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Lee Ranaldo “Scriptures Of The Golden Eternity”
Lee Ranaldo、彼の名前はSonic Youthのギタリストと言った方が良く分かるだろうか? と言う訳で、今回は、Ranaldoのソロとしてはセカンドに当たるアルバム”Scriptures Of The Golden Eternity”を紹介しましょう。まあ、皆さんもSonic Youthのことを含めてLee Ranaldoの方は良く知っているとは思いますが、恒例ですので、彼のバイオグラフィーを紹介します。Lee Ranaldoは、1956年2月にNYCのロング・アイランドのGlen Coveに生まれ、Binghamton大学で芸術を学んでいます。彼のNYCでのキャリアは、Rhy ChathamとのGuitar TrioやThe Fluctsと言ったバンドでギターを弾くことで始まり、その後、Glenn Brancaのエレキ・オーケストラに参加することになります。1981年に、RanaldoはDavid Lintonと、Truus de Grootが結成したPlus Instrumentsにちょっとだけ参加し、そのラインナップで、アルバム”February - April 1981”をリリースしています。そのリリース後に、Thurston MooreとKim Gordonと一緒にSonic Youthを結成することになります。そして、Sonic Youthをやりながらも、ソロ活動も並行して行うようになり、1987年に、彼の最初のソロアルバム”From Here To Infinity”をリリースしており、ロックト・グルーヴで終わるレコードでした。その後も、ソロでスポークン・ワードと音とを合わせた作品”Dirty Windows”やギターによる断片から成る作品“Amarillo Ramp (For Robert Smithson)”、そして、本作品でもある“Scriptures of the Golden Eternity”などをリリースしていきます。その一方で、Ranaldoは書籍(“Drift”, “Bookstore”, “Road Movie”や”Moroccan Journal”)も出しており、それらにはLeah Singerの写真や絵が多く含まれています。また彼は、Soft Skull Pressより”Jrnls80s”とか、Cynthia Connollyの写真を使った詩集”Lengths & Breaths”も出版しています。それで、2011年にSonic Youthが解散すると、Ranaldoは、2012年初頭にソロアルバム”Between The Times And The Tides”をMatador Recordsよりリリースしていますが、この作品は、彼のソロの中で、初めてのポップ・ロックなアルバムになっています。Ranaldoは、2013年に、Alan Licht (G), Steve Shelly (Drs: 元Sonic Youth), Tim Lüntzel (B)とでThe Dustと言うバンドを結成し、Lee Ranaldo and the Dust名義でアルバム”Last Night On Earth”をリリースしています。翌年には、オール・アコースティック・アルバム”Acoustic Dust”をリリースし、ソロやThe Dustの曲だけではなく、Niel YoungやSandy Dennyなどのカバー曲も収録されています。今回は、ここら辺までにしておきます。 それで、Lee Ranaldoのソロアルバム”Scriptures Of The Golden Eternity”の内容ですが、A面1曲/B面2曲を収録していますが、A面は1988年7月18日でのNYC Knitting Factoryでのライブ音源を、B面2曲は1989年11月28日での同所でのライブ音源をそのまま収録しており、全てはギターとテープとヴォイスのみで演奏されて音源で、それに後から音を加えたりはしていないとのことです。 A面は、ギター・ドローンが延々と続き、やがてラジオのような音(恐らくテープ音)や語りのようなヴォイスなんかも聴こえてきて、その内、様々な物音のループ(これもテープ音と思われます)に取って代わられ、更に地声によるヴォーカリゼーションも乗っかってきて、極上のインダストリアルな作品になっています。ある種の物語性もあるようで、全然飽きません。 B面のB1は、ギターノイズのショートループを延々と繰り返しながら、段々と音が荒ぶっていき、最後にはギターノイズそのものに置き換わっていると言う秀逸な曲です。 B2は深いエコーを掛けたフリーキーなギターノイズから始まり、やがてそれがいつの間にか「ノイズの雲」のように変化していき、思わず、引き込まれてしまいます。 総じて、本作品は、元祖ノイズ・ロック・バンドSonic Youthのギタリストによる秀作だなと唸ってしまいました。そんなLee Ranaldoのソロ作品ですが、彼のポテンシャルを体感したい方或いは彼の過去を知りたい方には一聴をお勧めします。ただ、それ程、「楽しい」音楽ではありませんので、気になる方だけ聴いてみて下さい❗️ A “Scriptures Of The Golden Eternity” B1 “Naked & Alone At The Knitting Factory I” B2 “Naked & Alone At The Knitting Factory II” [full album] https://youtu.be/n4yQ1wKW_kI #LeeRanaldo #ScripturesOfTheGoldenEternity #FatherYod #Experimental #Industrial #Drone #Live #SoloAlbum #SecondAlbum #SonicYouth #Guitar #Tape #Voice
Experimental / Industrial / Drone Father Yod 不明Dr K2
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Borbetomagus “L'Atlas Des Galaxies Etranges”
また、出ました!「ミミズの都市」ことBorbetomagusの1993年のフランスでのライブ盤です。もう少し正解に書きますと、1993年5月21日に、仏のShot Gun Galleryで行われたライブ曲を編集してA面1曲、B面2曲にしたものです。メンツはいつものJim Sauter (Sax), Don Dietrich (Sax), Donald Miller (G)とトリオです。バイオグラフィーは前回のを参照にして下さい。全編これ、もうノイズ・ミュージックの様に歪んでいて、かつ高いテンションを保っている即興演奏から成ります。その意味で,私は彼等に敬意を払って、”Death Jazz”と言う言葉(ジャンル)で、彼等の音楽を紹介しています。本当、ジャズの「ジャ」の字も感じさせないくらい,捩じ切れていますが。一応、曲名がついていますが、あんまり関係無さそうです(A面”Chu-72353, B-1 “DB Dean”, B-2 “Schmule 93 aos”)。ただの「メモ書き」のようなものかな? とにかく、これは,爆音で聴くべき音楽だと思います。と言うか生で観たいバンドですね。まあ、彼等のレコードやCDは殆ど全てがライブ録音なので、それ相当の覚悟が必要です。そう言えば、Sonic Youthのサーストン・ムーアが、Donald Millerの演奏を観て「こんな下手なギタリストは観たことがない❗️」と言ったとか(言ったとしても、多分「褒め言葉」だとは思いますが)。彼等は1979年に結成してから今現在まで、ずっとdeath jazzをやり続けています。それだけで凄い事だと言えるんです。私は彼等のことをFool’s Mateで秋田昌美さんがやっていた「世界の音楽」で知り、実際の音はPSFが復刻した”Live at In-Roads”で知りましたが、兎に角,ぶっ飛びましたね。これはジャズなのか?ロックなのか?フリーミュージックなのか?戸惑いました。そんな彼等の一旦を体験してみてはどうでしょうか? https://youtu.be/kkf60YRt0mM #Borbetomagus #L'AtlasDesGalaxiesEtranges #NonMiPiaceRecords #deathJazz #Improvisation #NoiseRock #Loud #Sax #Guitar
Death Jazz, improvisation Non Mi Piace Records 不明Dr K2
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De Fabriek & Telepherique “PWZ”
以前に紹介したオランダの元祖マシン・ミュージックDe Fabriekと、ドイツでアナログ・シンセによる電子音楽を作っていたTelepheriqueの郵便利用によるコラボ作品が、本作になります。以前より両者は郵便利用のコラボをやってきており、その集大成的な作品と言えるのではないでしようか? まずこの作品は、そのオール・ハンドメイドのジャケやインサートに驚くと思います。ジャケは厚手のサテン壁紙を切って一枚一枚、縫い合わせて作られており、そこにシルク印刷が施されています。また、写真では分かりづらいかも知れませんが、切った布に地図や写真や版画やらがステイプルで留められており、メールアート心をくすぐること間違い無しです。そして、肝心の音の方なのですが、De FabriekのRichard van Dellen氏が住んでいるオランダZwolleからTelepheriqueのKraus氏が住んでいるドイツWurzburgまでの走行距離535Kmがコンセプトになっているようで、そのことがインサートの地図に明記されています。De Fabriekサイドは、TelepheriqueによるKorg MS-20による不明瞭だが、強力な電子低音に、これまた潰れたリズムボックスや鐘の鳴るような音を組み合わせた自家製宅録インダストリアルを。それに対して、Telepherique側は、De Fabriekによるキンキンしたロートルなリズムボックス音に重厚な電子音やテープ音を組み合わせたインダストリアル&アンビエントとも言える曲調になっています。彼らは相性は抜群で、両者ともほんとに自由に音作りをしてるなぁと感心してしまいます。今回、改めて聴いてみると、包装も音も含めて「真のDIY」なブツだと確信しました。私はDe FabriekのRichardとの交換で入手しましたが、これを中古で見かけたら、即ゲットしてください。なお、残念ながら、Telepheriqueは活動停止状態とのことです。 A1 “Transit” (11:04) A2 “Luftdruckpanne” (5:06) A3 “Raser Raststätte” (7:47) A4 “Zähfließender Verkehr” (11:17) B1 “Autobahnexoten” (11:12) B2 “Nachtparanoya” (2:34) B3 “Geschwindigkeitsrausch” (8:35) B4 “Ausfahrt” (1:55) [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLHP7bAjOIkpAIBvqsG9FEwEEyNWXqXD-V A3 “Raser Raststätte” (7:47) https://youtu.be/1TFhv3_FdA8?si=cGUmhAHPCMbLyrY5 #DeFabriek #Telepherique #PWZ #IndustrialMusic #CollaborationThroughTheMail #Holland #Germany #Electro #Rhythmic #HandmadeJacket #Insert #DeFabriekRecords&Tapes #Drahtfunk-Products #RichardVanDellen #LouiseNanuruVanDellen #PeterVanVliet #MartijnHohmann #PeterEhrmann #DanijelaJochim #KlausJochim #ReneJochim
Experimental, Electronics De Fabriek / Drahtfunk-Products 不明Dr K2
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Merzbow/Kapotte Muziek “Continuum”
本作は、まだネットでのデータのやり取りができなかった1980-1990年代に、日本のノイズ・オリジネーターであるMerzbowとオランダの実験音楽・ノイズシーンの先駆けであるKapotte Muziekとが、オランダのNijmegen で1989年行われたMerzbowのライブ音源(勿論デジタルでのライン録り)を素材にして、お互いで音を加工して出来た曲を更にお互いに郵便で送り合い、最終的にミックスして出来た作品とされています。なお、ファーストミックスはKapotte Muziek 側が行い、セカンドミックスはMerzbow側が行いましたが、本作品では後者のミックス・テイクが使われています。リリースはイギリスのCheeses Internationalと言う国際的なコラボ作品となっています。Merzbowについては、多くの方が知っているとは思いますが、元々は秋田昌美さんと水谷聖さんがやっていた宅録ノイズ・デュオだったのですが、その本質は秋田さん自身であると言えますし、今でもノイズ道をひた走る秋田さんその人自身が否応無くMerzbowであると言えるでしょう。一方、Kapotte Muziekは元々は、オランダで実験音楽/ノイズ・ミュージックに注力していたFrans de Waardのソロノイズ・ユニットでしたが、後にPeter DuimelinksやRoel Meelkopらが加わったトリオになりました。その始まりは1984年とされています。Kapotte Muziekは1990年代後半から現在に至るまでに、ハーシュノイズ・シーンからは遠ざかり、電子音響系の作風に変わっています。また、テクノ寄りユニットとしてGoemとしても活動しています。本作品はまだ郵便利用が国際的アングラ音楽活動の唯一の手段であった時代の産物であり、時間をかけて作られたものだと言えます。また、最終ミックスがMerzbow側によるので、ややラウドな仕上がりになっています。当時は、独逸のP16.D4やオランダのDe Fabriekを始め、このような郵便利用コラボがよく行われていました。因みにKapotte Muziekとはオランダ語で「壊れた音楽」と言う意味だそうです。 本作はYouTubeに上がっていなかったので、Kapotte Muziekの作品を。 https://youtu.be/gqbGy10-uSo この頃のMerzbowの作品も。 https://youtu.be/xVxvYt1mcHM #Merzbow #KapotteMuziek #Continuum #Experimental #NoiseMusic #Collaboration #ThroughTheMail #CheesesInternational
Noise, Experimental Cheeses International 不明Dr K2