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Mlehst / Runzelstirn & Gurgelstøck “Split”
皆さんはMlehstなるノイズ・ユニットをご存知でしょうか? また、Runzelstirn & Gurgelstøck (「ルンツェルスターン・ウント・グルゲルシュトック」と発音。以下、R&Gと表記)なるノイズ・ユニットもご存知でしょうか?それぞれについて、簡単に紹介しておきます。先ず、Mlehst (これを何と発音するのかはちょっと分かりませんが、「ムレスト」でしょうか?)ですが、英国のAll Brentnallによって、1991年から活動を始めた実験ノイズ・ユニットのことで、最初は、小ロットでのカセット作品等をリリースしていましたが、1990年代終わりにはその活動も収束していき、2001年にラスト・カセットをリリースして一旦、活動休止になります。しかしながら、2005年から復活して、新作もリリースして、現在も活動中です。Bandaged Hand Produceは彼が運営していたレーベルで、今回は初のヴァイナルでのリリースとなります。一方、R&Gは、スイスのチューリッヒで活動していたRudolf Eb.erのソロ・ノイズ・ユニットで、1987年に結成されたSchimpfluch-Gruppe (「シムフルッフ・グルッペ」と発音)の一員として活動を開始、1989年にR&Gを名乗り、ウイーン・アクショニズムに影響を受けた具体音から成るミュージック・コンクレート的ノイズをやっていました。そして、彼とDave Phillips は、1997年に来日し、その後、彼だけが、日本に残って、大阪在住で活動を続けています。R&Gについてはまた別の機会に詳細を書くつもりです。 それで、本作品ですが、何と!200枚限定なのに、ワンサイドです❗️勿体ない感じもせしますが、予算が無かったのか?それとも曲が出来なかったのか?或いは敢えてワンサイドにしたのか?よくは分かりません。それに、装丁もチープで、単にA4のコピーを貼り付けただけです(恐らくは予算不足かな?)。それで内容の方なんですが、A1はMlehstの”We Will Never Understand Her”と言う曲で、多分、テープ操作による、ややアコースティックなノイズがスカスカに配置されていると言う感じです。この頃のMlehstはどうも今ひとつ垢抜け無いと言うか?掴みどころが無いと言うか?そんな印象が強かったですねぇ。一方、A2はR&Gの”Die Schönheit Bedarf Des Zärtlichen Hauchs Zur Reinen Entfaltung”なる曲で、多少、Mlehstと共通点があるようですが、こちらも、初期の音源らしく、打撃音や叫び声などをテープ操作した、如何にもR&Gらしい脱構築・アコースティック・ノイズです。勿論、R&Gの方が、曲としてのテンションや緊張感は素晴らしいです。そんな稀有な組合せによるスプリットLPで、今となっては大変貴重な記録物ですが、もし、貴方が、1990年代のノイズ・シーンの一端に触れてみたければ、この作品は適当なアイテムになると思いますよ。是非とも! Mlehst “We Will Never Understand Her” https://youtu.be/Yd6-sqX1A0Y R&Gの曲はYouTubeに無かったので、東京でのライブを貼っておきます。 https://youtu.be/3Aik6I_JBNA #Mlehst #Runzelstirn&Gurgelstøck #Split #BandagedHandProduce #AcousticNoise #MusiqueConcrete #OneSideLP #UK #Switzerland #AllBrentnall #RudolfEb.er #1990年代
Experimental Noise / Actionism Bandaged Hand Produce 不明Dr K2
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K2 “Hepatopolitika”
またまた、来ました、自分の作品の紹介です。今回はちょっと趣向に変えて、K2名義でリリースした実験音楽(Not Harsh)の初出”Hepatopolitika (肝臓政治学)”です。それのオリジナル盤を紹介します。それまでは、第二期K2として、所謂ハーシュノイズ(この言葉は余り好きではない)を探求していた訳ですが、時々、それとは違う毛色のノイズミュージックも録音していました。私は昔からP16.D4が大好きで、彼等のファンでした。まあ、そう言う経緯もあって、あんな音楽、作りたいなあと常々思っており、その為の習作を録音したり、テープでフィールド録音したりしてました。そんな素材を用いて、K2風にミックスダウンを何度か行い、そうして出来上がった曲を一本のマスターDATに納めました。丁度、その頃、独逸の新興ノイズレーベルPraxis Dr. Bearmannからオファーが来ていたので、これ幸いにマスターを送ったんですよ。それで、装丁も盤も全部クリアーでってお願いしたら、本当にそうしてくれて、私は大喜びでした(なお、イタリア浦島からのリイシュー盤は黒盤です)。内容は、一言で言うと「コラージュ」です。既成の楽器(G, B, Organ, E-Piano, Violinなど)に加えて、昔のパンドのライブ音源やテープ/ミニカセットに録音した非楽器の音やTVの音など、それに最小限のパーカッション類(要するに叩いて音が出るもの)を用い、それらを変調・切り貼り・ループにして、ミックスダウンを行いました。そう言えばサンプラーもちょっと使ってましたね。一曲に何らかのナラティビテイを持たせるようにしました。それによって、自分なりの「コラージュ」作品が出来たかな?と思っております。まあP16.D4程、緻密な録音をした訳ではありませんが、そこはそれ、自分の培ってきたミックスダウンの勘でやり切りました。その即興性は、P16.D4とかの厳格な楽曲作りとは違いますが。本作は自分としては気に入っています。そして、年月が流れて、2010年代にイタリアの浦島が、リマスター・リイシューをしたいとオファーをくれたので、即OKと返事をしました(こちらも199枚限定)。なので、いつものK2サウンドではありませんので、ご注意下さい。これはこれで面白いとも思いますが、、、。 [remaster version] https://youtu.be/tmGMCAoorhw #K2 #Hepatopolitika #PraxisDr.Bearmann #Collage #P16.D4 #ClearVinyl #Urashima
Experimental, noise Praxis Dr. Bearmann 無しDr K2
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Jean Tinguely “s/t”
これはキワモノですよ❗️例のガラクタで音響機械を作る芸術家Jean Tinguelyの動く機械彫刻(正式にはMétamaticと呼ぶらしいです)の実録盤です。スイス生まれのTinguelyですが、彼は20世紀中頃にはパリのアヴァンギャルドの仲間であり、1960年には”the New Realist's manifesto (Nouveau réalisme)” にサインしています。彼を有名にした作品”Homage to New York”(1960年作)は動いていくうちに自己崩壊してしまう作品ですが、今では、部分的に壊れた状態で、ニューヨークのMuseum of Modern Artに所蔵されています。一方、彼の後期の作品てある”Study for an End of the World No. 2” (1962年作)はラス・ヴェガスの郊外の砂漠で観客の前で完全に壊れたままになっており、その扱いにかなりの差があるようです。今から思えば、彼の自己崩壊する機械芸術作品は、今で言うSurvival Research Laboratories (SRL)による擬似戦争ショーのアイデアの元になったのではないか?と想像します。そんなTinguelyですが、1991年に66歳で心不全のため亡くなっています。個人的には、昔、伊豆のセゾン美術館で観た作品(運良く可動する所も見ることができた)がめちゃくちゃ面白かったです。ガラクタを集めて、モーターなどで駆動させ、その作品が発する音も、視覚と同じ比率で作品の存在を担っており、そう言う意味では非常に興味深かったです。それで本作品ですが、1) “Bascule VII” (1969年作), 2)”Hegel” (1988年作), 3-7) Show window dysplasia, 8-9) “Méta-Malevich ‘Point Rouge’” (1954年作)及び”Spirale Éclatée” (1957年作)の騒音が収められています。どれもガタガタ、ギクシャク、ゴトゴト言う機械音が録音されており、マシン・マニアには堪らない音楽作品にもなっていますね。出来れば、もう少し長目に収録して欲しかったのとヴィデオなどの視覚的媒体でもリリースして欲しかったですね。まあ、当時の人から見たら、キ○ガイだったでしようね。音だけで言うと仏のVicenza が近いかな?そんなJean Tinguelyの音にも触れてみてください。 https://youtu.be/yLC0d2j8g0E #JeanTinguely #Métamatic #NoiseMusic #KineticArt
Avant-garde (現代音楽) Manhood Records 不明Dr K2
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Organum “Sphyx”
実はCherry Red Recordsのコンピにも参加していた英国のアーティストDavid Jackmanのドローン・ノイズ・プロジェクトが、このOrganumです。一時期、The New Blockadersとの共作で話題になりましたが、今でもDavid Jackman氏は活動を続けています(近作ではOrganum Electronics名義になっていますが)。まず、David Jackman氏の経歴から。彼の最初の音楽経歴は1969-1973年にCornelius Cardew氏のScratch Orchestraへの参加から始まります。ここで得た思考や方法論から、彼はMonoplaneや本人名義でカセット作品を出していました。1983年に彼は初めてOrganumを名乗って活動すると同時に、自身のレーベルAeroplaneや欧州のレーベルから7㌅やEPなどをリリースしていきます。当時の米国ジンNDのインタビューでは、「長い2枚組みのレコードとか70分もあるCDは興味がない」と言っています。その後、様々なアーティストと共作を作製しますが、基本的には、「彼」と「その他」としてOrganum名義となっています。それで、本作ですが、Organum名義としては8枚目のアルバムになるのでしようか? 今回のメンバーはJackman氏の他にChristoph HeemannとDinah Jane Rowe, Eddie Prevost及びJim O’Rourkeです。共演者の皆さん、それぞれに弦楽器などや尺八(?)から持続音を紡ぎ出しており、その中にEddie Prevost氏の自由なドラミングが良いスパイスになって、音全体の構成に変化をつけ、極上のアコースティック・ドローン・ミュージックに仕上がっています。決して安易に作られたものではないことが明確に分かります。いつまでも聴いていたくなる音像で、中世画から抜粋されたような、彼のアートワークと共に、独自の渋い世界をつくっています。リリースはEddie PrevostのレーベルMatchless Recordingsからですが、2002年に米国Robot RecordsからCD再発をされています。皆さんも、まるで涅槃のようなドローンの迷宮を散策してみてはどうでしようか? “Aurora”(A面) https://youtu.be/BPDZY4hVpnM #Organum #DavidJackman #Sphyx #Drone #ChristophHeemann #DinahJaneRowe #JimO’Rouke #EddiePrevost #Aeroplane #MatchlessRecordings
Experimental, Drone Matchless Recordings 不明Dr K2