlbum #ConnyPlank #Techno #ElectronicPop #Synthesizers #Vocoder #ElectronicPercussions #FlorianSchneider #RalfHütter #WolfgangFlür #KarlBartos #KlausRöde
Techno pop Warner Brothers Records (Phillips) 不明Dr K2
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RLW “eaRLy W-Two: Nur Die Tiere Blieben Übrig”
RLWことRalf Wehowsky氏は、独逸の実験音楽集団P.D.、そしてそれから派生したP16.D4のリーダーであり、同時に独逸ノイズミュージック界最重要レーベルSelektionの創設者の一人でもあります。以前にここら辺の,彼のバイオグラフィーは書きましたので、ここでは省略しますが、P16.D4解体後、RLW名義でソロ活動を続けています。そんなRLWの最初期音源の蔵出し第二弾が、このアルバムになります。今回は、1980-1982年の間にラジカセで録音された習作を収めています。丁度、彼がP.D.からP16.D4に移行する辺りの録音で、音質は押して知るべしですが,中々、面白い音楽をやっています。割と、バンドセットみたいにP.D.とかのメンバーでもあるJoachim Stender, Joachim Pense, Edward Weber, Achim Scepanski, Gerd Poppe, Roger Schönauer達とのジャムセッション(と言っていいのかな?)の音源を整理して収めています。それはその頃、リリースしていたP.D.の”Alltag” や”Inweglos”のアウトテイクとかSelektionからカセット・リリースした”Nur Die Tiere Blieben Übrig”からの抜粋に当たります。Ralf氏は2曲調を除いてギターを担当、その2曲ではTape操作或いはオルガンを担当しています。あと、彼は余りシンセを使わないのも特徴です。何か、ノイジーなオルタネイティブ・ロック(1990年代のオルタナとは違う)を思い起こさせる曲群です。特にA面の3曲はドラムが入ったライブでの録音であり、「こんなライブしてたんだぁ」と言う意味で興味深いです。あとS.Y.P.H.の曲のイントロだけをサンプリング(?)したりしてます。独逸と言う国は面白いですね。一方では、Der Planのような諧謔的音楽やDAFのようなダンサブルな音楽が流行り、Neue Deutsche Welleと呼ばれる音楽が勃興した1980年前後ですが、その陰で、Selektionのような密室実験系音楽が下地を作っていたのですから。まだ若いRalfの実験音楽的アプローチの片鱗が聴取可能です。音は悪いですが、音楽のアイデアは面白いです。そんな独逸の地下音楽にも触れてみませんか?因みにテクニカル・ヘルプは元H.A.N.SのChistoph Heemannがやっています。 [YouTubeに無いのでP.D.の別曲を] https://youtu.be/13X9ZKvOCpw #RLW #eaRLyW-Two:NurDieTiereBliebenÜbrig #SwellRadio #Experimental #JamSession #LiveRecording
Experimental, noise Swell Radio 不明Dr K2
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RLW “EaRLy W One: in search of c.r.”
以前から推していたP16.D4の創設者であり、独逸の実験レーベルSelektionの創設者でもあるRLWことRalf WehowskyのソロユニットがRLWであります。それでどう言う経緯か知りませんが、Ralfが音の素材として録り貯めてした音源を一枚のアルバムにしたシリーズが、”eaRLy W”シリーズで、本作品はその第一弾になります。彼の経歴はP16.D4のところである程度書いていますので、そちらをご参照ください。P16.D4が解体された後に、Ralfは自らの名前のイニシャルからRLWとして、過去の様々な音源のリサイクルを行い,終わりの無い自己複製装置として作品をコンスタントに出しています。その音素材になり損ねた音源を集めたのが、このレコードになります。そこに目を付けたのが、米国レーベルSwell Radioです。内容はと言うと、ラジカセ一発録りの即興ギターの断片やチープなリズムマシンとギターのセッション、或いはそれをテープ操作したものなど、「これ、どうやって使うの?」とも思われる音源が曲として収録されています。実際にはボツ・テイクなのかもしれませんね。と言うか、これを使って聴者が曲を作ればと言うことなのかなあ?とも勘ぐってしまいます。しかしながら、その中の一部は、Selektion或いはその前身のWahrnehmungenのカセット作品に使われていたりしますので、「以前はこれでも曲になってたんよ」と言うことでしょうか?今でこそ、音響系ノイズの第一人者でもあるRalfの初期衝動を聴いてみてはどうですか?中々面白いですよー。 [無かったので、RLW名義の他の曲] https://youtu.be/zvZuJ42BoBs #RLW #eaRLyWOne:InSearchOfC.R. #UnreleasedTrack #SoundRawMaterials #SwellRadio
Experimental rock Swell Radio 不明Dr K2
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Die Gehirne “Ihre großen Erfolge 1983-85”
Die Gehirne (「ディー・ゲヒルネ」と呼ぶのか?)は、タイトル通り東独で結成されたFlorian Merkel (Dr, Vo), Claus Löser (G, Sax), Frank Maibier, Stefanie Schmoll, Steffen "Gullymoy" Geißlerから成る不定形プロジェクトだそうですが、前2者が基本的にコアメンバーで、Florian Merkelは写真家/芸術家、Claus Löserが、独逸映画史研究家の顔があったようで、場合によって、参加者が変わるみたいです。 本作の内容は?と言うと、1983-1985年に録音された、パンク、即興、 LoFi、Jazz、サイケ等をゴチャ混ぜにして煮込んだような自由奔放な音楽です。このことから、コミューン的なバンドでは?と想像していましたが、どうも前述のコアメンバーに管理されたグループであったそみたいです。当時は西東に独逸は分断されていましたので、その初期衝動がパンクだけではなく、様々なスタイルに向いたところが興味深いと思います。なお、Wikiで調べても、彼等の情報は殆どありませんでしたので、詳しい方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。 曲順 A1 “Amok in Watte” (0:37) A2 “Am Hofe Zu Xanten” (1:25) A3 “Ich Schenk Dir...” (2:04) A4 “Motorkopf” (0:24) A5 “Traum Von Akadien” (1:20) A6 “Für Lou” (2:07) A7 “Mänadentanz” (5:15) A8 “Hirnsäge” (1:19) A9 “Entzug” (1:29) A10 “Montabur” (0:20) A11 “Das Eis Des Peipusses” (2:04) A12 “Nacht Ohne Morgen” (1:02) A13 “Aufgeflaggt” (0:48) B1 “Banale Fanale” (6:45) B2 “Zwei Schritte Vowärts, Einen Zurück” (1:04) B3 “Todesfugen-Fragment” (1:39) B4 “Vierundzwanzig Zentimeter” (1:32) B5 “Nekrophile Kinderspiele” (5:19) B6 “The Smile Of The Turkish Dancer” (0:35) B7 “Unter Grüner Flagge” (0:49) B8 “Die Maßnahmen” (1:31) B9 “Symptome” (1:59) A4 “Motorkopf” https://youtu.be/vOdDI1c01aw?si=jjWQDUxYa4VfPQVM [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n0n0-KpEsemFjot67sF-buTAwiMfof7A4&si=aPNgnWkgirSq_S2S #DieGehirne #IhregroßenErfolge1983-85 #ExperimentalRock #EastGetmany #Punk #LoFi #PlayLoudProductions #FlorianMerkel #ClausLöser #FrankMaibier #StefanieSchmoll #Steffen"Gullymoy"Geißler
Experimental / Punk / Jazz Play Loud Productions 2500円位?Dr K2